私的図書館

本好き人の365日

「リンゴの花が咲きました」

2004-04-30 23:06:00 | 日々の出来事
うちの軒先でツバメが巣作りを始めました♪

水の入った田んぼでは、毎晩カエルの大合唱が聞こえてきます。

もうすぐ五月ですもんね。

我が家にツバメが巣を作るのは久しぶりです。
家を改築してからは初めてのご訪問になるので、家族総出で見守っています。

玄関のすぐ上なので、なるべく静かに引き戸を開け閉めしたり、夜でも明りをつけないようにしたり。

これだけ人間が気を使っているというのに、今年のツバメの夫婦は巣作りがヘタ。

土が少ないのか、草が弱いのか、ドロがうまく固定しなくて、なかなか巣の形になりません。

ああ、なんとか他のお家に負けないような巣を作ってくれないかな~
このままじゃ、卵が落っこちちゃうよ。

ぜひ、ツバメの子のあの大きな口を、甥っ子達に見せてやりたいんですよ。
迫力ですもんね☆

僕がわかるたった一つのこと

2004-04-30 00:02:00 | 日々の出来事
他人(ひと)とわかり合うって、なんて大変なんだろう。

こちらがよかれと思い、相手も好意でしてくれたことなのに、結果的にお互いを傷つけてしまう。

「あなたのためを思ってしたのに」

「君によけいな負担をかけたくないんだ」

自分の中のケチなプライドが邪魔をして素直になれない。

相手の手助けを、負担と感じてしまうのは、僕に負い目があるからだ。

自分は好意を受けるのにふさわしい人間なんかじゃないと、心のどこかで思っている。

バカな話だ。

僕達は、同じ大地に立つ一本の樹じゃないか。

同じ根を張り、同じ空気を吸う。

周りを見渡せば、たくさんの葉っぱのように、人々が手をつなぎ、笑い合っている。

どうして自分にだけできないなんて思うんだ。

手を伸ばすだけだ。

それだけでいい。

素直に「ありがとう」と言えばいいんだ。

わかっているのに不安になる。

そんな僕の態度が相手を不安にさせる。

自信のなさがなさけなくって、やりきれないと、悲しみをたたえた相手の瞳が僕に訴える。

こんな気分は嫌だ。

早く抜け出したい。

ちょっと疲れているだけだ。

すぐにいつもの僕に戻るから。

相手の気持ちを見失って初めてその大切さに気づく。

「ここ何日かぎくしゃくしてたね」

と、笑顔で言えるように気分を切り替えなくっちゃ。

わかろうとするからこんがらがる。

大切なのは、”今”彼女が笑っているということ。

それだけでいい。

それだけで。



四月の名言集より

2004-04-29 00:42:00 | 日々の出来事
わたしたちはみんな生きています。

でも、なぜ生きているのか、なんのために生きているのか、

それを知りません。

だれもが幸福になりたいという目的をもって生きています。

生きかたはそれぞれちがっても、

目的はみんなおなじなのです。

わたしたち三人は、いい環境で育てられてきました。

学ぶ機会を与えられ、

なにかを成し遂げる可能性を与えられ、

大きな幸福を期待するだけの理由があります。

とはいえ…

それは自分たちの力でかちとらねばなりません。





          ―アンネ・フランク「アンネの日記」―

(三人とは…アンネ、姉のマルゴット、隠れ家で一緒に生活した二才年上のペーターのこと)

四月の本棚 2 『魔女の宅急便』

2004-04-26 22:05:00 | 日々の出来事
桜がキレイに咲いていますね。
先日はナデシコの花を買ってきました。
春らしくていいでしょ*(桜)*
庭に植えようと思って♪

誰に教えてもらうわけでもなく、春になると草が芽吹き、花が咲くって不思議ですね。
きっと草は草の中に、花は花の中に、そうした力がもともと眠っているのでしょう。

人間にだって、その人が「本来持っている力」というものがあります。
例えば、そう、SMAPの『世界に一つだけの花』で歌われているみたいに。
その人がその人であるための、もともと特別なその人だけの力(個性)。

さて今回は、そんな持って生まれた「魔女の血」によって、ほうきに乗って空を飛ぶことのできる女の子の物語。

魔女のキキと黒猫ジジが活躍する、角野栄子さんの『魔女の宅急便』の登場です☆

映画化のおかげで、ご存知の方も多いかと思います。
でも、原作本だって、負けず劣らず面白いんですから!

