私的図書館

本好き人の365日

今年も一年、ありがとうございました。

2008-12-31 16:16:00 | 本と日常
年末はどこもすごい人ですね~

年越し用の買い物に行って来ました。

年越しにすき焼きを食べるのは全国的な風習かと思っていましたが、この間テレビを見ていたら、そうでもないみたい…

思い込みってスゴイですね。
子供の頃からあたり前だったので、他の家もそうかと思っていました。

…じゃあ、いったいみんなはいつすき焼きを食べているんだろう?

は! 年末にしか食べないって、もしかしてこれ、両親の刷り込みか!?

え~、このHPも何とか六回目の年越しを迎えることができました。

これも今年一年、コメントを寄せて下さった方や、掲示板に書き込みをして下さった方、足跡を残して下さった方々の言葉が励みになったからです。

本当に、本当にありがとうございました☆

ずいぶんと趣味に走った本ばかり、ジャンルもバラバラに紹介してきましたが、大好きな本についてお話ができて、とっても楽しかったです♪

今年は26冊の本を紹介することが出来ました。

中でも、

遠藤寛子さんの*(キラキラ)*『算術少女』*(キラキラ)*

武井武雄さんの*(キラキラ)*『ラムラム王』*(キラキラ)*

高楼方子さんの*(キラキラ)*『十一月の扉』*(キラキラ)*

といった素晴らしい作品と出会えたことに感謝でいっぱいです!

また、女優ジュリー・アンドリュースさんの作品や、『赤毛のアン』出版100周年を記念して書かれた、

バッジ・ウィルソンさんの*(キラキラ)*『こんにちはアン』*(キラキラ)*

が読めたことも楽しかった♪

今年の目標にしていた、トーベ・ヤンソンさんのムーミンシリーズも、ついに全巻読むことができました。

いろいろ教えられることの多いシリーズでした。
何度でも読み返したい作品です。

魔法に満ちた物語から、人間の善と悪について考えさせられる作品もありました。

ジブリ映画「崖の上のポニョ」に影響されて読み返した、アンデルセンの*(キラキラ)*『人魚の姫』*(キラキラ)*も、みなさんにコメントをいただき、すごく思い入れのある方が多くて嬉しかったです。

ネットを通じて皆さんと知り合いになれたこと。
面白い本を教えていただいたばかりか、たくさんのことを学ばせていただいたこと。

この場を借りて、お礼を申し上げたいと思います。

ありがとうございました。

今日はお正月に読もうと、ついに『ハリー・ポッター』シリーズを買ってしまいました。

最初に思ったこと。

…静山社、値段設定高すぎるよ~

しかも途中から上下二冊で1巻って!?

