私的図書館

本好き人の365日

仮面ライダー555パラダイスロスト

2003-08-31 20:07:00 | 日々の出来事
八月最後の日曜日。
遅ればせながら劇場版『仮面ライダー555パラダイスロスト』を観て来ました♪

友達の元アニメーター夫婦(新婚☆)に強く勧められたってのが直接の動機だったんですが、行ってよかった♪

特に子供達の反応が面白かった。
主人公の”ファイズ”がピンチになると「ファイズがんばれ!」と声援が飛ぶ☆

ドラマ部分で地味な演技になると、とたんに飽きてソワソワしはじめる。

子供が画面の中の様子を説明しているのに(…『お母さん、あんなことしてるよ。』『死んじゃったの?』『見て、へんなのついてる』などなど…)当の母親は携帯のカメラで画面を写すのに必死(笑)

『アギト』以降、若いお母様方の人気も高いそうで、今日もかなりの親子連れで賑わっていました。

昼食はネットで見つけた豚カツ屋で「ねぎマヨネーズみそかつ定食」というのを注文。

厚切りのカツの上に、これでもかってくらいにネギをのっけて、お好み焼きのようにマヨネーズの縞模様。
まわりからは、みそダレが衣にしみ込んでいい感じ。
べつ盛りのキャベツもうれしいサービス。
これをタレにからませて食すと何杯でもご飯が進みます。

TVシリーズは見たり見なかったりだけど、さすがは目の肥えた面白夫婦のお薦めだけあって、見ごたえのある映像と、アッと驚く内容でした。
逆にTVシリーズにも興味が出てきそう。

いや~面白かった。

映画を観て美味しいものを食べる。

これが正しい休日の過ごし方ってもんでしょう☆

 

ホ~クの教習所日記

2003-08-29 21:04:00 | 日々の出来事
取りましたよ、免許♪

普通自動二輪の免許証を今日もらってきました☆
これで排気量400ccまでのバイクなら乗れるわけです。

仕事の暇な時期を選んだとはいえ、残業してからの教習所通いはしんどかった~

だけど充実した一ヶ月でした。

忙しくしていたほうが楽しいなんて、貧乏症かな? 仕事も迷惑かけないように普段より真面目にこなしてたし、とっても健全な日々でした。

好きなことをしているって、とってもいいもんですね☆






八月の本棚 3

2003-08-26 21:27:00 | 海外作品
旧約聖書によれば、かつて、ソロモン王は、魔法の指環の力によって、獣や鳥や魚。地を這うものどもと語ることが出来たという。

ソロモンの指環はないけれど、動物が大好きで、その科学者としての確かな目と、豊かな経験によって、私達に動物達の行動の背後にある意味を教えてくれる、とても興味深く、愉快な本。
今回ご紹介するのは、ノーベル賞にも輝いたコンラート・ローレンツ博士の名著。

その名も『ソロモンの指環』です。

動物行動学入門と銘打った本書。
自身、たくさんの生き物と暮らすローレンツが、そのふれ合いの中で発見した彼等の不思議な行動を、その鋭い洞察力と明晰な頭脳でもって解説してくれています。

まず読んで思うことは、この先生、本当に生き物が好きなんだな、ということ。
登場する生き物の種類の数だけとってもそれがわかります。

自分達の娘が小さい頃は、飼っている中に、危険な動物もいるということで、とりあえず、檻の中に入れておいたとか。

…娘の方を(笑)

興味深かったのは、知識を代々伝えていくコクマルガラス。
カササギなどの他の鳥が、一度も見たことのないキツネなどの天敵を、本能的に知っている(!)のに対し、若いコクマルガラス達は、群れの中の経験豊かなコクマルガラスが天敵を見つけ、警告の声を上げるのを聞いて覚える(これもスゴイよね!)