主人公のキキは、本物の魔女のお母さんと、妖精や魔女についての昔話や伝説を研究している民俗学者のお父さんとの間に生まれた女の子。
十歳の時、お母さんの跡を継いで魔女になることを決めたキキですが、上手にできるのは、ほうきに乗って空を飛ぶことだけ。

そんなキキにも、魔女のひとり立ちの時期がやってきます。
十三歳になった魔女の女の子は、自分の家を離れ、魔女のいない町を探して、たったひとりで暮らさなければならないのです。

ほうきの先に赤いラジオをぶらさげて、黒猫のジジといっしょにひとり立ちの旅に飛び立つキキ。

四月に入って、キキみたいに新しい生活を始めた人も多いのではありませんか?
新しい町。
新しい環境。
新しい人間関係。
希望に胸を膨らませながらも、ちょっぴり不安を抱えて迎える新生活。

魔女といってもキキだって普通の(空は飛べますけどね☆)十三歳の女の子。
海辺の町でグーチョキパン屋さんをやっているおソノさん夫婦に助けられ、空を飛ぶことをいかした宅急便の仕事を始めたキキも、様々なことで悩み、いじけ、イライラし、カラッと晴れたかと思うと、すぐまた落ち込む日々。

このキキの急上昇、急降下、くるくる旋回する感情の変化、表現が読んでいてとっても魅力的☆
本の世界は映画よりもメルヘンの香りが強めですが、それがより素直に人が成長する時にくぐり抜ける、大切な大切な「何か」を私達の心に届けてくれます。
ほんと、魔法の力が込められているかのように。

「魔女の宅急便は見えないものも運ぶの。人の願いや優しさを…」

魔女のもっとうは「もちつもたれつ」☆
お礼はほんの少しの”おすそわけ”

キキを取り巻く登場人物もとってもユニークです♪
まにあわせ屋のすみれさん。
何にでも腹まきをはかせてしまうぽんぽん船の船長のお母さん。
個人的には第二巻から登場する、ゴムのパチンコでキキを打ち落としたいたずらっ子のヤアくんや、第三巻でジジを助けてくれるキャベツばかり食べているノラオさんが大好き☆
あ、もちろん、絵描きのお姉さんや、トンボさんも登場しますよ。

「お正月」や「春の音」を運んだり、色々な人と出会ううちに、キキの心情もしだいに変化していきます。
そんな自分にとまどいながらも、愛すること、愛されること、大切な人たち、大切な「自分」に、傷つきながらも気が付いていくキキの姿がいたいたしくも共感を呼びます。

映画は映画として、本の中のキキの物語も、ぜひご覧になって下さい。
十三歳の旅立ちから始まった『魔女の宅急便』も、今は十七歳になったキキの物語『魔女の宅急便 その4』までが発売されています。(副題は「キキの恋」*(ハート3つ)*)
特にこの『~その4』は絶対お薦めです☆

それから第三巻から挿絵を描いてみえる佐竹美保さんの絵も必見ですよ。
生き生きと描かれたキキやジジの姿はまさにイメージ通りです♪



自分が 自分に 出会うとき

あなたにも いつかある

自分が 自分に 出会うとき

あなたにも きっとある





角野 栄子  著
福音館書店

四月の本棚 4 『風の谷のナウシカ』

2004-04-26 21:57:00 | 日々の出来事
いったい日本テレビは何回再放送したら気が済むんだ?

