ぶらぶら人生

心の呟き

お花見 6 (海老谷の桜)

2007-04-07 | 旅日記
 4日、5日とお花見に出かけた。
 友人、知人の車であちこち出かけるのだから、疲れるはずもないのだが、それでも疲れる。気が置けない人ではあっても、ひとりの我侭な生活に慣れているので、長時間人といることで、随分精神的に疲れるらしい。
 昨日は、呆けたように午前中を過ごした。午後からは気を取り直して頑張ろう、と思っていたところへ、電話がかかってきた。
 4日のお花見を一緒にした、知人のSさんである。
 実は、先日別れるときに、今度の日曜日に、海老谷桜や城山桜を見に行きましょう、と誘われていたのだった。Sさんは、土曜日や日曜日より今日がいいと判断、急遽予定を変更して、午後から出かけましょう、との誘いの電話だったのだ。

 お天気もいいし、今日ならまだ落花も始まらないだろうし、ということだった。
 疲れついでに(?)出かけてこよう、そう思って同意した。
 三日連続のお花見である。世の中に、こんなのん気な生き方をする人は珍しいかもしれない。

 午後1時、迎えの車が到着した。
 早速、海老谷の桜を見に出かけた。国道9号線を少し走って、山道に入る。花見客のために、道路が改修され、随分通行しやすくなったらしい。
 
 海老谷桜は、樹齢300年を優に超える大樹である。
 木の前に立つと、圧倒されそうな見事さである。そう遠からぬ所に住みながら、名前も知らなかったし、当然見るのも初めてである。
 山桜である。
 <海老谷桜の治療できました> という看板がかかっていて、<治療前><治療中><治療後>の様子が写真入で説明してあった。
 威厳を保って咲き誇っている、この老木も、今後生き永らえるためには治療が必要だったようだ。この辺りでは有名な大森樹医さんが、その任に当たられたらしい。
 大木に近づけないように囲いがしてあり、治療跡を確かめることはできなかった。が、あまり老いを感じさせない立派な姿だ。
 地元の人だろうか、筵を敷いて宴を張っているグループが二つあった。花見客もかなりな人数だ。車でやってきた人ばかりである。
 本格的に写真を撮影するカメラマンもいる。同行のSさんも、三脚を立てて誇らかに咲く海老谷桜を撮影。私はデジカメで気楽に撮影。

 全体像を眺めるのは、あの民家まで下りた方がいい、とSさんに言われ、一緒に下まで歩く。確かに上からでは見えない部分まで眺めることはできたが、右に傾き、なんだか危なっかしい姿なのが気になった。が、これこそが海老谷桜の全貌なのだろう。(写真)
 上の広場で見たときには、写真の左側だけを見ることになっていた。

 桜を管理する市の職員の姿があった。
 「今年は冬が暖かく、花の色が白っぽくて見栄えがしません。もっと紅色できれいなのですが……」
 と、残念そうであった。
 今までに何度も足を運んでいるSさんが、到着直後に、
 「こんなに白っぽかったかなあ」
 と、呟いておられたのは、今までの桜の色が、脳裏に焼きついていたからだろう。
 海老谷桜も、気象異常に災いされたらしい。人間ばかりでなく、植物も敏感に異変に反応するらしい。

 今年も見るチャンスを逸したが、この地方で、より有名なのは大平桜だ。
 子供のとき遊んだ「石見カルタ」に、
 <経たか千年 大平桜>
 と、あった。<経たか>の正確な意味は分からないまま、随分年取った木なのだろうと、まだ見ぬ「大平桜」を想像したものだった。実際に「大平桜」にお目にかかったのは、遥か後年になってからであった。

 やはり大平桜の魅力には及ばないかもしれないが、海老谷桜も、これはこれで見事である。 
コメント
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