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私的図書館

本好き人の365日

世界の12月25日

2012-12-25 05:24:26 | 本と日常

帰り道の途中にある宅配ピザ。

いつもは四、五台の配達用バイクが店の前にとめてあるのに、24日の夜だけは、たった一台。

そのバイクも私が見ている間に、慌ただしくピザを詰め込み出かけて行きました。

クリスマスイブなんですね~

 

先日スマートフォンをアップル社の「iphone5」に買い換えたのをきっかけに、Twitterを始めてみたのですが、戦場カメラマンの渡部陽一さんのTwitterでは、内戦の続くシリアの様子が報告されていました。

現在国連特使による和平交渉が続けられていますが、1年9ヶ月にもおよぶ内戦で、すでに約4万4000人の人々が犠牲に・・・

食糧も不足しており、パン屋さんの前には1000人ほどの人が行列を作って並んでいたそうです。

 

映画にもなった「テルマエ・ロマエ」の作者、ヤマザキマリさんの旅行記エッセイ、『世界の果てでも漫画描き2 エジプト、シリア編』(創美社コミックス)を読むと、イスラム圏の女性たちのたくましさが垣間見れてとても興味深いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

町のバザールには日本でも目にしないような派手派手の下着が吊るされていたり、公共浴場でのお互いスッポンポン同士の彼女たちの会話を聞いていると、いい意味でも悪い意味でも日本の女性と変わらない(苦笑)

TVで見る全身をブルカと呼ばれる衣装ですっぽり覆った姿が、「抑圧された」イメージとつながりやすいんでしょうね。(確かに「タリバン」など問題のある例も多いですが・・・)

 

クリスマスも、もともとは世界各地でお祝いされていた冬至祭と混ざり合ったという説があるので、なにもキリスト教徒だけのお祝いの日ではありません。

昼間と夜の長さ入れ替わり、太陽が新たな誕生を迎える日。

でも、クリスマスケーキだけは食べたいな(苦笑)

 

 

 


2012年ベストセラー発表 『こびと大百科』

2012-12-04 21:18:48 | 本と日常

駅前の公園にクリスマスツリーが登場しました。

もう12月なんですね~

 

書籍の取次ぎなどを行う会社トーハンが、2012年度の年間ベストセラーを発表しました。

1位 『聞く力』 阿川佐和子 (文藝春秋)

2位 『置かれた場所で咲きなさい』 渡辺和子 (幻冬舎)

4位に『体脂肪計タニタの社員食堂』『続・体脂肪計タニタの社員食堂』、5位に三浦しをん『舟を編む』(光文社)が入りました。

阿川佐和子さんの『聞く力』は未読です。

TVなどで作者本人はよくお見かけするのですが、本は読んだことがありません。

1位2位もそうですが、ダイエット本やアンチエイジング本、心や宗教本が上位に入っていて、全体として読者の興味が自分の内面や健康に向いている印象。

不安定な世の中では、やっぱり自分のことが一番心配になるのかな?

個人的にはそっちの方が心配です。

みんなが自分のことだけ考えたら、結局誰も幸せにはなれませんからね。

ま、個人的には別に幸せになりたくて生きているわけじゃないけど。

昔、「誰だって結局自分のことが一番かわいいでしょ!」

と本気でいってる人がいましたが、少なくても「本」を読めばそんな自分勝手な言い訳が万人に通用しないってことぐらいわかりそうなものなのに…

すぐ「みんなやってるじゃない。私だけを責めないでよ!」って共同責任にしたがるんだから。

おっと、話がそれました。

注目は総合ベストセラー16位に入った、なばたとしたかさんの『こびと大百科』(長崎出版)

 

 

 



 

 

「さあ、こびとを見つけに出かけよう!」という、実際にこびとがいる”てい”で、その観察方法、くわしい生態、捕獲の仕方などが書かれた本♪

こういう本がベストセラーに入ってくるとホッとしますね☆

部屋にいる時、視線の片隅をサッと何かが動いた気配が?

もしかしてイエコビト?(笑)

キャラクターの造形といい、商品としての広がりといい、商業的なアプローチのおかげという面は否定できませんが、それはそれとして読者の心をつかんだのは確か。

何より発想が面白い♪

 

文庫本部門では、村上春樹さんの『1Q84(1~3前編後編)』(新潮社)を抑えて、三上延
さんの『ビブリア古書堂の事件手帖(1~3)』(アスキー・メディアワークス)が堂々の1位。

シリーズ累計での順位だと他の単品の作家さんが不利なような気もしますが、とにかくよく売れました。

3位以下には東野圭吾さん、湊かなえさん、有川浩さんといったおなじみの面々が。

冲方丁さんの『天地明察(上下)』(角川書店)は11位と、映画化に合わせて文庫化したのでちょっと出遅れた感じ。

和田竜さんの『のぼうの城(上下)』(小学館)は19位、百田尚樹さんの『永遠の0(ゼロ)』(講談社)は20位に入りました。

トーハンのベストセラーなので、どこまで読者の好みが反映されているのかは怪しいところですが、個人的な感想としては、「おなじみの面々が活躍してけっこう豊作♪」という感じ。

去年と同じタイトルが相変らず売れているというのは、安定した長期政権という感じで、いい面もあればものたりない面もあって、私なんかは革命的な作品が登場するのを密かに願ったりしています。

毎年面白い物を書き続けるということがいかに大変かということは、十分わかってはいるんですけどね。

読者なんて勝手なものだから(苦笑)

 

この間、私が生まれた頃に出版された、中国は上海を取り上げた旅行案内を読んでいたのですが、その中で街角で手紙の代筆を行う「代筆屋」という人々が紹介されていました。

当時の中国では文盲の人が多く、海外に出稼ぎに出ている家族と連絡を取るために、こうした街角の「代筆屋」に手紙の代筆を頼むのだそうです。

「身の上話に耳を傾けるのも仕事のうち」という説明が少し微笑ましく思えましたが、実は本が読める、文字が読めるというのはそれだけでスゴイことでもあるんですよね。

世界には、学校に通えず、文字を読めない子供たちがまだまだたくさんいます。

児童労働、政情の不安定、貧困、男女差別、宗教、戦争…学校そのものが足りなかったり、教える教師がいないなど、事情は様々です。

成人で文字が読めない人口は7億人を超えるといわれています。

本を読むという、私たちが当たり前のようにしていることも、実は全然当たり前じゃないんですよね。

ダイエット本や自分探しの本を読むのも別に悪いことじゃないんですが、せっかく本を読むことができるのに、視線が内向きなのはもったいない…と思ってしまいました。

ダイエットも大切ですよ。

健康も身体があってこそですからね。

アンチエイジング? 歳相応じゃダメ………ですか?

