私的図書館

本好き人の365日

荻原規子 『RDG レッドデータガール 学園の一番長い日』

2013-05-31 21:57:44 | 荻原規子

東海地方も梅雨入りしました。

しばらくはジメジメした日が続きそうですが、雨の日はとくに嫌いじゃありません。

晴耕雨読。

シリーズ物の第5巻をようやく読み終わりました。

 

荻原規子 著

『RDG レッドデータガール 学園の一番長い日』(角川文庫)

角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日:2013-03-23

 

 

 

 

 

 



全6巻シリーズの文庫化第5弾。

現在アニメも放送中。

もう!

主人公の泉水子(いずみこ)が、すごく頼りなくて、すぐにだまされて、すごいお荷物なのがイライラする!(苦笑)

私は自分の足で立つ主人公が好きなので、泉水子みたいなキャラが苦手なんですよね~

泉水子の周りにいる脇役たちも、泉水子の能力に気がついていないという設定なので、全体的に読者を放ったらかして空回りなストーリーが展開している感じ。

無意識に自分からトラブルを起こす、赤ちゃんのようなお姫様のお目付け役、深行(みゆき)くんがかわいそすぎる(笑)

ちゃんと最後にカタストロフィーが起こってすっきりするのかな?

荻原規子さんの昔からのファンとしては、カラスの和宮くんの活躍が少ないのも不満の一つ。

文庫版は次回が最終巻。

期待して待ちたいと思います。

 

その他に読んでいるのは

吉野弘 著 『贈るうた』(花神社)

吉野せい 著 『暮鳥と混沌』(彌生書房)

お二人とも姓が同じなのはまったくの偶然。

現在放送中のテレビアニメ、「ヤマト2199」で登場するため注目されている、中原中也の詩も読み返しています。

 

「山羊の歌」

汚れっちまった悲しみに

今日も小雪の降りかかる

 

 

吉野弘さんにも、こんな詩があります。

「雪の日に」

雪は今日も降っている。

雪の上に雪が

その上から雪が

たとえようのない重さで

ひたひたと かさねられてゆく。

かさなってゆく。

 

さあ、日々ひたひたと重なっていく「日常」という時の重さを感じながら、明日も頑張ろうかな。

 


『夜明けの図書館(2)』と『タンポポ娘』

2013-05-27 19:11:13 | 日本人作家

全国の司書さん、司書を目指す学生さん、図書館利用者さん、本好きさんに読んで欲しいマンガ。

埜納タオさんの『夜明けの図書館(2)』(ジュールコミックス)を読みました。

 

 

 

 

 

 

 

これ、1巻も面白かったんですよね。

主人公は新人司書(2年目♪)の女性。

図書館に持ち込まれる、様々な「こんな本を探して!」という、レファレンス・サービスを題材にしています。

思い出の絵本とか(…雰囲気はすっごく覚えてるんだけど~)

思い出もあやしい小唄の題名とか(「こんな感じ。♪~」←実際に歌ってる)

もう、「雰囲気」しか覚えていないとか、ありえない(苦笑)

 

それぞれのエピソードに、心温まる人間ドラマが隠されていて、不覚にも涙が出そうになりました(感涙)

もう、1話目のホステスのお姉さんと主婦の妹の幼い頃の思い出の絵本の話なんて、ズルすぎる~

結婚披露宴の新婦から両親への手紙並の破壊力があります!!

「ありがとうのおと」って、あの絵本ほしい!

本っていいなぁ~

図書館っていいなぁ~

人間って、いいなぁ~♪

 

もう一冊読んだのは、復刊が嬉しい、ロバート・F・ヤングの短編集『たんぽぽ娘』(奇想コレクション)

 

 

 

 

 

 

 

ドラマ「ビブリア古書堂の事件手帖」で取り上げられて、ほんの一時期話題になった本ですが、多分忘れられているんだろうなぁ(苦笑)

SFの名作なのに!

 

「おとといは兎を見たは。きのうは鹿。今日はあなた」

 

ロバート・F・ヤングはロマンチックSFの巨匠と呼ばれているストーリーテラー。

SFなんて難解で苦手、という方には入門書としては最適な作家さんです。

物語は、男が森に囲まれた避暑地で、丘の上の立つたんぽぽ色の髪をした若い女性を見かけたところから始まります。

この場所が好きで、未来から見に来ているの、と不思議なことを口にする若い女性。

「おとといは兎を見たは。きのうは鹿。今日はあなた」

男はそんな女性の口から次々とびだす空想話に話をあわせ、楽しく会話し、二人で楽しいひと時を過ごします。

そして男は、親子ほども年の離れたその女性と恋に落ちるのです。

男は40代、もう20年も一緒に暮らしている妻を心から愛していました。

避暑地の女性を忘れられない男に、そんな夫の態度に何かを感じる妻。

過去と未来。

果たして、時をこえた恋の行方は……

 

絶版でながらく手に入りづらかった表題作「たんぽぽ娘」を含め、本邦初翻訳の7編を含む全13編。

ただし、ハードカバーとはいえ、定価が少々お高いです。

文庫でいいじゃん、文庫で!

