私的図書館

本好き人の365日

ある日の冬のソナタ

2003-11-30 23:54:00 | 日々の出来事
冬は大好きです☆

まず、着る物に悩まなくってイイ♪
丸首セーターにタートルネック。
ダウンジャケットにダッフルコート。
毛糸の帽子にマフラーしめて、とにかくあったかい格好さえしていれば幸せ♪

AB型はファッションセンスがないそうで(私が言ってるんじゃないですよ。どっかの本に載ってたんです)三十路を過ぎてからは、それを言い訳に、見た目よりも機能性重視の格好をしています。
(どうも自分に似合うかどうかよりも、変わった物や面白い物に引かれちゃうんですよね)

毎朝、着る物で頭使うのめんどくさいじゃないですか。(イヤ、それはそれで問題あるかな…笑)

暑いのは我慢できないけれど、寒い時はとにかく重ね着しています。

帽子やマフラー、手袋なんかの「小道具」が好きなんですよ。小さい頃からメガネをかけるのが夢だったんですが、いまだに視力だけは良くて、残念ながら両目共1.5。

しょうがないのでサングラスで我慢しています。今のお気に入りはイエローのガラスの入った丸型フレームの物。
これが本当に似合わない(笑)
そのうちインテリアにでも転職しているかも。

冬は食べ物も美味しいし、スキーもできる。
おでんに水炊、湯豆腐に家族で囲むすき焼き♪
スキー場で食べるカツカレーはどうしてあんなに美味しいのだろう?(そしてどうしてあんなに高いのだろう?)

去年挑戦して、おばあちゃんに評判の良かったのは「ニラ鶏鍋」。

ゴマ油でにんにくを炒めておいて、鶏ガラスープにお酒と少々の塩を加える。そこに下ごしらえしておいた、ささがきゴボウに鶏レバー、もも肉も加えて豆腐やお好みの具材を入れる。
あとは、ニラをたっぷり入れて出来上がり♪

ゴマ油を多目に使うと、ニラの甘みを引き出して、これが美味しいんです☆

タレは溶き卵にしょうゆを加え、ネギと刻み海苔、一味とうがらしなどを加えると美味しいそうですよ。
うちはそこにゴマなんかも入れて、スープで薄めて食べました。

美味しい物に傾ける情熱を、少しは服装にも回せればいいのですが、ファッションセンスがないのは血液型のせいなんだから、私にはどうしようもない。

ああ、はやくもっと寒くならないかな。
そうすれば、「しょうがない、今夜は鍋にでもしますか」と、堂々と言えるでしょ。
だって寒いんだもの、私にはどうしようもない(笑)

十一月の本棚 2

2003-11-29 01:06:00 | 日々の出来事
シンデレラと三国志、金瓶梅にラスト・エンペラーを足したらどうなるか?

今回は、そんなムチャクチャな紹介のされ方を、抜群の面白さで見事に体現した作品。

第一回日本ファンタジーノベル大賞大賞受賞作。

酒見賢一の『後宮小説』をご紹介します☆

「後宮」とは、時の皇帝の后達が住む宮殿のこと。そこでは、女官なども入れれば、少なくとも数百人単位の女性達が暮らしている、まさに女の園。
彼女達の目的はただ一つ、誰よりも皇帝の寵愛をその身に受けること。

…この小説の紹介は非常にやりにくいです(笑)

だって、書き出しからしてこうですもん。

「腹上死であった、と記載されている。」(笑)

中国の架空の王朝を舞台に繰り広げられる一大奇想小説。
全体に流れるユーモアと、作者独特の人間賛歌が、時に残酷で、情け容赦のない運命を、実に巧みに、変に救済することもなく取りいれているところが魅力的です。



主人公の十四才の少女「銀河」は、”三食昼寝付き”に引かれて宮廷の”宮女狩り”に応募します。
宮女とは、皇帝のお妃候補のこと。
新しい皇帝が即位すると、国中の美人、才女はもちろん、皇帝の趣味に合いそうな女性なら、童女といわず、人妻といわず、かき集められるのですが、銀河もその一人。

