私的図書館

本好き人の365日

『乙嫁語り』

2009-10-31 02:10:00 | 本と日常
中央アジアって興味ありますか?

森薫さんのマンガ、

*(キラキラ)*『乙嫁語り』*(キラキラ)*

を読みました♪

アニメ化もされた19世紀イギリスを舞台にした『エマ』の作者による最新作。

その第1巻。

今回は、中央アジア、ユーラシアを舞台にした年の差カップルの物語☆

遊牧民族に民族衣装、絨毯に絨毯に絨毯(笑)といったこだわりの作品です。

山を越えて遠くの村から馬に乗ってやって来た花嫁は20歳。

そしてそのお相手、花婿は8歳年下の12歳(!)

しょ、正太郎!?(意味不明)

舞台が19世紀ということもありますが、20歳の花嫁アミルはこの時点ですでに「オールド・ミス」。

歳のいった花嫁という扱いです(苦笑)

ま、日本でも「15で姉やは嫁にゆき~♪」っていいますからね。

アミルの実家と嫁ぎ先の家との部族対立みたいな構図も描かれていますが、とりあえず今のところはアミルは「いい嫁」で、中央アジアのコーカサス地方の日常風景が、細々と、ものすごく力を入れて描かれています。

美しい模様の織り込まれた絨毯(じゅうたん)や、織物。
細かな刺繍を施された壁掛けに、耳飾りジャラジャラの美しい装身具。

本当、描くのが楽しそう♪

アミルの実家は夏の間だけ遊牧して暮らしているという設定なので、馬に乗るシーンもたくさん出て来ます。

一応ティルク系民族やウズベキスタン、トルクメニスタンあたりがモデルになっているようですが、あまり日本ではなじみのない地域なので、その生活様式を見ているだけで面白い。

文字だけの情報だと、とっつきにくい印象があるのに、どうして漫画だとこう親近感を持ててしまうんでしょうね☆

この先の展開が楽しみです。

今月は他に、『陰陽師』などの作品も描かれている、マンガ家、岡野玲子さんの、

*(キラキラ)*『コーリング』*(キラキラ)*

を読みました。

白泉社文庫版、全3巻です。

これはイギリスの作家パトリシア・A・マキリップの『妖女サイベルの呼び声』をマンガ化した作品。

原作が大好きで、マンガ化もされていることは知っていましたが、今回思い切って全巻そろえてしまいました。

岡野玲子さんの絵が幻想的で、原作のイメージにとっても合っていました♪

物語は山奥の城で1人伝説に語られる幻獣たちと暮らす若き魔女、サイベルの元に赤子を抱えた1人の騎士がやって来るところから始まります。

偉大な魔術師だった祖父や父から、心(マインド)に語りかけて幻獣たちを引き寄せる術を習い、知恵あるイノシシや、偉大なライオン、夜の貴婦人と呼ばれる猫や巨大な竜まで従えるサイベルですが、人間たちの中で翻弄され、愛を知って苦しむことに…

原作をなぞりながらも、岡野玲子さん独特の世界観と合わさって、魅力的なサイベルが描かれていました。

でもやっぱり、文字の魅力というものもありますね。

私は原作のサイベルのイメージが強烈で好きです。

想像の余地があるだけ女性が魅力的に見えてしまっているのでしょうか?(苦笑)

岡野玲子さんが表紙を描いた原作『妖女サイベルの呼び声』の新カバーバージョンもハヤカワ文庫さんから発売されているそうです。

作品が発表されてからもう30年以上経つのにファンとしては嬉しいな☆




泣いたカラス

2009-10-26 23:59:00 | 本と日常
病院の待合室でソファーに座っていると、診察室の中から火がついたように泣く小さな女の子の声が聞こえて来ました。

(あぁ、注射でも打たれたのかな)


と、病院ではよくあることなので、微笑ましく聞き流していたのですが、しばらくたってもその声が治まりません。

それどころか、泣き声はますます高まり、しかも時折物が倒れる音まで聞こえてきます。

そのうち、弟らしき男の子が看護師さんに抱きかかえられて外に出て来ました。

どうやら、お姉ちゃんがあまりに激しく泣くので、つられて泣き出してしまったようなのです…

どんだけ嫌がってるんだ?