と、おもわず突っ込みたくなるほどTVで何度も放送されたこの作品。

アニメのことはまったく知らないうちの父親が、初めてビデオデッキを買った時に子供用に持ってきたのも実はこの作品でした。
会社の部下に命じてダビングさせたそうです。(職権乱用?)

今回は、そんな映画版ではなくて、その原作となった作品。
雑誌「アニメージュ」に1982年~1994年まで(途中何度も中断)連載された宮崎駿作、漫画版『風の谷のナウシカ』をご紹介します☆

漫画版があるって知っていました?
実は漫画家になるつもりだったという宮崎監督。
大学生の時には出版社に持ち込みをしたこともあるんだとか。
初の劇場用監督作品、「カリオストロの城」が興行的に失敗し、次の仕事が決まらず暇だったので描き始めたそうです。

この翌年に、映画化の話が動き出します。

当然、原作は映画とは大きくストーリーが違います。

「腐海」と呼ばれる有毒な瘴気に包まれた森が存在する遠い未来。
辺境の小国、「風の谷」の族長の娘として生まれたナウシカは、古い盟約に従い、大国トルメキアの第四皇女クシャナの戦列に、父の代わりにガンシップ(戦闘機のようなもの)の戦士として加わることとなります。
目的は、腐海を南下し、トルメキアが戦っている敵「土鬼(ドルク)」の後方を突くというもの。

マスクなしでは五分で肺が腐るという森、蟲たちが支配するこの「腐海」こそが『ナウシカ』の物語世界を決定づけています。

水も空気も土も、人間が毒に変えてしまった未来の世界で、木々や草花を愛し、動物を愛し、世界を愛するナウシカは、腐海の植物や蟲たちでさえ、この世界の一部として受け入れていきます。
それなのに、人間達は、こんな世界になっても戦いをやめようとはしません。

クシャナの命を狙う王族の罠。
骨肉の争い。
宗教に権力。
やがて土鬼(ドルク)軍は、封印されていた墓所の扉を開け、古の技を使ってトルメキア軍に攻勢をかけてきます。

不死の体を持つヒドラ。
火の七日間で世界を焼き尽くしたという巨神兵。
蟲を、そして腐海さえも兵器として使う土鬼(ドルク)軍。

死と悲しみが支配し、滅びゆく世界の中で、腐海の生まれた理由、この世界の生い立ちにせまっていくナウシカ。

戦争は人々の憎しみを産み、憎しみは新たな悲しみを広げ、そんなナウシカ達の思いさえ飲み込もうとします。

「だめだ、みんなとてもナウシカのようにはなれない」

戦いを止めることの出来ない土鬼(ドルク)の少女、ケチャの言葉が胸に迫ります。

「ナウシカにはなれずとも、同じ道はいける」

ナウシカの師であり、腐海の謎、この世界の謎を追い求めてきた剣士、ユパさまの死。

この場面は何度読んでも涙があふれます。

以前、憲法記念日の特集で、高校生の女の子がこんなことをTVで言っていました。

「世界中の人が、もう戦争なんてしたくないと思えば、その瞬間、この世界から戦争はなくなるんじゃないんですか」

ナウシカは言います。

「悲しみや悲劇やおろかさは、清浄な世界でもなくなりはしない。それは人間の一部だから…」

「だからこそ、苦界にあっても喜びやかがやきもまたあるのに」

「その人達はなぜ気づかなかったのだろう、清浄と汚濁こそ生命だということに」

理想や信念は、時として人を許す寛容さに欠けることがあります。
歴史や過去が、今を生きる人々を苦しめ、押しつぶす連鎖を、私達は断ち切らなければなりません。
それでも人は過ちを繰り返すでしょうが、その過ちを、繰り返し繰り返し乗り越えていくのです。

巨神兵を従え、ケチャの用意してくれた服に、クシャナのマントを羽織ったナウシカは、真実の扉を開けるために、土鬼(ドルク)の聖都、シュワにある墓所へと向かいます。

映画版とは全然違うストーリー展開ですが、不思議と気になりません。

戦闘場面が残酷で、ちょっとお子様向けではありません。
画風も変わっているので、普通のマンガに慣れている人には読みづらいかも。
女の子(?)もあまりかわいくないし、というかほとんど三人しか出ないので、サービスは悪いです。(何の?)

