私的図書館

本好き人の365日

七月の名言集

2006-07-31 17:21:00 | 本と日常

明らかだと思われるのは、

幸福になろうと欲しないならば、

幸福になることは不可能だということである。

それゆえ、

自分の幸福を欲し、

それをつくらなければならない。









               ―アラン「幸福論」―






『ゲド戦記』公開記念スペシャル!

2006-07-29 12:55:00 | ゲド戦記

いよいよジブリ映画『ゲド戦記』が公開されましたね♪

絶対観に行きます!

ジブリ作品ってこともありますが、『ゲド戦記』のファンだから☆

映画化で原作の『ゲド戦記』が注目されることが嬉しい♪

テレビでは『ゲド戦記』のことを『指輪物語』や『ナルニア国ものがたり』に並ぶ三大ファンタジー、なんて紹介していますが、そんなこと初めて聞いたなぁ(笑)

だったらもっと早く取り上げてくれれば良かったのに☆

原作『ゲド戦記』は美辞麗句をそぎ落としたシンプルな文章が魅力!

派手な戦いも、悪の魔王も、勇者や正義の味方も登場しないけれど、だからこそ、登場人物たちがすごく身近に感じられます。

すべてのものに”真の名”が存在する『ゲド戦記』の世界。

木々や草花、物言わぬ石ころから、羊やヤギといった動物たち、そしてもちろん人間にも、普段呼び合っている名前とは別に、そのもの本来の”本当の名前”というものがあるのです。

『ゲド戦記』では、その”真の名”を知る者が魔法使いとして登場しますが、それは不思議な力を操る者、というよりも、私たちを包んでいる皮膚や血肉を通り抜け、魂そのものとなったその存在に優しく語りかけて協力を求めるようなもの。

そこには一種の精神の一体感のようなものがあります。

もっとも、そんな魔法使いばかりではなく、強制的に相手を支配しようとする者もいて、それが様々なゆがみを生じさせるわけですが、それは視点を変えれば、自分自身についても言えること。

自分自身の心の声に耳を傾けず、自分を偽り偽者の名前を名乗る者は、やがて自分自身のせいでゆがんでしまうのではないでしょうか。

この”真の名”に代表される世界観に加え、『ゲド戦記』に登場する人物は、これまたみんな魅力的♪

主人公のゲドが救い出す異国の少女も、役柄からいって当然ヒロインになるべきところなのに、浮世離れした人物にはせず、ちゃんと結婚させて子供も産ませ、主婦として生きたのちに、年老いたゲドとようやくいっしょにさせたりする☆

ゲド自身にしたって、数々の冒険をこなし、大賢人にまでなるのに、生まれ故郷で畑や家畜の世話をしながら愛する人と静かに暮らす生活を選ぶあたり、とても一般的なファンタジーの主人公とは思えない。
(しかも物語のクライマックス、家で待ってるだけ!)

でも、これが『ゲド戦記』らしいところ。

みんなちゃんと大地にしっかり足がついている☆

この年とってからのゲドがまたシブくてイイんです♪

映画は映画で楽しみだけれど、この機会にぜひ原作の『ゲド戦記』にも触れて欲しい。

そして一人でもファンが増えたら嬉しいな(^^)





七月の本棚 2 『十五少年漂流記』

2006-07-28 13:14:00 | 児童文学

今回は、夏休みにピッタリ!

十五人の少年が流れついた無人島で、知恵と勇気によって生き抜いていく冒険小説!!

ジュール・ヴェルヌの『十五少年漂流記』をご紹介します☆

あなたは最近、知恵と勇気使ってますか?

