私的図書館

本好き人の365日

生きるヒント

2004-02-29 17:02:00 | 日々の出来事
コーラスがなぜ美しいのか。

一人の歌声も美しい。

だが、多くの人が声を合わせた時、その美しさは、より高く、深くなる。

多くの人がそれぞれ勝手に歌っても、がなりたてても、それは不協和音なのだ。

みんながひとつのことを一緒にやろうとする時、それぞれが他の人に合わせ、他の人のことを考えた時、コーラスは美しく、崇高に、気高く、みんなの心に響く。

ここにヒントがある。

ああ、ここにもヒントがあるのだ!



        1999.06.25.

「カラッポのコップ」

2004-02-29 15:13:00 | 日々の出来事
甘えることは悪いことですか?

「シーラという子」の著者トリイ・ヘイデンと、日本の子供達との対話番組での一言です。
番組はNHKで平成11年に放送されました。

甘えることと、わがままとは、どう違うのですか?

この少女の問いに対し、トリイはこう答えます。

わがままとは、もうすでに持っているのに、それ以上を持ちたいとすること。
コップはすでにいっぱいなのに、それ以上を望んでこぼしてしまうこと。
コップがカラッポな人は、ただ他の人のように、自分もついで欲しいとしているだけ。

だからあなたが両親から愛情を望むのは、とっても自然なことなのよ、と。

この人、絶対に子供達を否定しないんです。言葉や表情から、その子のいいところを探していく。

「シーラという子」からのトリイ・ヘイデンのシリーズでは、児童虐待や、家庭内暴力なので実際に傷つけられた子供達が登場
します。

大人の身勝手な欲望にさらされる子供達。
「親」ということだけで、無条件で大人を信じる子供達。
読んでいて、とっても身につまされます。

それらの本を読んだ読者からの感想文を集めた「シーラたち」という本があるんですが、その中で中学三年生の女の子が寄せている文章には感心しました。
かわいそうなくらい大人びていて、生き急いでいる感じさえする。
もっと遊ばせてやりたい。
子供時代は、大人になる準備期間なんかじゃない。
その時その時が大切な時間なんだから。

最近、通りがかりに子供を襲う事件などが頻発しています。
襲われた子が背負うことになる心の傷を考えるといたたまれなくなります。
大人は子供が一人で生きていけるようにものを教え、よりよい社会を作ります。
大人はたいてい子供よりも早く死ぬのです。

敵を刺すと針が抜けて死んでしまうミツバチ。
歳をとったミツバチから、敵に向かって行くそうです。
自然界はそうなっているんだそうです。

二月の名言集より

2004-02-29 07:13:00 | 日々の出来事
 祖母が最後に言った。

「おまえは残りの人生をずっとネズミとして過ごさなければならないとしても、まったく悲しくないというんだね」

 私が答えた。

「かまいません。どのようなものになろうと、どのような姿であろうと、私にはどうでもよいのです。
 私を愛してくれる人がいるかぎりは」



         ―ロアルド・ダール「魔女がいっぱい」―


「小泉純一郎」

2004-02-26 22:26:00 | 日々の出来事
寝坊した、寝坊した!

目覚まし時計を止めるために一度は起きたはずなのに、いつの間にかまた眠ってしまった~

時間にして20分くらい。
そんなわずかな時間だったのに、しっかり夢まで見てしまった。

メールの着信音で目が覚めました!

あわてて顔洗って、歯みがいて、あたふたと着替えて玄関へ。
誰だか知らないけれど、グットタイミングなメールに感謝♪

この気持ちをさっそく伝えようと携帯を開くと、メールの送り主は…

*(日本)*小泉純一郎*(日本)*

そう、「らいおんはーと」で知られた、小泉内閣のメールマガジンでした。
そういえば、今日は木曜日だった…

お礼のメールを送っても許してくれるかな(笑)
怒られるかな?
時期が時期だから、やめておいたほうがいい?
ま、これは冗談ですが、感謝の気持ちは本物です☆

小泉純一郎さま、おかげで遅刻しないで済みました。

お互い、どこで人の役に立つかわかりませんね♪

「お買い物」

2004-02-25 23:07:00 | 日々の出来事
このところ仕事が忙しかったので、今日は気分転換に買い物に出かけました。

夜中に本屋さんに行くのは久しぶり☆
「指輪物語」関係の本を立ち読みしたり、芥川賞受賞作をチラッと見たり。
やっぱり本に囲まれていると、とっても幸せ♪

給料日前だというのに、六千円分も買い込んでしまいました。
さらにプレゼント用に*(キラキラ)*「ナルニア国ものがたり」全七冊美装ケースセット*(キラキラ)*なるものも注文。

