私的図書館

本好き人の365日

十一月の本棚 3 『ムーミン谷の十一月』

2008-11-30 23:58:00 | 本と日常
今回は、ムーミンシリーズの一冊。

*(キラキラ)*『ムーミン谷の十一月』*(キラキラ)*をご紹介します☆

ご存知ですよね?

フィンランド生まれの作家、トーベ・ヤンソンさんが生み出した、どこかユーモラスで、心温まるキャラクター。

主人公のムーミンは、本名をムーミントロールっていうんですよ♪

小説としてムーミンが初めて登場したのは、1945年。
『小さなトロールと大きな洪水』という物語で、このお話の中でムーミンたちは、初めてムーミン谷にやって来ます。

弱虫なスニフ。

ちょっと生意気なちびのミイ。

おしゃれが好きなスノークのおじょうさん。

そしてムーミントロールの親友スナフキン。

その他にも、変な生き物のニョロニョロとか、融通のきかないヘムレンさんたちに、料理や掃除が生き甲斐のフィリフヨンカや、寂しがり屋のホムサたち。
ちびのミイのお姉さんであるミムラ姉さんに、ムーミン一家の水浴び小屋に住み着いているトゥーティッキなど、魅力的なキャラクターがいっぱい☆

小説としては九冊の作品がありますが、1970年の作品、この『ムーミン谷の十一月』が最終巻となります。

今回の主人公は、ヘムレンさんと、フィリフヨンカと、トフトというホムサの少年。
それと何でも忘れるスクルッタおじさんに、スナフキンの5人。

そう、ムーミンパパもムーミンママも、ムーミントロールたちもこのお話には登場しません。

いったいどこに行ってしまったんでしょう?

さまざまな理由でムーミン谷のムーミンの家にやってきた5人。

それなのに、いつも温かく迎えてくれるはずのムーミンたちの姿が見えません。

ムーミンたちを待つ5人は、何となく奇妙な共同生活を始めます。(もちろんスナフキンはテント生活です♪)

もっとも、全然共同生活じゃないところが面白い☆

普通一緒にいる以上は、仲良くしたり、協力したり、多少は我慢しますよね?

もちろん、スナフキンたちだって、誰かが喜ぶことをするのは好きです。
みんなで食事をすることだって。

パーティーだって開きます。

でも、一人の時間も大切。
誰だって、自分ひとりになりたい時はあるもの。
そんな時は、たとえそれが大好きなムーミントロールだって邪魔なのです。(もちろんムーミントロールはそこのところはわかっているので、”一緒にいても”ひとりっきりにさせてくれます☆)

ひとりになりたい。
それは、友達じゃないってことではありません。

まるで、5人の時間は勝手勝手に流れているように見えます。

音楽のこと考えたり、人の役に立つことをあれこれ考えたり、髪をとかすことに夢中になったり、ひたすら空想の世界に遊んだり。

人の話をまったく聞いていない登場人物なんて、ヒドイと思いません?

ところが、ムーミンの物語の不思議なところは、それが全然当然なんです。

いや、むしろ、それが必要とさえ思えます。

夜中に森の中を一人で歩く。
テントの中でハーモニカを吹く。

自分のためだけの時間…

時にはスナフキンに話を聞いてもらったりもします。
ミムラ姉さんに髪をとかしてもらったり。

それぞれが独立して歩いているようでいて、一瞬、サッとそれぞれの時間が重なる。

同じ世界に生きているんですから、当然ですよね。

いつも一緒にいて、いつも同じことに笑っていなくちゃいけないのが友達?

