私的図書館

本好き人の365日

『いまだから読みたい本―3.11後の日本』

2012-01-31 21:49:51 | 本と日常

先日行われた日本教職員組合の教育研究全国集会の様子を伝えるニュースで、福島県相馬市から避難している中学生の発言が紹介されていました。

(福島第一原発事故直後)「どっちに避難したらいいのか、すぐに言ってほしかった。国に見放されたかと思った」

…泣きそうになりました。
くやしくて。

今は「地震から生き延びられ、毎日幸せ」と語る彼に謝りたかった、同じ大人の一人として。

音楽家の坂本龍一さんとその友人が作った本、

『いまだから読みたい本―3.11後の日本』(小学館)

を読みました。
震災後だからこそ、「いまだから読むべき本」や文章、言葉が紹介されています。

物理学者で随筆家の寺田寅彦の「津波と人間」についての文章には驚かされます。

昭和8年に東北地方を襲った「昭和三陸地震」とそれに伴う津波。その37年前、明治29年にも同じ地域を「三陸大津波」が襲っていたにも関わらず、その経験が生かされなかったことを綴った文章です。

「…津波に懲りて、はじめは高い所だけに住居を移しても、五年たち、十年たち、十五年二十年とたつ間には、やはりいつともなく低い所を求めて人口は移って行くであろう」
「…災害記念碑を立てて永久的警告を残してはどうかという説もあるであろう。しかし…(中略)道路改修、市区改正等の行われる度にあちらこちらと移されて、おしまいにはどこの山蔭の竹藪の中に埋もれないとも限らない」

災害直後は詳細な調査をし、周到な予防案が考究され、実行される。しかし、次の震災が来る37年後には、当時の役人も学者も大抵故人であり、体験した人々の多くも世間からは隠退しているであろう。法令も変わり、政党内閣に至ってはいわずもがな…

しかしそれが人間なのだ。
「自然」は過去の習慣に忠実である。地震や津波は必ずやってくる…

としたうえで、寅彦先生は世界有数の地震国の小学校では、毎年数時間は地震津波について教えるべきだと提案しています。
これを、昭和8年に書いている。

その他、私の好きなセヴァン・カリス=スズキの伝説のスピーチや、手塚治虫さんの言葉も紹介されています。

チェルノブイリから避難した母親は、避難先で息子がいじめられたことを嘆きます。放射能を出しているからと彼につけられたあだ名は「ホタル」
最初疎開は3日間だと聞かされていたのに、それが一年、二年の話ではなく、何世代にもおよぶとは。

チェルノブイリ被災者は「チェルノブイリ人」という別個の民族なのだ…

冒頭に書いた福島県の中学生の「国に見放されたかと思った」という言葉がなおさら胸に刺さります。

足尾銅山の鉱毒問題で奔走した田中正造の言葉も紹介されていました。

電力会社を始めとする企業経営者、従業員、役人、議員、大臣たちには、守るべきものは何なのか、もう一度人間として考えて欲しい。


 真の文明ハ
 山を荒らさず、
 川を荒らさず、
 村を破らず、
 人を殺さざるべし

        ―田中正造―

 

ちなみにこの本に編纂チームとして参加された方々への印税は、被災地に自然エネルギーを支援する活動に寄付されるそうです。

とても考えさせられる本でした。


『答えが運ばれてくるまでに』

2012-01-30 23:43:16 | 本と日常
最近読んだ本。

時雨沢恵一 著
黒星紅白 絵

『答えが運ばれてくるまでに』(アスキーメディアワークス)

「キノの旅」のコンビが贈る、オールカラーの絵本第3弾。
言葉とイラストが素敵な文庫本。

市川晴子 著

『センチメンタルサーカス』(主婦と生活社)

こちらは文具などキャラクターグッズを展開する「センチメンタルサーカス」シリーズの絵本。
美しい装丁で、ちょっと物悲しいストーリーと共に、ぬいぐるみなどのキャラクターたちが描かれています。

今日は寒かったですね。

全国的に冷え込みが厳しいようで、私の地元の気温は-8度でした。
住んでいる場所が標高の高い所なので、実際の気温はもう少し低いかも知れません。
雪がそんなに積もっていないので、まだいいほうなのかな?

毎晩寝る前にお米を研いで炊飯器にセットし、お湯を沸かして湯たんぽの準備をするのですが、台所に暖房器具がないので寒い寒い。(狭くて置けないのです)

冬用のもこもこスリッパは手放せません!