さらに、彼等は生殖可能になる一年も前に求愛し、人間でいう「婚約」期間も持っています。
その求愛行動も笑える。

まずオスは立派な巣にメスを誘います。その中には、食べ物が用意されていて、彼女の気を引く。さらに、彼女の見ている前では、普段、絶対に逆らわない上位のオスにも立ち向かっていったりするのです。そのうえ、オスはたえず、目当てのメスの瞳を見つめているのに対し、メスの方は、一見そしらぬ顔であちこちに目をうつしながら、何分の一秒かの間、チラリと彼を見るというのだから小憎らしい。

そうして互いに好意を確かめ合った二羽は、ペアとなり、緊密な攻防協定を結んで、縄張り争いなどに共同で立ち向かって行く。
これは力のない若い二人には重要なこと。だから、単に繁殖のためだけの夫婦じゃないってことね。本当に人生(?)のパートナーって感じ。

ムムム…なんか人間とあまりかわりばえしないぞ。

誰とでも仲良くなれ、誰が綱を引っ張っても喜んでついていってしまうジャッカル系の犬と、ひとたび忠誠を誓ったら、知らない人にはしっぽさえ振らないオオカミ系の犬の違い。などなど、内容を丸写ししたいほど、興味深いお話しの数々。

きっと、あなたの知らなかった生き物達のドラマチックでミステリアスな一面が、発見できます。

ペットを飼っている人(特に鳥類)には、ぜひ読んで頂きたい。
「やれやれ、やっとわかってくれたの?」という、彼等の声が聞こえてきそう。

文句は、九百九十九人ものお妃がいたのに、一羽のナイチンゲールが、お妃の一人が若い男を愛していると告げた時、怒りのあまり指環を投げ捨ててしまった、ソロモン王に言ってちょうだい☆










コンラート・ローレンツ  著
日高 敏隆  訳
早川書房

「猫だまし?」

2003-08-26 21:18:00 | 日々の出来事
相撲の決まり手ではありません(笑)

仕事の帰り道、お腹が減ったので、近くのコンビニに立ち寄ったところ、入り口近くにいる一匹の猫の姿が目に入りました。

この猫、年の頃は1、2歳くらい。茶色に黒く薄い縞模様があり、尻尾を立てて、
「何かおくれよ~」
と、出て来る客に擦り寄っていくんです。

(こんなところでエサ探し?頭イイ~☆)

コンビニ猫なんて初めて見たので、ちょっと感動。
せっかくだから、撫でさせてもらおうと、いそいそと買い物を済ませて、つくねの串焼きを手土産にと買いました。

最初こそ、「うるさいな~」という顔をしていましたが、そこはそれ、お土産の効果もあって撫でさせてくれました♪

しっかし、よく考えてるよな~。
ここで鳴いていれば、絶対ひっかかる客が出てくるもの。

自分の魅力を際立たせる鳴き声に、あとをトコトコついていくという芸の細かさ!
したたかなもんです。

帰り際、また一人若い男の子がひっかかっていました。

―やるな、おぬし(笑)





八月の本棚 5

2003-08-25 00:24:00 | 新井素子
え―、ぬいぐるみというのは、一見、「無生物」のように見えますが、実は、生き物なのです。

えっと、(のっけからとんでもない文章でゴメンナサイ)というわけで、今回ご紹介する本は、新井素子の『わにわに物語』です。

ぬいぐるみの、ぬいぐるみによる、ぬいぐるみのための物語。

これだけ書かれても、何のことだかわかりませんよね?
この本を読むには、ちょっとした前知識が必要なんです。
まず、上の紹介自体、実は正確ではありません。作者が新井素子だと思われたでしょう?
そうではない…というかなんというか。

厳密に言うと、この本は、”わにわに”という、実在するぬいぐるみがしゃべった内容を、同居人である新井素子が、口述筆記というかたちで書いた物語、というのが本当のところです。

…何を言ってるのかって? 今から説明しましょう。(私も自信がないけど…)

新井素子はぬいぐるみを「生き物だ!」 と主張しています。
確かに、肉体的な成長はしないし、新陳代謝もしない、自力で動くことさえできないけれど、だけど、それでも、「生物」なんだって。持ち主である人間の愛情を食べ、愛情によって支えられ、そのかわりに愛情と目に見えないパワーを提供してくれる、極めて精神的な生き物。