だけど、「漫画」としての魅力はいっぱい!
これだけは保証できます☆

ちなみに「ナウシカ」の名前の由来はギリシヤの叙事詩オデュッセイアに登場するパイアキアの王女様の名前からだそうです。
一応オデュッセイアも読みました。
トロイ戦争の後、苦労してオデュッセイアが故郷に帰るお話です。

何千年も昔から、戦争は多くの物語で語られ、多くの詩人の言葉によって伝えられてきました。
人はそこから何を学んだのでしょう?
ただやみくもに、「戦争反対」を叫ぶ前に、その行為自体が、争いの原因になってやしないか考えて欲しいです。

『ナウシカ』自体は、そんなに堅苦しく考えなくても、十分楽しめるマンガです。
どうぞ、映画を観て興味を持たれた方。
ジブリ作品の好きな方。
マンガの『ナウシカ』も、一見の価値ありですよ☆



宮崎 駿  著
徳間書店

「ある日の家族」

2004-04-25 09:41:00 | 日々の出来事
メキシカン・スパゲティー?

久しぶりの外食で入ったレストランで、お薦めメニューに載っていたので注文してみました。

なになに、イタリアン・スパゲティーにハンバーグをトッピング?

・・・それでメキシカン?

最近の外食産業はよくわからんです。

母親が「今日は寒いからやる気がしない」と、甘えたことを言うので、しょうがなく夕食を作りました。

餃子を焼いて、ポテトサラダ盛り付けて。
餃子はサラダ油をひいた上に輪を描くように並べ、たっぷり目の水(餃子の身の三分の一くらい)を入れて、その水がなくなって焦げ目が付くくらいまで焼きます。
お皿を上からかぶせ、フライパンごと裏返せば、焼き色も鮮やかな一品の出来上がり♪

残ったじゃがいもで、粉ふきイモも作ってみました。

小さい頃、子ども会で自分達で作ったじゃがいもを掘り、お母さん達に粉ふきイモにしてもらったことがあって、その時の美味しさったら、今でも忘れられません☆

塩味だけでも美味しいですけど、やっぱマヨネ~ズは外せないですよね♪

付け合せにニンジンとレタスをのせて、はい完成!

ところが、うちの母親ったら、せっかく作った料理には少ししか箸をつけずに、漬物と昼ご飯の残り物でさっさと食事を済ませてしまう。
さっきお菓子を一袋食べていたから食欲ないんだと。

こ、これだからB型って!!!

食べたいからって食事の前にお菓子を食べるな!
食欲ないからって、作った人に「食欲ない」なんてそのまま言うな!

自分に素直なんだろうけど、もうちょっと感情の機微ってもんがあるだろう?

ハアハア…
言っても無駄と知りつつも、つい小言が出てしまう~

挙句の果てに、

「あんまりうるさいと嫌われるよ」だって。

どっちがよくしゃべると思っているんだ~!!

そんな二人をよそに、父親はビールを飲みながら、キレイに料理を食べてくれました。
一言も言葉をはさまずに。

母上様。
絶対、私の性格はあなたに似たんです。

口の多さも、おっちょこちょいなところも。


「時が満ちるまで…」

2004-04-24 22:27:00 | 日々の出来事
三月に入社して来た女の子が辞めてしまいました。

早っ!