湯たんぽもこの時期は必需品。
寝る30分くらい前に布団に入れておくと、ホントあったかいです。
優しい温かさでいいですよ♪

いかに心地のいい睡眠をとるかって大切ですからね。

人生の3分の1は布団の中で過ごすわけですから。

聞き耳頭巾

2012-01-29 17:37:19 | 日々の出来事
私の借りているアパートは2階建てなんですが、小さなエントランスみたいなところがあって、ソファーとテーブルが置いてあるんですね。

階段を上がった所も吹き抜けになっていて、下を見下ろすことができて、やっぱりソファーとテーブルが置いてあります。

先日深夜に帰宅して、寒いのでうつむき気味に両手をこすり合わせながら階段を上がろうとした時です、ドドドドーとものすごい勢いで上から何かが階段を下りてきたんです!

”それ”は、何事かと驚いて顔を上げた私の横を通り過ぎ、すごいスピードで床をガリガリこすりながら外へ飛び出して行きました!

!!!!!

はっきりとは見えませんでしたが、どうやら猫。

玄関ドアはいつも開けっ放しなので、よく猫が入り込んでソファーを占拠していることがあるんです。
多分、向こうが階段を下りようとしたら、私が下から上がってきて鉢合わせしてしまった感じ。アパートの外に出るためには私の背後のエントランスから出るしかないので、もう駆け下りるしかなかったんじゃないかな?

ビックリした~

そりゃ寒いから中に入りたい気持ちはわかるけどさ。そんなに慌てなくても、別に追い出したり捕まえたりなんかしないよ…

当たり前ですが、警戒されているんでしょうね。
動物はけっこう好きなのにな~
存在自体が脅威って、ちょっと悲しい。

昔から欲しかったのは「聞き耳頭巾」
知ってます?
かぶると動物の言葉がわかるようになる頭巾です。
木の上でカラスがやたらガーガー鳴いている時なんか、いったい何をしゃべっているんだろう? なんて思いながら見上げてしまいます。

うちはずっと犬を飼っていましたが、時々すごく話しかけたそうにこっちを見つめる時があるんですよね~

TVで芸をする動物の映像を見たり、繁殖させようとカップリングさせたりするのを見ると、つい「本当はどう思っているの?」と、当の動物に聞いてみたくなります。

「本当はどう思っているの?」と聞きたいのは動物ばかりじゃないですけどね(苦笑)

寒いからって下ばかり見ているのも危ない危ない。
今度から階段上がる時も注意しないと。

『蜩の記』読みました。

2012-01-27 21:28:56 | 日本人作家
第146回直木賞を受賞した、葉室麟さんの、

『蜩の記』(祥伝社)

を読みました。
時代小説ですが、不覚にも2回ほど感きわまって泣きそうになりました。
よかった~

「蜩(ひぐらし)」とはセミの一種。「カナカナカナ」と鳴き、このセミが鳴き出すと夏も終わりを迎えます。

舞台は九州。城内で不本意ながら刃傷沙汰を起こした青年、檀野庄三郎(だんのしょうざぶろう)は、その罪を減じるかわりに、山奥の小さな村に幽閉中の元郡奉行(こおりぶぎょう)、戸田秋谷(とだしゅうこく)の元へ送られます。
この秋谷は七年前、とある罪を犯して切腹を命じられているのですが、家譜編纂という藩の歴史を編纂する仕事をまかされ、十年の猶予を与えられていました。
つまり、あと三年経ったら、秋谷は切腹しなければならないのです!

庄三郎の役目は表向きは秋谷の家譜編纂を助けるというものですが、実際は秋谷を監視し、その仕事内容を確かめ、万一逃走の気配があれば切り捨てるというもの。それも、妻や子供もろとも…

幽閉中の寒村で、慎ましく暮らすこの秋谷の家族がいいんです!

夫を信頼し子供らを愛する秋谷の妻。
病弱な母を助ける娘の薫。
その弟で村の子供と遊んだりもしている長男郁太郎。

切腹の日が一日一日近づいているにもかかわらず、淡々と資料をめくり、家譜編纂にいそしむ秋谷。
まだ幼さの残る郁太郎の言動に笑いあう母と娘。
村の百姓たちも秋谷を頼って相談に訪れます。
質素な食事。家族の団欒。人々との触れ合い。
その人柄に触れた庄三郎は、しだいに秋谷という生き方に惹かれていきます。

七年前の事件の真相。
隠された秘密。
農民たちの不穏な動き。

家譜編纂を行う秋谷と藩の秘密を結びつけるやり方は、ちょっと強引な気もしましたが、とにかく人間がすごく生き生きと描かれていました!