これもやはり「ビブリア効果」か!?

財布に余裕のある方、昼食を抜いても大丈夫な方(苦笑)

オススメです♪♪

 


被災地から、また訪れたい場所へ

2013-05-24 22:58:29 | 伝えたいこと

東日本大震災から2年。

昨年お世話になった、宮城県七々浜町の復興支援ボランティアセンターから、お手紙をいただきました。

内容は、今も多くの方が生活再建に向けて頑張ってみえる七々浜町の「今」を知ってもらいたいと立ち上げられた、「七々浜復興応援サポータープロジェクト」を案内するもの。

 

「『被災地』としてではなく、『また訪れたい場所』として、七々浜のいいところをもっと沢山の人たちに知ってほしい」

 

と書かれていて、すごくいい取り組みだと思いました。

田植えをするにもまだ細かいガレキが残っているとか、七々浜ではまだ700世帯近くの方々が住み慣れた土地を離れて苦労されているとか、まだまだ復興にはほど遠い現状。

正直、被災地の現在を報道するニュースも少なくなり、「風化」していくことが不安でした。

お知らせの中には、七々浜町の町民の方からのメッセージというのが同封されていたんですが、それがこちら。

 ボランティアに来て下さった皆様へ

     七々浜町民からのメッセージです。

「ボランティアさんへ かれきしょふんありがとうございました」

 

おぉ!!

一生懸命書いてくれたんでしょうね。

私なんか、ほんの少ししかボランティアに参加していないのに、なんかすっごくうれしい♪

もうあれから1年か~

 

七々浜町は宮城県の中部にある砂浜の美しい町。

日本三景の一つ、松島をのぞむことのできる風光明媚なところです。

震災直後にお世話になった、岩手県にも再び訪れたい!

あの時体験したこと、出会った人々はいまでも私の宝物ですが、これでまた一つ宝物が増えました♪

 


『月とにほんご 中国嫁日本語学校日記』

2013-05-10 23:10:59 | 本と日常

問題1 次の漢字の読みとして正しいものを答えよ

「日本」    a.にほん   b.にっぽん  

「中国」     a.ちゅうごく  b.ちゅうごっく

 

エ~、こんな問題は実際には出されないと思うので安心して下さい(多分・・)

「中国」はもちろん  a.「ちゅうごく」  と読むのが正解です。

では、「日本」って漢字、正式には何て読むのかご存知ですか?

 

自身の結婚生活を綴った人気ブログ、「中国嫁日記」が書籍化されベストセラーとなった、井上純一さんのコミックエッセイ。

 

『月(ゆえ)とにほんご 中国嫁日本語学校日記』(アスキー・メディアワークス)を読みました。

アスキー・メディアワークス
発売日:2013-02-22


 

 

 

 


日本語学校を舞台にした、蛇蔵&海野凪子さんの『日本人の知らない日本語』 (メディアファクトリー)はベストセラーになりましたが、こちらは切り口がちょっと変わっていて面白い♪

まぁ、もともと変った夫婦ということもあるのですが(苦笑)、40代のオタクな日本人男性と結婚した中国人の月(ゆえ)さんが(20代!)、「日本語はヘン!」「どうして日本語はこうなってるの!?」と大いに疑問を投げかけ、時に憤慨し(苦笑)、日本語学習に悪戦苦闘します☆

 ナゼ日本語には二つの読みがあるんですか!(音読み訓読みのこと)
 どちか一つにしてクダサイ!
 ひらがなとカタカナあるのも変!

監修は筑波大学教授の矢澤真人さん。

日本語を学ぶ外国人が感じる疑問質問に、解説という感じで答えていますが、「言葉は変化するもの」、「正解はない」、「どちらも正解」と、けっこうアバウト。最後には、「日本人はけっこういいかげん」なんて書いていて笑ってしまった(笑)


 総理続投?  総理投げますか!? 何を投げますか!?
 自分探し?  自分探すナンデスカ!? 自分ココにいるでしょ!?
 ビルが建っている?  ビルは建てられるものデショ!? 自分で建っているわけじゃないデショ!?

