私的図書館

本好き人の365日

十二月の本棚 スペシャル

2003-12-31 01:04:00 | 本棚スペシャル
四月から「私的図書館」と銘打って始めたこの日記も、なんとか十二月まで続けることが出来ました。

足跡にメッセージを残してくれた方や、掲示版へ書き込みをして下さった方々には、本当に感謝しています。
今回は、年末らしく、これまで紹介してきた本を、一挙にまとめて載せてみようと思います。アニメなどで話数を稼ぐためによく使われる、いわゆる総集編というやつですね☆

まずは最初の月、四月の本棚から。

「丘の家のジェーン」 ルーシー・モード・モンゴメリ
「月の砂漠をさばさばと」 北村薫
「ジョナサンと宇宙クジラ」 ロバート・F・ヤング
「キッチン」 吉本ばなな

五月の本棚

「ブッタとシッタカブッタ」 小泉吉宏
「ソフィーの世界」 ヨースタイン・ゴルデル
「子供のための哲学対話」 永井均

六月の本棚

「美貌の果実」 川原泉
「ゲド戦記」 アーシュラ・K・ル=グウィン
「二分割幽霊綺譚」 新井素子

七月の本棚

「アルケミスト」 パウロ・コエーリョ
「神様」 川上弘美
「空色勾玉」 荻原規子
「深い河(ディープ・リバー)」 遠藤周作
「井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室」 井上ひさし他文学の蔵

八月の本棚

「星の海のミッキー」 ヴォンダ・N・マッキンタイア
「夏への扉」 ロバート・A・ハインライン
「ソロモンの指環」 コンラート・ローレンツ
「妖女サイベルの呼び声」 パトリシア・A・マキリップ
「わにわに物語」 新井素子

九月の本棚

「そばかすの少年」 ジーン・ポーター
「リンバロストの乙女」 ジーン・ポーター
「十七歳の夏」 モーリーン・デイリ

十月の本棚

「ハックルベリイ・フィンの冒険」 マーク・トウェイン
「昔気質の一少女」 ルイザ・メイ・オルコット
「スウ姉さん」 エレナ・ポーター

十一月の本棚

「西の魔女が死んだ」 梨木香歩
「後宮小説」 酒見賢一

そして最後は十二月の本棚です。

「魔術師の帝国」 R・E・フィースト
「惑星カレスの魔女」 J・シュミッツ
「クリスマス・カロル」 チャールズ・ディケンズ

以上31冊!
どれも素晴らしい名作です♪

私の拙い文章では、とてもその魅力のすべてを伝えることはできません。どうぞ、ご自分の目で、お確かめ下さい☆

今年はこれでおしまいです。
では、皆様、どうぞ良いお年をお迎え下さい。

「かしこい王女」

2003-12-29 11:15:00 | 日々の出来事
友達の家に遊びに行って来ました♪

ゲームしてビデオ見て、食事してボーリングして、とっても楽しいひと時を過ごして来ました。
忙しかった年末の仕事も一段落し、久々に羽を伸ばした感じです。
年末年始は家族での~んびりする予定。

本もいくつか買ってきました。
O・R・メリングのケルトファンタジー物『ドルイドの歌』
ダイアナ・ウィン・ジョーンズの大魔法使いクレストマンシーシリーズ『クリストファーの魔法の旅』
福音館書店から出ている世界傑作童話シリーズの『ノルウェーの昔話』
ドイツの実存哲学者カール・ヤスパースの『哲学入門』

そしてこれは前から手に入れたいと思っていたダイアナ・コールスの『アリーテ姫の冒険』☆

アニメ化もされたこの作品。
オビの宣伝文句がうまい♪

「待ってるだけのお姫様はもう古い!」

アハハハハ…☆
こういうお姫様大好きです。

見知らぬ土地のなじみのない本屋さんで、自分の気に入った本を発見した時は、まさに「宝物」を発見した探険家のような気分がします。

甥っ子の誕生日がもうじきなので、絵本も買ってきました。
これからラッピングしてリボンでも付けようかなと考えています。
その本を選ぶ時、ふと目に留まった絵本があったのですが、タイトルは『ちびくろサンポ』
差別問題で賛否両論あった本です。
個人的には幼い時から『ちびくろサンボ』のタイトルで親しんできたので、まだ違和感が拭えないですね。
できれば『サンボ』の方を甥っ子には送りたいので、今回は『ぐりとぐらのうたうた12つき』にしました。
とけたトラのバターも美味しそうだけれど、ぐりとぐらがおっきなフライパンで作る料理の美味しそうだったこと♪
子供の頃に読んだだけですが、今でも思い出せるなんて、本の魅力ってスゴイですね☆