この秋谷という人の生き方には共感できる部分がたくさんあって、三年後の切腹という事実があっても、何とかハッピーエンドを願ってしまう…

しかも後半、意外な人物の意外な行動で、意外な展開をみせるんです!(これじゃさっぱり訳が分かりませんね)

ハァ、感情をゆさぶられすぎて疲れてしまった…

水戸黄門や暴れん坊将軍(すごいタイトルだな…)に慣れてしまっていて、バッタバッタ人が切られる時代劇くらいしか知らない私には、百姓一人の命をしっかりと見つめ、”人間”を描いた葉室麟さんのこの「蜩の記」は衝撃でした。

考えてみたら、すごく当たり前なんですよね。

 我々が「世の中の仕組み」と考えているものは、後の世では変わるかも知れない。そのために、かつて何があったのかを書き残すのだ…

いい読書ができました☆

「かもめ食堂」

2012-01-25 23:42:15 | 映画
各地で雪が降ってニュースになっていましたね。とくに慣れていない都会は大変そう。
私の住んでいる所でも降りましたが、朝早くから道路に融雪剤がまかれたり、自分の家の前はその家の人が雪かきをしてくれたりするので、そんなに困ったことにはなりませんでした。

ま、山間部なので雪には慣れていますからね。
みんな12月頃には車のタイヤを替えたり、雪かきの準備をしたりして、備えはしてあります。

ちなみに私の実家では自前の竹やぶがあるので雪を掃くのにも使う竹ぼうきは自分ちで作ります。
意外と簡単に作れるんですよ。

あと便利なのがライブカメラ(webカメラ)

ネットで公開されているカメラ映像なんですが、国土交通省の砂防事務所が道路に設置しているライブカメラが使えるんですよね。
朝起きたら近所の道路の状況が、布団の中に居ながらにしてスマートフォンで確認できる!(それでもう少し寝れるとか判断しています)

便利な時代になりましたね~
どこで見られているかわからないって不安もありますけど。

最近TVで放送されていた映画、「かもめ食堂」(2006年)を見ました。

小林聡美、片桐はいり、もたいまさこさんが出演している映画です。
監督は荻上直子さん。

フィンランドの首都ヘルシンキで「かもめ食堂」という小さな食堂を始めた小林聡美。メインメニューが「おにぎり」というシンプルなお店だけれど、お客さんは全然入らない。そこにポツポツと集ってくる人々と、この女主人との交流を、あたたかくゆったりとした空気感で描いた作品。

「ガッチャマンの歌」だとか、フィンランドらしく「ムーミン」が出てきたりして笑えました♪

個性的な女優陣がかもしだす空気といい、清潔な食堂のキッチンといい、湯気の熱さが伝わってくるような料理の数々といい、私の好きな雰囲気!!

アクションだとか、血みどろの大事件は起きませんが、こういう丁寧な映画って好きです。

いつもガラス越しに店内をのぞいていくおばさん三人組みが、いつドアを開けてお店に入って来るのかヤキモキしてしまいました。

幻のコーヒー「コピ・ルアック」が飲んでみたい♪

とても素敵な映画でした。

さあ、雪にも寒さにも負けずに明日も頑張ろうかな。

『夢のカルテ』

2012-01-24 16:29:08 | 本と日常
病院へ検査の結果を聞きに行って来ました。

結果は良好。この前よりかなり数値が改善したとのことで、病院の皆さんに褒めてもらいました♪

ホメられて伸びるタイプです!

薬の量も減ったので、今後は筋力をつけましょうということで、いろんなトレーニング方法を教えてもらってきました。

筋肉に効果的に負荷がかかるようにすれば、大きな動きは必要ないんだとか。とりあえず、TVを見ている間、腕を伸ばした状態で広辞苑を片手で交互に持つというのをやっています。これが下手な鉄アレイより断然重い(苦笑)
あとはゆっくりとしたスクワットなど。

健康ってありがたいなぁ。

最近、普段は読まないようなジャンルの本を立て続けに読んでいます。これもその一冊。

高野和明、阪上仁志 著
『夢のカルテ』(角川文庫)

他人の夢の中に入れる能力を持った女性カウンセラーが、刑事と知り合ったことで様々な事件の解決に協力していくことに…

犯人探しというミステリーに加え、夢の世界、過去のトラウマ、大人の恋愛などを散りばめたエンターティメントな作品。

刑事という職業との出会いが予定調和に感じないこともないですが、フロイトの『夢判断』を愛読書にしている私にとっては、夢の内容を分析していくシーンがすごく面白かったです♪

舞台がなじみ深い横浜というのも懐かしかった。

夢、象徴、イメージ、投影…

小説の内容とはちょっとはずれますが、例えばフロイトは、夢は変装した願望の変装した充足だといっています。わかりやすい例でいうと。

「ある男性がいとこの女性から風船を2つもらう夢を見た…」
この夢を解くとこうなります。
「この男性は風船が欲しいのではない。彼が欲しいのはいとこの方。2つの風船は彼女のオッパイの象徴」

夢を共有することで見えてくる真実。

でも、知りすぎてしまうことは決して幸せなことではない。
わかってしまうがゆえの主人公の苦悩というものも小説の中では描かれています。
そして彼女の身に危険が迫る!?