ただ親切にしたいだけ。自分がよく思われたいから。そう思われていないと怖いから…

パーティーで、ミムラ姉さんはスナフキンのハーモニカに合わせて踊ります♪
ヘムレンさんは自作の詩を朗読し、ホムサも難しい本を読んで聞かせます。
フィリフヨンカは、ムーミンたちがボートに乗って帰ってくる様子を見事な影絵で上演します。

「わたし、しないではいられなかったんですもの。あなただって、わたしとおなじように、したくてたまらないことをすればいいんだわ…」

人間は一人では生きていけない、とよく聞きます。

確かに、そういう面もあるでしょう。

でも、人間は、一人でもちゃんと生きていける。
そう言ってあげる必要もあるんじゃないでしょうか。

そりゃあ、たまには誰かと話すことも必要です。
助け合ったり、励まし合ったり。
時にはそれをうとましく思ったり。

でも、大丈夫。あなたはちゃんと一人で生きていける。

そう言ったからって、友達じゃないってことには全然なりません。

だから、あなたのしたいことをすればいいの。
誰の顔色も気にせず、誰からも命令されず。

あなたはちゃんと一人で生きていける。

ムーミンシリーズが好きなのは。、この本の中に、こういうメッセージがあるんじゃないかと思えるから。

もちろん、私の勝手な感想です♪

そして、ちゃんと一人で生きていける者同士が、友達になるって素晴らしい☆

スナフキンとムーミントロールを見ているとそう思います♪

きっと、十人いたら、十人なりの「ムーミン」があることでしょう☆

みんなが同じ感想なんて、そっちの方がヘンですものね。

ムーミントロールの好きな人。

スナフキンが好きな人。

ちびのミイが好きな人。

おしゃまさんことトゥーティッキが好きな人。

たくさんのムーミンファンがいることでしょう♪

そういう数多くの人たちに愛させるのは、やっぱりそれだけこの「ムーミン」の物語に魅力があるってことなんでしょうね。

アニメでは知っているけれど、小説の「ムーミン」はって方。

この機会に、一度本屋さんで手に取ってみませんか?

ちびのミイがスナフキンと実は兄妹だとわかったり(いや、むしろ姉弟と書いた方がいいのかな)、スノークのおじょうさんがムーミンたちとは違う種族だと発見したり、いろいろな驚きが見つかることと思いますよ♪

ムーミン一家とたのしい仲間たちの物語。

どうか、あなたにも、素敵な出会となりますように☆















トーベ・ヤンソン  著
鈴木 徹郎  訳
講談社文庫



外見よりも中身です

2008-11-28 23:45:00 | 本と日常
ずいぶんくたびれてしまった私の財布。

ホームセンターで買った2,980円。

ホックの部分が破れてしまい、お金がこぼれ落ちるまでにボロくなってしまいました。(決してお金がたくさんあるからではありません)

がさつな持ち主に耐えて、よく頑張った!

感動した!

……………。

というわけで、少し早い自分へのクリスマスプレゼント。

まったくブランド物には興味がなくて、機能重視で安ければ安いほどいいと思っていたのですが、今回は奮発して皮製の”ちゃんとした”財布を買いました。

お値段は約一万円!!

私にしては頑張ったほうです!

ブランド物じゃないし、中国製だけれど、身分相応って言葉もあるし。

中身より財布の方が高いって何だか納得いかないし。

一応この不景気の中、ボーナスとして二十万円ほど出たし。(うちの会社としては頑張ったほうです)

多分、そんなにたくさんは入れてあげられないだろうけれど、これからよろしくお願いします。


「サンタクロースさんいらっしゃい」

2008-11-27 23:59:00 | 本と日常
1988年にNHKーFMで放送されたラジオドラマ。

「サンタクロースさんいらっしゃい」(原作 北村想)という作品の中で、主人公の作家(自殺しようと公園に来ています)がこんなことを女の子に問いかけます。

正義の支配する街と、悪の栄える街では、どちらがいいと思いますか?

正義の支配する街じゃないんですか?

と女の子は答えます。

作家は語ります。

正義の支配する街で正義を行っても、それはあたり前のことなんだから、どうってことないでしょ。

悪の栄える街では悪が日常茶飯事なんだから、そこで正義を行えば、それこそ本当に正義としての意義があるわけでしょ。

そうだとすると、正義の支配する街のほうがいいというのは考え物ですね。



当時、私は学生でしたが、ラジオドラマが好きで、この作品もお気に入りの一つでした♪

正義が何なのか知りませんが、悪の栄える街よりは正義の方がいいんじゃないのかな?