長い道中を経て、都にやってきた銀河は、後宮に入るために、他の候補生達と共に、研修を積まなければなりません。

見ると聞くとでは大違い。
物見遊山気分の銀河は、後宮のしきたりや、身分の違う人々に驚っきぱなし。
宮女の意味も知らずにやって来た銀河にとっては、後宮教育の場となる学校での授業内容にもおおあわて。

後宮での礼儀作法や、基礎学問、そして後宮の存在意義でもある房中術の伝授。
房中術とは男女の営みのこと。
これが只者ではないんです。
書くは、書くは。これだけ、どうどうと書かれると、変にいやらしく感じないのだから不思議。

大学では、中国哲学を専攻していたという作者。
「後宮ニ哲学アリ」
なんていって、遊ぶこと遊ぶこと。その筆の縦横無人さぶりには、面白いやら、関心するやら、とにかく、いかにもそれらしく聞こえるのだから可笑しくって♪

どうかすると、陰のイメージで見られがちな性の話題を、これほど正面から笑い飛ばした小説も珍しい。

真理はどこから生まれてくるかという問いに、銀河達の先生、角先生は答えます。

「それは子宮さ」

女の腹からすべての真理は生まれるのだ。それが、答えだ。

作者がどこまで本気でそう考えているのか、ウソとわかっていても引き込まれてしまうこの魅力。
この小説がファンタジー小説というところの本質は、まさにここにあると思います。

さらに贅沢なことに、反乱軍が都に攻めて来て、後宮を守るために、銀河達が戦うシーンまで用意されているのだから、にくい!

はたして銀河は皇帝陛下と(無事)結ばれることができるのか?

反乱軍に包囲された後宮の運命は?

とぼけた語りが全体を明るくいろどり、気持ち良く、こちらを騙してくれますよ(笑)

酒見賢一さんはこの他でも、中国を舞台にした小説を書かれていて、そちらもお薦めです。
でも、まずはこの小説から。

紹介文に偽りナシの面白さ!
アニメ化もされているので、よろしければ、そちらの方でもお楽しみ下さい♪



酒見 賢一  著
新潮社

「金瓶梅」

2003-11-28 21:16:00 | 日々の出来事
中国四大奇書の一つです。

明の時代に書かれ、人の欲望の様が巧みに描かれています。
本当、その誘惑の力の強いことには驚かされますね。

ちょっと前のニュースで、日本人が中国で買春行為をして、会社ぐるみの行動ではないかと話題になっていたの憶えてます?

ここだけの話、実際、企業の中には、いまだにそんなことをやっているところが本当にあるんですよ。

うちの会社の営業の人に聞いた話。

中国で日本の某有名企業の人を接待した時、
「こっちの女の子紹介してよ」
とかなんとか言って、暗にそういう行為を要求してきた人がいたそうです。
まったく、紹介するうちの営業もバカだけど、驚くことにそれで仕事が決まったっていうのだから、どうなってるんだ日本企業?

商品で勝負しろ、商品で(怒)!!

○菱電機、見損なったぞ!

今度、携帯買い換える時は、別の会社にしてやる!(ま、一部の社員だとは思うけど)

もちろん中国での売春、買春は違法行為。
たいていカラオケ店などの表看板を掲げて、裏で中国マフィアが仕切っていることが多いらしいですが、それにしても。

実は、私も一度連れて行かれたんです。
場所は西安市。
「カラオケに行く」って言うから信じてついて行ったら、怖そうなお兄さんが入り口を固めてて、入ったらすぐ、格子戸を閉めるもんだから、おかしいなと思ったんです。

案の定、中に入ると、カラオケなんて形だけ、女の子を数人紹介されて、気に入った娘を選ぶというわけ。
相手の片言の日本語で、名前と年を聞いてビックリ。
十○才なんて、日本でも犯罪じゃないか!
こんなところ、警察にでも踏み込まれたら、遠い異国の地で、哀れな人生を送るはめに…

「論語」の小冊子やカール・マルクスの著書を日本から持ち込み、初めての中国旅行を楽しみにしていた私は、怒りに震えましたね。

さらに不機嫌な私に、そこに案内した現地スタッフがこんなことを言うんです。

「みなさん、女は好きでしょう?」

バ、バカにしとるのか! ガァオォー!!