もう1巻目を読み始めています。

悔しいけれど。

悔しいけれど、面白い♪♪

来年は少々忙しくなりそうで、さらにマイペースな更新になってしまいそうですが、どうか温かい目で見守っていただいて、お付き合いいただけたら嬉しいです。

本当に、今年一年ありがとうございました。

また来年もよろしくお願い致します。

では、皆様もどうぞ良いお年を☆


十二月の本棚 2 『銀の森のパット』

2008-12-30 23:58:00 | モンゴメリ

今回は、ルーシー・モード・モンゴメリの、

『銀の森のパット』

を紹介したいと思います☆

モンゴメリの作品で有名なのは、なんといっても『赤毛のアン』ですね♪

カナダにある、プリンス・エドワード島に住む、マシューとマリラの老兄妹のもとに引き取られた、にんじんみたいな赤い髪をした少女、アン・シャーリーの物語。

この『銀の森のパット』の舞台も、プリンス・エドワード島です。

物語の主人公は、七歳になるパトリシャ・ガーディナー(愛称パット)。

彼女が生まれた”銀の森屋敷”は、屋敷の裏の丘に大きな白樺の林があるため、その名が付きました。

想像してみて下さい…

冬の夜のすきとおった空気。
周りが黒い影におおわれた中で、
月の光に浮かび上がる、雪の結晶をまとって銀色に輝く白樺の林…

家族が暮す、この美しい”銀の森屋敷”を愛してやまないパット。

もちろん、そこで暮す家族も、犬や猫たちも、周りの木々や花や、草や墓地さえ、彼女が愛さないものは何ひとつありません。

パットは庭の木が切られただけで涙を流し、
叔母がお嫁に行ってこの家からいなくなると知って嘆き悲しみます。

彼女は小さいながらに、この愛すべき世界がずっとこのまま続けばいい…そう思っているのです。

でも、木々が成長するように、人もまた変わっていくもの。

「あの子は、人でも、ものでも、なみはずれて好きになるだ。それだけ喜びも大きいかわりに、胸を痛めることも多いのさ。」

一緒に暮らすジュディはパットのことをこう心配します。

食事を作り、洗濯をし、畑で働き、寝て起きる。

TVもパソコンもない。

繰り返される平凡な毎日。

世界をゆるがす事件も、陰謀も、殺人事件も起こりません。

それなのに、どうしてモンゴメリの作品はこんなに魅力的なんでしょう。

猫がたくさん登場します♪
主人と悲しみも喜びも分かち合う忠実な犬も登場します♪
高慢ちきないとことケンカしたり、裸で森で踊ったといって怒られたり、近所のイジワルなおばさんの悪口も言います。

パーティーに着るドレスで悩んでみたり、髪を短く切ったら似合うかしらと迷ったり。

夜の景色を見て感動したり、お腹が空いて卵のバター揚げにかじりついたり♪

親戚との付き合い。
素敵な出会い。
失望と落胆。

結婚。
新居。
新しい命の誕生。
死という別れ。

ここに書かれているのは、時代も場所も違いますが、人間の生活そのもの。

そして、人間の魅力そのもののような気がします。

”銀の森屋敷”を愛し、家族を愛し、木々を愛するパット。

その魅力がこの物語のひとつの読みどころなのは間違いありません。

でも、もうひとつの魅力が、パットが生まれるずっと以前から、ガーディナー家で働く、ジュディおばさん。

この人が、とっても魅力的♪

体の弱いパットの母親に代わり、台所を取り仕切り、子供たちにとってはよき理解者であるこのジュディは、アイルランド生まれでその昔はお城にも奉公にあがったことがあると語り、パットたちに妖精や幽霊の話をしてくれます☆

その上、うわさ話が大好きで、どの家で昔こんなことがあったとか、あそこのじいさんはこんな人だったとか、まるで土地の生き字引!

パットもジュディのゾクゾクするような怖い話を聞くのが大好きです♪

少し大きくなって恋愛にうつつを抜かすような年代にパットがなった時は、そうした熱がすぐに冷めるのを知っていて、自慢のパットがこの時期を見事に乗り切るかどうかを眺めていたりします☆

「これで二度目だて。もしパットが三度目も切り抜けられさえすれば…」

アイルランドなまりのジュディはパットが大好き。
パットが病気になった時は、献身的に看病しますが、決して甘やかすことはなく、時に好きにさせ、必要な時には抱きしめてやり、彼女が気が付くまで見守っています。

幼い頃は、兄のシドとどこへでも一緒に出かけていたパット。

しかし、兄はそのうち妹から離れ、近所に住むジングル(ヒラリー)という少年や、引越して来たベッツ(エリザベス)という少女とパットは友達になります。

ジングルは貧しく、遠くで暮す母親には一度も会ったことがありません。

ベッツは大変美しい少女ですが、体が弱く、時々、その瞳にこの世のものでないような美しい輝きが宿ることをジュディは心配します。

二人とも、パットと同じ世界、木々や草や花の美しさを感じることができ、パットの無二の親友となります。

建築に興味があり、パットに夢の家を建ててあげると約束するジングルがとっても健気♪

まだ9歳のパットに、せいいっぱいの自分の気持ちとして、勇気を出して

「大人になったら…ぼくのひとになってくれない」

と告白するジングル。

ところが、他の女の子と違って、「誰かのもの」なんて呼ばれることが大嫌いなパットは怒り出します!
「ぼくのこと嫌いなの?」と聞くジングルに

「もちろん、好きよ。でも、わたしは決して誰かの人なんてものにはならないの。」

と言い放つパット。

しかもしょげかえっているジングルを見てますます腹が立ってきたパットは、もっと残酷なことを言ってやりたくなって…

ジングルかわいそう(笑)