そんな騒ぎがなんと5分以上続いたでしょうか。

初めは苦笑していた看護師さんたちも、ちょっとアタフタしだした頃、その当の本人がグッタリした母親に連れられて診察室から出て来ました。

これがあんな大声を出していたとは思えないケロッとした顔をして、開口一番言ったセリフが…

「あたしよく我慢したよね♪」

「◯◯ちゃん大騒ぎしてママ疲れたわ」

「だって本当に怖かったんだもん♪」

笑顔でそう言った女の子は、待合室に置いてある絵本を何食わぬ顔で読み始めました。

疲れ果てた感じのお母さんは、まだ鼻をすすっている息子を抱えてソファーにドッサリ。

………女の子ってこんなに小さくても女の子なんだなぁ。(しみじみ)

お母さん、お医者さん、看護師の皆さん、お疲れ様でした。

子育てって大変。



会話の魅力

2009-10-24 23:59:00 | 本と日常
このところ講演を聴く機会に恵まれていて、今回は脳科学者の茂木健一郎さんの講演を聴いて来ました。

テレビ番組に出演したり、多くの著書もある方で、私も本を読ませてもらったり、テレビで拝見したりしていたのでどんな話が聴けるか興味があったんです。

実物もやっぱり、アノもじゃもじゃ頭でした♪

内容は笑いながら「インターネットに書きこまないでね」と前置きしてから色々と番組の裏側や日本の大学の実態も教えてもらったので、ここでは書きませんが…

すごく面白かったです☆

白洲次郎のお孫さんと交友があるとか、いかに受験を乗り越えてきたかとか(東京大学、同大学院卒業)、半分自慢話を交えながら、うまく聴衆の興味を引き付け、脳の活用法を教えて下さいました。

婚活(結婚活動)についての話もされていましたが、帰って来てからたまたま見たテレビ番組(再放送)に茂木先生が出演されていて、講演とまったく同じことをしゃべっていたのには笑いました♪

使い回しが利くなんて、いい商売だなぁ(笑)

テレビ番組で公開されていたことだけ書きますと、男女関係だけではなく、コミュニケーション一般で大切なことは、いかに短時間で相手と打ち解ける能力を研くか。

あなたのことに興味があります、といかにアピールするか。

また会いたい、と人に思わせる人物の魅力について語ってみえました。

その中で、元首相の田中角栄さんの逸話が面白かったので、それだけ書こうと思います。

人の名前を覚えていることで有名だった田中角栄氏。

そんな彼がどうしても名前が思い出せない時に使った手段だそうです。

まず、相手と握手をしながらこっそり「思い出せんのだが名前は何だったかな」と直球で訊ねる。

相手が「佐藤です」と答えるとすかさず「そんなことはわかっている。下の名前だよ」と応える。


♪♪♪♪♪


この後、多分ですが「おお、そうだったそうだった」と、さも上の名前は覚えていた風で会話を続けるんでしょうね。

会話ってあなどれないなぁ。



知ることで人間は変化する

2009-10-22 00:32:00 | 本と日常
先日、養老孟司さんの講演を聴く機会がありました。

『バカの壁』などの著書でも有名な解剖学者さん。

昔からファンで、本も何冊か読ませてもらっていたので楽しみにしていたんですよね。

「知ることで人間は変わる」ということを、解剖学者さんらしいアプローチで説明してみえたのには、すごく納得したものです。

実際に会えるなんてラッキー♪

生(なま)養老孟司、見て来ました☆

けっこう毒舌で、笑いを織り交ぜての話のもって行き方は、さすが長年大学生を相手にしてきた先生といった感じ。

でも聴衆を引き付けたのは、やっぱりその講演の内容でした。

 犬や猫は言葉を理解しない。

 名前を呼ばれて振り向くのは、「シロ」という言葉に反応しているんじゃなくて、その声の持ち主に反応しているだけ。

 動物はみな絶対音感を持っていて、犬にとっては男性の低い声でしゃべる「シロ」という音と、女性の高い声の「シロ」という音は、まったく違う音として聞こえる。

 その証拠に他の言葉で呼んでも犬は振り向く。

 人間は耳から入った違う音の高さを持つ「シロ」という言葉を、一つの”同じ”意味なんだと脳が変換するから理解できる。

すごく大雑把に説明するとこんな感じでした☆

動物と同じように、人間の赤ちゃんも生まれた時には絶対音感を持っているそうです。

でも、お父さんとお母さんが呼ぶ自分の名前が別々の音に聞こえたらややこしいので、しだいに脳が学習して、”同じ”ということにしてしまっている。

だから例えば「りんご」と「アップル」という耳から入ってくる音(情報)はまったく違うのに、学習すれば脳はこれが”同じ”果物の名称を指すことが理解できるのです。

高校で習う数学の方程式。
x=1 だとか、 x = y って、x と yは別々の形として目には映るのに、脳が”同じ”と理解させる。(…私はなかなか理解できなかったけど)