まだ五月病でもなかろうに。

確かに仕事はキツくて残業も多いけれど、楽しいことも多いんだよ。

辞める当日に上司に報告したらしく(つまり突然辞めてしまった)、次の日から仕事が滞って滞って、みんなで残業して穴を埋めました。

あ~あ、つまらないの。

うちの職場は50代~60代のおばさんが多いので、年代の近い女の子が入って、喜んでいたのに、いったいこれから何を楽しみにしたらいいんだ!(別に真面目に仕事すればいいんでしょうけどね☆)

なかなか出会いってないんですよね。

うちの友達は父親から「今年中に結婚しなかったら家には入れん」と、えらく乱暴なことを言われ、なんとその年のうちに結婚相手を見つけてしまいました。

これにはみんなビックリ。

同窓会に集まった同級生の女の子に、友達を紹介してくれるように頼んで、すぐに付き合いはじめ、その年の十二月にはもう結婚を決めていました。

早っ!

結婚ってそういうものなの?
人を好きになったら時間なんて関係ないの?

三月で結婚一周年になったので、久しぶりにハガキを出しました。

合コンの場や、テニススクールで女の子と話しをしていても、その時は楽しいと感じるけれど、いざ結婚して一緒に暮らしたいかと聞かれたら、どうもそんな気にはなれない。

遊んだり、親しくなっても、生活を共にするとなれば、現実的な問題も出てくるだろうし、見たくない姿や、見せたくない姿だってお互い見ることになるだろう。
いつも一緒にはいたいけれど、生活となると自信がない。
それとも、こんな問題なんて些細なことと思えるくらい、強い思いが生まれるのかな。

実感できないってことは、まだその時期じゃないってこと?

こんな言葉を読んだことがあります。

「物事を深く考える者は結婚できない」

「結婚する者は考えない」

 …う~ん、昔の人はうまいこと言うな~☆


「家の畑がスーパーです」

2004-04-20 22:09:00 | 日々の出来事
今日の夕飯はタラの芽の天ぷらでした♪

これを食べると、いよいよ田植えの準備が始まります。
今年は父親が定年で家にいるので、いつもより田んぼの数を増やすとハリキッテいます。
ゆっくり休めばいいのに~

いままでも、家族では食べきれなくて、親戚に安くわけていたくらいなのに、そんなにたくさん作ってどうするの? と訊くと、「農協に売る」とのこと。

家で採れたコンニャク芋や、かぼちゃ、リンゴなどを市場に持っていって並べているうちの両親。
どうやら自給自足を目指しているらしい。
米と味噌と野菜はあるし、裏山では椎茸栽培、小さな果樹園では林檎と葡萄とさくらんぼが実り、放し飼いのニワトリからは卵、山からはキノコに山菜。
数年前なんか、どぶろく(密造酒)まで造ろうとしてたし。
…なんか実現しそうでイヤ。

父親の子供の頃には牛とヤギもいたそうで、乳製品まで自力で造れそう。
実際近所の友達の家は牧場経営をやっていて、搾りたての牛乳とか飲ませてもらっていたから、教えてもらえばできないことはない。(今もよく甥っ子と牛を見に行きます)

これからタケノコの季節。
この間採ってきたワラビもまだたくさんあるし、食材には困らないだろうな~
別にそういう食べ物が嫌いというわけではないけれど(いや、むしろ好きな物が多いけど)、いままでスーパーでいかに安く、いいものを手に入れるかを生きがいにしてきたので、生活のギャップにとまどいが…

ああ、一人暮らしが懐かしい*(涙)*

四月の本棚 3 『魔法使いハウルと火の悪魔』

2004-04-18 11:05:00 | ダイアナ・ウィン・ジョーンズ

この季節になると、世界中の魔法使いや魔女達は大忙し。
五月一日の前夜に行われるという〈ワルプルギスの夜〉に向けて、準備に余念がないのです。

〈永遠に消えない大たき火〉

〈髄骨と臭化カリウムの夕食会〉

〈七つのクモの巣ダンス〉

年に一度の魔女達の集まりは、夜を徹しての大騒ぎ。
今からワクワクそわそわ、ほうきに磨きをかけている頃でしょう☆

最近めっきり有名になった魔法使いといえば、ハリー・ポッター。
六月に公開の映画最新作「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」も話題になっていますね。
ところで、イギリスにはハリー・ポッターの原作者J・K・ローリングと同じように根強い人気を持つ女性作家がいます。