ただのくいしんぼうだという話もありますが(笑)


「本棚の探検」

2003-12-27 23:53:00 | 日々の出来事
通信販売で手に入れた、19800円(税別)の本棚は、ガラス扉付きでスライド方式になっているので大容量☆

お気に入りの本ばかり並べています。

さて、今日は前回の続き、私の本棚の中身を、整理しながら紹介していきましょう。

まず目に入るのが、ガラス扉の中に鎮座ましますファンタジーの大御所。
「J・R・R・トールキン」の『指輪物語』三部作♪
その隣には、これまたファンタジーの名作『リフトウォー・サーガ』①~⑤

その下の棚にあるのは「モンゴメリ」の『赤毛のアン』シリーズ。
『可愛いエミリー』のエミリーブックス三部作。その他いくつかのモンゴメリの作品。
「ジーン・ポーター」「オルコット」「モーリン・デイリ」「エレナ・ポーター」などの心温まる家庭小説の数々☆

次の棚にはアニメ化もされた「高千穂遙」の『ダーティーペア』シリーズ。
「田中芳樹」の珍しく一冊で終る物語『アップフェルラント物語』
「赤川次郎」の『ふたり』はNHKでドラマ化もされました。
「小原乃梨子(のび太の声の人)」の自伝的エッセイ『声に恋して』
「さくらももこ」の爆笑エッセイ『もものかんづめ』
「新井素子」の方向音痴応援エッセイ(勝手に付けました…笑)『ネリマ大好き』

この手の本は息抜きにはもってこいです。

奥の棚には大きな本が並んでいます。
「サン・テグジュペリ」の『星の王子さま』☆
『長くつ下のピッピ』
『ゲド戦記』Ⅰ~Ⅴ
「ミヒャエル・エンデ」の『はてしない物語』に『モモ』
『くるみわり人形』と「ジュール・ベルヌ」の『海底旅行』
この二冊は小学生の時からのお付き合い。

だけど小学生の時の一番のお気に入りといえば、「フィリップ・ワイリー」の『地球最後の日』です。
この話には本当にワクワクドキドキさせられました。

学研が出している『日本の神々の事典』
それぞれの神様にちょっとした物語が付いていて楽しめます。
「荻原規子」の『空色勾玉』を始めとした勾玉三部作。
『哲学の古典101物語』
『死海文書で謎を解くイエスのミステリー』
「三輪明宏」『人生ノート』

マンガもこの辺りにある物はかなりのお気に入り♪

『めぞん一刻』『1ポンドの福音』『アップルシード』『攻殻機動隊』『ファイブスター物語』『風の谷のナウシカ』
「安彦良和」の『ナムジ―大国主―』
「長谷川裕一」の『逆襲のギガンティス』
「岡崎京子」『pink』

本棚のかなりの部分を占める「藤川桂介」の『宇宙皇子』全四十八巻。
高校時代に大好きで、ファンクラブに本気で入ろうと思いました。(高校を卒業したらと思っていたら、ファンクラブ自体がなくなってしまった…)

「A・クライン」の『大陸は移動する』
「レオ・バスカーリア」の『葉っぱのフレディ』
「ドーデー」『風車小屋だより』

ああ、まだ本棚の半分程しか片付いていない。
「竹田青嗣」の『現象学入門』
「小泉吉宏」『ブタのいどころ』
「川原泉」『事象の地平』
「小林よしのり」『戦争論』
「黒鉄ヒロシ」の『新選組』

他人の本棚って面白いと思いませんか?
自分では分からないけれど、これでかなり性格がバレてしまっているのかも。
う~ん、本当はもっとお気軽な本もたくさんあるんだけれど、それは別の本棚だしな。
桂三枝の落語や、星新一のショート・ショート。
火浦功のオチャラケ物やハヤカワ文庫のSF物も大好きなんですよ。
密かにロールプレイング物も多いです。
学生時代は徹夜でサイコロ振っていました。(プレイヤーよりマスターばっかりやってましたけど☆)

機会があったらまた紹介したいですね。
さて、とりあえず大晦日までにはこの本をなんとかしなければ…


 ―アパートの一室
  床に散らばる本の山を見つめて呆然と立ち尽くす男…
  画面、ゆっくりとフェードアウトしていく…
     浮かびあがる「END]の文字…クレジットが上がってくる(笑)


「読まずに死ねるか!」

2003-12-26 23:25:00 | 日々の出来事
本棚には個性が表れると思いませんか?