 

ともかく、「10歳若く見えるようになる講座」と「小人捕獲講座」があったら、私なら「小人捕獲講座」を受講するけどなぁ☆

 

精神年齢だけ若くってもダメってことか。


川上弘美 『これでよろしくて?』

2012-11-29 10:17:35 | 本と日常

世間ではもうすっかり季節は冬ですが、私の中ではまだまだ「読書の秋」が続いております。

もう開き直って「読書の冬」とか、「一年中読書」でもいいような気がしますが、なんとなく「読書の秋」というブランドにすがって読み続けていたい…

非生産的な行動ゆえ、どこかに負い目があるんでしょうか?

幼い頃は本を読んでいるとほめられたのに、最近じゃ一日中本を読んでいると「そんなヒマがあるなら働け」といわれます。

別にヒマだから読んでいるわけじゃないのに、というかむしろ本を読む時間を四苦八苦してひねり出してるっていうのに!

あぁ、私にもテオみたいな理解ある弟がいたらなぁ。

 

めげずに今週から来月にかけて注目している新刊本をご紹介しましょう♪

 

『となりの801ちゃん+1』(宙出版)

 

 

 

 

 

オタクカップルの日常を描いたコミックエッセイ第7弾?

めでたく第一子が生まれ、家族が増えました!

最初は「やおい」(801)と呼ばれる「男子×男子」の恋愛物をこよなく愛する腐女子の彼女の変態っぷりに笑っていたのですが、最近はアニメネタが面白い☆

 

『RDG6 レッドデータガール 星降る夜に願うこと』(角川書店)

 

角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日:2012-11-28

 

 

 

 

 


上記のデータでは発売日が11月28日になっていますが、荻原規子さんのHPによれば11月30日のようです(角川書店のHPでは11月29日になってる?)(注・11月29日、本屋さんに行ったところすでに店頭に並んでいました!)

ともかく!

つ・い・に、「RDG」シリーズ完結!!

私は文庫本派なのでこの最新刊を読むわけにはいきませんが、待ちに待った最終巻です!

読めないのに発売されただけで盛り上がれるのがファン心理♪♪

不思議な星の下、自分の運命と向き合う主人公の泉水子(いずみこ)ですが、さて、どんな結末が待っているんでしょう?

荻原規子さんは『空色勾玉』からのファンなので、この物語の結末もずご~く気になります!

あぁ、文庫化のスピードをもう少し早くしてくれないかな。

文庫本最新刊、『RDG4 レッドデータガール 世界遺産の少女』は12月25日発売予定。

絶対買います!

 

『洟をたらした神』(中央公論新社)

 

中央公論新社
発売日:2012-11-22

 

 

 

 

 

 

こちらはharuniwaさんから以前紹介していただき、読んで感動した本。

その時は図書館で借りた本だったので、ようやく自分の手元に置けます!

まだ買いに行くことができていませんが、近日中にGET予定。

 

最近読んだ本で面白かったのは、

『すーちゃんの恋』(幻冬舎)

 

幻冬舎
発売日:2012-11-09

 

 

 

 

 

 

「すーちゃん」シリーズの最新刊。

喫茶店から保育園の給食係に転職したすーちゃんが、以前ちょっといいなと思った書店員、土田くんと再会。お互い意識はしているけれど、自己完結しちゃうすーちゃんに共感してしまう。

もっと気軽にお付き合いしちゃえばいいのに、と思うけれど、それをしないのがすーちゃんらしい♪

土田、やよいちゃんはどうするんだよ!

なぜ彼女持ちの方がモテるんだ!?(個人的感情アリ)

 

『これでよろしくて?』(中央公論新社)

 

中央公論新社
発売日:2012-10-23

 

 

 

 

 

 

川上弘美さんの文章大好き♪

年齢も境遇も様々な女性が「これでよろしくて? 同好会」と称して、定期的に集まって食べながらしゃべるんだけれど、議題(なんてものがある☆)が毎回可笑しくて♪

「トイレに設置されている音姫(排泄音を誤魔化すための機械)を使うのはなんだか卑怯な気がして嫌い…」

「日本人って、ほんとうに肉じゃがが、心の底から、そんな一位になるほどに好きなのかしら?」

テーブルに出てくる料理をみんなで分け合い、盛大に食べてはしゃべる。

別に解決策を真面目に討論するわけじゃなくて、かといってしゃべることで気分をすっきりさせるなんて目的があるわけでもなくて、もっとずっといいかげんな同好会(苦笑)

でも、そこがたまらなく魅力的なんですよね♪

「夫の実家に帰省した時のお風呂に入る順番」

とか、

「脱いだにせよ脱がされたにせよ、一度身体から離れた下着をどのタイミングで、どうやって再び身にまとわせるか」

とか、

「出張で会社の上司と同じホテルに泊まり、別々の部屋に引き上げたものの、大浴場でバッタリ。上司が前も隠さず近づいてきた時の社会人としての対処のしかた」

とか(笑)

普段、なんとなくこうなんだろうなと、個人個人が自分で判断している諸問題を、こうしてあらためて文章にされてしまうと、何だか自分が普段していることがとっても奇妙なことのように思えてしまいます☆

 

冬が来ることをかたくなに拒否したいがために、この時期までコタツを出さないできたけれど、そろそろあきらめたほうがいいのかな?