ヴェルヌといえば、ネモ船長の出てくる『海底二万里』や、『八十日間世界一周』などが有名ですよね♪

中でも子供のために書かれた、この『十五少年漂流記』は、日本では明治時代にすでに日本語に翻訳され、それ以来、たくさんの少年少女、大人たちに受け入れられてきました。

100年以上前に書かれた小説ですが、今読んでも全然退屈じゃありません。
それどころか、大人になって読むと、また新鮮なワクワク感を感じることが出来て、しばし少年の心に戻れました(笑)

秘密基地で遊んだことあります?
あの時のワクワク感に似てます(^^)

「あとがき」によると、ヴェルヌは若い時、自分の書いた原稿をすげなく出版社に突き返され(その時はまだ小説ではなく、飛行船旅行の可能性について真面目に書いたものでした)、怒ってその原稿をストーブの中に投げ込んでしまったのだそうです。

それを火傷の危険をおかして慌てて火の中から拾い出したのが、当時新婚ホヤホヤだったヴェルヌの奥さんで、その原稿を彼女のすすめで他の出版社に送ったところ、何社目かで、「小説に書きなおしてみないか」と言われ、それがきっかけで小説を書くようになったんだとか。

この奥さんがいなかったら、ヴェルヌの名作の数々は、世に出ることも、書かれることさえなかったんです。

そう考えると、つくづく偉大な女性ですよね♪

さてさて、肝心のストーリーです。

この物語に登場する少年たちは、ほとんどがニュージーランドの寄宿学校に通う生徒たち。

上は14才から下は8才まで。
しかも、アメリカ、イギリス、フランスと、出身も様々。

この年齢のわずかな差や、出身の違いが、のちに大きな障害になるのですが、それはもっとあとのお話。

地球の南半球にあるニュージーランドでは、季節が日本とは逆さまなので、夏休みは二月から始まります。

学校に通う生徒のお父さんが、自分の所有する船で、少年たちを夏の船旅に招待したまでは良かったのですが、大人がみんな船を降りているちょっとしたすきに、天の采配か誰かのイタズラか、船を港につないでいたロープがスルスルとほどけてしまい、なんと14人の生徒と、船の使用人である黒人の少年1人を乗せて、船は大きくひろがる太平洋へ!

ここから、十五人の少年の家に帰るまでの長い長い冒険が始まります。

嵐の海で船をあやつる4人の年長の少年たち。
船の中の年下の少年たちをなんとか安心させながら、なんとか船を進ませようとするのですが、子供の力では波に逆らって舵を動かすこともできず、風に流されるまま。

奮戦もむなしく、船は方角もわからない見知らぬ海へと流されてしまいます。

やがて霧の向こうに陸を見つける少年たち。

しかしそこは、誰も住んでいない無人島だったのです。

マストが折れ、傷ついた船から使えるものだけ降ろした少年たちは、この島での生活を余儀なくされます。

洞穴の岩をけずって住まいを作り、鳥やアザラシを捕まえる。

たとえ漂流者になっても、ここでの時間を無駄に過ごさないために、小さい子にはちゃんと勉強を教え、日々の出来事を日記に記録し、選挙によってリーダー、彼らが言うところの大統領を選出する子供たちがとっても真面目☆

大きい子が小さい子を教え、小さい子も自分で出来ることを手伝う。

島や湖に名前を付け、地図を作り、仕事を割り当て、一週間の時間割を決める。
もちろん、遊びや読書、みんなで楽しむ時間も忘れません!

島の生活は確かに厳しいけれど、こうして子供たちによる子供たちだけの共和国が誕生します♪

ところが、どこの集団にも自分が注目されないと我慢できないって子はいるもの。

学校では勉強家の優等生で、父親が地元の有力者ということもあっていばっていたイギリス人のドノバンは、フランス人で同い年のブリアンが何かと活躍したり、アメリカ人のゴードンが年上だからって大統領に選ばれたのが気に入らず、なにかと二人と衝突してばかり。

このドノバンとブリアンの対決、そして少年たちの間で芽生えていく友情も、この物語の大きな読みどころです!

やがて夏の終わりと共につらい冬が訪れ…

様々な困難にさらされ、それでも負けずにじっと春を待つ少年たち。

いつか温かくなつかしい我が家に帰れることを願って…

この冒険が始まってからずっと元気のないブリアンの弟、ジャックが抱える誰にも言えない秘密。

ついに自分の仲間と一緒に、ブリアンたちのもとを出て行ってしまうドノバン。

流れ着いた新たな”大人”の漂流者。

前半は無人島で悪戦苦闘しながら、知恵とと工夫で食べ物や住むところを確保する少年たちの活躍が読んでいて実に楽しいです♪

それなのに後半は一転、少年たちの島に悪い大人たちが流れ着き、なんと少年たちに襲い掛かってくる!

