5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

韓国人と隠れ切支丹

2019-05-26 21:39:13 | 韓国

お仲間の韓国人ビジネスマン、Jさんはキリスト教徒だ。キリスト教は韓国最大勢力の宗教で、韓国人口の約3割がキリスト教徒だというから、特別に不思議なことではないのだが、その所為もあってか、彼のブログにはキリスト教徒的な物の見方が現れているし、ブログテーマにも日本や韓国のキリスト教に関係のある人やものが取り上げられてくる。

朝鮮半島を蹂躙した憎むべき秀吉、切支丹大名の小西行長、二十六聖人の殉教、天草四郎と島原の乱、家康の禁教令とおたあ・じゅりあのことなど、さまざまな切り口で日本のキリスト教について、平易に書いている。遠藤周作の<沈黙>について取り上げたこともあったし、長崎の世界文化遺産「キリシタン関連遺産」の訪問記もブログアップがされている。韓国人の一般的なブログ読者たちにはてきとうな日本観光案内ということにもなりそうだ。

名古屋にも数カ所残存する「織部灯篭」いわゆる「キリシタン灯篭」についても興味を持って取材していったこともあった。ところが、われらのお仲間にはキリスト教徒はひとりもいないから、それらを邦訳をしても目立った反応はなかった。きっとJさんには歯がゆかったかもしれない。

禁教令を生き延びた隠れ切支丹の遺跡は全国にあるが、能登半島の七尾にある本行寺という寺で、隠れ切支丹の祭礼が今日行われたというNHK金沢のニュースを見つけた。

高山右近は切支丹大名のひとりで、信長、秀吉、利家と仕えながら戦国を生き延びるが、家康の禁教令によって日本を追放されるまで、20年以上にわたって身を寄せたのがこの本行寺。法華宗の寺でありながら、加賀前田家の客将としての右近の影響を受けて、密やかに切支丹の信仰も守られてきたわけだ。

年に一度の切支丹の祭礼には、地元民や歴史愛好家など30人が参加した。まず住職が十字架が隠し彫りされている供養塔に経をあげ、鐘を鳴らし、切支丹の祈りを唱えた。参加者たちは、厨子の中の仏像の合掌した手を開くと十字架が現れるカラクリを珍しそうに拝見し、境内に残る右近の修道所跡なども見学した。そして、宣教師のザビエルが日本に到着してはじめて食べたという芋料理の「カライモセン」など、寺が受け継ぐ切支丹料理も楽しんだという。

能登半島という中央から離れた土地だから、こうした隠れキリシタンの習俗もあせることなく伝承され易かったのかもしれない。神仏混淆はよくあることで大半の日本人はそれを奇異だとは感じていないのだろう。

とすれば、仏教とキリスト教が溶け込みながら存続している様子は、目には新しくとも、さほど抵抗なく受け止められるのかもしれない。TV映像では高校生たちの姿も見えたが、彼らの「隠れキリシタン」に対する興味のレベルがちょっと上がるだけでも、高山右近の功徳になりそうだ。

Jさんはここを訪ねたことはないだろうから、ニュースのリンクをツイートしておいた。参考にしてくれるといいのだが。


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