外食の予定だったのに、*(キラキラ)*美装ケースセット*(キラキラ)*の誘惑に負けた~*(汗)*
しかたがないので、スーパーで買出しです。

近所のスーパーで、主婦の方々にまぎれて商品を物色。
買い物カゴを下げて歩くのにもようやく慣れました。
(はじめはとっても恥ずかしかった。今でもちょっと抵抗あります。)

お、焼きそば三食入り98円!
マジックで書かれた「一家族二品まで」の文字が泣かせます。
「お一人様一品」じゃあないんだ(笑)
さっそく、二袋カゴに入れます。
焼きそばにはやっぱりキャベツともやし。
キャベツは食べきれないので、半分に切ったやつ。
もやしは安いので二袋。
たまねぎ四つで128円は高いけど、最近ずっとこの値段なので(底値は100円)これも買い。
ニンジン四本100円。糸こんにゃく88円。
豚コマはじっくり選んで100g88円のもの。

惣菜コーナーは七時過ぎると値引きが始まります☆
野菜コロッケ二つで60円♪
焼き鳥が五本で95円。
きんぴらごぼうは作りたてらしくて198円。

あとミネラルウォーターと、お菓子を一袋。
以上、本日の合計1576円!

今日買った漫画家川原泉の「川原泉の本棚」という本が1、2と出ていて、二冊で2200円(税別)もしたのに、それと比べてなんてつましい食生活なんだ!
(いや、だからね、本さえ買わなきゃもっと豪華な食事かできるんですよ、ホンとは)

部屋に戻ってきんぴら入りの焼きそばを作りました。

教訓
「給料日前は本屋さんには近づかない」

もう一つ教訓
「安いからって買いすぎない」
…焼きそばこんなにどうしよう*(涙)*


二月の本棚 3 『解夏』

2004-02-22 01:06:00 | 日々の出来事
さだまさしの書いた小説です。
『解夏』と書いて、「げげ」と読みます。
いったいどんな意味なんでしょう?

さだまさしの曲は、十代の終り頃、中島みゆき、谷山浩子と共に、何度も何度も繰り返し聴いていました。
ちょっと世をスネた、生意気な少年には、ちょうどいいBGMだったのでしょう。

経験と年月で心の皮膚はすっかり厚くなりましたが、今も変わらず、大好きな歌手の一人です。

「解夏」とは、禅宗で使われる言葉の一つ。
昔の修行僧は雨期の間だけ、托鉢や辻説法を控えて、皆で共同生活をしながら座禅をして過ごしました。
その修行「行(ぎょう)」に入るのを「結夏」。明ける日を「解夏」と呼ぶのだそうです。

物語の主人公”隆之”は、小学校の教師。
しだいに両目の視力が失われるという難病に冒され、故郷長崎に帰ってきます。

病気が完治する時は、同時に視力を完全に失う時…

時にその恐怖に押しつぶされそうになる隆之。
目が見えなくなるということは、今見ているこの世界を失ってしまうということ。
その想像はすぐさま読者に「死」を連想させます。
失明の恐怖とは、死の恐怖の代弁者でもあるのです。

そんな時、墓参りの帰りふと立ち寄った寺で、そこの僧から「解夏」の話を聞くことになる隆之。

失明する恐怖、という行。
失明した瞬間にその「恐怖」から開放される。
それが自分にとっての「解夏」なのだ…

隆之と同じ病気で失明した元患者の言葉が胸を打ちます。
「暗闇というものはねえ、光が見えない者には存在しないものなんですよ。」
「私は失明して初めて知ったね。今まで自分は暗闇、という光を見ていたんだ、とね」

隆之を支える人々が切ないです。
誰もそんなに強くない…
だからこそ、他人のぬくもりが、こんなにも、心地いい…

映画化もされ、かなり好調のようで、今度はTVでドラマ化もされるとか。
ただし隆之の職業が教師からカメラマンに変わってしまうということなので、とっても残念。
実は、教師ならではのとってもいいシーンがあるんです。
職場で読んでいて、思わず涙ぐんでしまい、顔を隠すのに苦労しました。