でも恋愛対象の相手がこちらの深層心理まで見透かす能力があるっていうのは正直ちょっと嫌かな(苦笑)

例えるならケータイをのぞかれるみたいな?

いや、やましいことは何もないんだけれど、それは神明に誓ってないんだけれど、何か心理的にプレッシャーを感じる…(笑)

連作短編という感じで、いくつかの事件が描かれています。
この設定なら続編も書けそう。

年中行事

2012-01-24 00:14:47 | 日々の出来事
皆さん、もうお年玉付年賀ハガキの当せん番号は確認しました?

うちはいつもの通り切手シートのみでした(笑)

子供の頃は当せん番号を確かめること自体が楽しくて、家族の分まで番号を確かめていたのに、いまは万に一つでも高価な商品が当たっていたらと、そっちの方が気になって、一応確かめてしまいます。

大人って嫌ですね(苦笑)

昔はいつもこの時期、新聞に発表される大学入試センター試験の問題をどれだけわかるかやってみていたのですが、寄る年波には勝てず、最近は国語の漢字問題だけ挑戦しています。脳ミソの定期検診。

問1 ア 駆逐 イ 摂取 ウ 習慣 エ 折衝 オ 尽くせない

カタカナで表記されたア~オの漢字がわかった上で、同じ漢字を含むものを選択肢の中から選ぶのですが、私はエだけ間違えてしまいました。5問中4問正解。

折衝(セッショウ)って、日常会話で使わないよ~

いや~、受験生って大変ですね。
こんな(問題文)読みにくい文章を読んで、出題者の意図を読取らなくちゃいけないなんて。

これから二次試験。
これが終れば春が来る。
受験生頑張れ!!

瀬尾まいこ『戸村飯店青春100連発』

2012-01-21 18:46:33 | 本と日常

今年最初の失敗。

病院の検査をすっぽかしてしまった…

間にお正月があったり、病院が変わったりしたこともあって、すっかり失念してしまっていました。

翌日病院から電話がかかってきて思い出しました。
恐縮しながらあらためて予約を取って、先日ちゃんと受けてきましたよ。検査。
看護婦さんに「お正月食べ過ぎたりしませんでした?」と笑顔で訊かれて、グゥと言葉に詰まってしまいましたけど(苦笑)

検査の結果は来週には出るとのことでした(たいした病気じゃありません☆)
今度は通院日を忘れないようにしないと。

帰りに前から気になっていたパン屋さんに寄って買物し、ついでに本屋さんで立ち読みもして来ました♪

幾原邦彦・永野護、著
『シェルブリット』Ⅰ・Ⅱ(角川文庫)

幾原邦彦さんはアニメ「少女革命ウテナ」や「輪るピングドラム」などアングラ演劇を彷彿とさせる作品で知られるアニメ監督。(どちらも面白かった♪)
永野護さんは今はマンガ家? デザイナー? いろいろやっているクリエイターで、声優川村万梨阿の旦那さん。

何年か前に書かれた本ですが、今年2012年春にアニメ映画「ゴティックメード 花の詩女」(監督・脚本、永野護。主役・主題歌、川村万梨阿。制作、角川書店)が公開されるということで、それに合わせて今回文庫化されました。

遙かな未来、人類は3種類にその進化を遂げていた…
というSF物で、宇宙船やロボットが出て来て戦ったりします。でもいくら進化したからって人類が宇宙船になっちゃうって設定はどうなの?
人格を持った宇宙船というと、アン・マキャフリーの『歌う船』があるけれど、あちらはそれなりに説得力があるし…
ていうか、永野さん、「ファイブスター物語」の続き描いてよ。

もう一冊は、まったく毛色の違う作品。
笑いを織り交ぜながら、あったかい気持ちにさせてくれる、瀬尾まいこさんの、

『戸村飯店青春100連発』(文春文庫)

青春100連発!! って(笑)
大阪と東京が舞台ですが、「吉本新喜劇」とか、声優と小説家の専門学校とか、すごく共感できる♪

登場する人物がみんないい人で、でも不器用だったり、うまくいかないことがあったり、親や、兄弟や、恋人や、同級生のことを思いながら、それがなかなかうまく表現できなかったり、進路や恋愛、将来のことで悩んだり相談したり、それが全然解決しなかったりします(苦笑)

だって大阪の下町のおじさんおばさん、気持ちはありがたいけど、応援がちょっとズレてるし(笑)
私は妹しかいませんが、男同士の兄弟っていいなぁ、なんて読んで思いました。

大阪の下町で育った中華料理店の息子たちが主人公なんですが、まったく違う性格にも関わらず、ちゃんと愛されて育ったのが読んでいてわかってしまうのがいい♪
兄貴に憧れる弟の同級生の女の子とか、ピアノの上手な北島君とか、脇を固めるキャラクターもいい♪

