私的図書館

本好き人の365日

椿大神社に行って来ました

2014-07-26 20:46:00 | 旅行

暑い日が続きますね。

少しの涼を求めて、三重県鈴鹿市の椿大神社に行って来ました。

 

天孫降臨の際に道案内をした神として知られる、猿田彦大神を祀る神社です。

猿田彦と縁の深いアメノウズメノミコトも祀られていました。

天照大神が天岩戸にお隠れになった際、その岩戸の前で踊りを踊った神として知られる彼女ですが、天孫降臨の際、道案内に来た猿田彦命に名前をたずねたのがこのアメノウズメノミコトで、椿大神社では猿田彦大神と夫婦となったと紹介されていました。

 

大きな駐車場に車を止めて、まずは鳥居のある参道の入口へ。

手水屋で身を清め、ゆるやかな上り坂が続く参道を本殿へと登っていきます。

鳥居をくぐると心持ち空気が涼しくなったような気がしました。

参道を囲む木も立派で、途中ニニギノミコト一行の船が到着したという「御船の磐座」を見たりして拝殿へ。



お賽銭を入れ二礼二拍手一礼。

この時同行していた友達が建物の隅に毛皮の塊を見つけました。

猫?

たぬき?

ピクリとも動かないので、巫女さんにたずねると、神社の人も気がついていなかったようで、ちょっとした騒ぎに(苦笑)

人が近づくと、ようやくモゾモゾ動きだし、小さな顔と大きな太い尻尾が見えました。

どうやら森に住むムササビが寝ていたみたい(笑)

昼間なのでふらふらしていましたが、神社の職員さんがバケツに入れて運ぼうとするとタタッと逃げ出し、頼りない足取りで戻って行きました。

野生のムササビを見れるなんて貴重な体験でした。

 

その後、いくつかの見所も押さえて来ました。

こちらは待ち受け画面にすると恋が叶うというウワサの「かなえ滝」♪

 

なでると運気が上がるという「招福の玉」


その後、松下幸之助が寄進したお茶室「鈴松庵」で抹茶をいただきました。

あさがおをイメージした和菓子とお抹茶は美味しかったです。

一人800円ですが、和菓子の受け皿は記念に持って帰れます。

 

しばらくくつろいでから建物を出ると、どこからか「キーキー」と細く高い鳴き声が。

今度は小さな生き物が建物の土台の上をウロウロしています。

ネズミ?

いや、何か違う。

職員の人も出て来て「モグラだ!」ということになりました(笑)

椿大神社、かなりのパワースポットです!

 

子供たちが弓を引いている弓道場を横目で見ながら、手水屋に戻ってくるのに小一時間。

心を清め、新しい気持ちで身を引き締めようと思ったのですが、ムササビとモグラのインパクトが強すぎた(笑)

縁結び、導きの神として人気の神社だそうです。

 

古事記や日本書記も好きですし、鈴鹿山系の神社や神様についての本を読んだところなので、椿大神社、かなり楽しめました。

 

帰りには四日市の名物「とんてき」を。

ここの定食はキャベツとご飯と豚汁がおかわり自由という太っ腹。

これもとても美味しかったです♪

これで何とか夏を乗り切れそう。

 

 

 



乙骨淑子『ピラミッド帽子よ、さようなら』(理論社)

2014-07-19 22:10:59 | SF

アニメ映画監督の新海誠さんがオススメ本として紹介されていたので読んでみました。

乙骨淑子さんの 『ピラミッド帽子よ、さようなら』(理論社)

初版が1981年。

ピラミッドパワーとかノストラダムスの大予言とか、宇宙人とか謎の生物とか、当時はそんな話があふれていて、私も夢中になりました。

携帯電話もなくて友達の家に電話をかけると十中八九親が出てあせったり、学校の先生がポカリとやったり(今なら大問題)、男の子にはまだ硬派がいたり、空き地や森が残っていた時代。
主人公の男の子は、数学が苦手で、頭がよくなるようにボール紙でピラミッド型の帽子を作りかぶってみることにします。

ピラミッドパワーで頭が良くなる?(笑)

頭が良くなったどうかはともかく、ピラミッド帽子をかぶっている時に不思議なことに気がつきます。

そして巻き込まれていく不思議な冒険!

同級生にそっくりの女の子。

立ち並ぶ団地の窓に輝く不思議な光。

エスペラント語を広める教師。

地下に広がる世界「アガルタ」?