さすがに厚着だけじゃ乗り切れなくなってきた。

 


『本屋さんで本当にあった心温まる物語』

2012-11-24 04:28:33 | 本と日常

2011年3月11日に起きた東日本大震災。

被災地ではライフラインはもちろん、交通網がズタズタになったことで本や雑誌の流通も止まってしまいました。

多くの人が亡くなり、家を無くし、住む所も食べる物も不足している状況で、被災地の本屋さんの多くは、こんな時に本を読む人なんていないだろう、と思ったそうです。

それでも床に落ちた本の山を片付け、本棚をおこし、なんとかお店を再開すると、思ってもみないことが起こりました。

多くの人々が詰めかけたのです。

みんな活字と情報に飢えていました。

ある本屋さんは、顔見知りの人から「お店はいつから開けるの?」「子どもたちが怖がっちゃって、絵本やマンガを読ませてあげたいのよ」といわれたことがきっかけで、こんな時だからこそ、町の本屋にできることがあるんじゃないかと思ったそうです。

しかし、お店を開けても新しい雑誌や本は入ってきません。

毎週楽しみにしていたマンガ雑誌が無いと知り、泣き出す子供もいたそうです。

そんな時、なじみのお客さんの一人が1冊の「少年ジャンプ」をお店に持ち込みます。

「みんなに読ませてあげて下さい」といって。

そのお客さんは交通事情が最悪の中、わざわざ遠くの街まで行ってその雑誌を買い求めて来たそうです。

その日から、「ジャンプあります」の貼紙を見て、多くの子供たちが本屋に押しかけました。

1冊の雑誌を、みんなで回し読みするのです。

大人もやってくるようになり、お店の前には長い行列ができました。

「子供がやっと笑ってくれた」と、お礼をいって帰られるお母さんもいたそうです。

 

…本の力ってすごいですね。

 

それは同時に、人間の力ってすごいってことでもあり、一人の善意がこんなにもつながって、多くの人に広がっていったことを知ると、なんだか勇気もわいてきます♪

 

一冊の本。

だけど、かけがえのない出会い。

 

川上徹也さんの本、『本屋さんで本当にあった心温まる物語』(あさ出版)を読みました。

この「一冊のジャンプ」というお話の他に、全部で28の本屋さんを舞台にした”本当にあった物語”が収められています。

 

お父さんに買ってもらった一冊の絵本をいつまでも大切にしている女の子。

本屋さんでみかけたキレイなお姉さんに憧れる男子学生。

町に本屋が無くなってしまい、何とかしようと頑張る町の主婦たち。

本を万引きした少年に、次々とお説教するおせっかいなお客さんたち。

本屋さんで出会った一冊の本がきっかけで、いまの職業に就いたという女性。

 

本好きじゃなくても思わず心がほっこりする物語の数々。

どれも登場するのは普通のどこにでもいそうな人々だけれど、どの人にもそれぞれの輝くような物語があるんです。

 

ショッピングモールで幼い女の子が迷子になり、両親は必死で探し回ります。

館内放送までかけてもらって、警備の人にも手伝ってもらって、でも女の子は見つかりません。

その時、母親は急に走り出します。

彼女だけに、娘の声が聞こえたそうです。

女の子は、ショッピングモールの本屋さんで、お店のお姉さんに絵本を読んでとせがんでいました。

お姉さんの読むお話に目を輝かせ「キャハハハ」と無邪気に笑っていたそうです。

両親は安心したあまり床にへたりこみ、本屋のお姉さんは突然のことに驚き、とりあえずホッと胸をなでおろす大人たち。

そんな大人たちを尻目に、女の子は「次はこれ!」と次に読んでもらう絵本を探しに行ったそうです(苦笑)

「〇〇ちゃんは本を読んでいる時に話しかけてもぜんぜん返事してくれない」

とその女の子は成長してからも友達にいわれるんだとか(笑)

 

本が好きなのはすご~くよくわかるけれど、あんまり夢中になるのも考えものですね☆

 

読んでいるこっちは面白いけれど♪


松田瓊子 『すみれノオト』

2012-10-19 23:24:35 | 本と日常

いつも本選びの参考にさせてもらっている本屋さんのブログを見ていたら、その紹介文の素晴らしさと美しい装幀に魅せられてしまって、頭の片隅でその値段におののきながら、ついAmazoneの買い物ボタンをクリックしていました。

 

『すみれノオト……松田瓊子コレクション』(河出書房新社)

 

河出書房新社
発売日:2012-09-20

 

 

 

 

 

 

松田瓊子(まつだけいこ)は大正5年に生まれ、昭和16年に23歳という若さで亡くなった日本の小説家。

私は不勉強でまったく知らなかったのですが、「赤毛のアン」の翻訳で知られる村岡花子さんが本の序文を書いていたり、オルコットなどの家庭小説、少女小説に影響を受けた作家さんなんだとか。

ということは、日本版の「赤毛のアン」みたいな作品なのかな?