あと、料理のシーンがけっこうあるので、お腹が空きました☆

ちなみに私は掛布のいない阪神を想像できる年代です!
「吉本新喜劇」もよく見てたなぁ。

あ~、面白かった。

誰もが、気づくか気づかないかは別にして、みんなに支えられて生きているんですよね。

いい読書ができました。


『シェエラザード』

2012-01-18 23:19:46 | 本と日常

第146回芥川賞、直木賞が発表されましたね。

芥川賞には、円城塔さん(39)の『道化師の蝶』(「群像」7月号)と、田中慎弥さん(39)の『共喰い』(「すばる」10月号)、直木賞には葉室麟さん(60)の『蜩(ひぐらし)ノ記』(詳伝社)が選ばれました。

円城塔さんはSF関係でお名前だけは見かけていましたが、作品は読んだことがありません。他の御二方にいたっては申し訳ありませんが名前も知りませんでした。

今回は受賞した田中慎弥さんが芥川賞を「もらっておいてやる」と発言したり、選考委員の石原慎太郎(東京都知事)が「いつか若い連中が出てきて、足をすくわれる戦慄を期待したが、全然刺激にならない」と選考委員を辞める趣旨の発言をしたりと、作品の内容以外で話題になったりしていましたが、作家なんて(いい意味で)無頼漢で変人の方が面白いと思っているので、悪い印象は持ちませんでした。
発禁本を地下で作るくらいの反骨精神がなくちゃね♪

最近読み始めたばかりなのは、直木賞選考委員もつとめる浅田次郎さんの、

『シェエラザード』(講談社文庫)

ざっくりいうと、太平洋戦争末期にアメリカ軍の潜水艦によって沈められた徴用船、豪華客船「弥勒丸」を引き上げるお話。

台湾だとか大陸だとか、政界、財界の影の黒幕やヤクザの親分とかが出てきて、普段はあまり読まないジャンルの本なんですが、読み出したらこれがけっこうやめられない☆

上巻は読み終わったので、下巻も探して読みたいと思います。
…実は古本屋さんにあったのが上巻だけだったので(苦笑)

芥川賞、直木賞受賞作はきっと本屋さんにたくさん並ぶんでしょうね。

私はいつものように、立ち読みで済ませようと思っています♪


韓国映画「イルマーレ」

2012-01-17 20:27:52 | 映画
来月車の車検があるので、見積もりを出してもらったり、予約をしたり、ついでに保険の更新をしたりと、忙しくしていました。

車ってお金がかかる…

若者の車離れなんて当たり前だよ。
エコカー減税延長するくらいなら、車検にかかる税金を安くしてくれたらいいのに。
減税で多少安く車が買えても、ガソリン入れるたびにガソリン税と消費税とられて、2年に一度車検でガッポリもっていかれるんだから、国民は「朝三暮四」の猿じゃないっちゅうの。

まぁ、グチはこのへんにして、最近レンタルで見た映画。

韓国映画「イルマーレ」(2000年)

わざわざ「韓国映画」と付けたのは、のちにハリウッドでリメイク版が作られたから(邦題は同じ「イルマーレ」キアヌ・リーブス主演)

本家、韓国版の主演はイ・ジョンジェ、チョン・ジヒョン。
イ・ジョンジェさんはなかなかのイケメン俳優さん。チョン・ジヒョンさんは『猟奇的な彼女』などに出演し、注目を集めたモデルもこなす女優さんです。
監督はイ・ヒョンスン。

海辺に建つ「イルマーレ」(イタリア語で「海」)という名前の建物のポストを通じて、1997年で暮らす青年と、1999年に生きる女性がリアルタイムで手紙のやり取りをするというタイムパラドックス恋愛映画。

どうして手紙が時間をこえるのかは、この際どうでもよくて、2年という重なっているようで重ならない二人の時間、そのじれったさと切なさが見どころです!

ヒロインはアニメの声優で、実は彼氏もいるのですが(彼氏もアニメ関係者)、何だかうまくいっていない様子。廊下に張られているアニメのポスターが「セーラー○ーン」っぽかったりと、ストーリー以外でもけっこう面白かった♪

手紙のやり取りをするうちに、引かれていく二人。
済州島で会う約束をするものの、2年過去にいる青年にとっては、2年後の約束。

いったい二人はどうなるの?