え―、本人もこうした意見が、ぬいぐるみを知らない人には奇異に聞こえるだろうことは、重々承知しているようです。

確かに、ぬいぐるみに話しかける子供はいますよね。
少年時代、よく近所の女の子におままごとに付き合わされたんですけど、その子は立派なドールハウスを持っていて、人形もたくさん持っていました。無生物に愛情を持つ気持ちはわかります。本当のところ、相手が「生物」だろうが、「無生物」だろうが関係ないですよね。大切なのは、同じ時間を共有しているということ。

念のために言っておきますが、この「ぬいぐるみ生物説」は小説の中だけのお話しではありません。こうした主張は他の著作の中でもくりかえされています。
あまつさえ、毎回その「ぬいぐるみは生き物だ」っていう『説明』をすることに、本人もそろそろ嫌気がさしている気配さえする。
曰く、「未だにぬいぐるみが『無生物』だっていうのが、常識だからしかたないけどね~☆」

未だにって、あんた、普通はそうなの!

新井さん家のぬいぐるみは、やたら個性的で、よくしゃべります。(…もしかして他の家でも?)、中には無口な奴や(普通そうだろ)、簡単な言葉しかしゃべれない知性の低いぬい(注:ぬいぐるみの短縮形)もいるみたいですけど。

ぬいぐるみなりに、夢や野望(!)もあるみたいです。
結婚するぬいがいたり、親バカのラッコ(名前は『男の気持ち』。娘の名前は『娘の気持ち』)のぬいがいたり。人間の食べ物を口に押し込まれた「武勇伝」を持つぬいがいたり…

どうか、世間一般の常識をお持ちの方は、「あとがき」からお読みになって下さい。この「ぬいぐるみは生き物だ!」という主張を読んでから本編に入ると、より理解が深まります。(…何の理解だか)

アレ? 本編の紹介まだしてませんよね?

ま、たまにはこんな回があってもいいでしょう。
実は、調子に乗って、続編『わにわに物語Ⅱ』という本も出版されていたりします。

お気に召しましたら、どうか探してやって下さい。

















新井 素子  著(?)
講談社

八月の本棚 4

2003-08-14 22:18:00 | パトリシア・A・マキリップ
さあ、今回は美しい幻獣達の登場するファンタジー小説をご紹介します。

世界幻想文学大賞受賞作。
パトリシア・A・マキリップの

『妖女サイベルの呼び声』です。

人間達のわずらわしい世界から離れ、人里離れた館で、古の書籍に囲まれて暮らす偉大なる魔術師。

ある意味、読書家の理想ですよね、これ♪

十代のころに、すでに人生に見切りをつけ、将来は世捨て人になろうと決心していたという作者。

わかる、わかる! 
そんな生活に憧れる気持ち☆

やがて、心(マインド)に呼びかけ、その名前を支配する力を持つ魔術師は、伝説にのみ名をとどめる、不思議なけもの達を集めだします。
このけもの達がとっても魅力的☆

幽閉された王女を救い出した、大きな翼と黄金色の瞳を持つティルリスの黒鳥。
あらゆる謎(リドル)の答えを《ただ一つを除いて》ことごとく知っているという、赤い目をした猪、サイリン。
黄金の番人であり、緑の翼を持つドラゴン、ギルド。
貴人の宮廷に次々と住処を移し、知恵をほどこしたという、みごとな毛並みのライオン、ギュールス。
呪術と玄妙不可思議な魔力を持つ緑の瞳の巨大な黒猫〈夜の貴婦人〉モライア。
そして、七人の男を八つ裂きにした経歴を持つ青い瞳の隼、ター。

母からは象牙色の髪を、そして父からは不敵な黒い瞳とその力を受け継いだ十六歳の少女サイベルは、祖父と父がこうして集めた幻獣達と共に暮らしていました。そんな彼女のもとへ、赤子を連れた一人の騎士が訪れたことにより、運命の歯車が動き出します。

このサイベル。幻獣達に劣らず魅力的なんです。

こんな主人公見たことない!
一種のショックを受けました。
『妖女』という呼び名もなんとなく納得。
とにかく、どんどん物語の中に引き込まれていきます。

強大な力を持つ敵の出現。
愛に不器用なことを自覚しながらも必死でもがくサイベル。
そして、彼女が追い求める、白く美しい鳥ライラレン。

奇想天外な内容や、冒険活劇の多いファンタジー物とはちょっと違った物語。
まったく、この吟遊詩人の紡ぎだす世界には脱帽です。

炉火の傍らで、ライオンと巨大な黒猫に体をあずけて、鈴を振るような美声で語る猪の昔話に耳を傾ける。

こんな体験ができるのなら、どんな呼び声にでも、喜んでほいほいとついて行くのに~


竜にははっきりと、”妖精国製”という商標がついている。どんな世界にいようと、竜がいるところは『別世界』なのだ。

        ―J・R・R・トールキン


逢いたいと思った時に、その相手から電話がかかってきた経験はありませんか?