やがて、成長したパットに崇拝者が現れますが、彼女と同じ世界を見ることができるのは、やっぱりジングルだけ。

いつもそばにいてくれるジングルを、しかしパットは大切な友達としてしか見ようとしません。

この『銀の森のパット』では、7歳から18歳までのパットが語られます。

18歳からの物語は、『パットお嬢さん』という続編に描かれます。

自分の家の灯りを見て、ホッとするパットが好きです。

ジングルと共に木々や小川を見て、美しさに喜ぶパットが好きです。

夜のしじまが静かに降りてくる丘で、詩の言葉にベッツと二人、美しさに涙を流すパットが好きです。

寒さにこごえる子供たちを優しく迎え入れ、温かい飲み物を出してくれるジュディの台所が大好きです♪

冬の寒さも本格的になって来ましたね。

大晦日とお正月を前に、どこの家庭でも台所は大忙しなのではないでしょうか。

どんなに忙しくても、ジュディの台所ではいつも食べ物の甘い香りがただよい、お気に入りの猫たちに囲まれて、キラキラした瞳で椅子にちょこんと座ったパットが、今日一日あったことをおしゃべりしています。

あなたも、そんな銀の森屋敷の温かな台所で、ジュディの身も凍るような話に耳を傾けに来ませんか☆








ルーシー・モード・モンゴメリ  著
田中 とき子  訳
篠崎書林


十二月の名言集

2008-12-28 22:54:00 | 本と日常
「ああ、なぜ勉強しなかったのか。」

これは怠け者の言いわけである。

それなら勉強するがいい。

今は勉強しないのなら、

むかし勉強したことがあるというのは、それほどたいしたことであるなどとは

わたしは思わない。(中略)

わたしがミケランジェロのような人のうちにりっぱだと思うことは、(中略)

このおよそ愛想のない男は、

なにか学ぼうとして学校へ行ったときには、

すでに髪がまっ白だった








            ―アラン「幸福論」―




「ピーター・パン」

2008-12-27 23:58:00 | 本と日常
今から100年ほど昔の1904年12月27日。

劇作家ジェームズ・バリー作の「ピーター・パン」が、イギリス、ロンドンの劇場で初めて上演されました。

最近、ジェームズ・バリーが「ピーターパン」を書くにいたった実話をもとに映画化した、ジョニー・デップ主演の『ネバーランド』という映画をレンタルで観ました。

とってもよかった♪

ピーター・パンのモデルとなる男の子役を、映画『チャーリーとチョコレート工場』でチャーリー役を演じ、その映画でもジョニー・デップと共演しているフレディ・ハイモア君が演じているのですが、父親の死に心を閉ざす少年役を、せつなく健気に名演していました。(フレディ君ファンです☆)

子供の心が理解できる大人、ネバーランドを作りだしたジェームズ・バリー役に、ジョニー・デップはハマリ役♪

「ピーター・パン」の中に登場する妖精、ティンカー・ベルを主人公にしたディズニーの新作アニメ映画も、12月23日から全国の映画館で公開されていますが、DVDになったら観ようと思っています。

あまり原作のイメージを壊していないといいのだけれど…






父の背中

2008-12-26 23:04:00 | 本と日常
今日は会社の仕事納めでした。

うちの会社は田舎の中小企業で、エアコンなどの部品を造っていますが、このところの不況で仕事が激減。

派遣社員の方は次々と減らされ、工場も半分ほどの機械が止まってしまいました。

大丈夫かな、うちの会社?

休みが増えたのは歓迎ですが、その分給与も少なくなってしまいました。

うちの社長は、社員を前に何とか社員の首を切らずに、この難局を乗り越えたいと挨拶。

苦しい実情と共に、彼なりの展望を語り、一緒に頑張りましょうと、一年を締めくくりました。

いろいろと問題のある社長ですが、苦しい時に従業員に何を言えばいいのかをちゃんとわかっているあたり、さすがに小さいなりにも会社を経営してきただけのことはあるなぁ、と個人的な感想。

ところが、その彼の息子。

30代の専務が次に挨拶をしたのですが、

社長が挨拶をしている時に、寝ていたり隣と話をしていた人間がいた。いったいどういうつもりだ。社長はああ言っていたが、経営は本当に苦しい。それがわかっていないのではないか。そんな社員ならいらない。私は正社員だろうとリストラする覚悟だ。各自、もっと自覚を持って仕事に励んで欲しい。

と本人は激励のつもり。

あぁ、台無し。
この冷たい空気をどうしてくれる…

本人に自覚はないのでしょうが、これじゃあ、脅迫。

リストラって言葉にみんな敏感になっていることに気が付かないの?