「ハリーに夢中? ダイアナを試してごらんなさい」

今回は、宮崎駿監督、スタジオジブリの最新作、「ハウルの動く城」の原作となった、今もっとも魅力的な物語作家。
ダイアナ・ウィン・ジョーンズの『魔法使いハウルと火の悪魔』をご紹介しましょう☆

主人公は、魔法が本当に存在する国インガリーで、帽子屋の三人姉妹の長女に生まれたソフィー・ハッター。

まず、ソフィーの紹介が笑えます♪

「せめて貧しいきこりの子なら、少しは出世の望みもあったでしょうが、あいにくそうではありません」

『長女は何をやってもうまくいかない』という昔話のパターンを”自覚”しているソフィーが可笑しい♪
(作者自身も三人姉妹の長女ってのが笑えます☆)

運だめしに出る運命(と、ソフィーが思っている)末っ子マーサは魔法使いの弟子に、とびきり美人の次女のレティーはパン屋の売り子にと、それぞれに落ち着いた時も、ソフィーは家業の帽子屋を継ぐために毎日作業場で帽子の仕上げをすることになります。

さらにさらに、まさに長女の宿命のように「荒地の魔女」の呪いをかけられ、九十歳の老婆に変身させられてしまうソフィー。

「年寄りがこんなことを我慢しているとは、ちっとも知らなかった!」

まさに踏んだり蹴ったり。

痛む手足。
きしむ関節。
しわだらけで静脈の浮き出た手。

家にはいられないと、杖を頼りによろよろと歩きだしたソフィー。
その彼女の眼前に、悪名高い魔法使いハウルの動く城が浮かんでいるのでした…

おばあちゃんになったソフィーの豪気なこと♪
振り回されるハウルの弟子のマイケルや、小さな暖炉に契約で縛られている火の悪魔のカルシファーがかわいそうなくらい。
この、いい子なんだけど頼りにならないマイケルや、愚痴の多い悪魔のカルシファーも魅力的なんだけれど、主人のハウルはそれに輪をかけて神秘的でわけわかんなくて魅力いっぱいなんです!

ソフィーも負けていなくて、ハウルに内緒で火の悪魔と取引したり、マイケルと”七リーグ靴”を持ち出したりと大騒ぎ。
謎のかかしや、犬人間も現れ、「荒地の魔女」の城にソフィーが乗り込んで騒ぎは最高潮に達します☆

はたしてソフィーは魔女の呪いを解くことが出来るのか?
ハウルとカルシファーの契約とは?
動く城の秘密に二人のレティー?
おまけでマイケルの恋愛模様もひっくるめて、謎がいっぱい、魔法がいっぱい!

作者が書きながら笑い転げてイスからころげ落ちそうになったという、読み出したら止まらない、極上のファンタジー。
映画公開の前に、ぜひ原作の魅力をお楽しみ下さい♪

続編の『アブダラと空飛ぶ絨毯』も楽しいですよ。
まるで違う世界のお話のようで、ちゃっかりソフィーとハウルも登場しています。
表紙も二冊共、佐竹美保さんですしね☆



ダイアナ・ウィン・ジョーンズ  著
西村 醇子  訳
徳間書店


四月の名言集より

2004-04-18 05:24:00 | 日々の出来事
【膝(ひざ)】



女性の体でもっとも重要な器官の一つ。

幼い子が、そこで寝るのにはこの上なく都合よく自然が用意してくれたものだが、田舎の祭りでは冷たい鶏肉を盛った皿とか、成人した男性の頭をのせたりするのに主として有用される。
同じ人類の雄にも、膝らしきものはあるが、発育不全のため、この動物の実質的な幸福には少しも役立たない。



         ―A・ビアス「悪魔の辞典」―

やっぱり無くては困る携帯電話

2004-04-07 19:04:00 | 日々の出来事
今朝会社に向かう途中、もう引っ越し準備も終り、もぬけのからになっているマンションに立ち寄ったんですが、そこで携帯が無くなっていることに気が付きました*(涙)*

物も情報も無駄なものが多い、と昨日日記に書いたばかり。
…これってもしかして天罰?