もしかしたら、あなたにも、サイベルのような”力”があるのかも・・・

















パトリシア・A・マキリップ  著
佐藤 高子  訳
ハヤカワ文庫

八月の名言集より

2003-08-12 08:47:00 | 心に残った言葉
 
いびつな男がおりました

 彼はいびつな道を行きました

いびつな階段のところで

 六ペンス銀貨をみつけました

彼はいびつな猫を買いました

 猫はいびつなねずみを捕えました

そしてみんないっしょに

 いびつな家に住みました 






            ―「マザー・グース」―

八月の本棚 2

2003-08-11 01:00:00 | SF
猫の登場するSF小説といえば、外せない一冊があります。

その一冊とは、SF界の巨匠、ロバート・A・ハインラインの名作

『夏への扉』

です。

舞台は世界大戦でワシントンなどが吹き飛び、「冷凍睡眠」や「文化女中器」というお手伝いロボットなどが普及した1970年(!)

婚約者と親友に騙された、天才発明家で、技術屋のダンは、すべてから逃げ出すために、冷凍睡眠(コールドスリープ)で30年後の未来、2000年(!!)に旅立とうとします。道連れに一匹の牡猫、護民官ペトロニウスことピートを連れて。

この時代設定がハインラインらしい。

2000年の世界はロボットがさらに普及し、女性の服の露出が増え、火星との定期航路が開設され、イギリスはカナダの属州(!)となり、重力制御技術が実用化されている。(日本はまだあるらしい…)

ここまで徹底されると、次は何が飛び出すかワクワクしてきませんか?
触ると自動的にたたまれる新聞とか。

こうしたSFチックな設定の妙はもちろん一流なのですが、この小説の「キモ」はそんなところじゃない!(力説)

ピートですピート。

この猫とダンの掛け合いの面白いこと。

さらにその魅力を引き立てているのが訳者の「猫語」の翻訳♪
ジンジャー・エールをこよなく愛するこの猫。「ニャウ?」「アオウ?」「ニャーアウウ」「ニャゴォ、ルルウ、ニャン?」

…本当、よくしゃべる。

「ウエアーア」
「落ち着くんだ、ピート」
「ナーオウ」
「何をいうか。我慢するんだ。首を引っ込めろ、ウェイターが来る」

これ、原文のままです。
これでストーリーは進んでいく。

ダンのピートに対する思いもそうとうなもの。
意に反してピートと引き離されてしまった彼は決意します。

「この恨み、はらさで置くべきや」(こわ~)

彼を裏切った人達は、世の中には一匹の猫のために命さえ危険にさらす人物が存在することを、計算に入れるべきだった…

もともとこの題名。ハインラインの家の猫が、冬になると扉の辺りをウロウロするのを見て、「あれ、なにやってるんだろうね」とたずねたのに対して「夏への扉をさがしてるのよ」と奥さんが答えたことから思い付いたとか。

後半の怒涛の展開には読んでいてうなりっぱなしでした。

スゴイスゴイ!

手酷く裏切られたダンの心境の変化にも感動。


 ―なんどひとに騙されようとも、なんど痛い目をみようとも、結局は人間を信用しなければなにもできないではないか。


何度開けても夏への扉が見つからず、天候管理の不手際さを飼い主にのどを鳴らして抗議するピート。そんな彼と共に、あなたも『夏への扉』を探してみませんか?