これの最たる物がお金の概念。

あんな金属や紙切れが、食糧や品物と”同じ”価値があると思い込めるのは、人間だけなんだそうです。

動物は物々交換さえできない。

人間の脳は”同じ”にする働きを持っている。

だから、人間は相手の立場になって考えることができる。

自分が相手と”同じ”だと変換することができる。

そこが他の動物との違いだとおっしゃられていました。

でも実はここまでが前置き。

これには落とし穴があって、人間がつい”同じ”だと感じてしまうのは、あくまで人間の脳の働きであって、現実は”違う”ということ。

長年連れ添って来た夫婦は、お互い毎日同じ物を見ていると思いがちですが、そんなことは全然ない。

その日その日の感情や気分は態度や顔色に表れているはずなのに、人間はついつい昨日と”同じ”だと思ってしまう。

この”違い”に気が付く能力は、大人よりも子供の方が優れているそうです。

目や耳や感覚は外の世界の”違い”を知らせてくれます。

田んぼの泥の中を歩くにはどうしたらいいか?

スキーをうまくすべるにはどのような体重移動が必要か?

こればっかりは体験してみないとわからない。

毎日同じ硬さのアスファルトの上を歩いているだけじゃ”違い”はわからない。

転んだりすべったりしながら、硬い地面ややわらかい地面、斜面や泥を踏みしめて、ようやく人は歩くことが出来るようになる。

脳には知識だけじゃなくて、こういう体から入ってくる情報(インプット)がないと、体を動かしようがない。(アウトプットできない)

ようするに、脳だけにまかせておいたら、毎日が”同じ”だとか、人間はみんな”同じ”だとか考えるようになるってことでしょうか。(脳ってそういうものだからしょうがない)

同じ日は二度と来ないし、人間だって1年もたてば細胞のほとんどは入れ変わってしまって1年前の自分なんてほとんど残っていないのに。

子供たちはこの”違い”のわかる能力を伸ばすためにもいろいろな(体を動かす)体験が必要だし、大人はこれ以上退化しないための努力が必要…

そんな感じで受け止めました。

他にも興味深い話がたくさんあって、講演の時間はあっという間に過ぎてしまいました。

すごく面白かったです♪

音痴の人の定義というのがあって、

「まったく違う音程で歌っていてもそれが”同じ”歌だと信じて歌い続ける人」

なんだそうです(笑)

とっても楽しい時間を過ごせました☆






「ドラゴンクエストⅨ 天空の守り人」

2009-10-20 23:59:00 | 本と日常
しばらく更新していませんでしたが、日常に何か事件が起きたわけでもドラマチックな展開があったわけでもありません。

…そうだったらよかったのに。

会社でちょっとした事で表彰してもらい、奨励金をもらったので、そのお金で任天堂の携帯ゲーム機、ニンテンドーDSiと「ドラゴンクエストⅨ」を買ってしまったのです。

そう、ゲームしてました。

すごく反省。

ま、もちろんそれだけをしていたわけじゃありませんけどね。

「ドラゴンクエスト」というのは、自分が主人公になって、仲間と一緒にモンスターを倒してクエストをクリアーして行くゲーム。

ファミコン時代に人気が出て社会現象にまでなりました。

今回はその9作品目。

そんなにゲームには詳しくないので、技術的なことはわかりませんが、物語のシナリオとしてはあまり夢中になれない…

両親を亡くした女の子が1人で立派に生きて行くと父親の幽霊の前で決意するシーンがあるのですが、それを見守る幼なじみの男の子が、

「でもあんなこと言ったって女の子なんだから、俺が守ってやるんだ」

みたいなことを主人公(プレイヤー)につぶやくのです。

もうこれでダメ。

何で女の子だからって守られなきゃならないんだ!

1人で立派に生きていったっていいじゃないか!

とジェンダーが騒ぎ出してしまうんです(苦笑)

製作者はきっと男で年下だな…

こうやって子供たちの価値観って作られてしまうんだろうな、とゲームしながらついつい考えてしまいました。

ちょっと大袈裟ですけどね。

人気があるゲームだけに、シナリオにも凝って欲しかったなぁ。

ま、ゲームは息抜き程度でやるのがちょうどいいです。


『魔女の宅急便 その6 それぞれの旅立ち』

2009-10-11 02:18:00 | 本と日常
本屋さんで店員さんに聞きました。

「角野栄子の魔女の宅急便の最新刊はありますか? 10月7日に発売されたはずなんですが」

「調べてみます。それって全部文字の本ですか?」

「………そうですけど」

店員のお兄さん、「全部文字の本」って、他に聞きようはなかったの?