しかも、仕事の成果じゃなくて、社長の話をまじめに聞いているかどうかの態度で判断するって、何? 直立不動で感動の涙でも流してろと?
そんなのあなたのサジ加減ひとつでしょ?

ま、本人はそれくらい厳しい状況なんだと言いたいのでしょうし、話を聞く社員の態度にも問題がないわけじゃありませんが、重要なのはこの不景気をどう乗り越えていくか。

だったら話す内容はもう少し選ばないと。

自分の一方的な気持ちを押し付けて、要求するだけじゃ人はついて来ないよ。

相手の立場に立たないと。

こういうのもセンスの問題だと私なんかは思うのですが。

あくまで個人的な受け止め方です…でも…

お父さんにはまだまだ遠いな。




十二月の本棚 『愛をみつけたうさぎ』

2008-12-21 20:33:00 | 本と日常
あなたを愛してくれた人の名前を挙げて下さい。

照れないで。

正直に。

では次に、あなたが、愛した人の名前を、思い浮かべて下さい。

ゆっくりと。一人一人の顔を思い浮かべながら。

いいですか?

それが、あなたの生きて来た証。

あなたの人生です。

あなたが、大切にしなくちゃいけない、かけがえのないものです。

その人たちはいま、どこにいますか?

周りにいる方。幸せですね。

遠くに去ってしまった方。辛いですね。

でも、もし、もし万が一、誰も愛していないという方がいらっしゃたら。
自分以外の人間を信用できないという方がいらっしゃたら、ひとことだけ言わせて下さい。

「あなたには、がっかりです」

自分のせいじゃないって?

そんな人には、この本を紹介しましょう。

アメリカに住む女性作家、ケイト・ディカミロさんが文章を書き、ロシア生まれのバグラム・イバトーリーンさんが素敵な挿絵を描いた本。

*(キラキラ)*『愛をみつけたうさぎ エドワード・テュレインの奇跡の旅』*(キラキラ)*です☆

主人公、エドワードは、陶器でできた”うさぎ”。

彼は、アビリーンという小さな女の子に愛され、とても大切にされていました。

たくさんの素敵な洋服。
長い耳がちゃんと外に出るように作られた特注の帽子。
そして、毎朝アビリーンがねじを巻いてくれる、彼専用の金の懐中時計。

食事の時は家族と同じように食卓につき、寝る時もちゃんとパジャマに着替えて小さなベットに横になる。

…ただ、エドワードの絵の具で塗られた瞳は閉じることができなかったけれど。

エドワードは自分のことを、非のうちどころのないすばらしいうさぎだと思っていました。

それに比べて人間たちのしゃべることはくだらないことばかり。

毎日世話をしてくれるアビリーンのことも、エドワードは実のところ愛していませんでした。

それより、ガラス窓にうつる自分の姿を眺めている方が、エドワードは好きだったのです。

そんな日々ののち、アビリーンの一家が船でロンドンに行くことになります。

もちろんエドワードもいっしょ。

夜、一人だけ家に残ることにしたアビリーンの祖母が(この人がエドワードをアビリーンに贈ったのです)、エドワードに顔をよせて、こうささやきます。

「おまえにはがっかりした」

陶器でできたうさぎのエドワード。

腕や足は針金で体とつながっているので、自由に動かせますが、もちろん自分では動けません。

そんな彼が、アビリーンと引き離され、たった一人で海の底に沈んでしまった時、初めて本物の感情を味わいます。

エドワードはおびえていたのです。

他人とはなんでしょう?