独善的な正義じゃ困っちゃうけれど。

正しい行いが注目されるようじゃ、それは正義があたり前に行われていない社会の証。

この社会はどっちなんでしょう?

原作の北村想さん。

今度、彼の作品が『K20 怪人20面相・伝』として映画『ALWAYS三丁目の夕日』のスタッフにより映画化されました♪

予告編を見るとどうやらアクション満載みたい。

今から楽しみです☆



十一月の本棚 2 『きつねのライネケ』

2008-11-26 19:16:00 | 本と日常
栗やキノコが美味しい季節になりました♪

栗ごはんは大好きです!

自分のしたイタズラの罪滅ぼしに、せっせと栗やマツタケを届けたのは、愛知県出身の童話作家、新美南吉の書いた『ごんぎつね』に出てくる、いたずら好きな小ギツネ、”ごん”。

でも、そんなこととは知らない百姓の兵十(ひょうじゅう)に、物語の最後、火縄銃で撃たれてしまいます。

物語の終り方って、読む人に強い印象を与えますね。

同じ作家の作品で、小ギツネが手袋を買いに行くお話もあって、私はその話が大好きでした♪

読んだのは子供の頃なのに、今でもよく憶えています☆

さて、今回は、日本のキツネとはちょっと違った西洋のキツネが主人公のお話。

ドイツの文豪ゲーテが書いた、

*(キラキラ)*『きつねのライネケ』*(キラキラ)*をご紹介しましょう☆

このお話は、古くからヨーロッパで語り継がれてきた昔話がもとになっています。

ゲーテといえば、『若きウェルテルの悩み』や『ファウスト』などの作品が有名で、作家、詩人、劇作家、自然科学者、政治家と、様々な顔を持つ十八世紀から十九世紀にかけて活躍した人物です。

この『きつねのライネケ』を書いた1793年は、フランスのコンコルド広場において、マリー・アントワネットがギロチンにより処刑された年でもありました。

ヨーロッパをゆさぶる革命の嵐。
はたして、ゲーテはどんな思いでそれを眺めていたのでしょう…

きつねのライネケは、ライオンの王様が治める王国で、誰一人知らぬ者はいないというほど悪名高いきつねです。

みんながライネケにひどい目に遭わされています。

しかし、口がうまいのと、その悪知恵のたくみさ、有力な親戚がいるということで、自分のお城に住み、奥さんと子どもたちに囲まれて、何不自由なく暮らしています。

ライネケにひどい目に遭わされた動物たちは、口々に王様に訴えます。

オオカミがだまされたと訴え、子犬は食べ物を奪われたと嘆き、ウサギはもう少しで食べられそうになるところだったと傷口を見せます。

そして最後に、ニワトリの一族がやってきて、かわいそうに首から上を無くした娘の遺体をかかえて王様に訴えます。

激怒するライオンの王様。

きつねがニワトリを食べることは、多分当時としては子どもでも知っている事実だったことでしょう。

うちの実家でもニワトリを飼っていますが、何度きつねにとられてしまったことか。

オオカミは羊を食べます。
猫はネズミを。
ウサギは草を。

さて、王様は?

それにしても、このきつねのライネケは、自分勝手でひどいきつねです!

人をだますことを何とも思っていない!

ついに王様の前に引き出されるライネケ。
裁判の結果、絞首刑と決まります。

ところが、まさに刑が執行されようとした時、ライネケの口から出た言葉に、ライオンの王様は身を乗り出します。

運びきれないほどの宝もの…

金銀財宝と聞き、あっさりライネケを許してしまう王様にはあきれます!

