私的図書館

本好き人の365日

もっと、光を!

2015-03-22 22:48:04 | 本と日常

3月22日はドイツの文豪ゲーテの亡くなった日です。

一説に「もっと光を!」と最後につぶいたとかなんとか。

代表作『若きウェルテルの悩み』では、主人公ウェルテルが婚約者のいる女性シャルロッテに恋をし、叶わぬ想いに絶望して自殺してしまいます。

当時この小説はベストセラーになり、ウェルテルを真似て自殺する若者が急増したため発禁になったりしました。

ちなみに「お口の恋人、ロッテ」で有名なチューイングガムなどのお菓子メーカー「ロッテ」の社名はこの小説のヒロイン「シャルロッテ」から取られています。

私もゲーテの『ファウスト』は夢中になって読みました。

新潮社から出ている『ゲーテ格言集』はボロボロになってしまうくらい繰り返し読んでいる愛読書です。

私の印象では、詩人から政治家、自然科学の研究といろんなことに手を出し、そしてまたいろんな女性と恋に落ちた、とても忙しい才能豊かな(いろんな意味で)おじさんという感じですが(苦笑)、その言葉や作品にはとても惹かれるものがあります。

作曲家シューベルトもゲーテの作品に多くの曲をつけました。

「魔王」や「野ばら」は特に有名ですよね。

当時はフランス革命からナポレオンの登場という激動の時代、ゲーテ自身もフランスとの戦いに身を投じています。

 

1832年3月22日、詩人、劇作家、小説家、哲学者、自然科学者、政治家、法律家という様々な顔を持つヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテは、82歳でこの世を去りました。

私がゲーテの言葉の中の好きなのはこんな言葉ですね。

 

 

 「自分に命令しないものは、いくつになっても、しもべにとどまる」

 

 

自分自身の行いを自分で正すことは難しいものです。

人の心は弱いから、つい楽な方へ、自分に都合のいい方へ流されてしまう。

例え自分に不都合だとしても、自分が不利になるとしても、ちゃんと自分に自分で命令できないものは、結局誰かの人生、価値観をなぞるだけの「しもべ」で一生を終える。

この言葉の反対にあるのが「結局みんな自分がかわいい」という考え方なんでしょうね。

険しい道だとわかっていても、あえてその道を行くのが、本当の意味での「自由」なんだと私は思っています。

終始自分に言い訳したり、逃げ道を探さなきゃいけない「しもべ」の人生なんて願い下げです。

まぁ、「自由」にはそれ相応の「対価」も必要になりますけどね☆

 

  三千年の歴史から学ぶことを知らぬものは、

  知ることもなく、やみの中にいよ、

  その日その日を生きるとも。

 

         (西東詩編から)

 


あの日から4年

2015-03-11 22:20:03 | 伝えたいこと

2011年3月11日から今日で4年が経ちました。

4年経っても仮設住宅での暮らしを余儀なくされている方や、原発事故の影響で避難生活をおくっている方がまだ多くみえる現在、あの日から何も変わっていないような、あの日からすべてが変わってしまったような、そんな気持ちがしています。

震災とその後の避難生活で亡くなられた方に、鎮魂の祈りをこめて、「忘れない」と誓いたい。

 

 

 何事を取り決めるにあたっても

 われわれの決定が

 以後の七世代にわたっておよぼすことになる影響を

 よく考えなければならない

 

     ーアメリカ先住民イロクォイ族の誓いー


『乙嫁語り』7巻

2015-03-01 22:39:06 | 日本人作家

名古屋タカシマヤで行われている「誕生50周年記念 ぐりとぐら展」に行って来ました。

今も多くの子どもたちに愛される「ぐりとぐら」

あの大きなタマゴで作られた「カステラ」、子どもの頃は憧れでした。

カステラは牛乳と一緒に食べるの好きだったなぁ。

 

 

展示されている原画には修正のアトなども見て取れて、とっても興味深かったです。

最初の頃の原画はとっても小さいんですよ。意外でした。

「ぐりとぐら」7作品の他に「ぐりとぐら かるた」(1984年)や、「いやいやえん」「そらいろのたね」などの原画も展示されていましたが、会場には絵本を拡大したような大きな立体物が置いてあって、子どもたちがそこに開いた小さな穴をくぐることができたり、床に「ぐりとぐら」のお話の文章が書かれていたり、映画監督宮崎駿との対談映像のコーナーがあったりと、原画を見るだけでなくいろいろと楽しめる工夫がこらしてありました。

「ぐりとぐらとすみれちゃん」に登場する大きなカボチャや、「ぐりとぐらのえんそく」に登場する大きな毛糸玉が1メートルくらいの大きさで再現されていて、触ることもできるんです!

自分が小さい頃に読んだ人とか、子どもと一緒に読んだとかいう人が多いらしく、あちらこちらで思い出話が飛び交っていて、長年愛されてきた作品であることを改めて感じることができました。

あー、面白かった☆


最近読んだのは、中央アジアを舞台にした大人気マンガ。

森薫さんの『乙嫁語り』7巻 (ビームコミックス)

 

著者 : 森薫
KADOKAWA/エンターブレイン
発売日 : 2015-02-14

 

今回はお風呂回(笑)

お金持ちの家の奥様が、大衆浴場で出会った女性とお友達になるという、ストーリー的にはそれだけなんですが、あちらの文化(一夫多妻とか、姉妹妻とか)が興味深くて面白く読めました。

まぁ、前回がちょっと血なまぐさい部族間の戦いなんかが描かれていたので、その反動なんでしょう(笑)

漫画家のヤマザキマリさん(『テルマエロマエ』など)がシリアで暮らしていた時のことを描いてみえますが、普段は布で体や顔を隠しているあちらの女性も、お風呂では(当たり前ですが)スッポンポンで会話を楽しみ、日本の女性と何も変わらない、と描いてみえたのを思い出しました。

そりゃあそうですよね。

文化や宗教が違うといったって、食べたり飲んだりしなきゃ人間は死んじゃうし、人を愛し、子どもを育て、水と大地と空気を必要とするという基本的な人間の暮らしは、世界中どこに行ったって違いがあるわけないんですから。

だから、たとえ文化や習慣、言葉や価値観がお互いに違う者同士の中にだって、共感できるところがあったり、通じ合えるところが見つかったりする。

そういうのがとっても面白い。

ヤマザキマリさんのマンガもそうですが、この『乙嫁語り』にもそうした面白さがあるんですよね。

早く続きが読みたい作品です!