映画版が有名だから、そういう聞き方になったのかも知れないけれど、なんだかもうガッカリです。

これがシリーズ最終巻だっていうのに、せめて本屋の店員さんならすぐにピンとこないと…

私の中では今年ベスト3に入るくらいの出来事なのに…

ま、こんなこと勝手に期待されても本屋さんも困るでしょうけど☆

結局、その本屋さんには置いてなくて、別の本屋さんで買いました。

本を抱えて家に着くまでが長かった。

ドキドキしながら読みました。

角野栄子さんの「魔女の宅急便」シリーズ最終巻、


*(キラキラ)*『魔女の宅急便 その6 それぞれの旅立ち』*(キラキラ)*


魔女は十三歳になったら一人で住む町をさがして一年間その町で暮らさなければならない。

一人前の魔女になるために、満月の夜、黒猫のジジと共に旅立った十三歳の少女、キキの物語。

ホウキに乗って空を飛ぶことしかできないキキは、コリコの町でパン屋さんの粉置き場の2階に住み着き、宅急便の仕事をはじめます。

それが第1巻。

この第6巻。
最終巻ではキキは結婚して双子の母親になり、今度は自分の子供たちの十三歳の旅立ちを見送る側にまわります。

待ってたんですよね、最終巻が発売されるのを!

なんてったって前の5巻の終り方が、「次のお話はキキが結婚した十三年後から始まります」って終り方だったので。

自分が母親に言われていたのと同じセリフを子供たちに言っているキキ♪

子供たちには自由に自分の好きな道を選んで欲しいと思うキキですが、「魔女の旅立ち」の十三歳が迫ると、やっぱり不安になったりちょっぴり期待したり。

子供たちとキキの距離感。

姉と弟の双子の距離感がすごくよくて、読んでいて引き込まれてしまいました☆

「自分のことは自分で決める」

簡単なようで、これがけっこう難しい。

とにかく、今回はキキの子供たちです!

この双子を登場させてくれた角野栄子さんに感謝♪

双子といってもまったく違う二人で、それぞれにキキを心配させ、それぞれに自分の道を見つけて行きます。

特に、女の子しか魔女になれないってことが大問題!

母親になっても、子供たちにたしなめられたりして、相変わらずのキキも楽しいです☆

自分だってホウキにラジオをぶら下げたりと、かなり変わった魔女だったくせに、「現代っ子」の子供たちに手を焼く姿は親にならないとわからない苦労なのかも(苦笑)

大事なのは目に見えることだけじゃない…

すごく満足して読み終えました♪

やっぱりいいな、このシリーズ。

角野栄子さん、シリーズ完結おめでとうございます。

そしてありがとうございました。

この本からはいろいろと大切なことを学びました。

キキの物語はこれが最終巻ですが、また「別のお話」を期待しています☆



逢いたくて

2009-10-08 23:59:00 | 本と日常
            
「逢いたくて逢わずにしまう人は沢山ある。」



森鷗外の随想『長谷川辰之助』という文章はこんな書き出しで始まる。

長谷川辰之助というのは、作家、二葉亭四迷の本名。

…本当にそうだ。

逢いたいのに、相手の都合をいろいろ考えてしまい、結局変な遠慮をして自分からは逢いに行かない。

二度と逢えないかも知れないのに。

この遠慮ってやつはやっかいだな。



新しい出会い

2009-10-06 07:32:00 | 本と日常
会社で新しい部署に配属されました。

といっても1ヵ月だけの応援部隊です。

新参者に親しく話しかけてくれる人。
完全に無視している人。
こちらが話しかけるのを待っている人、と対応も様々。

職場の派閥関係も何となくわかってきました(苦笑)

新しい出会いに期待したいところですが、1ヵ月じゃ難しいかな?

ま、新しい環境を楽しみたいと思います。

最近読んだ本は、菊池秀行さんの「吸血鬼ハンターD」シリーズの第21巻、

*(キラキラ)*『D-魔性馬車』*(キラキラ)*

耽美的鮮血ホラー剣劇(…こんなジャンルはありません)の迫力は相変わらず☆

”貴族”と呼ばれる吸血鬼を狩る漆黒のハンター、「D」がカッコイイです。

今月はいよいよ角野栄子さんの『魔女の宅急便』の最終巻が発売されるので、それも楽しみ♪

あらすじは公開されているので書いちゃいますが、主人公キキの双子の子供たちが、「魔女の修行」のために旅立ちを迎える…というものらしいです。

あぁ、早く読みたい!