表題作の他、うち(岐阜県)のご近所が登場する『秋桜』
ダムに沈んだ故郷で、失った絆を再び取り戻そうとする『水底の村』
壊れゆく家族の中で、父親の記憶の中の故郷を探してゆく『サクラサク』

四編の「故郷」を重要な舞台にした心にしみこむ短編集。

どれも読者を惹きつける魅力に満ちた作品ばかりです。
その中で、『解夏』だけは、何度読んでも同じところで泣いてしまいますね。

BGMに、さだまさしの曲なんか流したら、もうたまりません。
カラオケいって歌いたくなっちゃいます☆



さだまさし  著
幻冬舎文庫

二月の本棚 2 『耳をすませば』

2004-02-17 00:52:00 | 日々の出来事
本棚と銘打っているのに、今回は映画の紹介です。

もはや世界的に有名なスタジオジブリ制作のアニメーション映画。
『耳をすませば』の登場です☆

「ジブリ作品でどれが好き?」
なんて質問が普通に交わされるほど、知名度があるアニメ制作会社なんて、ジブリくらいでしょう。
個人的には「となりのトトロ」が好きなんですが、よく出来ていると思うのは「もののけ姫」。
だけどいままでで、一番繰り返し観た作品が、この『耳をすませば』なんです。

内容はとっても気恥ずかしい…

東京の郊外の街を舞台に中学三年生の女の子「雫」を主人公にしたこの作品。
街並みや行き交う車。
ジブリ作品得意のモブ(群集)シーンなんかは相変わらず見事なんですが、ところどころで思わず赤面してしまうシーンがあって困ります。

神社の境内で男の子と話すシーン。
逃げ出そうとする雫の腕を、男の子が思わずつかむところ。
いい大人なのに、このシーンになるとつられてドキドキしてしまいます。

クラスメイトを避けて屋上に上がるところ。
自分の力を試すために旅立つ相手に雫がかける「いってらっしゃい」の声。
そして一番恥ずかしいのは朝焼けの光の中でのラストシーン♪
言ってることは正しいのでしょうが、あまりに真正面で、「それでいいのか中学生!」と叫びたくなります☆

雫の暮す団地。
狭い台所に、所狭しと置かれた物、物、物。
一つの部屋を姉妹で使うために、畳敷きの部屋に置かれた二段ベット。
どれもが生活に密着していて思わずニンマリしてしまいます。

普通の生活をこんなに魅力的に描いてくれるなんて、スゴイ!

実は私も二段ベットでした☆
やっぱり年上の権限で上の段を使ってたんですけど、他の人はどうなんですかね。

置時計の文字盤に浮かび上がるエルフとドワーフ。
ラピスラズリの鉱脈。
バイオリン職人に物語作家。
ささげられたラーメンに鍋焼きうどん。

バイオリンの演奏で、雫が主題歌「カントリーロード」を歌うシーンは、作品の中でも一番のお気に入りのシーンです。

落ち込むことがあったりすると、この作品を観かえすことにしています。
なんか元気をもらえるんですよね。

だから落ち込んだ数に比例して、観る回数も増えていく。

…今年はあまり観ないようにしなきゃなぁ(笑)



近藤 喜文  監督
柊 あおい  原作
スタジオジブリ  制作

「一日遅れのバレンタイン」

2004-02-16 23:25:00 | 日々の出来事
会社の昼休みは、車の中でシートを倒してのんびりしています。
本を読んだり、音楽を聴いたり、ラジオを流しながら仮眠したり。

今日聞いていたラジオ番組の中で、リスナーから送られてきたメールの中に、こんな話があったのでご紹介しますね☆

それは小学五年生の男の子がいるお母さんからのメールでした。

昨日(15日)のこと、息子さんと同い年の女の子が、お母さんに連れられて「○○君いますか」と訪ねて来たんだそうです。

その子は、なんと、男の子にチョコレートを渡しにきたんです!
バレンタインデーの翌日に!

一日遅れのバレンタイン…

迷ったんだろうね~♪

渡そうか渡すまいか、迷っているうちに一日遅れてしまった。
一人で渡す勇気がないものだから、お母さんに付いて来てもらって。

*(ハート)*カ、カワイイぞ~☆

いっきに想像力をかきたてられました。
子供なりに、眠れぬ夜を過ごしたのかな~?
どうしてお母さんといっしょに来ることになったんだろう?

メールを送ったお母さんとその息子は、ちょっと驚きながらも、ちゃんとチョコレートは受け取ったそうです。
バレンタインデーって、こんなにも子供達にとっては真剣なものだったんですね!