ただし、季節がいつだろうと、いかに困難な状況だろうと、ピートはドアというドアを試せば、必ずそのひとつは夏に通じるという確信を、棄てようとはしないでしょう。

そう、どんなことがあろうとも。

私? 
もちろん、私もピートの肩を持ちます。

そう、どんなことがあろうとも。






















ロバート・A・ハインライン  著
福島 正実  訳
ハヤカワ文庫

日曜日のつぶやき

2003-08-10 15:41:00 | 日々の出来事
「ダシ巻きたまご」が好き。

あの、ふわっとした舌触りに、やわらかな食感。砂糖は使わず、みりんだけのほのかな甘みに、しょう油を少しだけたらしたものが好み☆
季節によって枝豆やネギ、じゃこなどを入れるとお弁当にもピッタリ。

「肉じゃが」も大好き。

好みはじゃがいもの歯ごたえがしっかり残っているもの。
煮崩れを防ぐのには、いろんなやり方があるけれど、定番は梅干を入れる方法。だけど、私は梅干が苦手なのだ。
そこでよくするのが、材料を入れて、しっかり味付けした後、じゃがいもの表面が少し色が変わったくらいで火から下ろしてしまう方法。
秘訣は水から材料を煮込む! じゃがいもは60度をこえると煮崩れてしまうので、弱火にして、半生の状態で火から下ろし、味の染み込むのをじっくり待つ。
その間にさやえんどうなどを茹でておくと手間がはぶける。

料理の基本「さ・し・す・せ・そ」

この順番はもちろん守ること。
砂糖を入れてしばらくたってからしょう油を入れると、甘みもしっかり、しょう油の味も染みて、おいしく仕上がる☆

最近は時間節約のため、フライパンで作ってる。
これが簡単。
材料を炒め、水を少な目に入れて、味付けを早めにしてしまう。後は上記の通り。これだとコトコト時間をかけて煮込む必要がない。

これの応用でカレーも作れる。
市販のルーを使う場合は、水を入れる前にルーも炒めてしまうと味が早く染み込みやすい。油分が多いので、わりと早く溶けます。

最後に本で読んでおいしかった、ひと工夫。
カレーを作る時、お味噌を少し入れてやる。
これ、コクが出で、けっこうおいしかった。ただし、入れすぎには注意。あくまで少し、ほんの少しです。


八月の本棚

2003-08-03 10:23:00 | SF
ネコが宇宙に行ってなぜ悪い!

呼ぶと来ない、探すといない。自分がしたくないことはしない。普段エサをもらってさんざん世話してもらっているくせに、人間のことなんかおかまいなし。だけど私達の心をつかんではなさない、とっても魅力的な生き物。

今回ご紹介する本は、そんな猫好きにはたまらない。
ヴォンダ・N・マッキンタイアのSF小説。

『星の海のミッキー』

です☆

SF小説は数あるけれど、こんなに猫が活躍する小説は珍しい。

主人公はバーバリという12歳の女の子。
孤児である彼女は、自分を引き取ってくれる家族の待つ、宇宙ステーション行きのシャトルを待っている。だけど、彼女のジャケットのポケットの中には、ひとには言えない秘密が…

ネコを密航させることがどれ程困難か、まして、密閉された宇宙ステーションに連れ込むなんて!

物語の舞台は、はるかなる星の海。
ご主人様がはじめての無重力に苦労している隣を、まるで昔から空を飛ぶことができたみたいに、優雅に滑空する子猫のミッキー。犬なら絶対こうはならない。あわてふためき、ジタバタして吠えまくるはず。
そんな犬コロを見つめながら、冷たくつぶやくミッキーのこんな言葉が聞こえてきそう。

「…バカ犬」

『スター・トレック』物の作品も手がけるマッキンタイアだけあり、無重力や宇宙ステーションの描写もわかりやすく、面白い。

人類初のエイリアンとの接触という、壮大なストーリー展開もあるんだけれど、それは300ページ中、後半も後半、最後の50ページくらい。あとはひたすらミッキーを隠したり、追いかけたり、探しまわるバーバリの苦労話(笑)

その健闘ぶりには、思わず涙が出るほど(…笑いすぎて♪)

ちなみにミッキーはマンクス猫。
英国マン島原産で、しっぽのないことで有名です。
なんでも、ノアの箱舟が出発しようとした直前に跳び乗って、ノアが扉を閉めた拍子にしっぽをはさまれ、ちょんぎれてしまったとか。
なんとなく、その性格がうかがえる逸話じゃないですか。

猫特有のワガママさ爆発。

違う意味でハラハラドキドキさせてくれる物語。

夏の夜空を見上げながら、未知なる宇宙に思いを馳せる時、その傍らには丸くなった相棒がいる。それってとってもイイ風景だとは思いませんか?