原稿用紙とペンをもって、物置に机を持ち込み、まるで「若草物語」のジョーのように、空想のまま登場人物を動かすことがなによりの喜びだと日記に書いた松田瓊子。

紹介文の中にあった「同類の匂い」という言葉にズドンと胸を打ちぬかれました(苦笑)

あぁ、この人の作品読んでみたい…

でもこの本、三千円以上するんですよね。

やっぱり高い… 

 

『すみれノオト……松田瓊子コレクション』には、松田瓊子が23年という短い生涯のうちに書き残した小作品、エッセイ、小説、短歌、そして17歳から21歳までの日記が収録されています。

言葉を寄せているメンツもすごくて、田辺聖子、須賀敦子、児玉清、などなど。

編者、発行人は早川茉莉。

高い高いといいつつ、早々とコンビニでお金を払って来ました。

あとは届くのを待つのみ。

あぁ、どんな本なんだろう。

読むのが楽しみです♪

 

 


『まじめな時間2』、『ソロモンの偽証』、『神去なあなあ日常』

2012-10-16 20:43:36 | 本と日常

最近ブログの更新をサボッていたので、読んだ本がたまってしまいました。

 

見たい映画もあるし、見なきゃいけないアニメもあるし、出かけたい場所もあるし、温泉にも入りたいし、秋物も買いに行かなきゃ…

いろいろ頭の中で予定を考えるんだけど、いろんなことをしなくっちゃいけなくて、あたふたしている間にアッという間に一日が終わってしまう感じです。

 

最近読んだ本は…

清家雪子、『まじめな時間2』(アフタヌーンKC)

 

 

 

 

 

 

 

交通事故で突然死んでしまった女子高生が主人公のマンガ、2巻完結です。

最初は死んでしまったことにとまどい、どうしていいのかわからなかった主人公ですが、学校の友達の様子、憔悴しきっている母親の姿を見るうちに心情が変化し、霊感の強い学校の同級生を通じて現世に”少し”思いを伝えたりします。

「死後の自分」をコミカルに描きながら、読者の心を打つのは主人公の優しさと、その性格。

不器用で、頭もそんなによくなくて(苦笑)、今どきの女の子だけれど、周りをいつも笑顔にしてくれる。

母親が「まだまだたくさんあるの、あの子のいいところ。なのに私、私はそう思っているって、あなたを誇りに思っているって、全然、あの子に伝えられなかった…」というシーンで読んでいてブワッと涙があふれてしまいました…

 

宮部みゆき、『ソロモンの偽証 第Ⅱ部 決意』、『ソロモンの偽証 第Ⅲ部 法廷』(新潮社)

 

新潮社
発売日:2012-09-20

 

 

 

 

 

新潮社
発売日:2012-10-11

 

 

 

 

 

 

少し前に第Ⅰ部を読んで気になっていた3部作の続編。

個人的にはアッと驚くような展開はなく、本当の悪人も登場しない「みんなそれぞれに事情があってかわいそう…」という、個人が社会で生きていく上で乗り越えなきゃいけない生き難さを、乗り越えられない個人の事情を連ね「クリスマス・イブの夜に校舎から飛び降りる」というロジックに乗せて、延々と書き連ねてある作品。

いってみればそれだけの作品なのに、それなのにこれが面白い!

中学生たちが自殺した(と警察が判断した)同級生の事件について、自分たちで証人や弁護人を立てて裁判を行い、ウソと真実を並べていくのですが、それがあの年代の閉塞感のある下向きな感情と相まって、実に痛々しく書かれているのです。

でも、やっぱり、三部作は長いよ…

 

K.Kajunsky、『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。2』(PHP研究所)

 

 

 

 

 

 

 

 

旦那さんの帰りを毎回趣向を凝らしたコスプレ(?)で待ち構えている奥さん(笑)

前回も笑わせてもらいましたが、今回も十分面白い♪

すし屋の娘だった奥さん。出張でたまたま立ち寄った旦那さんと仲良くなり、そのまま結婚。

どこでどう間違ったのか、毎晩玄関で死んだふりをして旦那さんを出迎えます!

これも一種の愛情表現なんでしょうね~(苦笑)

 

 

魯迅、『阿Q正伝(まんがで読破)』(イーストプレス)

 

イースト・プレス
発売日:2009-03-31

 

 

 

 

 

 

名作をまんがで読むシリーズ。

魯迅は20世紀初期に活躍した中国の小説家。

日本にも留学経験があります。

最初は医学の勉強をしていた魯迅ですが、のちに文学の道に進みます。

作品の中で、日露戦争でロシアのスパイをしていた中国人が日本軍によって処刑されるのを、同じ中国人が面白そうに見物しているのをニュース映画で見て、中国人を救うのは医学ではなく文学による精神の改造だ、と魯迅が思う場面があったの印象的。

日本では中国人だというだけでいわれのない非難にさらされたりしますが、日本語に慣れていない魯迅のためにノートを添削してくれたり、国籍ではなく人間魯迅を見てくれる日本人教師がいたりして、いつの時代にもこうした人々がいたことに勇気付けられました。

 

特に中国人小説家がノーベル文学賞を取ったばかりですからね。

文学による精神改造は果たしてできたのか。

もっとも、これは中国だけじゃなくて、どこの国にも当てはまることなんですが。

 

その他に読んだものは、

谷川俊太郎、和田誠、『ワッハワッハハイのぼうけん』(講談社)

 

 

 

 

 

 

 

三浦しをん、『神去なあなあ日常』(徳間書店)

 

徳間書店
発売日:2012-09-07

 

 

 

 

 

 

これは林業をあつかった小説で、三重県が舞台。

三浦しをんさんがこの小説の関係で三重県は尾鷲市に来るイベントがあったのですが(昨年)、三重県はお隣なのでその時は本気で行こうかと思いました。

ま、結局仕事や何かで行けなかったんですけどね。

田舎に作家さんが来るなんてめったにないことですから。

 

さぁて、そろそろ秋冬用に布団を出したり、セーターやマフラーを準備しなきゃ。

ついこの間まで暑い暑いっていっていたんですけどね。

朝晩は冷え込むようになったし、風邪を引かないようにしなくっちゃ。


ノーベル文学賞

2012-10-12 09:42:35 | 本と日常

京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授が、ノーベル医学生理学賞を受賞することが決まりましたね。

 

受賞理由は「成熟した細胞を、多能性を持つ状態に初期化できることの発見」

 

私のなけなしの認識では、人間は最初たった一つの細胞(受精卵)が細胞分裂して様々な臓器や器官に変化するわけですが、その「なんにでもなれる可能性を秘めた細胞」を人工的に作り出したものを、確か「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」と呼んだはず。

