ある晴れた日曜日。
いつもよりゆっくりと起きて、遅めの朝食をとる。
シャワーを浴び、丁寧にヒゲを剃り、時間をかけて歯を磨く。
テレビでは今日も評論家が政治やら経済のことでしきりに視聴者の不安を煽っている。
その声を聞き流しながら、朝食の食器を洗い、脱いだ服を洗濯機に放り込み、「スタート」と書かれたスイッチを押す。
全自動洗濯機が洗い終わりをブザーで知らせてくれるまでの間、雑誌をパラパラめくってみたり、読みかけの本を開いたり、有名女優が素敵な新商品を買うように笑いかけているCMをながめて過ごす。
洗い終わった洗濯物をベランダに干し、車で買い物に出かけ、マクドナルドでハンバーガーとポテトを買うために並び、夕食の食材を買い込んでアパートに帰る。
部屋の掃除をし、テレビを見て、録画しておいた映画を鑑賞する。
いつもと変わらない日曜日。
しかし、いつもとはちょっと違う。
誰も知らないけれど、会社にある僕のロッカーを開けると、その中には一冊の本が置いてある。
会社のロッカーなんてほとんど使っていないので、その他にはたいした物は入っていない。
その本はポツンと、しかしただ一つの存在として目に飛び込んでくるようになっている。
休憩時間のヒマつぶしに読んでいた村上春樹の短編…
『螢・納屋を焼く・その他の短編』(新潮文庫)という本だ。
誰かが僕のロッカーを開けるなんてことは無いだろうけれど、開けるはずもないその瞬間に、その本を見た開けるはずもないその人が「おや?」と思ってくれることを期待して、僕はその本は置いた。
何も無いロッカーの中に置かれた、たった一冊の村上春樹の文庫本。
それは、僕の日常に対するささやかな反抗の証。
2010.05.30.
いつもよりゆっくりと起きて、遅めの朝食をとる。
シャワーを浴び、丁寧にヒゲを剃り、時間をかけて歯を磨く。
テレビでは今日も評論家が政治やら経済のことでしきりに視聴者の不安を煽っている。
その声を聞き流しながら、朝食の食器を洗い、脱いだ服を洗濯機に放り込み、「スタート」と書かれたスイッチを押す。
全自動洗濯機が洗い終わりをブザーで知らせてくれるまでの間、雑誌をパラパラめくってみたり、読みかけの本を開いたり、有名女優が素敵な新商品を買うように笑いかけているCMをながめて過ごす。
洗い終わった洗濯物をベランダに干し、車で買い物に出かけ、マクドナルドでハンバーガーとポテトを買うために並び、夕食の食材を買い込んでアパートに帰る。
部屋の掃除をし、テレビを見て、録画しておいた映画を鑑賞する。
いつもと変わらない日曜日。
しかし、いつもとはちょっと違う。
誰も知らないけれど、会社にある僕のロッカーを開けると、その中には一冊の本が置いてある。
会社のロッカーなんてほとんど使っていないので、その他にはたいした物は入っていない。
その本はポツンと、しかしただ一つの存在として目に飛び込んでくるようになっている。
休憩時間のヒマつぶしに読んでいた村上春樹の短編…
『螢・納屋を焼く・その他の短編』(新潮文庫)という本だ。
誰かが僕のロッカーを開けるなんてことは無いだろうけれど、開けるはずもないその瞬間に、その本を見た開けるはずもないその人が「おや?」と思ってくれることを期待して、僕はその本は置いた。
何も無いロッカーの中に置かれた、たった一冊の村上春樹の文庫本。
それは、僕の日常に対するささやかな反抗の証。
2010.05.30.