武器を持った大人たちに対し、今度は知恵と勇気で立ち向かっていく少年たち!

手に汗握る攻防が続き、少年たちも頑張るのですが、非情な刃が一人の子供を…

その場面ではありませんが、自分たちの力のおよばないことを口惜しがるブリアンの言葉が印象的です。

「なぜ、僕たちは子供なんだろう。大人でなければならない時に」

そして最後は怒涛の展開!!
果たして少年たちは無事、両親の待つニュージーランドに帰れるのか?

でもいったいどうやって?

改めて読み返してみて、こんなに面白いのかとビックリしました*(びっくり2)*

有名な作品だからってあなどれません。
いま読んでも現代の小説にまったく引けを取りません。
久しぶりに一気に読みました♪

夏休みにも入ったから、子供たちにも読んでもらいたいところですが、あえて、お父さん達に読んでもらいたい!

少年時代の胸躍るあの瞬間に立ち戻らせてくれる、そんな一冊ですよ☆











ジュール・ヴェルヌ  著
波多野 完治  訳
新潮文庫






ボーナスの使い道

2006-07-23 23:06:00 | 本と日常
思い切って坊主頭にしてきました。
去年に続いて人生二度目の坊主頭です♪

やっぱり夏はこれが一番涼しいなぁ*(風鈴)*

なんか、いちいち髪型を気にしている自分がすっごく無駄なことをしているような気がして…

たいして変わりゃしないんですよね~

ま、これでまた一つ、余計な荷物が降ろせたかな?

その代わりといっちゃあなんなんですが、ストレス発散もかねて、久しぶりに思う存分本を買ってきました☆

洋服や靴なんて、ぶっちゃけどうでもいいんですよね、とにかく今は本が読みたい*(音符)*

買ってきたのは…

バルザックの、『ゴリオ爺さん』*(キラキラ)*

J・オースティンの、『エマ』*(キラキラ)*

シャーロット・ブロンテの、『ジェイン・エア』(上・下)*(キラキラ)*

エミリー・ブロンテの、『嵐が丘』*(キラキラ)*

ハーディの、『テス』(上・下)*(キラキラ)*

C・C・ベニスンの、『バッキンガム宮殿の殺人』*(キラキラ)*と、『ウィンザー城の秘密』*(キラキラ)*

メルヴィルの、『白鯨』(上・下)*(キラキラ)*

マイクル・ムアコックの、『メルニボネの皇子』*(キラキラ)*

アランの、『幸福論』*(キラキラ)*

星新一の、『妄想銀行』*(キラキラ)*

安彦良和の、『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN』(1巻~7巻)*(キラキラ)*

別冊宝島、『僕たちの好きなゲド戦記』*(キラキラ)*

などなど…

あぁ、重かった*(汗)*

いくらボーナスが出るからって、調子に乗って買いすぎたかな?
でもこれだけ買ってもせいぜい一万円そこそこですからね、ブランド物の品物買うこと考えたら、安い安い*(音符)*(と、自分に言い訳…*(汗)*)

あとは、ゆっくりこの本たちを読む時間さえあれば、言うこと無いんだけど…仕事忙しいし、多分お盆休みまでは眺めていることしかできなさそう…

ま、眺めているのも好きだから、別に構わないけど♪





『エルリック・サーガ』

2006-07-13 22:30:00 | 本と日常
第135回芥川賞・直木賞が発表されましたね♪

芥川賞は伊藤たかみさんの『八月の路上に捨てる』。

直木賞は三浦しをんさんの『まほろ駅前多田便利軒』と、森絵都さんの『風に舞いあがるビニールシート』。

相変わらず、題名からはさっぱり内容がわかりません(笑)

それよりも興味を引かれたのは、芥川賞の伊藤たかみさんが、作家の角田光代さんの旦那さんだという事実!