受精卵ではなくすでに細分化し成長した細胞からこのiPS細胞が作り出せれば、自分の体の一部からあらゆる「スペア」が作り出せるわけで、当然拒否反応も起こさない臓器の移植が可能になり、再生医療など多くの分野での利用が期待できるわけです。

SFファンとしては「これで自分のクローンが作れる?」なんて思ってしまいますが、体だけコピーが作れても、記憶のコピーができないですからね。次は脳内の電気信号を外部的に再生できる仕組みを誰かが発見してくれないかな…

 

ダイナマイトを発明して莫大な利益を得たスウェーデン生まれの実業家ノーベルの遺言によって始められたノーベル賞。

 

毎年話題にのぼる村上春樹さんのノーベル文学賞受賞は今年も成りませんでしたね~

私は正直どっちでもいいので早く次回作を書いてくれ(できれば短編)と思っています。

いまさらどっかのお偉いさんに評価されなくても、作品の評価はそれぞれの読者がすればいいわけで、補助金をもらわなくちゃ研究ができない科学者と違って、村上春樹さんレベルの作家さんなら、賞金なんてたした額じゃないでしょうしね(苦笑)

今回ノーベル文学賞に決まったのは、中国の作家、莫言さん。

 

授賞理由は「幻覚を伴ったリアリズムによって、民話、歴史、現代を融合させた」「西欧かぶれしていないユニークな作家。アジアの重要性が高まっていることの表れともいえる」だそうです。

 

私はチャン・イーモウ監督によって映画化された莫言さん原作の映画「赤いコーリャン」を見たぐらいで、本は読んだことがありません。ごめんなさい。

あれ、そういえば中国版ノーベル賞の「孔子賞」ってどうなったんだっけ?

あれは平和賞のみなのかな?

中国の人権活動家、劉暁波さんがノーベル平和賞を受賞したことに反発して急遽作られたとウワサされた「孔子平和賞」

確かその時中国は劉暁波さんにノーベル賞を与えないようにと圧力をかけたんじゃなかったかな?

私の記憶の中ではけっこうノーベル賞に対して批判的だったような気がしますが、今回の中国人初の「ノーベル文学賞受賞」には歓迎ムードなんだとか。

 

まったく、大人ってやつは…

調子のいい大人は信用されないぞ。

 

 

 

 愛国的芸術とか愛国的学問とかいうものは存在しない。

 すべて高尚な善いものはそうであるが、芸術や学問は世界全体のものである。

 そして一切の同時代の人々の一般的な自由な相互作用により、過去からわれわれに伝えられているものを絶えず顧みることによって初めて、両者は促進され得る。

 

                   ―ゲーテ「格言と反省」から―

 

 

 


よしながふみ 『きのう何たべた?』

2012-10-04 23:33:08 | 本と日常

すっかり秋らしい空になって、朝晩も過ごしやすくなりました。

頭をたれた稲穂も刈り入れを待つばかり。

スーパーには葡萄や松茸も並び、いよいよ実りの秋本番といった感じでしょうか(松茸は高くて買えませんけどね)

 

秋は食べ物もおいしいですが、何といっても「読書の秋」

最近読んだ本を羅列していきたいと思います。

 

冲方 丁 『天地明察』上・下(角川文庫)

喜国雅彦 『本棚探偵の冒険』(双葉社)

尾田栄一郎 『ONE PIECE THE 17TH LOG "SABAODY"』(集英社)

杉作 『猫なんかよんでもこない。』(実業之日本社)

清家雪子 『まじめな時間(1)』(アフタヌーンKC)

J・K・ローリング 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(文庫版)』3-1、3-2(静山社)

よしながふみ 『きのう何たべた?(1)』(モーニングKC)

 

まずは「ハリー・ポッター」シリーズを文庫シリーズ化している静山社、解説は西村知美でいいの!? ほんとに売る気はあるの? いったい「ハリ・ポタ」をどこへ連れて行く気?

文庫第3弾の解説を、西村知美さんが書いてみえるのですが、もう不安でいっぱいです。

静山社はどうしてしまったんでしょう…

いまいち「ハリ・ポタ」の文庫化が盛り上がらない原因は、ファン心理がわかっていないのと、コレクションとしての魅力がないからだと思うのですが。

単行本の表紙イラストを縮小版で全部並べてカラーページで付けて!

ロンの家「隠れ穴」の見取り図ってのはどう?

せめて作者のインタビューとってきてよ!

不安でいっぱいですが、これからまだまだ出る文庫化シリーズを見守っていきたいと思います。

 

『まじめな時間(1)』はコミックですが、ある日思いもよらず事故死してしまった高校生の女の子が主人公。

最初っから幽霊(?)です。

死んでみてわかったのは、そこらじゅうに死んだ人の霊がいて、会話をしたり飛び回ったりしているってこと…

どうやら成仏するまでの期間、人間の魂は現世にとどまるらしい…

そんな奇抜な設定で展開する、自分の死を見つめる物語。

友人たちの態度。両親の思い。弟や、片思いの相手。そして、霊として主人公に接する様々な原因で死んでしまった人々。

死んでからわかるさまざまな思いや相手の気持ちに、もう答えられない自分がもどかしい。そんなこと、死んでからわかったって何にもならない…

そして、負の感情に支配された怨霊たち。

すべてを失った時に初めて見えてくるもの。生きていなければ伝えられない思いや気持ち。

2巻完結だそうなので、早く続きを手に入れたいと思っています。

 

ちょっと涼しくなったので、衝動的に食べたくなって、2、3日前にすき焼きを作りました♪

暑い夏にはちっとも食べたくなかったのに、食欲とは不思議なものです。

あぁ、久しぶりの牛肉がおいしかったよ~

これからは鍋や炊き込みご飯が美味しい季節ですよね。

『きのう何たべた?』を読んだからそう思うのかな?