…思わず吠えたくなりました。
なんか、すべてに対して失礼だと思いません? ああ、もう、腹が立つ!

とはいえ、帰り道もわからない上、出入り口には見張りが立っているし、同行した上司はさっさと女の子と消えちゃうし(奥さんに告げ口してやるぞ、もう…)
しかたなく、ぬるいチンタオビールをすすりながら、一時間以上待ちました。女の子が気に入らないものと思ったチンピラのたどたどしい日本語を聞きながら。

ただ今回の事件で得たものもありました。
上司の小言がまったく気にならなくなりましたね。
どんなに偉そうに言ったって、女の子(それも十代!)にデレデレしていた時の顔が想い出されて…

その場でハッキリ言えない私もいけないのですが、面と向かってはなかなか言い難い。
司法当局のみなさん、どうか頑張って、住み安い社会にして下さい。

本当、男ってバカなんだから!


十一月の迷言集?

2003-11-27 23:17:00 | 日々の出来事
「困った顔が見たかったの…」



―相手が嫌がることがわかっているのに、それをしてしまった時の言い訳。男性がいつもゆるしてくれるとは限らない。



「わかったって言うとるやろ」



―話を打ち切りたい時に持ち出される慣用句。相手の気持ちではなく、「話にならない」ことがわかった時に使う。



「その件は臨機応変で頼むよ」



―これといった解決策のない時に、問題を棚上げするために使われる。「いきあたりばったり」とも言う。


「三国志演義」

2003-11-25 22:24:00 | 日々の出来事
中国四大奇書の一つです。

NHKでやっていた人形劇の三国志は見たことあります?
もう夢中になって見てましたね。

お気に入りは諸葛亮孔明!
この天才軍師のカッコイイこと☆

勢力的には劣勢の蜀の国が、曹操の魏や、孫権の呉と対等に渡り合うところがいいんです。
毎回、その奇抜な展開に胸躍らせていました。

物語の中に散りばめられた、数々のドラマ。
忠義や礼節。裏切りに策謀。愛に悲劇と、人間ドラマとしても、見せ場がいっぱい。

登場人物の生き方には、子供心に畏敬の念さえ感じていました。
本当、学ぶことの多い物語でしたね。



そんな思い出に引かれて、PS2のゲーム、「真・三国無双3」をかなり前に中古で買ったんですが、いまだに呂布が倒せません(泣)

「なんで関羽でも勝てないんだよ。 小説の中じゃあ、あんなに強かったのに~」

と、自分の腕前を棚に上げてキャラのせいにしています。

「三国志」は好きだけど、アクションゲームは苦手だな。


「水滸伝」

2003-11-24 23:59:00 | 日々の出来事
中国四大奇書の一つです。

梁山泊に集まる豪傑達のなんと魅力的なこと!
昔、『ジャイアントロボ』っていうアニメを作っていた関係で、「智多星の呉学人」とか、「青面獣の楊志」などには思い入れがあります。

こっちの作品は、マンガ家、横山光輝の世界を大胆な切り口で展開させた、面白いアニメですよ(手前ミソでスミマセン☆)

アニメの中で「神行太保の戴宗」が激闘を繰り広げた上海の地。
この地の郊外に、うちの会社の工場があるため、見学がてら上海観光をして来ました。

先日、日記にも書いたように、西安の夜は散々だったため、上海ではおもいっきり楽しんできました。もちろん仕事もしましたよ、一応ね(笑)

上海の街は急速な開発が進み、旧市街の歴史ある建物と新しい高層建築が混じりあっていて面白いです☆

そして食べて来ましたよ。
上海カニ♪
越前海岸で食べた越前カニも美味しかったけど、身の詰まった上海カニも旨い!

本場の炒飯。
新鮮な海鮮料理の品々。
そして飲茶の美味しいこと♪♪
種類も多くて、とても全部は食べきれない(食べようとするな!)