へぇ~、そうなんだ*(びっくり2)*

夫婦で芥川賞と直木賞を受賞したのか(角田光代さんは132回直木賞作家☆)、う~ん、作家さんが自宅に二人もいるなんてすごいなぁ。

締め切りが二人重なったりしたら誰が家事とかやるんだろう?(余計なお世話?)

作家二人に編集者がイライラしている風景をつい考えてしまいました(笑)
なんとなく、その家いたくないかも(^_^;)

ま、芥川賞だからっていまのところ読む気ないですけど☆

今日買って来た本はマルクル・ムアコックの「エルリック・サーガ」♪
*(キラキラ)*『この世の彼方の海』*(キラキラ)*
*(キラキラ)*『暁の女王マイシュラ』*(キラキラ)*

その刃にかけた相手の魂と生命力を吸い取る魔剣”ストームブリンガー”が登場する物語*(音符)*

前から読みたかったんですよね!
訳は井辻朱美さん☆
あぁ、楽しみ♪

それともう一冊。
こちらは来年映画の公開が決まった、あさのあつこさんの*(キラキラ)*『バッテリーⅤ』*(キラキラ)*

特別書き下ろし短編が付いた文庫版最新刊♪

でも映画化には個人的には反対なんです。
だってやっぱり文章でしか表現できない内容ってあると思うから。
とくに巧。(主人公です☆)
天才ピッチャーって役柄だけど、それを表現するためにCGとかは絶対使って欲しくない。
たんなる野球少年の物語じゃないんだから。

ま、映画はともかく、本編の方は楽しみに読みます♪

青波(巧の弟です☆)のファンなので出番が多いといいな*(ハート3つ)*






証明写真

2006-07-10 16:50:00 | 本と日常
ちょっとパスポートを作ることになり、写真を撮って来ました。

始めはよくある証明写真の自動販売機(?)で撮ろうと思ったのですが、探すとなかなか見つかりません。

前に置いてあったコンビニをあてにしていたのに、いつの間にかなくなってるし…

めったに利用しないってこともあるのですが、改めて探してみると前あったところに全然ない!

それとともに、よく見ると町が知らない間にいろいろ変化していることにも気が付きました。

昔あったお店が別のお店になっていたり。
もはや建物さえなく、ぽっかり空き地が口を開けていたり。
見知らぬ他人行儀なマンションが建っていたり。

何だか考えさせられるなぁ~

とはいえ、そんなにしんみりしているヒマもないので、しょうがないので町の写真屋さんに飛び込んで写真撮影。

お店の片隅のセットみたいなところで、すまして写真を撮ってもらって来ました。

なんか久しぶりの写真屋さんでした。

それにしても相変わらず写真写りの悪い…
しかも値段が高!

自動写真機(?)の倍は取られました。

しかも、追い討ちをかけるように、そこからちょっと離れたスーパーに買い物に行くと、なんとその店先にあるじゃないですか、証明写真の自動撮影ボックス!!

そりゃあないよ~

いっきに力が抜けました。

なんなの、いったい?!



七月の本棚 『秘密の花園』

2006-07-09 19:22:00 | 本と日常
子供にとって大切なものってなんでしょう?

ちょっと厳しいけれど頼りがいのある父親?
どんな時でも必ず自分を受け入れてくれる、そんな優しい母親?

それとも立派な教育?
やっぱり周りの環境?
何でも手に入れることのできる家庭の経済力?