友達の家に遊びに行った時も、ついつい本棚に並ぶ本の背表紙を覗き見してしまいます。
時には友達の意外な一面を発見したりして♪

年末も押し迫った事ですし、今回は私の本棚に並ぶ本を少し整理したいと思います。

十二畳ほどのワンルームの部屋にある本棚は合計四つ。
中には本だけではなくてマンガや雑誌、CDやDVD、ビデオテープや絵の資料なんかが雑然と納まっているんですけど、他にも納まり切らない本やCDが机やテーブルの上に積まれています。
実家にもいくつか本棚があるんですが「床が抜ける!」と、今でも文句を言われているので、持ち帰るわけにもいかないんですよ、これが。

まずは、天井まで届く高架式の本棚から始めますか。
上の段にはいくつかの文庫サイズのマンガ。
「坂田靖子」「吉田秋生」「川原泉」の女性マンガ家に、「わたせせいぞう」「永井豪」の『デビルマン』。
あと言葉の持つ”響き”が大好きな「長野まゆみ」の小説にロシアの文豪「ドフトエフスキー」の作品群。この二人の作品はけっこうあります。
『アルジャーノンに花束を』で有名な「ダニエル・キース」の作品がいくつか。
なぜか「アドルフ・ヒトラー」の『わが闘争』もあるのですが、これは途中で挫折しました。あまりに退屈で(笑)

次の段は二十代の頃ハマッていた哲学関係の本が納まっています。
そのほとんどが岩波文庫。
「プラトン」「アリストテレス」から始まり「デカルト」「ルソー」「カント」に「ヘーゲル」「ショウペンハウエル」「ニーチェ」などが続いて、とりあえず「ハイデカー」の『存在と時間』まで。
よく読み返すのは「マルクス・アウレーリウス」の『自省録』ですね。
この内省的なローマ皇帝が書き連ねた日々の反省が面白いんです☆(きっとA型!)

その隣には「孔子」から始まる東洋哲学の作品。
『論語』『孟子』『荘子』『韓非子』と『孫子』などなど。
なかでも「荘子」は一番のお気に入り♪

日本人の作品もありますよ。
「岡倉覚三」の『茶の本』に「新渡戸稲造」の『武士道』。
「西田幾太郎」に「南方熊楠」「吉野源三郎」。
特に上の『茶の本』と『武士道』は、西洋に広く日本文化を紹介するために書かれているので、日本人向けの物よりも分かりやすくて興味深い。

お次は「シェイクスピア」?
本当、古典ばかりでこの段は疲れるな。
とりあえず『ロミオとジュリエット』から『ハムレット』『リア王』と、ああ、もう一つ一つに書きたいことが山ほどある(笑)
シェイクスピアは天才です!(断言!)

さらに上をいく古典が出てきた…
ギリシャの詩人「ホメロス」の『オデュッセイア』(上・下)
これは注釈と首っ引きで読むのに時間がかかりました。

「ダンテ」の『神曲』
「ゲーテ」の『ファウスト』
「トーマス・マン」の『魔の山』と、重鎮の方々の作品もここにあります。
『神曲』はなかなか気に入る翻訳の物がなくて、寿岳文章さんが訳した集英社のこの本を見つけた時は嬉しかったなぁ。
ブレイクの挿絵も不気味でよかった☆

「ゴーゴリ」の『外套』は好きな作品です。
あと「フロイト」の『夢判断』『精神分析入門』は人間の無意識の領域を紹介していて勉強になります。
ただしこれを普段の人間関係に応用するのは問題がありそう。

まだまだあるな…

「カール・マルクス」と「エンゲルス」の『共産党宣言』
『賃労働と資本』

童話屋から出ている『日本国憲法』
この中に納められている『教育基本法』の前文は名文です☆

哲学や思想というと、堅苦しいちょっと危ない感じもするけれど、覗いて見るだけなら結構面白いかも。

『フランス名詩選』なんて本もある。
『ワーズワース詩集』の隣はフランスの哲学者「サルトル」の著書。
そうかと思うと女優「本上まなみ」のエッセイ本が三冊並んでいたり(実はファンだったりします♪)

