のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

色音LIVE

2010年03月21日 01時05分46秒 | 音楽鑑賞
バイオリニスト 谷本仰さんと
イラストレーター うどのあすかさんによるユニット
「色音」のライブに行ってきました。

初めてライブを訪れたため、
このユニットの活動についての予備知識はほとんどない状態。
分かっていたのは、

 バイオリン、鳴り物、歌による即興音楽と、
 ポスターカラーやパステル色画用紙などを使った即興絵画。
 このふたつが同じ場所に同じ時刻で行われ、
 お互いに影響を及ぼしあいながら、ひとつの空間を作り上げる

ということだけ。
なのですが。
バイオリニスト 谷本仰さんのライブには何度か行ったことがあるため
普段、谷本仰さんがライブで歌っているような歌が流れる中
うどのさんの牧歌的なイラストが描かれていく様子を眺める。
そんなライブなのかな、と予想していました。

予想は大外れ。

私はライブが始まったことにすら気付けませんでした。
自己紹介が終わって、どうもチューニングが長いな、
なんでこんなに時間がかかってるんだろうな、と不思議に思っていたそのとき。
すでにふたりのセッションは始まっていたのでした。
目の前の空間で、模造紙を前に座るうどのさん。
彼女の前の模造紙にはすでに色が重ねられていて、
その様子を見たときにようやくライブが始まっていたことに気付いた私。
どうにも恥ずかしい気持ちになりましたが
その後はひたすらふたりの作り出す空間の空気に酔いしれました。

もっとも、予想していたものとまったく異なっていたため
最初は酔いしれる、というよりも戸惑う気持ちが大きかったのも事実。
谷本さんの生み出す音楽は、メロディを奏でるというよりも
色々な音が重ねられ、その音の重なりによって、音が作り上げられ
ふと気がつくとメロディになっている。
そんな感じで、普段「わかりやすいメロディ」を聞きなれている私には
当初、とてもとっつきにくいものでした。
けれども、いつしか音が音と重なって、どんどんメロディとなり
やがてそのメロディが私の体を、そしてライブ会場を包み込む。
その過程が面白く、そして最終的に作り上げられた音楽は
迫力に満ち溢れていて、いつまでもこの音に包まれていたい
そういうふうに思わせてくれる時間でした。

そして、うどのさんが描き出す色、色、色。
「これ」という形のない抽象的なナニカ。
それはまさしく「色」としか呼べないナニカで、
色に色が重なり、ナニカにナニカが重なっていく。
その過程で一瞬一瞬、様子も印象もどんどん変わっていくキャンバス。
ナニカがナニカと重なることで、こんなにも印象も様子も
変わっていくのか、と感嘆しながら眺め続けました。

色に色が重なっていくと、当然のことながら不協和音も生み出します。
その色にその色を重ねてしまうのね・・・と思う瞬間もあったり
でも、その5分後には、また私の好きな色合いになっていたり
淡い淡い感じだったキャンバスが暗くどんよりとしたものになっていたり
そんな濃い色を重ねてしまったら、もうどうやったって印象は
変わらないだろう、と思っていた暗くどんよりとしたものの上に
明るい色が重なると、嘘のようにがらっと印象が変わったり。
その一色、一色、ひとかさね、ひとかさねを楽しみました。

見ていて思ったのは、
何がどう影響するのか、なってみるまでちっともわからないということ。
「だめだ」と思ったものも全然ダメではないし
「終わった」と思ったものも、まだまだ続く。
続くことで、続けることで、キャンバスはどうにでも変えられる。
そして、色が音が、思わぬところで思わぬところに影響する。
まるで私たちみたい。私たちの住むこの小さな社会みたい。
そんなことに思いを馳せながら過ごした2時間は
長かったような、あっという間だったような不思議な2時間でした。

でも、大半の時間はただひたすら音に、
キャンバスに重ねられていく色に、身をゆだねて過ごした
幸せな2時間でした。

1年半ぶりのライブだった色音さん。
次のライブはいつなのかまだ未定ですが
でも、ぜひ、また行きたいな。
行って、あの不思議な空間に身をゆだねてみたいです。