『水滸伝』他、中国の奇書の多くに、様々なものを口にする描写があるけれど、中国人の食べ物に関する興味の深さには関心させられます。

先頃打ち上げられた中国初の有人ロケット。
その宇宙食のメニューに「酢豚」が入っていた時には驚きました。

さすがは中国人!
宇宙に行く時にも食事には手を抜かないなんて。

中国万歳!


錬金術師の遺産

2003-11-16 09:58:00 | 日々の出来事
不老長寿は人類の永遠の夢なんだって。

どんなに権力を握ろうと、どれほど富を蓄えようと、そんなことにはおかまいなしに、全ての人に平等に訪れる死。

絶大な権勢を誇った、古代中国の皇帝達も、それは同じだったらしくて、不老長寿の妙薬を求めて使節を日本にまで遣わしたり、錬金術師(中国では方士と呼ぶ)に仙薬の開発を命じたり。

でも実際には、出来上がったその薬を飲んで、何人もの皇帝が命を失ってしまったらしい。
主に鉱物を混ぜ合わせて作られたその薬には(命あるものから不死の薬は作れないということで)、水銀やヒ素のような現代では有害だとされる物質が含まれていたというから、当然といえば当然。

そんな怪しいものを口に入れる勇気があるなら、ほっといても長生きしそうなんだけど。

ま、その過程で、偶然火薬の製法を発見したというから、人類もタダでは転ばない。
しかもそれが多くの人の命を奪うことになるんだから、皮肉だよね。

夜空に輝く花火くらいにしとけばよかったのに。

「西遊記」

2003-11-16 09:55:00 | 日々の出来事
中国四大奇書の一つです。

物語の内容はあまりにも有名なので、今回は、はしょります(笑)

本の紹介にしては手抜きで申し訳ない。

その代わり、自身の「西(に)遊(ぶ)記」を載せますね。

三年程前、仕事の関係で、玄奘三蔵が経典を持ち帰った唐の都「長安」(現在の西安市)を訪れる機会がありました。

城壁に囲まれた街。
立ち並ぶ寺院。
道をゆく牛車。

歴史が幾層にも積み重なったその雰囲気は独特です。さすがはかつての国際都市☆

行きかう車の数には驚きました。
しかも車線なんか関係ないって感じで、スキマさえあれば割り込む、割り込む! 反対車線にまで車の列ができていて、三車線のはずが四車線、五車線になっていて、見ているこっちがヒヤヒヤします。

と思えば牛を連れた人が車を引いていたり、プロパンガスのタンクをバイクで運んでいる人がいたり(しかも2つ!)

三蔵が経典を納めた大雁塔にも登って来ました。
かつてここに多くの僧や留学生が訪れたかと思うと、歴史好きの身としては感激です!

ちょっと足を伸ばして、始皇帝の陵墓といわれる兵馬俑も見学してきました。

その規模と手間のかけようったら、ディズニーランドにも劣らない(…多分)
とにかく人や馬、はては戦車などをかたどった土偶の緻密で精巧なこと。
死出の旅路になにもここまでしなくても、と思うくらいの数の多さです。

しかもこれ全部、たった一人のために地下に埋められていたっていうんだから、皇帝って案外寂しがりやなのかも…(笑)