こちらはゲイのイケメン弁護士さんが、美味しそうな料理をたくさん作ってくれます♪

スーパーで底値を確認するとか、炊き込みご飯と豚汁だとゴボウがかぶるから味噌汁にするとか、いちいち共感できてうなずいてしまう(苦笑)

こんなこと書いていたら、本当に炊き込みご飯が食べたくなってしまいました。

明日あたり、作ってみようかな?

 

 

角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日:2012-05-18

 

 

 

 

 

 

角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日:2012-05-18

 

 

 

 

 

 

双葉社
発売日:2001-12

 

 

 

 

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

休日にはコーヒーと本を

2012-09-29 23:40:22 | 本と日常

たまには少し贅沢をしようと、わざわざ朝食を食べにカフェへ。

前からずっと行きたかったお店で、なんと本屋さんに併設されているんです♪

しかも購入前の本を持ち込んで読んでもいいとの太っ腹!!

ただ、私の住んでいる所からはかなり遠い…

田舎はこういう時不便なんですよね。

 

初めての街で多少道に迷いながら、本屋さんの看板を目ざとく見つけてお店に到着。

お店で焼いているパンをどれでも2つと、飲み物で450円。

う~ん、東海地方のモーニング文化に慣れ親しんでいる身からしたら、ちょっと高いかな?

うちの近所の喫茶店だと、コーヒーにトーストと卵、さらに簡単なサラダが付いて350円ですからね。

それでも書店に並んでいる本を持ち込めるというのはやっぱり魅力♪

冊数制限があって持ち込めるのは1冊だけのようですが、それでもゆっくりテーブルで読めるなんて”贅沢”って感じです。

こういうお店が近所にあったら絶対通い詰めるのになぁ。

いいなぁ、このお店の近所の人たち。

すっかりくつろいでしまい、つい長居してしまいました☆

次は食事なしで、飲み物だけでもいいかな。

 

 


宮澤賢治の命日です

2012-09-21 05:52:12 | 本と日常

今日、9月21日は宮澤賢治の亡くなった日です。

 

1896年(明治29年)、現在の岩手県花巻市の商家の長男として生まれた賢治は、詩集『春と修羅』の他、『銀河鉄道の夜』、『注文の多い料理店』、『セロ弾きのゴーシュ』、『風の又三郎』など多くの作品を残し、いまも多くの人に愛されている作家ですが、生前に出版されたのは『春と修羅』と童話集『注文の多い料理店』のわずかに二点。

 

農学校の教師を退職した後、農民芸術を熱心に推進したり、農業指導などに取り組んだ賢治でしたが、1933年(昭和8年)9月21日、急性肺炎のため37歳で亡くなりました。

 

私が印象に残っているのは、嵐山光三郎さんの『文人悪食』(新潮文庫)の中で紹介されている宮澤賢治。

サイダーが好きだったというエピソードは、「雨ニモマケズ」のイメージからはちょっと想像できなくて、人間くさい宮澤賢治の一面を垣間見ることができます♪

 

学生時代、初めて「イーハトーブ」という言葉を知った時は衝撃でした。

日本の地名をこんな言葉に言い換えるだなんて、その発想がスゴイ! と思ったのです。

銀河鉄道の夜に登場する「ジョバンニ」に「カンパネルラ」、「セロ弾きのゴーシュ」、やまなしに出てくる「クラムボンはかぷかぷわらったよ―」なんて言葉。

夏目漱石や芥川龍之介、太宰治の作品の舞台となる古風な日本とは全然違う、ファンタジーのような世界。

詩集『春と修羅』にも多くの影響を受けました。

だから東日本大震災の折、ボランティアとして初めて岩手県に入った時は、被害に対するショックもありましたが、どこかに感激している自分もいたのです。

ここが賢治の見ていたイーハトーブなのかと―

 

先々月に公開されたアニメ映画、『グスコーブドリの伝記』も観に行きました。

とってもよかった♪

 

森や川、夜の闇に輝く朝日、地層に眠る太古の歴史に、鉱石の中に閉じ込められた光。

想像力が無ければ見えないものもあります。

相手のことを想像し、その気持ちを考え、悲しみや喜びを分かち合う。

話を聞いて涙を流し、自分のことのように落ち込んだりうきうきしたり。

思いやりや優しさは、想像力がなくっちゃ思い浮かびません。

そういう私自身、小学生の時夢中で化石採りをしたり、川辺で水切りをして日が暮れるまで遊んでいた時に感じていた感覚を、最近じゃ思い出すことも少なくなっているんですよね(苦笑)

最近忙しさにかまけて、自分の中の何かがくもってしまっている気がするので、この機会に宮澤賢治の作品を読み返してみようかな。

 


いつも誰かが戦っている

2012-08-21 23:38:05 | 本と日常

おにいちゃんがんばって。

 

別に「おとうさんがんばって」でも、「おかあさんがんばって」でもいいのだけれど。

自分を応援してくれる味方がいるというのは心強いですね。

 

太郎がんばれ。

 

花子がんばれ。

 

でもいい。

それは期待でも同情でもなくて、一心同体になっている瞬間。

 

おとうさんがんばって。

 

おかあさんがんばって。

 

(わたしは味方だからね)

 

木地雅映子さんの小説、『氷の海のガレオン』に、深夜庭の大きなナツメの木を裸の拳で殴り続けている兄をみつめる妹が登場します。

クラスから浮いていて、自分を天才だと信じて疑わない小学生の妹は、兄の姿を見てこう思うのです。

私の大好きなシーン。

 

 兄貴は泣いていた。青春ってやつだ。彼はいま人生の岐路に立ったりなんかしているに違いない。おにいちゃんがんばって。

 薄情な妹は、それからもう一寝入りしてしまった。

                      ―木地雅映子「氷の海のガレオン」(ポプラ文庫ピュアフル)より―

 

この距離感がいいんですよね♪

誰もが生まれた時に、自分専用の小さな庭とナツメの木がもらえたらいいのに。

その庭は一人になりたい時は木陰が姿を隠してくれるけれど、完全に周りから切り離されてしまっているのではなくて、声や物音、人の横切る姿がチラッと見える、そんな気配が伝わってくる程度の広さ。

使い方は人それぞれ。

小さな畑を作ってもいいし、花を植えてもいい。木登りをしてもいいし、根元にもたれて読書をしてもいい。季節によってはナツメだって食べられるし☆

そして、深夜に泣きながら殴ったってナツメの木は受け止めてくれる…

そんな簡単なことじゃないのかも知れないけれど、少しはイジメや自殺や、生き苦しさから守ってくれないかな?