このお話には、様々な人間が登場します。

子供に気を使いながら暮らしている老夫婦。

住所も持たず、放浪している渡り人の男。

自分自身をコントロールすることができない父親。

病気の妹を看病し、懸命に働く小さな兄。

服はボロボロになり、ゴミに埋もれ、汚れていくエドワード。

自分で動くことのできない陶器でできたうさぎのエドワードは、そうした人々の手から手へと旅を続け、いくつもの出会い、そして別れを繰り返します。

その中には、彼を愛し、大切にしてくれる人もいました。

そうした人たちを失うたびに、エドワードは痛みを感じます。

もう一度会いたい。
もう一度抱きしめて欲しい。

「愛なんてつらいだけだった。ぼくはこわれちゃった。心がこわれちゃったんだ」

そして、大人の男に足をつかまれ、乱暴に振り回された陶器でできたエドワードは、頭をぶつけて…

自分の姿を見ているだけで、他人に興味を示さないエドワードが、陶器でできているというのが、他人を拒絶しているようでとっても象徴的です。

陶器の中身はカラッポ。

どんなに美しく着飾っても、どんなに高価な時計を身に着けていても。

何かを失うというのは辛いものです。

でも、失いたくないから、傷つきたくないからといって、他人を物のように扱ったり、自分だけは特別だと思い込んだり、他人を手段として利用したりすのは、時間の無駄。

もったいないことだと思いませんか?

私はこのお話を読んでそう思いました。

どんな会話でも、お天気の話題でも、その日食べた物でもいい、ちゃんとしゃべっている人の顔を見てその人の話を聞く。

しっかり受け入れる。自分の心を開いて。

何の話題かが問題じゃない。
それが、自分と相手とのつながりなんだ。そういうことの積み重ねが大切なんだと、教えてもらったような気がします。

服がシワになることを気にして、人間の会話になんて興味のなかったエドワードが、ボロをまとい、たき火を囲みながら、渡り人の歌にその長い耳を傾ける。

ちゃんと話を聞く。

いつまでも、いっしょにいられるとは限らない。今いる時間はほんとうに奇跡のような時間なんだ。同じ時間を過ごしているというのにもったいない。

もし、もし万が一、誰も愛していないという、うさぎのエドワードのような方がいらっしゃたら、傷つくことを恐れないで。

自分の心を開いて信じることです。

「ぼくはもう愛されなくていい。愛さなくていい。だって、どっちもあんまりつらすぎるよ」

「あなたの勇気はどこにあるの?」

「あなたにはがっかりしたわ」

陶器でできた、うさぎのエドワード・テュレインがたどる奇跡の旅。

もうじきクリスマスですね。

この機会に大切な人に、その気持を伝えてはいかがでしょうか☆



あなたは奇跡を信じますか?










ケイト・ディカミロ  著
バグラム・イバトーリーン  絵
子安 亜弥  訳
ポプラ社



『食堂かたつむり』

2008-12-20 23:59:00 | 本と日常
本を買って帰って、最初のページを開いて読み始めた瞬間、わかりました。

…この本読んだことある。

いつもは本屋さんで店員さんに本を探してもらうなんてことはないのですが(歩き回って自分で探します)、その本だけはいろいろな条件が重なって、たまたま探してもらったんです。

探してもらった手前、店員さんの前で立ち読みするわけにもいかず、そのまま購入してきました。

*(キラキラ)*『食堂かたつむり』(小川糸 著)