もちろんそんなのデタラメ。
口から出た真っ赤なウソなのです。

欲に目のくらんだ王様は、ライネケの口車に乗せられて、忠臣を無実の罪で殺してしまったり、ライネケの悪事を訴えたオオカミやクマを牢屋につないだり。

その間にも、ウサギや鳥たちが、ライネケの罠にはまって食糧にされてしまいます。

時には神妙になり、反省していると口にしたり。
王様をほめたたえ、その偉大なお心で今回ばかりは許して欲しいと嘆願したり。

よくもまあ、こんなに次から次へとウソ八百がつけるもんだ!!

しかし、ライネケにひどい目に遭わされた動物たちの中には、ライネケほどではないにしても、欲にかられて罠にはまった者も多くいます。

ライオンのお妃さまだって、口では公明正大なことを言っていますが、内心では宝石が欲しくてたまらないのです。

また、ライネケの親戚たちも、オオカミや他の動物たちより、権力を握りたいがために、いろいろとライネケの手助けをします。

何もここまで人間を見習わなくてもいいのに…

今回読んだ岩波少年文庫版の『きつねのライネケ』は、児童向けということもあり、きわどい表現はおさえてあるとのことですが、それでもかなり残酷な表現があります。

まぁ、昔話って、けっこう残酷なところがありますからね。

そして何と言ってもラスト!!

ここまで悪さをしてきたライネケが、いったいどうなってしまうのか?

多分、「エ!?」って思うような終わり方です。

ライネケは甥でたぬきのグリムバードに言います。

「そりゃもちろん、おれは悪さもする。うまくだまして餌を手に入れることもある。なんてったって女房や子どもを養わねばならんからだ。
 …中略…
 だがねえ、みんなそうしてやしないかい? そうやって生きのびてやしないかい?」

動物たちが登場していますが、これはやっぱり、人間の社会に向けられた言葉なんでしょうね。

現実を、メルヘンの世界を使って表現する。
そこに、人の心に訴える力があります。

短いお話ですが、とっても印象深い作品でした。

正直者が何になる?

どうせ生き残れやしない。

世の中ってのはそういうものなんだ。

果たして、ライネケの言う通りなんでしょうか?

あなたなら、子どもたちに聞かれたら、何て答えます?













ゲーテ  著
上田 真而子  編訳
岩波少年文庫




自己紹介カード

2008-11-23 23:59:00 | 本と日常
会社で「自己紹介カード」なるものを作らされました。

またどこかの研修かなにかで入れ知恵されて来たらしいです。

社員同士のコミュニケーションをはかるため、って言ってましたが、概ね不評。
顔写真も貼り付けたりします。
うぅ、写真苦手…

小さな会社ですが、いろいろな人がいます。
さっそく出来上がった「自己紹介カード」を見てみると…

”こうみえてやる時はやります!”

みたいな張り切りタイプから、

”焦らずじっくりマイペース”

といった自己分析タイプ。
中には、

”花嫁募集中!”

なんてお笑い系もありました。

”努力家で勤勉家です”

なんて自己陶酔タイプはちょっと苦手。

全体的な感想は…

やっぱり、みんな自分のことは自分じゃよく見えてないんだ(笑)

どうせなら自分で自分をアピールするんじゃなくて、他の人に自分について書いてもらう「他人紹介カード」とかにすれば面白いのに♪

みんなが一人の人について、何か一つ長所を見つけて書き込む。
悪口、批判はNG。

うるさい上司も、生意気な新人も、どんな人でも探せば一つくらいいいところがあるでしょ。

自分がみんなにどう思われているのか。
本人だけじゃなくて、他人を紹介する他の人にとっても、同僚の長所を見つけるって面白いし、けっこう仕事面でも役に立つと思うんですけどね。

確かそういうことを実際に行っている会社の話をどこかで聞いた覚えがあるんですけど。

いつも一歩遅れている我が社。

”気持は若い!”