タイムパラドックスはあくまでおまけなので、恋愛映画として見るのが正解でしょう。
海辺に建つ家が素敵でした。
父親との確執を抱え、浜辺でサッカーボールを蹴る青年の苦悩を表すシーンがよかったです☆

個人的にハリウッド版のラストの方がわかりやすいとは思いましたが、オリジナル版のラストも、新しい未来を感じさせる終わり方になっていました。

あんな海辺の家が欲しいなぁ~

『RDG 2 はじめてのお化粧』読みました♪

2012-01-14 23:02:20 | 荻原規子
1巻を読んでから続編の文庫化が待ち遠しかった、荻原規子さんの本をようやく読むことができました!!

『RDG 2 はじめてのお化粧』(角川文庫)

「RDG」とは「レッドデータガール」の略。
絶滅の恐れのある、まるで世界遺産のような血筋を持った女の子のお話。

舞台はいよいよ紀伊山地の「お山」から、東京は高尾山のふもと「鳳城学園」へと移ります!

初めての学校に、初めての寮生活。
高校生になった主人公”泉水子”(いずみこ)に、果たしてどんな運命が待ちかまえているのか!?

『空色勾玉』などの作品で、太古の日本を舞台にした物語を書いてきた荻原規子さんが、現代の日本に生きる少年少女を主人公に描く物語。
日本古来の神々や信仰、能や歌舞伎といった芸事、はては忍者や陰陽師などという言葉も出て来ます。

正直、「陰陽師」とかは最近メジャーになりすぎていて、ちょっと新鮮味がないのですが、そこは荻原規子さん、「神楽」や「舞」といったものの持つ、本来の力や意味を深く掘り下げていて、今回もワクワクさせられました♪

読んでいて、舞や踊り、身振りというものが、「人に伝えたい気持ちがあふれて体の表現が生まれてくる」ものだといわれて、つい言葉や論理に重きを置いてしまっている自分に気づかされました。
私は恥ずかしくて踊れない口です。まだまだ自分を守る殻をまとっているなぁ~

出雲を旅した時に訪れた、「出雲阿国」のお墓をちょっと思い出しました。
歌舞伎の創始者といわれている女性です。

主人公、泉水子を守る宿命を勝手に運命付けられた少年、山伏見習いの深行(みゆき)くんが今回もカッコイイ!!
ほとんど活躍しないのに不思議だなぁ(苦笑)

それにしても泉水子ちゃん、何でそんなに警戒心がないの!?
いや、あるんだけれど、学習能力はないは、スキは多いわで、深行くんがどれだけ振り回されることか…
エ~! 同じようなこと前にもやって大変な目にあったでしょ!?
一人でそんな所に行っちゃ危ないよ~
と読んでいる方はハラハラしてしまいます。

ちょっと今までの荻原作品にはいないヒロイン像で、これから彼女の成長が見どころなのかも!?
1巻に登場した「彼」を、2巻の最後に登場させてくれたのは嬉しかった♪♪(読んでのお楽しみです)

でも相変わらず名前が呼びづらい(苦笑)
あと表紙の酒井駒子さんが描く泉水子ちゃん、ちょっと幼すぎ。

アニメ「夏目友人帳」と似た雰囲気があって、私の好みなので、このまま学園闘争とかには発展して欲しくないなぁ。

とても面白くて買ってすぐに読破しました!
続きが楽しみです☆

言葉におもいをのせて

2012-01-12 22:07:42 | 本と日常
新春恒例の「歌会始の儀」が宮中で行われたようですね。

ニュースで見ましたが、歌を披露する時のあの独特の節回しは何回聞いても違和感を感じてしまいます。

変なの(笑)

私がああいう伝統に疎いだけなんですけどね。
比べるわけじゃありませんが、一時期「ホームレス歌人」として話題になった公田耕一さん。(おそらく仮名)
朝日新聞に掲載された彼の歌は、私なんかにはとてもわかりやすかった。


 (柔らかい時計)を持ちて炊き出しのカレーの列に二時間並ぶ

      ― 公田耕一 ―


音信の途絶えた彼を追うノンフィクション『ホームレス歌人のいた冬』(東海教育研究所)という三山喬さんの本が読みたくて、古本屋さんで探しているのですが、これがなかなか見つかりません。
代わりに雑誌「ダ・ヴィンチ」の短歌投稿コーナーをまとめた、穂村弘さんの、

『短歌ください』(メディアファクトリー)

を読みました。
こちらもいわば素人が作った短歌ですが、とても身近で(わかるわかる!)と思える歌、(女性ってコワイ!)と思ってしまう歌(苦笑)、自分の思いも付かない発想の歌などがありとても楽しかった♪
穂村弘さんの講評もいい。


「ほんとうは誰も愛していないのよ」ペコちゃんの目で舐めとるフォーク

      ―ゆず―


宮中での「歌会」、今年の題は「岸」だったそうです。
海のない県に住んでいるのですが、いちおう私も考えてみました。
お耳汚しでしょうが、大きな心で聞き流して下さい。