書籍の取次ぎなどを行う会社、トーハンの発表した年間ベストセラーに入っていて、タイトルが変わっていたので興味を持ったんです。

その何ヶ月か前にすでに立ち読みしていました。

その時もタイトルに引かれて手に取り、結局数行読んだだけで買わなかったんですよね。

同じ本に2回も引っかかるとは、『食堂かたつむり』ってタイトル、すごいなぁ~

…私の記憶力がないんですね。

文章を読むまで思い出しませんでした。

何度でも同じ手に引っかかる上客として、詐欺師みたいに出版社に名前が流されたらイヤだな。

ともかく、個人的な事情と本の内容にはまったく関係がないので、楽しみに読みたいと思います☆



十二月の本棚スペシャル

2008-12-19 12:45:00 | 本と日常
今年も押しせまってまいりました。

北京オリンピックがあったり、日本の総理大臣が次々と辞めてしまったり、アメリカで新しい大統領が選ばれたりと、2008年もいろいろありましたね。

金融不安がもたらした急激な円高の影響で、経営の悪化した企業が次々と従業員の解雇を発表していますが、さて来年はどうなることやら。

自分自身についていうと、大きな病気もすることなく、何とか無事に一年を乗り切れたことにとりあえず安心しています。

学んだことも多い一年でした。

趣味でフライフィッシングを始めたこと。
会社と労使問題で交渉したこと。
株式投資を始めたこと。

人間関係からも、多くのことを教わりました。

新しい出会いに、別れ。
嬉しかったこと、悔しかったこと。

失敗もたくさんしたなぁ~

ほとんど忘れましたけど☆

こうしてもうすっかり一年を締めくくる調子で書いていますが、まだ年賀状も書いていません。
大掃除も終っていません。
というか、まだ何にもしていません。

考えてみたらのんびり一年を振り返っている場合じゃありませんでした。

とりあえず、毎年12月に行っている本棚の整理をしたいと思います。

まずは、来年こそは読みたい、買ったままになっている本から。

ジョルジュ・サンドの『愛の妖精』*(キラキラ)*
劇作家オニールの『喪服の似合うエレクトラ』*(キラキラ)*
ジョン・ミルトンの『失楽園』*(キラキラ)*
J・オースティンの『エマ』*(キラキラ)*
フローベルの『聖アントワヌの誘惑』*(キラキラ)*
ラブレーの『ガルガンチュア』『パンタグリュエル』『第三の書』*(キラキラ)*
ディヴィド・ヒュームの『人性論』(1~4)*(キラキラ)*
アルフレッド・テニスンの『イン・メモリアム』*(キラキラ)*

『イン・メモリアム』は衝動買いしてしまった詩集。

『失楽園』は神に背いたサタンがその軍勢と共に地獄に落とされた様子、また、天地創造の理由、サタンの誘惑により禁断の木の実を口にするイーヴとアダムなどが描かれている壮大な叙事詩。

『エマ』は森薫さんのメイドマンガ(?)『エマ』に影響されて買いました♪

読みかけ、現在進行形なのが、

伊坂幸太郎『砂漠』*(キラキラ)*
あさのあつこ『NO、6』*(キラキラ)*
小川洋子『アンネ・フランクの記憶』*(キラキラ)*
稲田浩二『アイヌの昔話』*(キラキラ)*

H・P・ラヴクラフト『ラヴクラフト全集』

ラヴクラフトの作品は、「クトゥルー神話」と呼ばれる一連の怪奇小説。
ホラーです。世界観が不気味で、魚が食べられなくなりそうな怖いお話…

進化生物学の先生、スティーヴン・ジェイ・グルードの書いた、『ダーウィン以来』*(キラキラ)*

これは、ダーウィンの進化論ほど誤解されて使われているものはないとして、様々な切り口で進化論について述べたエッセイ。
驚きと感嘆の連続です。

今年あまり読めなかったのがSF小説。

コニー・ウィリスの『ドゥームズデイ・ブック』*(キラキラ)*

これは過去への時間旅行が可能になった21世紀のオックスフォード大学の史学部の女子学生が、実際に14世紀に”現地実習”として送られるというお話…らしいです。

R・A・ハインラインの『月は無慈悲な夜の女王』と『ルナ・ゲートの彼方』*(キラキラ)*

『月は…』の方は、圧政に苦しむ月の植民地が、地球政府に対して独立を宣言するというもの。
ただし、月側には一隻の宇宙船も一発のミサイルもなく、革命の先頭に立ったのは、一人のコンピューター技師と、”自意識”を持った巨大コンピューター。

『ルナ・ゲート…』の方は、SF版『十五少年漂流記』というふれ込み。

オビの紹介文で坂木司さんが「青春叩きつぶし系…」と書いていたのが面白くて手に取りました。

あぁ、早く読みたい。

オルコットの『若草物語』の最後の一冊『第四若草物語』もついに未読のまま、ローラ・インガルス・ワイルダーの『大草原の小さな家』も、第六巻にあたる『長い冬』を途中まで読んでいて、そのままになっています。

とりあえず目に付くところに並べておこうかな。

…しかしいくら自分の好きなこととはいえ、こう本のことばかり書いていると(しかも嬉々として☆)、ちょっと冷静な自分がたじろぎながら身を引いているのがわかります。

作家の山田詠美さんが、とある本の解説にこんなことを書いてみえました。

―こういう言葉があるそうだ。知性を自慢する知識人は、自分の独房の広さを自慢する囚人のようなものだ。いいよねこの言葉。そして、いるよね、たくさんの囚人。

    「ア・ルース・ボーイ」(佐伯一麦 著 新潮文庫)解説より

はい、私も囚人の一人です。

いい気になって自分の独房の広さを自慢しています。

でも、例え囚われの身だとわかっていても、いっそこのまま囚われていたい…

ダメでしょうか?
きっとダメなんでしょうね。

今年は片付けついでに、少し本を処分しようかと思っています。

身を切られるような思い!

