のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

みな同じ世界の住人

2011年09月28日 21時35分08秒 | 日常生活
高校時代の友人と日記帳を交換するため、
仕事帰りに福岡一番の繁華街へ向かいました。
受験も今からが本番!という高校3年の夏から始めた交換日記も
途中、手紙のやり取りに形を変えつつ、はや15年!
ここ数年はほぼ日手帳を活用中で、
2012年度版のほぼ日手帳が発表されたため
来年の日記帳カバーの相談もしなくっちゃ!とうきうき気分で街に向かいました。

友人の仕事が終わるまで少し時間があったため
カフェでお茶をしつつ、日記帳の空白ページを埋めたり
おしゃれ店員さんに見とれたり
明らかに様子のおかしい殿方に絡まれているおしゃれ店員さんを助けたり
大忙しで過ごしていると、
友人から「仕事終わったよー!」というメールが届きました。

グッドタイミング!
店員さんにからんでいた殿方もお店を出たところ。
安心してこのお店を離れられるわー!
と、いそいそと友人のもとへ向かいました。
向かおうとしました。お店を出ること3メートル。
大通りから一本小道に入った街角にてはだしで歩いてくる殿方と遭遇。

・・・はだし?!
あの人、はだしだよ??大丈夫??
年のころは私とあまり変わらないような気がするんだけど・・・。
靴、誰かにとられちゃった?よもや喧嘩?追いはぎ??
若くて身奇麗に見える殿方の裸足に目を離せないまま
少しずつ距離が近づきます。


!!
徐々に近づき、全体像が見えた瞬間
更に驚き、より一層、目が離せなくなりました。

あの人!
あの人!パンツはいてませんよー!
シャツは着てるけど、下、何もはいてませんよー!
薄暗い中、雰囲気や年恰好はつかめていたものの
「裸足」に気をとられていて全体像をまったく見てなかった私は
ずっとずっと「大丈夫??靴は??」という視線で
近づいてくる彼を見守っていたのですが。
「見守る」にはあまりに目のやり場に困る格好だということに
すぐ近くに来て初めて気付きました。

気付いた瞬間、目が離せないでいた30秒前の自分に
説教をしてやりたい気持ちに。
あなた、見守ってる場合じゃないよ!
むしろ、目をそらしておいたほうがあなたのためよー。
その注目具合は、むしろ好奇心まんまんで見ている人みたいだよー!

とはいえ、時既に遅し。
失われたときは戻らないわけで。

開放感あふれる格好の殿方とすれ違う直前に
そっとそーーーーーっと目をそらしました。ふぅ。

やっぱり福岡一の繁華街。
いろんな人がいるものねー。大都会だわー。
と感心しつつ、ようやく出会えた友人に
「すごいね。天神って!」
と顛末をお伝えしたところ、友人から
「それって、こっちの世界の出来事?
 それとも、そっちの世界の出来事?」
と真顔で問いただされました。

・・・おっしゃってる意味が掴みかねますが。
あのー?どゆ意味??

「どうも、のりぞうちゃんの生きてる世界と
 私の生きてる世界は別世界のような気がして。
 ホントにこっちの世界で起こった出来事?」

いやいやいや!!
「こっちの世界」とか「そっちの世界」とか境界線ありませんから!
私の世界もあなたの世界も同じ世界で、共に生きてますからねー!!
同じ仲間だよー!
と一生懸命、語り掛けました。が。

「だって!
 あたし10年、ここで働いているけど
 そんな人、一回も見かけたことないよ?
 変な人に会った体験も、変な出来事に遭遇した体験も
 一回たりともないよ?明らかにおかしいって!
 のりぞうちゃんの生きる世界は絶対に別世界だってば!」
と一蹴されました。

まさかね。
高校時代から15年以上共に過ごしている友人が
私の住む世界と彼女の住む世界を別世界と認識しているなんて。
思いも寄りませんでした。

でもさー。
と諦めの悪い私は、こっそり心の中で反論。
この界隈では変な出来事に遭遇したことないかもしんないけど
一緒に旅に出るたび、「変な出来事」には山ほど遭遇してるでしょーに。
やはり私たち、同じ世界で生きている仲間だと思うの。

未来への責任

2011年09月27日 23時11分32秒 | 日常生活
週に一度、行われる情報共有会議に参加しました。
会議終了間近、先輩が年休の取得を部長に願い出ました。
なんでもこのたび、めでたく娘さんが結納されるんだとか。
おめでとうございまーす!
みんなで口々に祝福の言葉をかけていたところ、後輩さんが
「今でもまだ結納って一般的なんですか?するものなんですか?」
という素朴な疑問を口に出しました。

「うーん。やっぱりするところのが多いんやないかねぇ。」
「うちは、嫁さんのお義父さんが厳しかったけんねぇ。
 せんわけにはいかんかったっちゃんね。」
「俺んときもまだまだ一般的やったねぇ、みんなしよった。」
と人生の大先輩方が口々にご自身の経験談を話してくださり
最終的に「でも、まあ、相手次第。相手の親御さん次第だよね。」
という結論に落ち着きました。
「のりぞうくんたちも近いやろうけん。
 すぐに分かるよ。結構、疲れるとよ、色々と。」
と例によって、「いつもの」話の展開になり、私もまたいつものごとく
「あははー。まだまだまったくその兆しはありませんけどね。
 予定はまったくありませんから、結納の心配もする必要がありません。」
と笑って受け流しました。
話のきっかけを作った後輩さんも責任を感じたのか
「できれば、結納しなくてもいいって言ってくれる人と知り合いたいですね。
 面倒ですもん。やらないでいいなら、やらないにこしたことないなー。」
と話をひきとってくれました。なんていい子なんだっ!