昨年の東日本大震災後、訪れた陸前高田市の海岸にて…


 松林 たなびく衣服 上に見て
 ガレキを背にし 見る海青し

        ホーク

『ハッピー☆アイスクリーム』

2012-01-10 18:53:00 | 本と日常

誰かと話している最中、同じタイミングで同じことを言ってしまったら、すかさず「ハッピーアイスクリーム!」と言って相手にタッチすると、アイスクリームをおごってもらえるそうです。

「ハッピーおせんべい!」などのバリエーションも可能。

加藤千恵さんの短歌集+短編小説、

『ハッピー☆アイスクリーム』(集英社文庫)

を読みました。
十七歳の高校生だった加藤千恵さんが2001年に出した初めての短歌集『ハッピーアイスクリーム』は前から読んでみたいと思っていたのですが、ずっと見つからなくて、そしたら何と今回、10年の歳月をへて、「ハッピーアイスクリーム」に収録されている短歌に、新たに5編の短編小説を加えたリミックスバージョンというものが発売されたんです!!

スゲー嬉しい♪

短歌って、本当に限られた言葉の中に世界がギュッと表現されていて、だからよけいに読む方の想像力が刺激されて、私はけっこう好きなんです。
たまにすごく共感できる言葉があったりすると、すごく嬉しくなります。
『ハッピー☆アイスクリーム』に収められている短歌の中から私が好きな歌を2編、ご紹介しましょう♪


 世界中の本や音楽買い占めてなんとか夜を乗り切らなくちゃ


 傷ついたほうが偉いと思ってる人はあっちへ行って下さい


    ―加藤千恵著「ハッピー☆アイスクリーム」より―


高校生の感性ってスゴイ!
10年たって、作者によって新たに加えられた短編小説の方は、主に女子高生が主人公で、恋愛青春ものといった感じ。
解説は、これまた言葉の使い方が上手で私の好きな小説家、中村航さんが書いてみえます。

今年は1月から欲しい本が立て続けに手に入って幸先いいなぁ。
あと穂村弘さんの短歌集『手紙魔みれ、夏の引越し(ウサギ連れ)』や、桝野浩一さんの短歌とエッセイの本『淋しいのはお前だけじゃな』も見つかるといいのだけれど(注文すると高いので古本屋で)

いい大人が高校生の書いた短歌を読んで感動しています。
「共感」するって年代とか性別とか関係ないですよね。
いい読書ができました☆


『僕は、そして僕たちはどう生きるか』はムーミンだった!

2012-01-09 22:24:00 | 梨木香歩
1月の第2月曜日は「成人の日」でしたね。
昭和生まれには1月15日じゃないとピンときませんが、とりあえず新成人の皆さん、ここまで無事に育ったという意味で、おめでとうございます。
自分の頭で考えることのできる責任ある人間になって下さいね。

このお正月に読み始めた梨木香歩さんの、

『僕は、そして僕たちはどう生きるか』(理論社)

を読み終えました。

梨木香歩さん、戦ってるなぁ~
最初は回りくどくて小説としてはちょっと読みにくかったのですが、しだいに引き込まれてしまい、最後は夢中!
読み終わると心地よく疲れ果ててはいましたが、一人でも多くの人に、とくに新成人の方々には、この本を読んで欲しいと強く思っていました。
ぜひ文庫化して欲しい!!

現代の中学生、コペル君が主人公ですが、最初は植物や鳥、虫の名前がたくさん出て来るので、慣れない人はうんざりするかも知れません。草木染めや環境保護という言葉を見て、「あぁ、よくある文明批判小説ね」と扉を閉めてしまったらきっと後悔します!

AV(アダルトビデオ)に出演させられて傷ついた少女…
教師の一方的な押し付けで登校拒否になった少年…
大人たちの、群れという共同体の持つ無責任さに、いつの間にか強制されている価値観…

「魂を殺す」

戦時中、兵役を拒否して洞窟に逃げ込んだ青年…
「非常時」という言葉で何もかもが一方方向に押し流されて行く。
そしてそれを「当り前」として賛美し、自分の頭で考えることもなく賛同する周りの人々。
「あの時はそういう時代だった」と、自分の罪を覆い隠して…


「それが国のやり方だ。国が本気でこうしたいと思ったら、もう、あれよあれよという間の出来事なんだ…」(本文より)


ある教師が「命の授業」として、子供たちが育てた動物を殺して調理し、食べさせるという授業を行いました。その話は話題になり、映画化もされています。最初にそれを行った教師にとって、多くの批判にさらされることは覚悟の上でした。
ところが、この本にはその授業が「正しい」と世間から認められてからのち、安易にその授業をマネして同じような授業をしてしまう教師というのが登場します。そして結果的に、生徒の心を傷つけてしまう…

「群れ」の中で「異質」でいること。

それは決して悪いことでも、欠陥でもない。

重いテーマにも関わらず、屋根裏部屋の蔵書とか、庭に出没する謎の生き物だとか、オーストラリア人の豪快なマークさんだとか、挟み込む演出がうまくて、中学生の心の葛藤を最後まで読みきらせる手腕はさすがです!!