…これがいけないのか。
除夜の鐘で、少し煩悩を減らしてこようかな。




自意識過剰

2008-12-18 19:30:00 | 本と日常
一日に同じスーパーへ2度買い物に行きました。

2度目は時間帯値引きのお弁当を買いに行ったのです。

当然のように、同じ店員さんが働いています。

一度目とは違う店員さんのいるレジに並んでお金を払いました。

恥ずかしいわけじゃないです!
恥ずかしいわけじゃないんです!

あ、足が勝手に…

値引きされたお弁当。

美味しくいただきました。






十二月の名言集

2008-12-17 19:11:00 | 本と日常
君主たる者は、何より人民の生活の安定を心がけなければならない。(中略)

身の破滅を招くのは、他でもない、その者自身の欲望が原因なのだ。

いつも山海の珍味を食べ、音楽や女に溺れるなら、

欲望の対象は果てしなく広がり、それに要する費用も莫大なものになる。

これでは、肝心の政治に身が入らなくなり、人民を苦しみに陥れるだけだ。

その上、君主が道理に合わぬことをひと言でも言えば、

人民の心はバラバラになり、反乱を企てる者も出てこよう。





          ―「貞観政要」―




『パットお嬢さん』

2008-12-12 19:41:00 | 本と日常
ちょっと病院に行って来ました。

風邪が流行っていますね。病院内でもマスクをした人ばかり。

母親に向って、ずっとおしゃべりしている男の子がいたのですが、この子もひどい風邪。

時々鼻水がノドにつまるらしくて(尾篭な話でスミマセン)、つらそうに咳き込むのですが、おしゃべりはいっこうに止まる様子がありません。

いったいどれだけしゃべりたいことがあるんだ!?(笑)

風邪なんてどこ吹く風、母親と話をすることが嬉しそうでした☆

私自身はたいした病気じゃないので、待合室で読書。

今読んでいるのはモンゴメリの*(キラキラ)*『銀の森のパット』*(キラキラ)*

舞台はプリンス・エドワード島の「銀の森屋敷」

赤ちゃんがパセリ畑で採れると魔女の血を引く(!)ジュディおばちゃんに教えられた8才のパットが可笑しいです♪

赤ちゃんが家族に加わるというので、1歳上の大好きな兄に、「わたしよりその子のことを好きになったりしないでね…」とお願いしたり☆

続編の『パットお嬢さん』も探しているのですが、なかなか手に入りません。

その日の夕方、スーパーへ行ったのですが、目についたのが二人連れの女子高校生。

買い物カゴも持たずに通路をブラブラ。

そして思いついたかのように、あっちでパク。こっちでパク。

なんと、試食コーナーの”はしご”をしているのです!

あつかましい? それともしっかり者なのかな?(笑)

夕食のおかずにイカを1杯買って帰って来ました。

美味しかった☆


忘年会

2008-12-09 19:35:00 | 本と日常
そろそろ忘年会の時期ですね。

我が社でも月末に予定しているのですが、各自自由参加で会費3,000円。

忘年会の当日もギリギリまで仕事して、翌朝はいつも通り午前8時出社だそうです。

…何もかも忘れて騒ぐってわけにはいかなそう。

「会費ぐらい払ってやるよっていう上司はいないのか!?」

と誰かが叫んでいましたが、うちの上司は飲み会でも一度もおごってくれたことはありません。

それどころか真っ先に家に帰るマイホームパパ。

娘の七五三の写真を会社のプリンターを使って印刷していました。

…いいんですけどね。
家族を愛しているんでしょうから。

毎年クリスマスの時期になると、会社からクリスマスケーキが支給されていたのですが、今年からそれも無くなりました。

地味に不景気の波が押し寄せています。

地味すぎてかえって悲しくなります。




 人はケチであっても浪費家であってもならない。

 気前が良いのでなければならない。


            ―アリストテレス「ニコマコス倫理学」―