バカなことを考えている暇はない。
必死で思い返してみるものの、人間、パニックになると自分の記憶も信じられなくなってくるらしく、自分が携帯を持っていたかどうかも思い出せない。
部屋を出る時は持って出た?
ポケットに入れたつもりで忘れたとか?
昨日の夜は使ったっけ?
いや、そもそも会社に忘れてきたのかも…

どんどんあやふやになっていく記憶。

実家に電話して、固定電話で呼び出してみるものの、向こうもこっちも着信音は聞こえない。
これで部屋には無いことがわかったけれど、いったいどこに?

そういえば、さっきゴミの集積場で、カラス除けのアミにひっかかって派手に転んだけど、その時落としたのかも!
(30代にもなって、派手に転んだりするのはかなり恥ずかしいです)
そう思ってあわててエレベーターで降りるもそれらしき物は見つからず、出社時刻が迫ってきたので、仕方なくその場はしおしおと出勤しました。

もう一日中不安*(汗)*

一縷の望みをかけて開いた会社の机の引き出しもアウト。
きっとどこかで落としたに違いない。
誰かに拾われて悪用されたらどうしよう?
早く携帯電話会社に連絡して紛失の手続きをした方がいいかな…

すっかり振り回されている自分がそこにいました。

結局、拾ってくれた親切な青年が連絡してくれて、夕方には手元に戻ってきたのですが、(ああ、人間って素晴らしい☆)
携帯電話一つに大騒ぎ。
色々な意味で、いい勉強になりました。

やっぱりゴミの集積場に落ちていたそうです。
あれだけ探したのに不思議だな~
よっぽど遠くまで飛んでったんだな~
…確かに、みごとな転びっぷりではありましたが。

悪用されるなんて疑ってゴメンナサイ。
世の中、まだまだ捨てたものじゃないですね☆

桜の季節に新生活!

2004-04-06 20:15:00 | 日々の出来事
七年間暮らしたマンションともいよいよお別れです。

荷物もおおかた片付いて、あとは少し掃除をするだけ。
結局、業者を頼むことなく、一ヶ月近くかかって荷物を運び出しました。

疲れたよ~

何が辛いって、最後の一週間。
TVも本もない部屋で過ごさなければならないのが辛かった*(汗)*
いかに普段、情報にどっぷりつかった生活を送っていたのかということですね。

まだ何も持っていなかった子供時代の方が、かえって自分の好きなことや大切なことが、はっきり見えていてよかったのかも。

引越ししてみて思ったのは、ずいぶんと無駄なものが多いということ。
ゴミ袋をいくつ出したことやら。
服や靴もこの機会に思い切って捨てました。

なくても生きていけるのに、いつの間にやら随分たくさん自分の体の周りにくっ付けていたようです。

物も、情報も。

なにごとも、シンプルが一番。
さて、すっきりしたところで新生活のスタートです。
時は四月。
まさに、スタートにふさわしい月ですものね☆


四月の本棚 『霧のむこうのふしぎな町』

2004-04-06 19:07:00 | 日々の出来事
思わぬ出会いに感激することがあります。

雨上がりに差し込む天の光*(キラキラ)**(キラキラ)*

横丁から飛び出してきた子供のなにげない掛け声。

なつかしい友人との再会に、初恋の相手とのいきなりの対面*(ドキュン)*

この本との出会いも、そんな思いもよらない出会いでした。

今回ご紹介するのは、そんな素適な出会いの本。
柏葉幸子の『霧のむこうのふしぎな町』です☆

ジブリ映画「千と千尋の神隠し」に原案となった物語があったなんて知ってました?