多分、ものすご~く悩んだに違いない小学五年生の葛藤を考えると、あまりの微笑ましさに、午後からず~と私は幸せでした♪

人間っていいな~なんて思いながら☆

「気分は上々」

2004-02-15 19:14:00 | 日々の出来事
*(雪)*先週スキーに行ったんですが、筋肉痛が二日後に来ました。
二十代みたいにはいきません(笑)

腕前はなかなか上達しませんが、雪の状態が良かったので、かなり遊べました。

親子連れもたくさん来ていて、ちびっ子スキーヤーの多いこと。
子供の腰にヒモを付けて、お父さんがブレーキ役をやっている姿はカワイイですが、弾丸のようにゲレンデを滑り降りる子もいて、なかなか油断できません。

四、五才くらいの子が、けっこう滑っているんですが、これがうまいんです!
大人顔負けの腕前なのに、さすがにリフトに乗ると頭しか見えない。

ちっちゃすぎます*(汗)*

リフト待ちしている時、前に小学生が並んでいたんですが、一人が熱心にこう言っていました。

「これ登ったらトイレ行くぞ。絶対いくぞ!」

なぜ宣言してるんだ?
今行ってこい、今。
思わず心の中で突っ込んでいました(笑)

ゲレンデに流れる音楽に合わせてリフトの上で踊っている人がいたり。
女の子に熱心にスキーのことを語りながらも、ストックの先のカバーをはずし忘れている人がいたり。
スキー場は人間模様もひきこもごも。
かなり面白いです☆

だけどゲレンデで見ると、男の人はかっこよく、女の人はかわいく見えるのはどうしてでしょう?

ああ、カン違い~

2004-02-09 23:44:00 | 日々の出来事
とんでもないことをしてしまった!

会社の休日を間違えてしまったんです*(汗)*
こんなこと生まれて初めて。

先週の土曜日。
てっきり休日だと思っていたのに、月曜日の今日、会社に行ったら上司が、
「土曜日はどうした?」
と聞いてくるではないですか。
「え?」
その瞬間、いや~な予感がして、あわてて予定表を確認。
休日だと思ってた土曜日に、付いてなきゃいけないはずの休日マークが付いてない!

0.1秒で状況を理解。
脳細胞フル回転で導き出された取るべき行動は一つだけ…

「すみません! カン違いしてました!」

もう、あやまるしかないでしょう。
穴があったら本当に入りたかった。
情けないやら、申し訳ないやら。

うちの会社は隔週で週休二日になっているんですが、基本的には一週間置き。
前の土曜日が出勤だったので、てっきり今度の土曜日は休みだと思ってた。
二月に入って、休みのサイクルが変わってたんです。
今月は第二週と第四週がお休み。
確かめるんだった! 油断した!

来月には昇格試験が控えているのに、なんてこったい!
一般職から総合職に上がれる大事な試験なのに~
上司の推薦状に影響しないかな?
こっちが全面的に悪いので、言い訳もできません。

失敗したな~*(涙)*


「引越し貧乏」

2004-02-07 20:03:00 | 日々の出来事
引越ししています。

「引越ししました」と微妙に違うところは、現在進行形だということ。

お金がもったいないので、休日ごとに少しづつ荷物を運んでいるのです。
あ~貧乏くさい。

実は今住んでるマンションがすごく住みやすくて、なかなか離れられないんですよ。
本屋さんもビデオ屋も、吉野家だって近くにあるし、衛星放送は見られるし、インターネットだってADSLで快適♪

でも昨年祖母が亡くなって、実家で母が一人暮らしになってしまったため、自分の意思で戻ることにしました。
だけど実家はここでも書いた通りの田舎。
コンビニもなくて、お店といえば農協くらい。
本屋さんも、タバコ屋が、鋤や鍬なんかの農機具の片隅にちょこんと本棚を置いてやっている店があるだけで、もはや天外魔境。
信号機も一つしかありません。

病気と同じで、自分だけが迫害されているような気がすると、妙に自慢気になるのはどうしてでしょう?

事務手続きも今週で一段落。
本棚のほとんども運び終わって、TVとベットだけになると、さすがに落ち着きません。
なんとか来月中には完了したいですね。

悩みはインターネット環境が抜群に悪くなること。
ADSLどころか、ISDNもサービスエリア外だって? あらためて思うけど、いったいどんなところなんだ?
この日記はなんとか続けていけそうですけど、早いとこサービス拡大してくれないかな。

NTT西日本さん、お願いしますよ~*(泣く)*


二月の本棚 『モモ』

2004-02-07 17:42:00 | 日々の出来事
特技ってありますか?