五木寛之訳の『リトルターン』
「スペンサー・ジョンソン」の『チーズはどこへ消えた?』

下の段に移って『ジェイミーが消えた庭』
「トールキン」の『ホビット』☆

「村上春樹」『神の子どもたちはみな踊る』
「村上龍」の『五分後の世界』
「鶴見俊輔」の『隣人記』
「筒井康隆」『ロートレック荘事件』

見事にバラバラです(笑)

さらに『シーラという子』に始まる「トリイ・ヘイデン」の一連の作品が続くのですが、切りがないので今日はここまで。

全然整理になっていませんね。
はたして今年中に片付けることが出来るのか?
あと五日しかないんですけど(苦笑)



十二月の本棚 3

2003-12-20 00:47:00 | 日々の出来事
「毎年クリスマスがめぐって来るごとに
私はディケンズのクリスマス・カロルを読む。」

解説の村岡花子さんのこの言葉に影響されて、私も毎年この季節になるとこの本を開くことにしています。

と、いうわけで今回ご紹介するのは、クリスマスにぴったり☆

チャールズ・ディケンズの『クリスマス・カロル』です。

ケチで冷酷で人間嫌いのがりがり亡者…と、ひどい言われようの主人公スクルージ老人。
彼がどれほど非情な人間かというと、スクルージの姿を見かけると、盲導犬でさえ見知っているらしく、飼主を戸の蔭や路地の奥へ引っ張り込むほど。

そんな彼のもとへクリスマスの前夜、七年前に亡くなったかつての相棒、老マーレイの亡霊が現れ、スクルージを心底怯えさせます。
もう亡霊一人だけでも十分なのに、こともあろうにマーレイの亡霊はスクルージにこう告げるのです。

「お前さんのところへ三人の幽霊が来ることになっている」

次々と現れる三人の幽霊と不思議な旅をすることになるスクルージ。

スクルージほどではないにしろ、日々の生活の中で、ついつい自分のことばかり考えて、他人の感情を無視してしまうことがあります。
苛立ってやさしくなれない自分に気が付き、自己嫌悪を繰り返す日々。

「やさしさの出し惜しみ」と私は自分の中で反省しています。

やさしさに限りなんかないのだから、この胸の泉からいくらでも湧き出て来るものだから、人に配る苦労を惜しまない。

やさしさの出し惜しみはしない。

スクルージはお金にうるさいばかりか、幸福や優しさといったことにまで出し惜しみをしています。
まるで誰かに取られるとでも思っているかのように。

そしてそれが自分から幸福や優しさをかえって遠ざけていることに気が付かない。

スクルージは幽霊に連れられて、様々な物を見ることになります。
貧しいけれど心暖かい人々。
質素だけれど家族で囲む楽しい食卓。
あるものを分け合い、互いにいたわり合ってせーいっぱいこの人生を楽しいものにしようとする人々のその姿に(そして自分自身の姿によって)スクルージの冷たい心はしだいに変化していきます。

このあたりの展開はまさに絶品!
さすがはディケンズ、読者の心をつかんで離しません!

スクルージはクリスマスのまさにその日に新たな生を受けます。
おさな子イエスの生まれたその日に。
生まれ変わった彼の姿はまさに必見です♪

スクルージは、我々誰もが持っている心の一部です。
だからこそ、世界中の人々に受け入れられ、読み継がれているのでしょう。

クリスマスも間近なこの季節、あなたも三人の幽霊と不思議な旅に出かけてみませんか?
素敵なプレゼントが用意されているかも知れませんよ。
では、スクルージから最後に一言☆



「クリスマスおめでとう!」



チャールズ・ディケンズ  著
村岡 花子  訳
新潮文庫

「本は友達」

2003-12-16 23:31:00 | 日々の出来事
本を買う時の信条として、私が大切にしていることの一つは「出会い」です。

この世には、それはそれは数え切れないほどの本があふれ、日々増え続けています。
嬉しいことなんですが、かといって、全ての本に目を通すわけにもいかない以上、ある程度「運命」にまかせるしかない。

幸いにも私は本の神様に目を掛けてもらっているらしく、自分の中で必要としている時に、必要な言葉を本の中に見つけることができました。

ラッキー♪

実はこれが本の魅力なんですよね。
言葉は読む人によって色々な意味を持つものだから、欲しい言葉を自分で見つけようと探してしまう。
本の神様に感謝するとしたら、それを見つけられるくらい本が好きな自分がいる、ということかな。