さて、今回ご紹介する本は、題名だけならもうみなさんご存知だと思います♪

父も母も亡くし、甘やかされるだけ甘やかされて育てられ、生まれ故郷のインドから大嫌いなイギリスに渡って来た、とっても裕福だけど、とってもつむじまがりで自分勝手なメアリーお嬢様の登場する物語。

フランシス・エリザ・ホジスン・バーネットの『秘密の花園』です☆

子供たちが美しい自然の中で陽気に笑う、そんな物語になっています*(音符)*

主人公のメアリーはインド生まれ。
家は裕福で何人もの召使いを雇うほどなのですが、小さな女の子なんてちっとも欲しくなかったメアリーのお母さんは、メアリーのことなんてインド人の乳母にまかせっきりで、自分はパーティー三昧の日々。

とにかく奥様のご機嫌をとりたい召使いたちは、メアリーに大人しくしていてもらおうと甘やかし放題。
メアリーもそれが当たり前だと思っているので、自分のわがままさ加減にも気が付きません。

ところが、突然のはやり病で、召使いや乳母はおろか、メアリーの両親までもがあっけなく死んでしまいます。

忘れられたかのように一人子供部屋にいるところを見つけられたメアリー。

やがて彼女は、イギリスのヨークシャーに住むという伯父の屋敷に引き取られることになるのですが、もちろんメアリーは会ったことすらありません。

ヒースの生えるムーアと呼ばれる荒地がどこまでも広がるイギリスの片田舎。

待っていたのは数え切れない程の部屋が並ぶ大きなお屋敷と、どこか影のある伯父。

しかもメアリーの世話をするのは、ヨークシャーなまりの強い、自分の弟や妹と同じようにメアリーを扱う田舎娘のマーサただひとりだというのです。

メアリーが一人では何もできないことに驚くマーサ。

両親に愛されることなく、いつも邪魔者あつかいされてきたメアリーは、このお屋敷でも結局居場所はありません。

ブラブラと広い庭園を歩くうち、変わり者の老人、園丁のベン・ウェザースタッフと出会ったり、コマドリにジロジロ見られたり。

そしていつしか、レンガ壁に囲まれた、どこにも入口にない不思議な花園を見つけるメアリー…

作者のバーネット自身も、幼い時に父親を亡くし、家も破産してしまってアメリカの伯父さんを頼って海を渡っています。

バーネットがメアリーのようにつむじまがりだったかどうかはわかりませんが、たどり着いた先の伯父さんの家も破産してしまったそうなので、かなり苦労はしたみたいです。

もっとも、彼女の場合は存命中に本が売れて有名になり、故郷イギリスで別荘を借りて住んだりしていましたので、それなりにハッピーエンドだったのかも☆

家計を助けるために書き始めたという小説。
『小公子』や『小公女』という名作も、そのような体験をもとに書かれたんでしょうね♪

やせっぽちで顔色が悪く、何から何まで召使いたちにやってもらっていたメアリー。

自分で服を着たこともない彼女は、マーサに鍛えられ、なんとか自分で服も着られるようになり、その弟で(彼女には11人もの弟妹がいます*(星)*)荒地の動物達と仲良しのディコンから、動物のこと、植物や荒地の自然について、色々なことを学んでいきます。

夜な夜な泣き声が聞こえてくる不思議な部屋。
ちっとも家に寄りつかない伯父さま。
10年も閉ざされたままだという「秘密の花園」☆

見捨てられた花園の花たちのために、なれない手つきで世話をしようとするメアリー。

花に水をやり、雑草を抜き、土を堀り起こす。
その度に小さな緑の芽は大きくなり、元気になっていく!

自分の仕事と居場所をみつけ、自分が必要とされていることの喜びに目覚めていくメアリーの変わりよう♪

植物にくわしいディコンに助けられたり、病身のいとこ、コリンとの出会いがあったりして、しだいに顔色も良くなり、体もふっくら子供らしくなっていくメアリー*(ハート3つ)*

いつしか、「秘密の花園」は三人の子供たちにとってなくてはならない存在となっていきます☆

車椅子に乗らなければ外出できないコリン。
メアリーに負けず劣らず(なんたって親戚ですから☆)わがままに育ったコリンでしたが、メアリー同様、自然の美しさに囲まれ、動物や二人の友達とすごすうちに、しだいに子供らしさを取り戻していきます。