私の特技は物を見つけること。
家の中で誰かが何かを失くしても、すぐに見つけ出す自信があります。
この能力は山菜採りでも大活躍!
キノコにタラの芽。フキノトウから四葉のクローバーまで、ド~ンと任せて下さい♪

なんて大口叩いていますが、ようは落ち着きがなくて、普段からどうでもいいようなものに興味を持っているからなんです。
学校帰りにヘビの皮や、カマキリのたまご、トカゲやセミの抜け殻なんかをいち早く見つけ出しては遊んでいました。

さて、今回登場する本の主人公「モモ」も、特技を持っています。
それは「ひとの話を聞く」ということ。
え? そんなこと誰だってやっている?
いえいえ、それはこの小さな女の子の瞳を見てから言って下さい。

ということで、今回ご紹介するのは、その名もズバリ、ミヒャエル・エンデのとっても面白い物語『モモ』です☆

モモは年齢も素性もわからない浮浪児。
とある町の円形劇場の廃墟に住みついたモモは、そこで貧しくても親切な町の人々に受け入れられ、友達も出来てとても喜びます。
でもそれは町の人々も同じでした。

「モモのところに行ってごらん!」

なにかことが起こる度に人々はこう言います。モモなしでこれまでどうやってやってこれたのか、町の人も疑問に思う程。
モモの存在は、人々にとってなくてはならない存在になっていたのです。

でも着の身着のままで、髪も伸び放題の小さな女の子に、いったい何ができるというのでしょうか?

モモの大きくて黒い瞳。
モモはその目で相手をじっと見つめて、その話を注意深く聞いています。
すると話し手は、自分の中に眠っていた自分の本当の望みがはっきりとしてくるのです。

自分の人生にはなんの意味もなく、何万人といる人間の中のケチな一人で、死んだところで壊れたツボとおんなじ、すぐに別のツボが自分の場所をふさぐだけ、生きてようと死んでしまおうと違いはない。

と考えている人も、モモに話を聞いてもらっているうちに…

いや、俺は俺なんだ。世界中の人間の中で、俺という人間は一人しかいない、だから俺は俺なりに、この世界で大切な存在なんだ。

と考えるようになります。

モモはこんなふうに人の話が聞けるんです♪

さて、ストーリーはというと…
モモと町の人々がうまくやっているそんな時。
みんなの周りに謎の「灰色の男達」が現れます。
彼等は言います。「あなたは時間を無駄にしてはいませんか?」

仕事、家事、育児、ペットの世話に読書にスポーツ。
そんなくだらないものに大切な時間を費やして何になります? 時間の節約です。時間を節約しましょう。あなたの節約した時間は我々「時間貯蓄銀行」がお預かりして、利子をつけてお返しいたします。時は金なりですよ。さあ始めましょう。時間の節約!

何から何まで灰色で、吸っている葉巻から乗っている車まで灰色の男達。
この男達の正体は「時間ドロボウ」!

時間に追われる人々の足は自然とモモのところから遠ざかり、「時間の節約」はどんどん拡がっていきます。

自分達の時間がどんどん少なくなっていることに人々が疑問を持つころ、「灰色の男」はついにモモのところにもやってきます。
そして、彼も見るのです。モモの大きくて黒い瞳を☆

「時間ドロボウ」だって!
いったい何のことでしょう?
エンデはもはや有名なドイツの児童文学作家です。
この物語は、利益や効率のために大切な「生きること」を失っていく現代社会に対する警鐘と、「モモ」という魅力的な主人公を登場させることにより、一流のエンターテイメントとしての内容を、見事に両立させています。

モモを助ける亀のカシオペイア。
時間の国のマイスター・ホラ。
観光ガイドのジジに道路掃除夫のベッポ。
映像化もされていますが、昔NHKのラジオドラマで、マイスター・ホラの声を森繁久弥さんがやってみえて、その存在感が忘れられません。

この物語大好きです♪

時間ドロボウに盗まれた時間をとりかえしてくれた女の子の不思議な物語。

時には時間のたつのも忘れて、こんな物語を読んでみませんか?

きっと、お金では買えない何かが、あなたの胸に残ると思いますよ☆



ミヒャエル・エンデ  作
大島 かおり  訳
岩波書店