だから、あえて書評や広告などを見たり、注文することはなるべくしないようにしています。
本屋さんに行ったら、「出会い」を求めてとにかく歩く。
で、何か感じたら手に取って、まず読んでみる。
気に入ったら買う!
たとえ懐がさみしくっても無理して買う(笑)
読む暇がなくってもとりあえず買っておく。
今しか出会えないと思えばお金なんか惜しくない。(…惜しいときもあるけど)
本はいつまでも待ってくれます。こちらに読む準備ができるまで辛抱強く☆



ナフタリが尋ねた。「お話の本がなかったら、子どもたちはどうするの?」

レブ・ツェブルンが答えた。「がまんするさ。物語はパンとはちがう。物語がなくても生きていける」

ナフタリが言った。「ぼくだったら、生きていけないな」

     ―アイザック・B・シンガー「お話しを運んだ馬」―



とはいえ、無制限に買える程、お金も置き場所もないものですから、自分なりの規制が必要になります。
どうしても欲しい作品(「赤毛のアン」シリーズ計十冊とか…)は別として、少しでも琴線に触れた物については、自分で勝手に値段をつけてみます。不必要に装丁にお金をかけている本とかありますからね。
(この内容なら、1500円出してもいいな)
と思ったら値段を確かめ、それ以下なら購入決定。
それ以上なら、文庫化を待つか、諦めます。
でも近頃はハズレが少なくなりました。
裏を見ると1400円だったり、笑っちゃうくらいかけ離れていたり。(出版社ぼったくりすぎ!)

今日、立ち寄った本屋で、久しぶりに値段も確かめずにレジに直行しました。

ドイツの児童文学作家コルネーリア・フンケの『魔法の声』という作品です。

さて、当たりと出るか、それともハズレか…
値段は税別1900円。う~ん、微妙なところ。
でも『指輪物語』で有名なトールキンの『シルマリルの物語』という作品に比べれば良心的でしょう。上下巻で630ページ足らずに合計4800円は高すぎ!
ファンを見越しての値段設定ではないかと疑いたくなります。(『魔法の声』は一冊で約630ページ)
…でも、結局買いましたけどね。

昔、ギリシャの哲人プラトンの『饗宴』という作品を読んだ時、その内容と共に、400円という値段の安さに感動したことを憶えています。
二千二百年以上昔の、しかも遠くギリシャで書かれた物を、たった(!)400円で買えるんですよ。
かつて知識が一部の特権階級だけのものだった事を考えると、それを大変な努力で一般市民の側に「引きずり下ろした」先達の苦難の歴史に感謝せずにはいられません。

もちろん、その闘いは今でも続いています。

とりあえず、今日買った本をさっそく読んでみます。
気に入ったら、このページでまた紹介しますね☆

二十四の「歌声」

2003-12-16 23:19:00 | 日々の出来事
仕事の帰り道、華やかに飾られたイルミネーションが目に付くようになりました。
クリスマスなんですね☆

この時期は、多少落ち込むようなことがあったとしても、長続きしません。
街に輝く色とりどりの光に、流れてくるクリスマスソング。どうしたって気持ちがウキウキしてしまう♪
ケーキも予約したし、車内のBGMも携帯の待受けもクリスマス仕様。
待望の雪もこのぶんだと明後日には降ってきそう。

うちのばあちゃんが言ってました。
「お山に三回雪が降ると、里にも降りてくるんじゃ」(←こんなしゃべり方じゃないけどネ☆)

クリスマスで思い出すのは中学生の時。
音楽の時間にクリスマスソングを英語で歌うことになり、みんなで英語の歌詞にルビをふって練習しました。
みんなといっても一クラス24人(学年全部でも49人♪)しかいないので、パート分けしちゃうと本当誤魔化しがきかない! いま思うとうらやましいほど懸命に歌っていました。

忘れられないのが、十二月も押し迫ったある日の授業。
先生が一人一人にキャンドルを渡してくれて、教室のカーテンを閉め切った中で歌ったんです。
キャンドルの明りに浮かび上がるクラスメイトの顔と、響く歌声。先生がこっそり配ってくれたお菓子の包み。
火を使うというので場所は理科室だったり、表から体育の授業の声が聞こえてきたりしていたけれど、楽しかった♪♪

習った楽譜はみんな忘れてしまったけれど、この授業のことだけはいつまでも記憶にありますね。

いまの先生方は、「ゆとり教育」だとか「基礎学力の向上」だとか、やんや、やんや言われて大変ですが、子供としては人間として扱ってくれたことは忘れないものです。

…少しは勉強した内容のほうも、忘れないでいられたらいいのだけれど(笑)

十二月の本棚 2

2003-12-13 22:14:00 | 日々の出来事
学生時代、行き帰りの電車の中は、本を読むのにはうってつけの空間でした。(電車といってもディーゼル機関車でしたけど…)

窓からのぞく現実の田舎の風景や、曲がるたびにゆれる電車の振動を頭の片隅に追いやって、胸躍る冒険や、心はずむロマンス、遠い過去や遙か未来の物語に夢中になっていたものです。

今回ご紹介する本は、そんな私の学生時代のお気に入り。
いっきに広大な宇宙空間に連れ出してくれる、痛快スペース・オペラの傑作!