とにかく価値観や物の考え方が違っていて、外国を旅するのは面白いですね。

…だだ、空港の売店にいたキレイな中国人のお姉さん。
ヒマだからって、人前で鼻をほじるのはどうかと思うよ。
頼むから、そのままの手で商品を渡さないでね。

十一月の本棚

2003-11-09 06:28:00 | 梨木香歩

祖母が亡くなる前日、一冊の本を読み終えました。

梨木香歩の『西の魔女が死んだ』です。

中学生の”まい”が、ママのママ、大好きなおばあちゃんの元で過ごす、ひと月あまりの物語。

「西の魔女」こと、英国人のおばあちゃんから、魔女修行を受けるまい。
魔女修行で大切なことは、「何でも自分で決める」ということ。

文章の雰囲気がとっても良くて、自然と共に暮らし、自然体で生きる、このおばあちゃんの優しさが、こちらにも伝わってくるかのようです。

題名からもわかる通り、「死」と向き合うことになるまい。
彼女の心を包んでいた繭が溶け、成長していく姿は、感動と共に共感を強く胸の奥に湧き上がらせてくれます。

読み終わった次の日。
まさか自分の祖母が亡くなるとは思いませんでした。

冷たくなっていく体を見つめ、八十年以上、祖母の体として動きまわってくれたことをありがたく思いながら、もうここには祖母はいないんだ、と実感しました。



人は死んだらどうなるのでしょう?



病室の陰、ろうそくの炎、ゆれる煙の中に、祖母の「サイン」を目で探してしまう自分がいました。

でもきっと、好奇心旺盛な彼女のこと、自分の葬式の様子を眺めながら、人の着ている着物や帯、履物などの品定めをしたり、娘や孫達が、きちんと悲しんでいるかどうかを見てまわったり、落ち着かなくフラフラしているに違いないんです。

「葬式の時ぐらい、しおらしくしていてくれよ」

と心の中でいつものように話しかけたりして。

死んでしまった後でも、つい習慣で心配してしまいます。

祖母が亡くなった時、心に浮かんだのはこの本ともう一冊。
吉本ばななの『キッチン』でした。

祖母の末娘といっしょに、よく世話をしてくれたその友達という人がいたのですが、出棺の折、その人が泣き崩れるのを見て、自分にこの人程の感情がないのはどうしてだろうと、『キッチン』の主人公みかげが感じたのと同じ感慨を受けました。

確かに悲しいのですが、半面、おばあちゃんの存在の気配が、消えてしまったという感じはなくて、不安は感じないのです。

こんなこと、ただの感傷だと思われるかもしれませんが、おばあちゃんは、生きていた時よりも、私の気持ちをわかってくれている。
言葉にすることはできないけれど、感情なんかでは表せないけれど、もっとダイレクトに伝わっているはず。
そうだよね、おばあちゃん。

返事なんかもちろんありません。

肉親を失ったことでの一時的な気分なのかも知れません。
現実逃避? それもいいでしょう。

だから私は私に返事をします。

本当は地元の言葉なんでしょうが、ここは『西の魔女…』の中のプロの言葉をおかりして。
まいとおばあさんのこの言葉が、今の私にはピッタリなものですから…



「おばあちゃん、大好き」



『アイ・ノウ』



梨木 香歩  著
新潮文庫




十一月の名言集より

2003-11-08 08:10:00 | 日々の出来事
愛するものが死んだ時には、
自殺しなけあなりません。

愛するものが死んだ時には、
それより他に、方法がない。

けれどもそれでも、業(?)が深くて、
なほもながらふことともなつたら、

奉仕の気持ちに、なることなんです。
奉仕の気持ちに、なることなんです。

愛するものは、死んだのですから、
たしかにそれは、死んだのですから、

もはやどうにも、ならぬのですから、
そのもののために、そのもののために、

奉仕の気持ちに、ならなけあならない。
奉仕の気持ちに、ならなけあならない。





          ―中原中也「春日狂想」―

お葬式

2003-11-05 08:08:00 | 日々の出来事
おばあちゃんには、子供が四人と、孫が九人います。

代々女系の家柄だったらしく、三女だったうちのおばあちゃんが、養子をもらって、家を継ぎました。

お姉さんの一人も、養子をもらって、同じ敷地に住んでいたそうですが、この人は亡くなってしまい、残された旦那さんは、うちの山を売り払って、そのお金を持って、好きな女の人の所に、出て行ってしまったそうです。

うちの父は、この義理の伯父さんが、出て行った先で作った家庭に養子に出され、そこの三男として戸籍上は登録されました。
それを知ったのは高校生の時で、入学のために取り寄せた書類で、わかったそうです。

マンガみたいな本当の話!