自分たちの住む世界のすぐ隣にある異なる世界。

 

新海誠監督のアニメ作品『星を追う子ども』と重なるところがたくさんあって面白かったです♪

こう毎日暑いと、ひんやりした地下の世界に行ってみたい気もしますね~


 

かこさとし 『未来のだるまちゃんへ』(文藝春秋)

2014-07-01 19:02:42 | 日本人作家

2014年7月1日。日本政府は臨時閣議で従来の憲法解釈を変更して、集団的自衛権の行使を容認することを決定しました。

記者会見で安倍晋三首相は「いかなる事態にあっても国民の命と平和な暮らしは守り抜いていく」と意気込みを語りました。

守るためには集団的自衛権は必要だそうです。

日米開戦を告げるラジオ演説をした東条英機首相は国民に「自存自衛を全うするため、断固として立ちあがるのやむなきに至ったのであります」と語りました。

国を守るためには戦うしかないと。

敗れて目覚めたんじゃなかったのか・・・救われませんね。

 

太平洋戦争での戦没者は日本側が300万人余。

運よく生きて帰ってきたうちの祖父はシラミだらけで、祖母と曾祖母は着物を煮たりして大変だったといっていました。

戦時中の金属供出でまじめな愛国者だった祖父や祖母は家にあった金目の物をすべて供出。
ところが金持ち連中はちゃっかり隠していて、戦後それを元手にいい物を食べていたと、何十年たっても祖母はこぼしていました。
祖父は新聞やTVを信用するなと孫たちに説き、亡くなるまで銀行さえ信用していませんでした。 

政治家も新聞も、負けたとたん手のひらを返して、それまでの自分たちの言動と正反対のことをいいだしたんですからね。

軍国主義を教えていた学校の先生も、教科書を黒くぬりつぶせと子供たちに命じました。

 

大人たちは信用できない。

 

敗戦時19歳だった絵本作家の”かこさとし”さんはそう思ったそうです。

代表作は『からすのパンやさん』、『だるまちゃんとてんぐちゃん』など。

うちにもありました!

長く読み継がれていますよね。

かこさとしさんは、大正15年(1926年)生まれ。

先日出版された、かこさとしさんの『未来のだるまちゃんへ』(文藝春秋)を読みました。

 

 

 
著者 : かこさとし
文藝春秋
 

 

 

戦時中はやはり軍国少年で、航空隊に入ることを希望していたのに近眼のため入れず、同期で航空隊に配属された友たちは特攻で亡くなったそうです。

戦後、自分が生き残ってしまったことの罪悪感に苦しんだというかこさん。

絵本作家となり、アジアの各国に行く機会があると「私は日本兵のなり損ねです。もしかしたら皆さんに迷惑をかけていたかも知れない。今日はお詫びにきました」と挨拶されるそうです。

そんなかこさんをあたたかく受け入れてくれる現地の人々。

 

工学博士でもあるかこさんは、会社員時代原発関係の仕事もしていたそうです。

原発を作ることばかりに力をそそぐ会社や政府。その時かこさんは、技術者として当然あるべき情報がないことに疑問を持ちます。放射性廃棄物の膨大な処理費について、万一の事故についての数値、情報がまったくない。

その時すでに創作活動をしていたかこさんは、原発を推進する作品を描いてくれないかと頼まれ引き受けようとしました「いいですよ。そういえばこの数値の情報が無いので欲しいのですが」というと、それっきりその話は無くなったそうです。

そして起きた地震に津波、福島第一原発の爆発。メルトダウンに放射能汚染。

ここでもまた「原発の安全神話」が一夜にしてくつがえされました。

 

生きるとは、こんなにも面白く楽しいものなのだ。

 

88歳になるかこさんが、絵本にこめた思い。

子供たちに伝えたいと思っている思い。

たまに「弟子にして下さい」なんていう人が来ると、「自分なんかのところじゃなく子供たちの弟子になりなさい」というそうです。

子供たちに教えられた・・・

かこさんの作品は、たくさんの子供たちがモデルとなっています。

子供たちは「天使」じゃない(苦笑)

スカートはめくるし、悪い言葉はすぐマネるし、騒ぐし、泣くし、あばれるし。

逆に聞き分けのいい子、おとなしい子を見ると何か抑圧されているんじゃないかと心配になってしまう。

人間はいけないこともする。失敗もする。怪我もするし、人を傷つけることもある。

それを教えられ、注意され、学び、技術をみがく。

「子供は純粋無垢で天使のよう」なんていう大人がいたら、それは何にもわかっていない。

 

あぁ、こういう人だからあんなにも長年人々に受け入れられる絵本が描けるんだ・・・と思いました♪

 

かこさんが友達のおもちゃをじっと見ているのを不憫に思った父親が、立派なおもちゃを買ってきてしまい、かこさんはガッカリします。

かこさんはじっと見て(これなら自分で作れそうだ)と思っていたのでした。

望まないプレゼントに、父親の期待。逆に父親に無駄使いをさせてしまった、とかこさんは心を痛めます。

こういう思い、すごくわかる!

自分の子供だからって、親が何でもわかるわけじゃないんですよね!

いやむしろ「親はわかってくれない」が当たり前なのかも(苦笑)

しかたなく親の前では喜んでみせるんですが、子供が親に気を使っている(笑)

 

私の祖父母は二人とも鬼籍に入って久しいですが、こういう戦時中の話を聞くことができるのはあと何年でしょうか。

誰かさんの記者会見がむなしく空虚にしか聞こえなかったのに対して、かこさとしさんの話は心にしっかり響きました。

久しぶりに『からすのパンやさん』が読みたくなってしまった♪

私から妹へ、そして妹の子供たちに引き継がれたので、いまやもうボロボロですが(苦笑) 

 

さて、未来の子供たちに引き継げるものを、この国の大人たちは残せるかな?