ジェイムズ・H・シュミッツの『惑星カレスの魔女』です☆

表紙のイラストは、なぁ~んとあの宮崎駿。
中年になったアスベル(っぽい男の人)と、アスベルとナウシカの子供のような顔立ちの少女(衣装は、もろナウシカ風)と共に、宇宙船が描かれているんだけれど、これがどう見ても宇宙船に見えない(笑)
だって、蟲の羽(というより、ラピュタのロボット兵の腕)みたいな物がついてるんだもの☆
表紙になっているのは一部分だけなので、全体像が見てみたい!

ま、表紙の話はこれぐらいにしといて、内容の紹介に移りましょう。

これが文句なく面白いです!

まず、主人公のパウサート船長。
商業宇宙船、ベンチャー号を駆る不運の人。
典型的な巻き込まれ型の主人公で、よせばいいのに、余計な正義感を出してカワイイ奴隷の少女を助けたりするもんだから、故郷では犯罪者にされるは、帝国からは追われるは、海賊には目を着けられるは、はては銀河系規模の大戦争に巻き込まれちゃうのだから、その人生はまさに大河ドラマ並み♪

帝国から危険視されているウィッチ、題名にもなっている惑星カレスの魔女が登場しますが、この幼い三姉妹がとっても魅力的☆
幼いからといって油断すると、軍隊も海賊もとんでもない目に会わされます。

最初は三姉妹の長女、マリーン。
飛び抜けた力はないものの、予知能力に優れ、オールマイティーな能力の持ち主。
しっかり者のお姉さんとして、クセ者の妹達のたずなを引き締めます。
はじめに奴隷として登場し、パウサート船長に気に入られるのも彼女で、これからの活躍を期待させながら、なんと物語の中盤以降は名前しか登場しなくなるという、意外性を発揮(笑)
三姉妹の長女っていつも損な役回りが多いってことを実証してくれるキャラです。

次女のゴスはテレポート能力と、シーウォッシュ・ドライブ(簡単に言うとワープみたいな物)の専門家。
帝国も海賊も、この”謎の駆動装置”が欲しくてたまらない。
たまに宝石なんかを、黙ってお店からテレポートさせたりするけれど(それで船長と大ケンカ!)、その能力のおかげで、ベンチャー号は何度も危機を逃れます。
帝国も、まさかこの十歳くらいの女の子が宇宙船を銀河の端から端まで移動させる力の持ち主だとは気が付かない。
猫のようなしなやかな体と、しなやかな精神を持ったこの少女が、ほとんど準主役級の活躍を見せてくれます☆

最後は末っ子のザ・リーウィット。(「ザ」は必ず付けること!)
この神経質で周りに敏感なおチビちゃんは、言語能力に堪能で、どんな宇宙人の言葉でも、ちょっと会話しただけで理解し、すぐにスラングでしゃべったりできる(それですぐ相手を怒らせる)。
さらに、口笛を吹いて物を壊すという、トラブルを起こしてくれと言わんばかりの能力まで持っているのだから、もう手に負えない。
この子のおしゃべりは、楽しいです♪

さらにさらに、異なる宇宙からやって来た巨大宇宙船マナレットと、クラサ生物の一種で、「虫天気」を引き起こすヌーリス虫。
人間宇宙の出来事を自分達の夢の産物だと思い込んでいる「クラサ的存在」のヴァッチなどが登場して、宇宙狭しと騒動は広がっていきます。
そうそう、「クラサ」というのは、ゴス達の能力の基となっているエネルギーの一種のこと。
チャクラとか、「気」の発展したものだと考えればいいのかな。

この「クラサ・エネルギー」を操る能力を、パウサート船長も持っていることが判明し、カレスの小さな魔女の指導の下、しだいにその能力を目覚めさせていくのですが、船長の力は、この宇宙に迫っている危機の謎をも、しだいに明らかにしていきます。