そこで先ほどの問題。

「日本」の読み方は、矢澤真人さんによると、「どちらも正解」だそうです(苦笑)

月(ゆえ)さんは 「どちらか一つにしてダサイ!」 と叫ぶでしょうね。(一応、昭和の初めに「にっぽん」に統一したら、という話しは出たそうなんですが、現在は「どちらか一方に統一する必要はない」となっているそうです。ローマ字表記では「NIPPON」って書かれているのを多く目にしますね)

国名の呼び方(略称ではなく)が複数ある国は珍しい、と書いてあって、はじめて(そういえばそうか)と思いました。

別にどっちでもいいじゃん、同じ意味だし・・・と思うから「いいかげん」なんていわれちゃうのかな?(笑)
同じ意味なら一つでいいじゃん! と日本語を学ぶ外国人は思うんでしょうね。

英語なんかと違い、「誰がしたのか」「行動の主体は誰か」をぼかすのが日本語の特徴とよくいわれますが、「責任の所在をうやむやにする」のが日本人全部の特徴だと思われたら嫌だな(苦笑)

何かというと塩を買い占める中国人のニュースを見て、「何でいつも塩買いますか! 恥ずかしい!」と中国人の月(ゆえ)さんが声を荒げる場面が可笑しかったです♪

 

ブログ「中国嫁日記」は現在も好評更新中。
井上純一さんと月(ゆえ)さんは、仕事場を中国に移したりしていて、中国の住宅事情、中国の観光地で注意すること(タクシー運転手とか)、中国の運転免許教習所の様子などがわかって面白いです。

尖閣諸島の近海に中国の漁船監視船が度々やって来たり、人民日報が沖縄の帰属問題を取上げたり(沖縄はもともと中国に帰属しているとかなんとか)、何かと騒がしい日中関係ですが、仲良くなってくれるといいなぁ~

 


伊坂幸太郎 『バイバイ、ブラックバード』

2013-05-03 23:56:56 | 日本人作家

実写映画化が話題の角野栄子さんの『魔女の宅急便』が、版元を変えて角川書店で文庫化されましたね。

 

角川書店
発売日:2013-04-25

 

 

 

 

 

 

パラパラっと読みましたが、文庫版特典というか、あとがきも解説もなくて、ちょっとガッカリしました。
これだと単行本で買った人は買わないって!
なぜそれがわからない角川文庫!
そしてなぜわからないハリポタ文庫化、静山社!!

 

同じくこの3月に文庫化された、伊坂幸太郎『バイバイ、ブラックバード』(双葉文庫)を読みました。

 

 

 

 

 

 

 

タイトルが楽曲のタイトルに由来するのは伊坂作品の定番。
軽妙な文体と飛び出た感性による比喩の数々♪
私はドカベンの不知火も、レオタードを着た美人三姉妹も知ってますよ!

しかし、主人公が五股をかけてて、その5人に別れを告げに行くって(苦笑)

いや、確かにそういう話っていえばそういう話なんだけれど、それだけで終わっていないのが伊坂幸太郎!

とっても面白いお話になっています。

この作品のそもそもの始まりは、太宰治の未完の小説『グッド・バイ』の続編か完結編を書かないか、という企画だったそうです。

ちなみに太宰治の『グッド・バイ』は、過去の愛人たちと別れるため、絶世の美人を自分の奥さんに仕立て上げ、「こんなにキレイな奥さんにはかなわないわ」と愛人たちに思わせて手を切るというお話(苦笑)

しかもこの絶世の美人、実は大食いで怪力、声もガラガラ声で普段は男か女かわからない、部屋もゴチャゴチャという、超がさつ女なのですが、化粧をして趣味のいい着物を着てだまっていると、誰もが振り向く超美人に変身するという設定なんです(笑)

「グッド・バイ」に登場する「絶世の美人」も強力なキャラですが、「バイバイ、ブラックバード」では、この「絶世の美人」が「グッド・バイ」に輪をかけたかなり強烈なキャラに変わっています!

主人公が会いに行く5人の彼女もそれぞれ事情を抱えていて・・・・・・

笑ったり、泣いたり、しんみりしたり、クスッと笑ったり。

すべてがすべてスッキリ解決するわけじゃないし、(あれって結局どうなったの?)と思わせる、いわゆる「読者の想像力にまかせる」ところもあって、でもそんな放っぽり方も伊坂作品らしくて、まるで音楽を聴き終わって、その余韻にひたっているような読書感でした。

あー、面かった♪