実は彼もある悲劇が原因で、父親に疎んじられてきたのでした。

よく働き、よく遊ぶ子供たちは、食欲も旺盛*(音符)*

あんなにオートミールを嫌がっていたメアリーが、おかわりまでするんだから、マーサの驚きようったらありません。

あんまりよく食べると「秘密の花園」のことがバレるのでは、と心配して食べたいご飯を我慢するメアリーとコリンが可愛い*(ハート3つ)*

そんな時、ディコンのお母さんがしぼりたての牛乳と焼きたてのパンを差し入れしてくれるのですが、これがとっても美味しそうなんですよね☆

実は、この「花園」は、コリンのお母さん、つまりメアリーを引き取ってくれた伯父さんの奥さんが、若くして亡くなるきっかけとなった場所でした。

それ以来、妻の面影を息子の、コリンの中に見るのが忍びなくて、伯父さんは家に寄りつかなかったのです。

「花園」を愛してやまない子供たちは、やがて、この伯父の凍ったハートにも、変化をもたらすことになります。

う~ん、自然描写の臨場感あふれる描写や、子供たちの生き生きと様子もこの小説の見どころなんですが、この伯父様と亡くなった奥さん、そしてコリンの物語もすごくいいんですよね*(音符)*

細かく説明したいのは山々ですが、そこはやっぱりご自身の目でお確かめ下さい♪

どんな環境に生きようと、子供たちに必要なのは、自分を必要としてくれる場所と、いっしょに駆け回り、笑うことのできる友達なのではないでしょうか。

子供って案外、生きる力を自分の内に秘めているものなんですよ。

…大人が奪い去ってしまわないかぎり。

そんな風に、この小説を読んで思いました。

メアリーが、コリンが、ディコンが、思いっきり笑っている場面のなんと愉快なこと♪

読んでいると、こちらまで元気になってきます*(びっくり2)*

たくさんの花や植物、動物たちも登場するイギリスを舞台にした素敵な物語!
ガーデニング好きな方にもたまらない内容になっていますよ♪

ぜひ、機会があったらお手に取ってみて下さい。

オススメです☆







バーネット  著
龍口 直太郎  訳
新潮文庫







星に願いを

2006-07-07 22:32:00 | 本と日常
ジブリの最新映画、『ゲド戦記』が、つ、い、に、完成しましたね*(音符)*

先日行なわれた完成披露試写会の様子をTVで見ました!

菅原文太さんのゲドの声、シブい*(びっくり2)*

今回は本編五巻と、外伝一巻からなる原作のうち、主に若き王子アレン(映画での声はV6の岡田くん♪)が登場する第三巻をメインにするみたいですけど、予告編を観た感じでは、かなりオリジナルなストーリーになっているみたい。

原作ファンとしては複雑な気持だけれど、アースシーの世界をどこまで再現してくれるのかやっぱり楽しみ☆

テハヌー(顔に火傷の跡がある少女です)は原作の後半では、『ゲド戦記』そのものの鍵を握る存在として描かれているので、彼女がどうアレンと絡んでくるのかが気になるところ。

この日記、「私的図書館」の中でも原作の『ゲド戦記』については何度か取り上げているので、もし興味のある方がいらっしゃったら、どうぞ(^^)

http://page.cafe.ocn.ne.jp/profile/hawk/diary/200505

http://page.cafe.ocn.ne.jp/profile/hawk/diary/200306

それにしても、『指輪物語』に『ハウルの動く城』、『ナルニア国ものがたり』に今回の『ゲド戦記』と、大好きな作品が次々と映画化されるのはホントに嬉しい*(音符)*

ここまできたら、次はどんな作品が映画化してもらえるんだろう*(ハート)*(←勝手な思い込み)

やっぱりジブリで映画化して欲しいのは『プリデイン物語』かな☆

豚飼育補佐の少年タランが活躍する物語♪

神託を下すという豚も登場するし、巨大な山猫のリーアンなんてまるで猫バス、怪鳥ギセントなんて、『未来少年コナン』に似たような名前の空中戦艦が出てたと思ったけど。

おしゃべり好きの王女様、エイロヌイや、放浪クセのある王様、フルダー・フラムの動く姿が見てみたい*(びっくり2)*

あと『魔女の宅急便』路線なら、表紙を宮崎駿監督が描いていた『惑星カレスの魔女』☆

舞台を宇宙に移したスペース・オペラだけど、三人の元気な魔女たちのアニメは絶対面白いって♪

『もののけ姫』でいくなら荻原規子さんの『空色勾玉』シリーズがうってつけだし、一転『トトロ』や『赤毛のアン』なんかの雰囲気を狙うなら『リンバロストの乙女』がピッタシ!!