消える惑星。
ヌーリス虫の正体。
マナレットの中でうごめく恐ろしい陰謀。
ヴァッチ達の「ゲーム」

その世界観の設定も見事ながら、なんといってもこの登場人物達の掛け合いが面白くって愉快です。
電車の中でも、思わずニヤニヤしてしまいそう。

大宇宙を舞台に繰り広げられる、小さな魔女と、不運な男の愉快痛快スペース・オペラ。

本屋さんで見かけたら、ぜひ手に取ってやって下さい。
きっと、あなたにとって、まだ見たこともない楽しい世界が開けるはずですから☆



ジェイムズ・H・シュミッツ  著
鎌田 三平  訳
新潮文庫

十二月の本棚

2003-12-13 07:56:00 | 日々の出来事
剣と魔法のファンタジー!

そんな物語を読んでみたいと、お思いのあなた! まずはこの本をお手に取ってご覧下さい。
アーサー王? 指輪物語?
いえいえ、それらの作品も確かに捨てがたいですが、私がお薦めする一押しはこれ。

レイモンド・E・フィーストの超大作ファンタジー。

リフトウォー・サーガ『魔術師の帝国』(上・下)です☆

指輪物語を差し置いて、なんとナマイキな…と、お思いのファンタジーファンの方もいらっしゃるでしょうが、面白いのだからしょうがない♪
指輪物語には挑戦してみたけれど、あの分厚く重厚な内容と、論文じみた各設定の細かさに、途中ではね返された人も多いのでは?
私も三回読みましたけれど、いまだにその壮大な物語の世界には、モリアの坑道みたいな底知れぬ魔力を感じますね。
読むたびに発見があって、そのあまりの奥深さにタジタジになってしまいます。(ま、そこがイイんだけどね♪)

『魔術師の帝国』に始まる、このリフトウォー・サーガシリーズ。
最初の50ページくらいは「なぁんだ、よくあるファンタジー物か」くらいの印象なのですが、本編の二人の主人公、パグとトマスが<徒弟選び>の関門に立たされるあたりから、いっきに物語世界の中に引き込まれてしまいます♪

物語の”一方”の舞台となるのは、二人の暮らすミドケミアという中世ヨーロッパをベースにした世界。
十四歳になった少年は、それぞれの適性を見込まれて、職人や兵士としての訓練を受けます。それが<徒弟選び>
体の丈夫なトマスは、願い通り、武術長官の徒弟に選ばれますが、孤児で体の小さいパグは、人々からうさんくさいと思われている魔法使いの弟子として引き取られることになります。

そして始まる徒弟としての少年達の厳しい生活。
城でみかけた妖精の女王にすっかり心奪われたトマスは、いつか大戦士になって、妖精の国を訪れることを夢見、パグも負けじと、いつか王国一の魔法使いになってみせると宣言して、互いに大笑いする二人。

しかし、つかの間の平安は、一隻の異国の船が、海岸に打ち上げられたことで終りを告げ、二人はこの世界全体を揺るがす、大きなうねりの中に巻き込まれて行くことになるのです☆

森で魔法と共に暮らす妖精に、鉱山を掘り、うまいビール造りに長けた小人達。
ダーク・パス・ブラザーズと呼ばれる妖精とよく似たモレデール族にゴブリン、トロール。
ファンタジーの魅力をギュッと押し込めたこの物語の圧巻は、なんと言ってもその世界観の壮大さでしょう。

”裂け目”と呼ばれる時空の通路から押し寄せる異世界の敵。
そのもう一方の世界、異世界ケレワンは、魔法使いが絶大な権力を握る、まさに魔術師の帝国だった!
見知らぬ異世界で、パグはたった一人でどうやって生き延びるのか?

そして一方、最後の黄金竜から、竜の貴族と呼ばれたヴァルヘル族の金と白のヨロイを受け継いだトマスは、やがて、かつての持ち主、アシェン=シュガーの記憶と力に支配されていく。
アシェン=シュガーを通してトマスが知ることになるミドケミアとケレワンの過去。
このままトマスが狂戦士となれば、世界は灰燼に帰してしまう…
彼は過去の力に打ち勝つことができるのか?

そして二つの世界に隠された秘密とは?