 

 おにいちゃんがんばって。

 

きっと、誰もが何かと戦っているんでしょうね。

暴力じゃなくて、魂の戦い。

 

 わたしはほんとうのことを隠さない。

 それに耐えられる魂だけ、わたしのおなかにおいで。

 (中略)

 だから、戦える魂だけ、ここにおいで……

                      ―木地雅映子「氷の海のガレオン」(ポプラ文庫ピュアフル)より―

  

ロンドンオリンピックも応援したし、高校野球も応援しています。

さぁ、今度は自分が頑張る番かな♪

 


『雨月物語』

2012-08-19 23:18:10 | 本と日常

引越しをして気が付いたこと。

 

部屋が広くなったからって、安心して散らかしていると、前よりひどい状態になる。

 

おかしい。

部屋にある物はそんなに変わっていないはずなのに、広くなったら広くなったで、散らかり方は前と変わらない。いや、もしかしたら前よりひどくなっているかも…

イメージとしては、四畳半に象がいたら大きくて暮らしにくいけれど、東京ドームなら広くなってへっちゃら、のはずだったのが、象が分裂して小さな象が東京ドームいっぱいに散らばっている感じ?

伝わりにくいたとえだな。

ま、東京ドームほど大きな部屋なんて掃除したくないですけどね(苦笑)

やっぱり毎日続けて掃除することが肝要かな~

 

TVでスティーブン・キング原作の話を見ていたら、急にホラーが読みたくなって、本棚にあった『雨月物語』を紐解いてみました。

現在放送中のNHKの大河ドラマ、「平清盛」にも登場した、「崇徳上皇のたたりの話」も載っているんですよ!

雨月物語巻の五は「貧福論」

陸奥の国、蒲生(がもう)氏郷(うじさと)に仕える武士で、倹約を旨とし、お金をためることに人並みならぬ執念を燃やす男が登場します。

この男、武勇の誉れも高く、高禄をもらっているのに、他の武士のように茶の湯を楽しむこともしないで、部屋にお金を並べては喜んでいる。

そんなことだから周りの仲間からつまはじきにされ、ケチで奇人だとのもっぱらのウワサ。

ところが、長く仕える下男の一人が、黄金一枚を隠し持っていることを聞きつけると、すぐに呼び出し、「下男でありながら黄金を蓄えるとは、立派な行いである」といって褒美をとらすのです。

武士たるもの、剣や弓矢で武功を立てることも大事だが、お金の重要性も軽く見てはいけない。いかなる名剣でも千人を相手にすることはできないが、お金の徳は万人を動かすことができる。

その夜、男の寝床に小さな老人の姿をした黄金の精霊がやってきます。

そこで交わされる貧福論。

生まれついての貧富の差は、仏教では前世の行いの報いだと説き、儒教では天命であると教える。実際のところはどうなのか?

お金に固執するあまり、不幸になる人の話はたくさんありますが、これはちょっと違っていて、ホラー色はあまりありませんが、面白く読みました♪

 

因果応報。

その人の過去の行いの結果が、今の状況を作っているんですよね。

過去と同じ事をしていたら、いつまでたっても変わらない。

なまけないでせっせと掃除して部屋を片付けたいと思います。

ようは出した物をそのまま出してきた所に戻せばいいだけでしょ?

 

…言うだけなら簡単なんですけどね(苦笑)

 


息をするように本を読む

2012-08-15 00:17:45 | 本と日常

夏は苦手。

なかなかやる気が出ないから本も読めない。

夏バテで疲れはたまるのに、食欲はあるからちっともヤセない。

洗濯物が増える(すぐ乾くけど)

朝起きると汗をかいている。

セミの声が暑苦しい。

車の中が蒸し風呂状態。

このエネルギーを利用して発電できないかな?

自家用車を小さな発電所に。

 

先日、お風呂の中で読み返していたH・D・ソローの『森の生活』(岩波文庫)の中のこんな言葉が心に引っかかりました。

曰く、

 

「自己への評価、つまり自己の行為が勝ち取った評判の奴隷となり囚人となっている」

 

「世間の評判」を気にするあまり、自己の運命までも他人の手にゆだねてしまっている人々。それはつまり、評判(他人)の奴隷ではないか…

そうなんですよね、わかってはいるんですが、この奴隷状態から抜け出すのってけっこう大変なんですよね。

中にはこの心理を逆手に取って、他人を利用しようとする不埒な連中もいますしね。

八方美人ではありませんが、他人からよく思われたいというつまらない虚栄心が自分の中にあって、いつも失敗してしまいます。

何事も無理はいけないってことですね。

今週はあまり本が読めていません。

立ち読みで、映画監督の細田守さん(『おおかみこどもの雨と雪』)と、漫画家の井上雄彦さん(『スラムダンク』『バカボンド』)の対談を雑誌で読んだくらい。

本好きさんのブログを読んでいると、皆さんたくさん本を読んでみえて、私も頑張らなくちゃ! なんて考えが浮かぶこともあるんですが、頑張ってする読書って何? と冷静な自分がたしなめてくれたりします。

読書って無理にしたって楽しくないですからね。

ま、そのうち読みたくなるだろうと、気楽にかまえています。

何事も、無理はいけませんよね。

 

夏のいいところ。

空が青い。

アイスクリームがうまい。

カキ氷もうまい。

冷やし中華にマヨネーズは常識。

海で泳げる。

川でも遊べる。

花火がよく上がる。

甲子園で高校生の頑張っている姿を応援できる。

どっちも負けるな、どっちも頑張れ!

