私的図書館

本好き人の365日

新井素子 『銀婚式物語』文庫版 (中公文庫)

2014-11-29 19:29:53 | 新井素子

3年待ちました。

ようやく文庫化された、新井素子さんの『銀婚式物語』を買いました。

「読みました」じゃなくて「買いました」なのは、すでに単行本で読んだから。

それなのになぜ文庫本を買ったかというと、新井素子ファンなら定番の「文庫本あとがき」を読むため。

新井素子さんは一部から「あとがき作家」と言われるほど、判型が変わるだけできっちり「あとがき」を新しく書いてくれる希有な作家さんなんです。

しかも、その「あとがき」が面白い!

あとファンとしてはこのシリーズはぜひ文庫本で揃えたかった。

 

 

この『銀婚式物語』は『結婚物語』『新婚物語』の続編。

作者と主人公は別人という設定ですが、作者ご本人が「結婚」「新婚生活」そして「銀婚式」を迎えるのと同時期に書かれています。

つまり、「銀婚式」の物語を書けるまでに、25年がかかってしまう、困ったシリーズ。

そう、ファンは25年待ちました。

さらに『結婚物語』『新婚物語』が文庫本で発表されたのに、『銀婚式物語』は単行本での発売(出版社も変わりました)。

同じシリーズを本棚に並べるなら、同じサイズがいいじゃないですか。

それで文庫化までさらに3年待ったというわけです。

 

本編はタイトル通り、結婚25年の「銀婚式」を迎えた夫婦の物語。

会社員の夫と小説家の妻。

仕事の事、夫の家事能力、家を建てたり父親を看取ったり、病気もあったりなんやかとありますが、何とか乗り越えてきた25年。

物語といっても、SF小説のように特別なことがおこるわけじゃなくて、日常生活の延長です。延長ですが、これがとってもおもしろい。

 

そして思った通り「文庫本あとがき」もとっても面白かった。

 

次はぜひ『定年物語』『介護物語』をお願いします!

 


『殉愛』って本について

2014-11-16 21:54:09 | 本と日常

百田尚樹さんが歌手で司会者としても有名だった、故やしきたかじんさんのことを書いた本『殉愛』(幻冬舎)が売れているそうです。

田舎の本屋にもたくさん並んでいました。

私も読みましたが、途中から苦痛になってきて、パラパラと斜め読み。また最後が後味悪かった。

あまり本の悪口は書かないようにしていますが、これはダメでした。個人的に合わない。週刊誌みたいな本でした。

そのくせけっこうなお値段をとります。

誰と誰がケンカしてもいいけど、関係ない奴が「作品」て形で読者に反論や他人を攻撃する文章を見せんなよ。

それはお前らだけでやってくれ(あくまで個人的な感想です)。

 

エッセイなどでグチをこぼしたり、腹の立つことを並べたり、こんな下品な人にはなりたくないわと自分の価値観を主張したりする作品はありますが、そういうのはどこか痛快で、読者の共感を得る「魅力」を備えていなくてはお話になりません。

佐野洋子さんとか森茉莉なんてあそこまで行くとまさに痛快。

言葉の、文章の力を感じます。

作品というわけではありませんが、作家の柳美里さんが雑誌「創」の原稿料未払い問題を、ご自身のブログで告発されていて、その問題が解決するまでの一連の「創」編集長とのやり取りを私も読みましたが、問題が深刻なので失礼にあたるかも知れませんが、文章としての「魅力」がありました。

作者の体の中から出てきている言葉には力がある。

あとブログという性格もありますが、相手にちゃんと反論の余地を残しているのも大きいかったです。ちゃんとコミュニケーションになっている。

残念ながら百田尚樹さんの文章は、ほとんどが伝聞ということもありますが、一方的で、作為に満ちた、どこかヘイトスピーチを連想させる、自分のリングで相手をぼこぼこにして悦に入っているような文章にしか読めませんでした。

やしきたかじんさん司会の「そこまで言って委員会」て番組好きだったから残念なんですよね。

やっぱり三宅先生(政治評論家の三宅久之さん)が亡くなった時点で終ってた方がよかったな。

 

「文は人なり」といったのはフランスの数学者で博物学者のビュフォンだったかな?

発言がいろいろ話題になる方の最新刊だったので、ちょっと辛口コメントになってしまいました。

お金のある人は亡くなってからも大変ですね。

私はお金のない苦労しか知りませんけど(苦笑)

お金があってもなくても、どうせいつかは土の中。

それなら人の悪口をいってないで、笑って過ごしたいものです。

先日中国で行われたAPEC首脳会議。

日中の首脳が無愛想な顔で握手している姿が報道されましたが、大人げないというか、ユーモアが足りませんね。

他人を非難したって、他人は変えられないんだから。

 

 

 ニコッと笑えばニコッと返ってきます。

 もしニコッともしてくれなかったときは、

 その人は今とても辛いんだと理解してあげればいいのです。

 

     カオリ・ナラ・ターナー (ハリウッドで活躍するメーキャップ・アーティスト)

 


名月を とってくれろと 泣く子かな (一茶)

2014-11-08 00:20:23 | 本と日常

11月に入ってもう一週間なんですね。

しばらくバタバタしていて本も読めていませんでした。

久しぶりに本屋さんに行ったので、備忘録として書いておきます。

 

 

鈴ノ木ユウ 著 『コウノドリ』(講談社)

産科を舞台にした「モーニング」連載中のマンガ。ピアニストの設定はどうかな? と思うもののエピソードは泣ける。出産とはまさに”奇跡”。小中学生に読んで欲しい命の物語。

著者 : 鈴ノ木ユウ
講談社
発売日 : 2013-06-21

 

メーテルリンク 原作

江國香織 著

宇野亜喜良 絵

『青い鳥』(講談社)

私の好きな宇野亜喜良さんの絵で飾られた江國香織さん翻訳の「青い鳥」。これは妖しく美しい!

講談社
発売日 : 2013-10-11

 

そろそろ私の好きな季節。

冬物を引っ張り出さないと。