以前この本棚で同じくジブリ作品の「耳をすませば」を採り上げた際、掲示板に書き込みをして下さった方の中に、「図書館で天沢くんが読んでいる本のタイトルが千と千尋の原作本『霧の向こうの不思議な町』だったことを確認」と、とってもトリビアな事を書き込んでくれた方がみえたんです(80ヘェ~獲得♪)
映画はDVDまで買った私も「そんな本があるんだ~」とその書き込みを読んで初めて知りました。

そんなことがあったので、本屋さんでタイトルを見つけた時は自然と手が伸びました。
パラパラと読んでみてさらに驚き!
「これって、映画よりも面白い!!」(←ファンの方ゴメンナサイ。あくまで主観です*(汗)*)

ただこの本をほんとに楽しむためには、まず、「千と千尋」のことはいっさい忘れなくてはなりません。(別に映画がつまらないからじゃあないですからね*(汗)*解説の加納朋子さん(作家)がそう書いているんです。原作本だと思って読むともったいないって…)

もちろん千尋や湯婆婆は出てきません。
女の子と口の悪いお婆さんが出てくるので、印象がダブルかもしれませんが、まったく別のお話です。
出版社のケチな宣伝文句「千と千尋の原案本!」なんて書かれたオビはまったく無視して結構。
素直に物語を楽しむ気持ちになれたら、どうぞ手の取ってページをお開き下さい☆

物語は小学六年生の女の子”リナ”が、お父さんの知り合いの住む「霧の谷」で夏休みを過ごすために、たった一人、駅に降り立ったところから始まります。
お供はお父さんが知り合いからもらったという柄の先にピエロの頭がついた水玉模様の一本の傘だけ。
道がわからず、霧の中に迷い込んだリナは、そこでとってもふしぎな町にたどり着きます。

このリナの迷い込んだふしぎな町。「めちゃくちゃ通り」がそりゃあとっても可笑しいんです☆
建物もお店も、そこに住んでいる住人も変な人(+動物+?)ばっかり!
まずはリナがお世話になる(「誰が世話なんかするっていったね」)下宿やのピコットばあさん。
ばあさん曰く「働かざる者、食うべからず」と、いうわけで、リナはこの下宿にいる間、めちゃくちゃ通りに並ぶいろんなお店で働くことになります。

ふしぎな町のふしぎなお店は、リナの知っている普通の本屋さんやお菓子屋さんとは大違い。
おしゃべりな本屋のナータや、食べても食べても太らないトケの店の美味しいお菓子☆
もちろん他のお店も魅力的なんだけれど、一番のお気に入りはピコットばあさんよりも口が悪くて、ナータよりもおしゃべりなオウムの”バカメ”。
リナと初めて顔を合わせた時の会話が笑えます。

「トーマス、トーマス。このぷっとふくらんだこむすめはなんだ。ふくらし粉でも食わせたのか」

もう最高! (笑)

普通の女の子が、普通でない町で働き、おかしな住人と、おかしな出来事の中で過ごす夏休み。
そこで得たものは、大切な大切なごく普通の大事なこと。

解説にも書かれていますが、本屋のナータが本の魅力について語る場面。
それはもちろんこの本自身の持つ魅力でもあります。

「本って人をひきつけて、その人に影響をあたえるってことがあるでしょう」

まさにその通り!
物語には力があります。
まるで魔法の力のように。
ほんとにこの本からはひきつけられるものを感じます☆

「千と千尋」を観た方はもちろん、観ていない方にこそ、ぜひこの作品をお薦めしたいです♪
そしてぜひ、この本の持つ魅力を体験なさって下さい。

では、
本のあたえてくれる影響を信じるあなたに、また一冊、素適な出会いとなることを祈って…



柏葉 幸子  著
講談社文庫