5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

検査、検査、検査

2020-04-03 22:19:10 |  経済・政治・国際

今日の新聞記事もポッドキャストも100万と5万というふたつの数字が報道の中心であった。

100万とは世界中のコロナウイルスの感染者数、5万は死亡者数である。いずれも依然として急増傾向にあって終息の見通しはつきにくくなった。WHOがコロナはパンデミックだと宣言した3月中旬以降の増加率が極まっているが、2月の中国から3月の欧州へさらに下旬の北米へと感染の中心が移行していることが大きな理由だという。

当初、コロナに対しては否定的だったトランプ大統領が国家非常事態を宣言して以後のアメリカでの拡大は驚愕的で、僅か2週の間に感染者数23万を数えている。世界一富裕なアメリカであっても、立ち上がりの検査体制の不備も禍して「指数関数的」な患者爆発に政府も関係者も医療崩壊を恐れて途方に暮れているという姿がニュースの合間から見えて来る。

今日のBBCは「関係者たちのマントラは検査、検査、検査だ」として、感染検査の重要度こそが、ウイルス抑え込みの唯一の手段だと言ってのけた。感染検査を徹底的に実施してウイルス抑制に一定の効果を得た韓国や台湾の防疫行動が国際的な評価を得る一方で、検査に消極的だった欧米での爆発には批判の声が高い。

検査に対してはこれまで抑制的な日本も同様だが、政府発表では今日一日あたりで300人以上が罹患し、全国の感染者数は3000人を超えたというのだから、効いていたはずの押さえが効かなくなっているようだ。日本政府公認のPCR検査について、今日の中日夕刊「夕歩道」がこう書いている。

コロナで知名度が上がったPCR検査(ポリメラーゼ連鎖反応)とは、狙った遺伝子を試験管の中で自由自在に増幅させるもので、そのアイデアは1983年、キャリー・マリスという若い研究者がデート中に閃いたものだという。

キャリーは愛車のホンダシビックを道端に停めて、恋人を助手席に座らせたまま、急いで脳内に浮かんだ化学式を殴り書きしたが、その結果が10年後、1993年のノーベル化学賞受賞として結実する。

サーフィン好きの型破りな化学者の一瞬の閃きがその後の生命科学の世界を劇的に進化させた。猖獗するコロナで閉塞感が強まる今だからこそ、科学者の閃きの歴史を思い出したい。必ずや抜け出せる。

「検査、検査、検査」が第一という世界的認識とは少しく違った判断をしている日本の厚労省。たしかにPCRの信頼性は評価されるべきだが、今後、日本も感染爆発の状態を迎えると考えた場合、判断に時間のかかるPCRではなく、感染の有無を即時判断して対処できる即応性のある簡易検査キットの活用も有効なオプションとするのが感染症に対する公衆衛生の基本のような気がしてならない。

 


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