と書いていた上司が、影で口さがない連中から”じいさん”と呼ばれていることを本人は知りません。

本物の若者は若さに憧れたりはしないんだよ。

彼の長所は………物事にあまりこだわらないところです☆

ゴメンナサイ。
一生懸命考えましたがこれしか出てきませんでした*(汗)*



『牢の中の貴婦人』

2008-11-21 22:43:00 | 本と日常
本屋さんに行くと、女性の店員さんが本棚の影で、本を運ぶカートに隠れるようにして夢中で本を読んでいました。

気持はわかる♪

わかるけどさ…早く本を並べなさいよ(笑)

買ってきたのは…

孤児院で暮す女の子が主人公の、ジュリー・アンドリュース著、

*(キラキラ)*『マンディ』*(キラキラ)*

イギリスのファンタジーの女王。ダイアナ・ウィン・ジョーンズの、

*(キラキラ)*『牢の中の貴婦人』*(キラキラ)*

SF界の巨匠。R・A・ハインラインの、

*(キラキラ)*『ルナ・ゲートの彼方』*(キラキラ)*

注文しておいた、アメリカの作家、ジョン・アーヴィングの、

*(キラキラ)*『ホテル・ニューハンプシャー』(上下)*(キラキラ)*

ネズミやモグラやヒキガエルが活躍する、ケネス・グレーアムの、

*(キラキラ)*『たのしい川べ』*(キラキラ)*

『たのしい川べ』は高楼方子さんの小説、『十一月の扉』の中の主人公が愛読書として読んでいたので興味がわきました♪

こうやってどんどん広がっていくから本がたまっていく…

くだんの本屋さんの店員は、他の店員さんに見つかることなく、本の整理に戻って行きました。

お客としては複雑だけれど…

よかった、よかった♪





インディアン・サマー

2008-11-13 23:59:00 | 本と日常
今日はとてもあたたかい日でした。

厚着をしていたので昼間は暑いくらい。

秋口から冬の初めにかけて、たまにこうした天気の緩む日があります。

こういう日のことを、小春日和というそうです。

旧暦の十月。今でいう十月末から十二月中ごろにかけてを「小春」と呼ぶことから。

小春日和。

英米では「インディアン・サマー」。

さあ、冬に備えて食糧でも買い込もうかな☆






十一月の本棚 『十一月の扉』

2008-11-12 23:59:00 | 本と日常
中学生の女の子が物語を書きます。

お客さんが来なさそうな文房具店で買った、飛べない鳥、ドードーの細密画が描かれたノートに。

それは、ドードー森で暮す、小さな動物達の物語。

今回は、十一月にピッタリ!

高楼方子(たかどのほうこ)さんの、素敵な時間の流れる作品、

*(キラキラ)*『十一月の扉』*(キラキラ)*をご紹介したいと思います☆

主人公の女の子の名前は爽子(そうこ)。

中学二年生の彼女は、あるきっかけで、家族と離れ、二ヶ月間だけ、「十一月荘」で暮すことになります。

「じゅういちがつそう」

それは、赤茶色の屋根をした、白い壁の四角い二階家。

中学生の女の子が他人の中で暮す…

それはとっても大変なことなのだけれど、素敵なことでもある♪

こんな家に住んでみたいな~
と思うような建物に出会うことってありませんか?

あなたは立派な高層マンションで夜景を楽しむ派?

それとも小さな庭付き一戸建てで、自然を楽しむ派?