どこからともなく現れる謎の魔術師マクロス・ザ・ブラック。
長い寿命と永遠の若さを持つ妖精の女王アグララナ。
ケレワンの人々が恐れ敬う”偉大なる者”

さらにさらに、王国の世継ぎをめぐる権謀術策や迫力ある攻城戦。雪山での戦いや、狭い坑道での死闘と、その魅力はとどまることを知りません。
本当、読んでいて止まらなくなりました。
お願い、眠らせてくれ~って感じ(笑)

ときたま顔をのぞかせるラブロマンスも、好み☆

女心に、にぶいパグは、魔法と違ってそっちの方面は苦手みたい♪
奥手なくせに、なぜか女の子にモテル彼は、知らず知らずのうちに女の子をイライラさせてしまいます。
心配した男友達に聞かれてパグは答えます。

「いったい何があったんだい?」
「わからないんだ。ただ…ただ…今日、ぼくを蹴ったんだ」

鈍いぞパグ!(笑) 
女の子にいきなり蹴られたのに、何を怒っているのかわからず、何も言い返さないパグの態度は、さらにイライラに拍車をかけてしまいます。
「女の子にとって、きらいな男に言い寄られるより嫌なことは、好きな男に注目してもらえないっていうことさ」
友達に笑われ、せかされて、夜中に彼女の部屋に忍び込むことになるパグのなんともなさけないこと。

こんなことで本当に世界を救えるのか(笑)

作者のファーストは、これがデビュー作というのだから驚きです。
緻密なストーリーに、多彩な登場人物。それらの織りなす物語のなんと壮大でなんと面白いことか。

ファンタジーが読みたくなったら、ぜひこの本を。

リフトウォー・サーガは第二部『シルバーソーン』
第三部『セサノンの暗黒』と続きます。

さらに『王国を継ぐ者』『国王の海賊』という続編もあるのですが、欲張らないで、まずはこの三部作からどうぞ。



レイモンド・E・ファースト  著
岩原 明子  訳
ハヤカワ文庫

「三つの願い」

2003-12-06 01:14:00 | 日々の出来事
魔法使いと言われて、思い浮かぶのは誰ですか?

アーサー王を助けたマーリン?

傘を片手に舞い降りたメアリー・ポピンズ?

映画が話題の指輪物語に出てくる灰色のガンダルフ?

魔女の宅急便のキキや、魔法使いサリーちゃん。
ゲド戦記の大賢人ゲドに、リフトウォー・サーガの「偉大なる者」ミランバこと大魔法使いのパグ。

アニメの魔女っ子物から、シンデレラに十二時の魔法をかけた魔女まで、おとぎ話からTVに小説、古今東西、あらゆる所に彼等は登場していますね。

魔法の杖に、魔法の靴。
魔法のポケットに、飲んでも飲んでもカラにならない不思議な壺。

子供の頃は、アラジンの魔法のランプが欲しかった☆
それで、三つの願いをかなえてもらうんです。(子供なので話がごっちゃになっている)
願い事をたくさんかなえてもらうためには、どんな願い方をしたらいいか悩みましたね。

「願いを百個かなえて下さい!」とか(笑)

誰でも一度は考え付きそう♪

「幸せにして下さい」とかだと、結局、「幸せだったことに気が付く」安易なオチになりそうだし、「お金がたくさん欲しい」だと、金額じゃなくて一円玉が百万個くらい降ってきそうだし、それで「重いのでどかして」とか言って、元のもくあみというパターン。

今ならこう願いますね。

「健康な体と抜群の記憶力。あと、もう少し背を高くしてくれたら、後は自分でなんとかするから…」

切実な願望になってしまった(笑)

確かに悩みのタネではあるのですが…

ランプの精が、しょうがないのでカウンセリングで悩みを解決してくれたりして。
「うん、うん。でも他人と比べることはないよ。君は今のままの自分を認めてやることが大切なんじゃないかな。」

…どうも「三つの願い」ってこんな展開になりそうな気がする。



実は私もひとつだけ魔法が使えたりします。

コンビニのレジなどで、おつりやレシートをもらう時に、こう呪文を唱えるのです。

一言。

『ありがとう』

二年間のアルバイト経験からも、店員の心がなごむこと請け合いです♪
特に夜勤の時なんか。
この「ありがとうの魔法」は応用がきくので、ご近所、お知り合い、お誘い合わせのうえお使い下さい。

なお、あまり頻繁に使うと、いらぬ誤解を招く恐れもありますからね。
友達は「あの娘、いつも笑顔であいさつしてくれるんだ」と言って、うどん屋の店員に告白に行き、振られて帰って来ました。

世の中には「営業スマイル」という、あやかしの魔法も存在するのです(笑)