あぁ、どれも映画にしたら必ず儲かると思うんだけどなぁ~

折りしも今日は七夕。
かなわぬ願いと知りつつも、一縷の望みをかけて星に願いを…

曇ってますけど(苦笑)





愚かなる生き物

2006-07-06 01:14:00 | 本と日常
お隣の国がミサイルを発射したとかで、どこのTV局でもすごいニュースになっていましたね。

朝はギリギリまで寝ていたので、会社から帰ってくるまで知りませんでした*(汗)*

…だから会社の休憩室にTVくらい置いて欲しいって前から言ってたのに!

それにしても、何を考えているんだか。

何となく、「まさか戦争を仕掛けてくるようなことはあるまい」と高をくくって、ナチスの台頭してきたドイツを甘く見、何度も止めるチャンスはあったのに結局第二次世界大戦に突入してしまった故事を思い出すなぁ…

怖い。

過去に学んでも、自分だけは違うと思ってしまうのが人間の愚かなところなのかも。

どこまで繰り返せば気が済むのだろう…







『ファンタージエン・愚者の王』

2006-07-05 01:50:00 | 本と日常
ターニャ・キンケルの『ファンタージエン・愚者の王』を読み終えました☆

ミヒャエル・エンデの『はてしない物語』をテーマに、ドイツの作家6人がそれぞれに新たなファンタージエンの物語に挑戦しているこのシリーズ♪

一冊目の『秘密の図書館』(こちらは『ネシャン・サーガ』のラルフ・イーザウが書いています*(音符)*)が面白かったので、この本も読んでみたのですが、まさか孔子とか李白の名前が出てくるとは思いませんでした!

始めこそちょっと違和感がないでもありませんでしたが、物語に力があるので、意外と後半は気になりません。
映画『ネバー・エンディング・ストーリー』に出てきた幸せの白い竜ファルコンも東洋の竜っぽかったですしね☆

物語は『はてしない物語』の主人公、バスチアンと同じ時間軸で、ファンタージエンで生まれ育った少女が、やはり”虚無”から故郷を救うため、青い目の猫と空飛ぶ絨毯に乗って、ファンタージエンを旅するというもの。

ファンタージエンの不思議な住人がたくさん登場するのは面白いのですが、少女の内面に視点が置かれているので、冒険物語というよりは、葛藤や成長の物語といった感じ。

一生自分の生まれた村を出ることもなく、母の跡を継いで機織りとして生きていく自分の将来に不満を持つ少女レス。

彼女の望みは、外の世界を自分の目で見ること。

どうして女の子だからって機織りにならなきゃならないの?

誰かの行いを物語としてじゅうたんに織り込む、そんな生活じゃなくて、自分の物語をその手で、その足で、実際に体験したい!

そんな時、ファンタージエン中に虚無の恐怖が広がりはじめ、それに気付いたレスは…

勧善懲悪的な爽快感こそありませんが、不安に揺れ、他人との関係に傷つき悩む主人公の姿には、すごく心に訴えてくるものがありました。

『はてしない物語』の魅力の一部は、確かにこういうところにあるんですよね。
ただの冒険物語じゃない。
今回はそこのところが作者らしい若い感性でよく表現されていたと思います。

読み終わって、ますますエンデの『はてしない物語』の良さが実感できました*(音符)*

一つの物語から様々な形に広がっていく深い魅力が『はてしない物語』にはあるんですよね。

まさに『ネバー・エンディング・ストーリー』☆

このシリーズ、次が楽しみです♪