5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

ポイでポイポイ

2019-08-18 21:24:25 |  文化・芸術

「金魚売買へずに囲む子に優し」

女性の生き方をめぐる数々の話題作で人気を博した昭和の女流小説家、吉屋信子(1896-1973)の夏の句。大岡信の「第三折々のうた」に収められている。

夏になれば金魚売がやってきて路地に店を開く。子供たちが一斉に水樽を取り囲む。買う子はいなくとも、おじさんは追い払ったりしない。のんびりと煙草をくゆらしながら、子供たちととりとめもないはなしをして暑い時間をやり過ごすのだ。そんな昭和時代ののんびり夏休みは、すでに遠い昔だ。

子供の遊びだった金魚すくいも今では大人のスポーツに変貌したようだ。今日のNHK奈良局は「金魚すくいの腕前競う大会開催」という金魚ニュースを流している。

大和郡山、弥富、江戸川が日本の金魚三大産地として 並び称されるというが、そのひとつ、奈良の大和郡山では、養殖金魚のPRを目的にした「金魚すくい大会」を平成7年以来毎年、開いていて、25回目の今年は、世界大会と位置づけて海外からも積極的参加を呼びかけたのだそうだ。その結果、アメリカやイギリスなど9ヶ国からもエントリーがあり、1万8000人の大観衆が見守る中、1850人が妙技を競った。

和紙を張った専用の網「ポイ」を使って3分間にすくった金魚の数を競うルールで、3部門に分かれて実施。優勝者は、個人戦一般の部は地元の男性で70匹、個人戦小中学生の部は大阪の中一で60匹、団体戦は桜井市のチームで146匹だった。海外からのエントリーには勝者は出なかったらしい。

水槽には1000匹の金魚が放たれたというが、勝手に泳ぎ回る金魚を「ポイ」を巧みにつかってそれこそポイポイと掬いつづけなくては勝ち目はなさそうだ。

タイミングを計りながら一度に複数匹をすくうなどのテクニックも大切らしいから、とてものんびりとはしておられまい。忙しついでに、来年のオリンピックには、特別エキジビションゲームとして実施したらどうだろう。なにしろ、英語で〈ゴールドフィッシュ〉というのだから、ゴールドメダルをイメージできるではないか。案外、評判になるかもしれないぞ。



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