元気いっぱい、夢いっぱいの冒険小説。

…なんか「猫ってかわいい☆」がメインのような気もするけど。

ともかく、猫好きな方はもちろん、それ以外の方でも、楽しめることは請け合いですよ。














ヴォンダ・ニール・マッキンタイア  著
森 のぞみ  訳
ハヤカワ文庫

「家族の肖像」

2003-08-03 01:41:00 | 日々の出来事
犬は好きですか?それとも猫のほうが好き?

近所で散歩している犬を見かけると、ついつい笑いかけてしまいます。
ゴミ置き場のノラ猫にも、しゃがみ込んで指をクイクイ動かしてみたり。
でもたいてい邪魔が入って逃げられてしまうんですよね。
ちなみにうちの家族は、そんな時、勝手に名前を付けて呼びかけます。「クロ」とか「シロ」とか見たまんまのネーミングで。いまだにコリーは『ラッシー』だしね。

昔から、うちには動物がいました。

私が生まれる前からいた犬の「ちび」。
真っ白でたくさん子供を産んで、すごく長生きしました。

その子供の「ジョン」。メス犬です。
とても利口で、他人の家に連れていっても、用事が済むまで大人しく待っていたそうです。いまだにうちの両親は自慢しています。

ジョンの子供の「坊」。
私と妹で、洋風の名前を考えたのに、祖母がいつも「ぼう」「ぼう」と呼んでいたので、そのまま定着してしまったという。祖母は人間の男の子のことも「坊」と呼びます。
体格が良くて、頭がよかったので、よその人に、もらわれていきました。その時の光景はいまだに忘れられません。

四匹目もジョンの子供の「ぼう」(二代目)。
この子は耳が垂れててアホでした。
食欲ばかり旺盛で、毒を二回も食べてしまい、祖母が暴れるその体を押さえつけて、無理矢理くちをこじ開け、牛乳を流し込んで助けました。
子供の私達にも、すぐあお向けになってお腹を触らせてくれたし。本当、アホだけど、一番かわいかった。

この子が亡くなったのは、母が乳がんの手術をすることになっていた当日の朝。犬としては長命でした。両親は、“ぼう”を裏山に埋め、急いで病院へ。
ところが、手術前の触診で、「しこり」がなくなっていることが判り、再検査。手術は取り止めになり、のちに『誤診』だったことがわかりました。母親は

「“ぼう”が身代わりになってくれた」

と言っていましたが、私達は強く否定しませんでした。
家族全員そんな精神状態だったんです。

最近、この手の誤診で、乳房を切除された人の数がかなりにのぼるらしいと、ニュースになっていましたが、その時は怒りよりも、安堵感の方が大きくて、とても病院側の責任について、どうこう言える雰囲気ではありませんでした。

偶然とはいえ、思えば不思議なめぐり合わせの犬でした。
それ以後、誰も犬を飼おうとは言い出しませんでした。

今は柴犬が一匹います。

看護婦になった妹が、マンションでこっそり飼っていた犬が大きくなりすぎて、実家に引き取られてきたんです。
ひどい噛み癖があり、声が枯れるまで鳴き続けるひどい有様でした。
私はその妹の無責任さに腹が立ち、家族と大喧嘩しました。

今は休日のたびに散歩に出かけます。

小学生の時には、うさぎを飼い。増えすぎて友達に配りまくり、最後は食肉業者に引き取ってもらいました。親はそんな現場に必ず私達を連れていき、『別れ』の現実を見せていました。

夜店で買ったひよこが大きくなった時も、祖母がそれを絞めて、血を抜き、羽をむしって調理しました。
子供心に、『いのち』の形を見た気がしました。
さすがにその晩の料理には手を付けませんでしたけどね。

動物達に教えられたことはたくさんあります。
そのあたたかな体温に慰められたことも…
はっきり言えることは、彼等も私の家族だったということ。

それはもう、確実に、言い切れますね。