爽子は人形のお家みたいな白い壁の十一月荘を、ひと目で気に入ってしまいます☆

そしてはじまる新生活♪

十一月荘ではそれぞれの部屋を個人が借りていて、食堂やお風呂は共同です。
食事も作ってもらえます。
まるで家族のような下宿生活。

女性ばかりが暮すその場所で、爽子は本を読んだり、みんなとパンケーキを食べたり、ビデオ鑑賞に付き合ったり。

時には手抜きの昼食や、今川焼きが食卓に並んだりもして♪

母親とは違う、年代の様々な女性たちとの共同生活。

そんな暮らしの中で、母親を一人の女性として初めて見ることができるようになる爽子。

未来に対して、成長することに対して、不安に悩みながら、彼女は周りの人々や、十一月荘の女性たちをモデルに物語を書き始めます。

それが、「ドードー森の物語」です♪

爽子が十一月荘にやって来たことを早々と聞きつけ、根ほり葉ほり質問攻めにする隣に住む鹿島夫人。

そんな彼女をモデルにして、爽子がドードー森の住人のカラスに付けた名前は”ミセス・クリオーザ”。

”クリオーザ”っていうのはつまり”野次馬”ってこと☆

十一月荘に英語を習いに来ている爽子より一つ年上の少年はライオンにされます♪
その名は”風来オン・ライスケ”。

爽子は十一月荘での生活に男の子が登場したことにちょっととまどいますが、この少年がまた不思議な少年なんです☆

十一月荘の2階の部屋を借りている爽子。
”ライスケ”が英語を習いにやって来て、勉強を見てもらうのは1階の居間。

部屋にいても、この少年のことが気になってしかたがないくせに、どうしても下に降りていけない♪♪

そんな時に限って、母親から電話がかかってきたりします☆(電話は1階の居間にしかありません♪)

この物語を読んで、十一月が好きになりました♪

十二月になってしまったら、年末やお正月のことも考えなきゃいけないけれど、十一月ならまだ”今”という時を大切に思えるから☆

新しい年を迎える前の二ヶ月前。

それが中学二年生の爽子の年齢に重なって、大人になっていく自分を前にした、中学生の女の子のゆれる感情と不安として、すごく素直に伝わって来ました。

だからといって、決して「子供時代は大人への準備期間」というわけでもないんです。
そんなことを言う大人もいるかも知れませんが、大人だって子供に教えてもらうことはいっぱいある。

物語に憧れ、白い家や紅茶に憧る気持と共に、母親に反発し、自分の中にある、憎悪にも似た感情にゆれる中学生の爽子(そうこ)。

「もう観念して、次の段階に進め」

そう言われているようで、不安といらだちが彼女の胸を苦しめます。

この素敵な物語のような十一月荘での生活も、いつかは終ってしまう。
物語を書くということにどんな意味があるというの?
いっそいきなり大人になってしまえたら…

時にはマイナス思考になってしまう爽子ですが、そんな彼女が周りの女性たちにも影響を与え、母親にも変化をもたらし…

”ライスケ”に英語を教えている閑(のどか)さんはいいます。

「子供だって、大人を変えていくわよ…」

この閑(のどか)さんが大好き☆

十一月荘を作った人で、天気のいい日に庭にハンモックを吊るして読書なんかするのですが、恰幅があまりにいいので(笑)、降りられなくてジタバタしてたりするのです♪

子供だって、大人を変えることはできる。

大人だって、様々な人がいる。

十一月荘の素敵な女性たちが、ポツリポツリと語るこの場所で暮らすようになったいきさつを聞き、爽子は「ドードー森の物語」を増やしていきます。

十一月荘の住人で、母親と二人で暮す”るみちゃん”に、自分の書いたドードー森の物語を語って聞かせる爽子。

そしてそれは、もう一人の読者を得て、やがて”三人だけの秘密”ということに☆

中学生の爽子の物語だけでなく、あわせて「ドードー森の物語」も読めてしまうお得な作品!

自分が中学生だった時のことを思い出して、爽子の気持にすごく共感できました!

これから中学生になるという人たちにはぜひ読んで欲しい♪

そしてもう大人になってしまったという人たちにも、自分が過ごして来た時間が決してなくなってしまったのではないということを思い出してもらうために♪

この物語の中では、とても素敵な時間が流れています♪♪

ドードー森のどこかにあるという、十一月にだけ見つかるという不思議な扉。
その”十一月の扉”を開けると、そこにはいったいどんな世界が広がっているのか?