子供が真っ黒。

入道雲は真っ白。

 

さぁ、明日も頑張ろう。


『銀のスケート ハンス・ブリンガーの物語』

2012-07-18 22:43:22 | 本と日常

第147回芥川賞、直木賞の受賞作品が発表されましたね。

芥川賞に選ばれたのは、鹿島田真希(かしまだ・まき)さんの『冥土めぐり』(文藝春号)

直木賞に選ばれたのは、辻村深月(つじむら・みづき)さんの『鍵のない夢を見る』(文芸春秋)

どうでもいいけど、みんな名前が読み辛いよ…

辻村さんにいたっては、ずっと男性だとばかり思っていました。

残念ながら、お二人とも作品を読んだことはありません。

ゴメンナサイ。

 

別に意識しているわけじゃないでしょうが、前回の第146回受賞者が男ばかりで、一部の発言が話題になったこともあってかなりむさくるしいかったのに比べ、今回はおだやかに記者会見も進み、とても華やかでした。

作品とはまったく関係のないところで差別する気はありませんが、そう見えてしまったんですよね。

個性の強い人が続いたから(苦笑)

作家さんはそれくらいの方がいいのかな?

しばらくしたら本屋さんに大量に並ぶと思うので、気が向いたら手に取ってみたいと思います。

 

芥川賞受賞作『冥土めぐり』は、脳の病気にかかった夫とその妻の物語らしいのですが、私がちょうどいま読んでいる本にも、病気で過去の記憶を失い、子供のようになってしまった(認知症?)お父さんが登場します。

舞台はオランダ。

夫の世話をしながら子供二人を育てるお母さんに、貧しい家を助けて、お母さんの手伝いをよくする幼い兄妹の出てくる物語。

M.M.ドッジ作

『銀のスケート ハンス・ブリンガーの物語』(岩波少年文庫)

 

 

 

 

 

 

 

 

鉄製のスケートが買えず(初期のスケートは普通の靴にスケートの刃部分をしばりつけて滑っていました)、兄のハンスが木を削って作ったお手製のスケートの刃を、ボロボロの靴にしばりつけて遊ぶ二人。

木製の刃は水分を含むと氷の上で滑らなくなってしまうため、二人はすぐに転ぶのですが、それさえも二人にとっては楽しい時間。

すぐにお母さんの手伝いをしなくちゃいけないから、二人が運河に張った氷の上で遊べるのは、早朝の短い時間だけなんです。

仕事と寒さで真っ赤にこごえた手。幼く体の小さな妹のグレーテルは、着る物もないため見るからに寒そうな格好。

もう、この兄と妹が健気で健気で…

幼いのにお互いを思いやり、決して卑屈にならずに立派に生きている姿には、まだ読み始めたばかりだというのにすでに涙目です!

こういう話に弱いんですよね~

「ペリーヌ物語」の原作、『家なき娘』も読んでいて涙が止まりませんでした。

よく自分の生活を生まれた環境のせいにする人がいますが(もしくは運とか、親が金持ちだとか)、どんな環境に立たされようと、その人をその人たらしめているのは、結局その人自身の生き方だったり物の考え方なんですよね。

確かに環境は大きな影響を与えますが、だからってみんながみんな同じようになるとは限らない。

自分の意思を持ち、しかっり生きている子供たちに夢中です♪

さすが映画監督の宮崎駿さんがすすめるだけのことはあるなぁ。

国土の大半が海より低く、堤防と風車で水と戦い続けるオランダという土地柄にも強くひかれました。

続きが楽しみです☆

 


「ねえチャック。安心って何だと思う?」

2012-07-17 22:06:13 | 本と日常

スヌーピーでおなじみの、チャールズ・M・シュルツの漫画、「ピーナッツ」

その中に、こんな回があります。

木の下で寝転んで、話をしているチャーリー・ブラウンとペパーミント・パティ。

 

「ねえチャック。安心って何だと思う?」

「安心? 安心っていうのは車の後ろの座席で眠ることさ! 君がまだ小さな子供で、お父さんとお母さんと一緒にどこかへ遠出したとする。あたりはもう夜だ。君たちは車でうちへ帰ろうとしている。その間君は後ろの座席で眠っていられる。君は何にも心配しなくていい。お父さんとお母さんは前の座席にいるし、心配ごとは全部二人が引き受けてくれるからね。何もかも面倒をみてくれる」

「本当に素敵ね!」

「でもこれはいつまでも続かないよ! 突然君は大人になる。そしたらもう二度とこういう具合にはいかなくなるのさ。突然それは終りになる。もういない両親に代わって君が前の座席に座ることになるんだ。そうなったら君は二度と後ろの座席で眠ることはできない」

「二度と?」

「そう、二度と。決してね!」

「私の手をしっかりにぎって、チャック!」

 

大人をやっていると、車の後部座席で何も心配することなく眠っているうちに、誰かに目的地まで運んで欲しい、なんて考える時がありますね(苦笑)

誰か洗い物してくれないかなぁ~

とか(笑)

もっとも、自分でハンドルを握るからこそ、目的地を他人まかせにすることなく、自分で選ぶことができるわけなんですが。

両親だって、ずっと子供を車に乗せているわけにもいかないですし。

このお話、なぜかたまに思い出すんですよね。

よほど印象に残っているのか、それとも疲れているから願望の象徴として頭に浮かぶのか(苦笑)

それにしてもチャーリー・ブラウン。

とても子供のセリフとは思えない♪

閉所恐怖症で犬小屋の屋根の上で眠るスヌーピーも好きですが、この気弱な飼い主、チャーリー・ブラウンも大好きなキャラクターです。

さて、明日からも頑張らなきゃ。

岩盤浴にでも行って英気を養ってこようっと!