「叱られて又這入る鵜のいぢらしや」
一茶のこの句は「新折々のうた3」の夏のうたに選ばれたもの。
選者の大岡信は、鵜飼いは早くも大和朝廷時代に、朝廷に貢納する魚を捕らえるために採り入れられた技術。夏秋の風物詩として、和歌、歌謡、俳諧など多くの作品が残された。一茶のこの句は有名ではないが、動物好きにはとりわけ、いじらしさが身に迫ってくる句だろうとしている。
当地では岐阜の長良川鵜飼いや犬山の木曽川鵜飼いなどが知られているが、全国各地にも多くの鵜飼行事が残されているのだ。九州福岡の筑後川、朝倉の鵜飼いもその一つである。
朝倉といえば過去に類の無い記録的豪雨の強襲をまともに受けたその土地である。
「鵜飼で交流の朝倉市に職員派遣へ」というニュースはNHK岐阜局が今日発信したもの。
岐阜と朝倉とは 全国12の自治体がつくる「全国鵜飼サミット」を通じて交流がある。大きな被害を受けた朝倉市が緊急支援を求めていることから、岐阜市は防災と消防の職員数人を現地に派遣し、避難所に支援物資を届けることを決めたのだという。
現地では未だ人命救助を優先する不安定な状態なので岐阜市側が今後どんな支援を必要とされるのかを朝倉市側と意見調整をするのだそうだ。
鵜飼いの縁がもたらす「支援の動き」はこうして岐阜市以外にも全国から集まってくるはずだ。
朝倉市が落ち着きを取り戻し、筑後川の鵜飼いが再開される時には、 鮎を獲ってこいと叱ってばかりではなく、鵜たちを褒めてやらねばなるまい。