読書の秋です☆
そして今はちょうど十一月♪

ドードー鳥やネズミやカラス、仲のいい野ウサギとタヌキといった、ドードー森の住人たち、そして爽子(そうこ)と一緒に、その扉を探しに出かけては見ませんか?

きっとあなたなら、その扉を見つけることができるかも知れませんよ☆











高楼 方子  著
新潮文庫



これも一つのエコ?

2008-11-09 18:54:00 | 本と日常
会社の同僚から「いなり寿司」を頂きました♪

何でも惣菜屋さんに勤めている奥さんの職場で、注文間違いが発生して、あまってしまったそうなんです。

いなり寿司がそれぞれ五つ入ってパックになったものが何と10個!!

捨てるのももったいないので持って来たんだとか。

遠慮なく会社のみんなでいただきました☆

しその葉とわさびが入っていて、おいしかったです♪

わさび入りは初めて食べたのですが、甘く煮付けた油揚げに、ピリッとしたわさびってとっても合います!

これならいつでも大歓迎♪

また発注間違いしてくれないかな?(笑)




『つかぬことをうかがいますが…』

2008-11-07 23:58:00 | 本と日常
今日は立冬(りっとう)。

暦の上では今日から冬です。

くせ毛を隠せるという理由で帽子をかぶるのが好きなのですが、11月ということでさっそくニットの帽子を出してきてかぶったりしています。

昨日買い物に行ったスーパーでは、レジ打ちの店員さんの足元に、足を温めるための電気ストーブがもう用意されていました。

そうかと思うとお客さんの中にまだTシャツ姿の強者もいたりして、ニットの帽子をかぶっている自分の格好の方がおかしいのかもと、思わずキョロキョロしてしまいました。
本格的な冬物にはまだ早いかな?

この季節は着る物の選択に迷います。

小学生の時の同級生Nくんは、一年中季節を問わず、靴下をはかないことで有名でした。

今となっては何がそんなにすごかったのか不思議な感じですが、とにかくどんなに寒い日でも靴下をはかず、しかも風邪をひかないということが当時としてはすごかった。

先日、イギリス科学雑誌のQ&Aのコーナーでのやりとりをまとめた本を読んでいると、

「体が冷えることと風邪をひくことに関係はない…」

という文章が目に飛び込んで来ました。

この本、雑誌に寄せられた日常の何気ない科学上の疑問に、読者である素人、玄人、SF作家などが時に真剣に、時に冗談を交えながら回答を寄せているのですが、そのやりとりがとても面白い♪

冷凍庫では冷たい水より温かい水のほうが早く凍るって本当?

瞬間接着剤はどうしてチューブの内側にくっつかないの?

北極点ではいったい時刻はどうなってるの?

などなど♪

そんな日常のささいな疑問の一つとして、「体が冷えることと風邪をひくことに関係はあるの?」というものがあったんです。

もともと風邪をひく原因は、ウィルスに感染するから。

だから、ウィルスに感染さえしなければ、いくら体が冷えても、外が寒くても風邪をひくことはない。

ただ、室内に閉じこもり、換気をあまりしない冬場は、風邪のウィルスを含んだ空気が外の新鮮な空気により薄まることがないので、風邪が蔓延しやすい環境にはなりやすいとか。

寒いから風邪をひくわけじゃなくて、風邪に感染した症状として寒気がするだけ。

確かに、ウイルスそのものと接触しないかぎり、感染はしないよな。

だから、靴下をはかないことと風邪をひくことには因果関係はないわけです。

雨の日も雪の日も、小学校6年間ずっと靴下をはかないことに挑戦していたNくん…

今も元気かな?

参考までに、その本はハヤカワ文庫から『つかぬことをうかがいますが…』という題名で出版されています。(ニュー・サイエンティスト編集部編/金子浩訳)

風邪の予防にはウイルスに感染しないための、うがいと手洗い、それといくら寒くても部屋の換気をすることが有効的です。

皆さん、お体にお気を付け下さい☆