中学生のコペル君は考えます。
僕は「大勢」の中の一人ではないのか。ユダヤ人を迫害したドイツ人のように。周りの価値観に染められ、自分の意識すら誤魔化すほどずる賢い、裏切り者ではないのか?
考えたくないことには耳をふさぎ、親友を売り渡す、卑怯者ではないのか?

コペル君の叔父さんは言います。
世の中には緑が、自然が大嫌いな人もいる。こういう景色が心の底から嫌いな人たちもいるんだよ。…緑を見ると、よし、ここもきれいにコンクリートで固めてすっきりさせてしまおう、と本能的に思う人たちが…

みんなの前で「それはおかしい」というのは勇気がいりますよね。
面倒臭いから、よくわからないから、と顔をふせてやりすごす。
それで傷つく人がいても、それは自分のことじゃないから。
そして、「何だかおかしい…」と思っているうちに、もう取り返しのつかないことになっている。
言葉のはしばしに感じる違和感。根拠のない数字。スーツを着た感情のない人々。

僕は、そして僕たちはどう生きるか…

他人との距離感。大切なもの、それは…

すっごく読みごたえがあって、すっごく共感できました♪
さすが梨木香歩さん!
娯楽小説ではないけれど、自分の頭で考えることの大切さを教えてもらいました。

たき火を囲むコペル君たち。そこには子供も、大人もいる。男も、女もいる。日本人も、オーストラリア人もいる。育った環境も、周りにいた人たちも、価値観や受けた教育も違うけれど、一緒に暖をとり、食べ物を食べる。

その姿に、種族も考え方も違う様々な登場人物が一緒に暮らす「ムーミン」の世界が思い浮かびました。

ムーミンの親友のスナフキンは、いつもテントで寝起きし、ふらっと旅に出かけます。いつもムーミンと一緒というわけではありません。でも、ムーミンはちゃんとわかっています。スナフキンが一人にならなきゃいけないってことも、旅に出なくちゃいけないってことも。だって、それがスナフキンなんですから。


 やあ。 よかったら、
 ここにおいでよ。
 気に入ったら、
 ここが君の席だよ。


        ―梨木香歩著「僕は、そして僕たちはどう生きるか」より―




七草粥を食べました

2012-01-07 21:41:00 | 日々の出来事
神社の縁日に行って来ました。
大通りが歩行者天国になっていて、両側に露店が並び、駅前では無料で「七草粥」も配られていました。

これ目当てで行ったようなものなので、しっかり食べて来ましたよ♪
無料大好き!

漬物もサービスでおかわり自由でした。
人でごったがえす神社でお賽銭を投げて、去年のお礼と今年の健康も祈願して来ました。露店をひと通り見て値段と量をチェックしたら、引き返えして目星を付けておいたお店で買い物。「ホルモン焼きうどん」と「肉巻きおにぎり」を買いました。値段は高めですが、あの雰囲気がいいんですよね。
美味しかった♪

七草粥も食べたことだし、今年はこのまま風邪を引かないで春を迎えたいな。

そういえばテレビに作家の西村賢太さん(『苦役列車』で芥川賞受賞)が出演してみえて、出版社へのグチをしゃべってみえました。
「もっとチヤホヤされたい!」とか言っていて面白かった。
『苦役列車』は映画化されるんですね。

あと女優の黒木瞳さんがアイルランドを訪れる番組で、「モハーの断崖」が紹介されていました。
梨木香歩さんのエッセイにブリテン島のドーバー海峡を見渡す断崖「セブンシスターズ」を訪れた時のことが書かれているのですが、その中でこの「モハーの断崖」についても触れているんです。
やっぱり素敵な場所だった!
いいなぁ、黒木瞳さん。
ギネスビールばっかり飲んでたけど(苦笑)

黒木瞳さんの女優になるきっかけの一つが「風と共に去りぬ」だそうで、映画に出てくる「タラ」の由来となった「タラの丘」も紹介されていました。
経済は大変なことになっているけれど、いいなぁ、アイルランド♪

どんなに困難なことがあっても、明日は別の新しい日。
さて、今年はどんな年になるのかな?
楽しみ☆


 Tara! Home. I'll go home. And I'll think of some way to get him back. After all,tomorrow is another day!
(私にはタラがあるわ!故郷に帰ろう。そして彼が戻ってくる方法を考えればいいわ。明日は明日の風が吹くんですもの)
 
      ―映画「風と共に去りぬ」より―