普段は何も言わない父ですが、その養子縁組された先の、戸籍上一度は親子にされた人が亡くなった時、祖母は父にも葬儀に出るよう言いましたが、父はついに行きませんでした。
その時は、父の息子の私が名代として出席するという形をとりましたが、よっぽど思うところがあったのでしょう。

先日の祖母の葬儀に、その家の人も参列して下さいました。
戸籍上は父の兄だったこともあるその人は、焼香順の呼び出しで、自分の名前が呼ばれなかったといって、葬儀屋の人を捕まえて、問いただしていたそうです。
もちろん、すべての人の名前を読み上げるわけにもいかないので、礼を尽くして、一部の人しか読み上げられないことをお詫びしたのですが、その「一部の人」に入っていないことが予想外だったのでしょう。

…やれやれ。

「順序」というのは難しいですね。
弔電も多くの方から頂いたのですが、読み上げる「順番」も教わりました。

多くの人の信頼を得て選ばれた、国会議員や県会議員の方が先。
市長や市議会議員の方が続き、社長、部長などの役職は、選挙で選ばれたわけではないので、その後になるそうです。

これって、地域性とかあるんでしょうか?

「順序」といえば、妹の披露宴の席で、「私達が下に思われている」と席順の不備を指摘して下さった方がいました。(…あ、なんか文章が皮肉っぽくなっていく)

父の弟(戸籍上は長男だった人)の養子先の奥さんで、私達の義理の叔母にあたる人なんですが、自分の息子が商工会議所に就職できたことを、そりゃあ謙遜して話してくれます(笑)

葬儀が終った次の日に、その叔母から電話がかかってきました。
商工会議所の方からも香典を頂き、うちでは、香典返しとしてビール券を渡していたのですが、商工会議所では、香典返しは受け取らない決まりになっているそうで、その代わりにお菓子を配るというのです。ついてはその代金一万数千円を出してくれないだろうか、と叔母は言ってきました。

香典返しを受け取らないということは、よくあることなので、その場合、その会社の人に一人受け付けについてもらって、お礼状だけを渡すのですが、そのへんの気配りが商工会議所に勤める息子にはできていなかった。

父が言うには、こうした場合、ビール券だけ受け取って、自分でお菓子なり買って、先方に失礼を詫び、喪主の方には連絡だけしておけばいいそうです。

基本的には、葬儀を行う家のしきたりに従ってもらうことになるので、自分の関係する会社や個人で、事情のある場合は、自分で喪主に相談した上、対応した方が良いとのこと。

その息子がお金を取りに今から来るというので、私と母は賭けをしました。

はたして息子(立派な成人)は一人でお金を受け取りにくるだろうかと。

すぐに人を信用する母は、一人で来る方に。

主導権を握っているのは叔母だとにらんだ疑り深い私は、両親がついて来る方に。

結果やいかに!

披露宴の席順のことでは、母は涙まで流して、娘の結婚式に落ち度があるように言われたことをくやしがっていたのに、どうしてこの叔母に対し「いいところもある」なんて言えるのか、ここまでくると人のいいのを通り超えて信仰に近いと思う、本当。

さて、それから30分後。

元気に「こんばんは!」と玄関を開けたのは…

くだんの叔母でした(笑)

母は笑っていました。


「おばあちゃん」

2003-11-04 06:33:00 | 日々の出来事
この日記にも書きましたが、肺ガンのため、かねてより闘病生活を送っていた祖母が、11月2日の早朝に亡くなりました。

享年81歳。

たいして苦しむこともなく、息を引き取ったことが、せめてもの慰めです。

人が死ぬということは、大変なことです。

通夜と葬儀でもうクタクタ。
睡眠時間が足りない。
やらなきゃいけないことが多すぎる。
そして何より・・・

「親戚って、何でこんなに面倒臭いの?」

こんな時に、それぞれの立場だの、メンツなどの人間関係の妙な駆け引きにまで付き合っていられない!

体力と共に、精神的にも限界。

まあ、ともかく葬儀だけは、なんとか無事終りました。

まだまだ、支払いや後片付けが山ほどありますが、事務的なことなので気が楽です。

とにかく、今は眠りたいだけ。

おやすみなさ~い。