先輩方も
「確かにねー。
 やらんでいいなら、やりたくないねぇ。」
「私も娘がせんっち言ったら、それでもいいっち言うもんねぇ。」
「面倒やんねぇ。」
と話にのっかってくださいました。

と。
「いや!やっぱり絶対にしたほうがいいって!!」
と突如、力強く宣言する声。

へ?結納ですか?
したほうがいいですか?やっぱりけじめって必要でした?
と思わず聞き返したところ

「だってねー。俺、嫁さんの姉さん見るのがものすご辛いもん。」
と真面目に返されました。

嫁さんのお姉さま・・・?
先輩方は結納をされたのに、お姉さまは結納されなかったんですか??
なんでまた?
と、聞き返しているにも関わらず。
なんだか思うところがものすごーーーーーーーーーくあるようで、
自分の世界に入り込んで力説を続ける先輩。

「何が辛いってさー。
 お姉さんが俺んちにくるわけよ!
 他に行くところがないんやないかいな?
 で、俺の子どもたちをめちゃめちゃかわいがるわけよ!
 もう、俺、見よって痛々しいもんねー。あれは本当にやめたほうがいい!」

そうですかー。
といつもは奥の奥の奥のほうに隠しこんでいる引き出しを開けて
埃をかぶっているなけなしの愛想笑いを引っ張り出す私。

「そうなんよ!
 でも、仕方がないところもあるっちゃんね。
 嫁さんたちの叔母さんもずっと独身やったみたいやけん。
 やっぱりねー。身近にそういう人がおったら、見習うっちゃろうねー。
 やけん、のりぞうくんもキャリアウーマンしとったら
 姪御さんとか影響受けるけんね。気をつけんと。責任おっきいとよー。」

・・・。
あのー・・・。
背負う責任が壮大すぎて、まったくもって想像の範疇にありませーん。
1年後の自分のことだって皆目検討つかないってのに
まだ生まれてもいない姪っこちゃんの未来
(しかも確実に20年以上後の未来!)なんかに責任感じられるかっつーの!
大体、いつあたしがキャリアウーマンになってるんだっつーの!
あたし、会社に通ってはいても真面目に働いたことなんて
1秒たりともありませんからねー!

と鼻息荒く過ごしましたが。
すんでのところで実に日本人らしいアルカイックスマイルで
実に穏やかに(表面上は)会議をやり過ごすことができました。

でもね。
本日の会議から学ぶところは大きかったなー、と。
既に甥っ子君を猫っかわいがりにかわいがっている伯母としては思いました。
なまじ自覚があるだけに、普段は気にも留めない言葉が
思いっきり胸につきささっちゃいましたわ。
ホント、気をつけようっと。

上半期決算の報告なんかより
百倍ぐらい心に残る会議となりました。
いやー、有意義だった。

サンタが我が家にやって来た

2011年09月27日 00時21分27秒 | 日常生活
ドイツ旅行に出ていた義弟君がお土産を持って
我が家に遊びに来てくれました。
時差ボケで疲れているだろうに・・・。ありがたいことです。
こゆとこ、妹さんも義弟君もマメだなーと尊敬しています。

到着と同時に
「はいはーい。お土産の時間ですよー。」
といそいそと袋を広げ始める義弟君。・・・なんか得意気?
サンタさんみたい・・・。
その隣では妹さんが
「父のお土産以外は、ホントもらっても嬉しくないと思うよ?」
と冷静にコメント。

・・・ドイツ土産で?
もらっても嬉しくないもの?
そんなものってあるの??

と、頭の中を?マークでいっぱいにしながらも
いやいや、義弟君だからねー。
そゆものを見つけちゃうかもしんないよね。
と、しっかり心の準備をしておくことにしました。
私、予告さえしてもらえればたいていの衝撃は受け止める自信があるよ!

まずは父上にボールペン。
なんでも、とてつもなく有名なブランドで
国内で購入すれば6,000円はくだらないんだとか。
すごいー!でも、確かに書きやすそう!持ちやすそう!

「これは本当にいいですよー!」
とめちゃ得意そうな義弟君。
「これだけやけん。いいお土産は!」
となおも不安を煽る妹さん。

母上にはチョコレートドリンク。
母上は「ドイツと言えばシュトーレン!お金出すからたくさん買ってきて!」
と大好きなドイツ菓子シュトーレンの大量買いをお願いしていたのですが
シュトーレンはクリスマスシーズンに出回るお菓子だそうで
どのお店でも見つけられなかったんだとか。残念・・・。
でも、チョコレートドリンクも嫌いじゃないよね。
これからの季節、体の中からあったまるよね。

そして、私へのお土産。
「もう本当に!絶対いらんと思うよ??びっくりするけん!」
と妹がなおもなおも言い募り、
その横で義弟君がひょうひょうとお土産を取り出しました。

「あ!」と驚く母上。




「これ、のりちゃん好きやわ。」と呟く母上とほぼ同じタイミングで
「かわいい!大好き!!」と思わず(不覚にも)喜ぶ私。

わー!わー!これ、私、好きー!
スノウボール大好きー!
サンタさんも大好きー!
特にこういうクラシックな感じのサンタさんは、本場っぽくて大々好きー!

「ウソでしょ?私、見た瞬間に目が点になったのに。」と驚く妹さん。

・・・あれ?
こうなってくると、妹さんのその反応のほうが
私にとってはむしろ謎というか新鮮というか。
クリスマスグッズを集めるのって
私の冬場の(季節限定の)趣味なんだけどなー。
店頭にクリスマスグッズが並び始めると
必ずウィンドウショッピングに行って念入りにチェックしてるし。
年々、クリスマスグッズが少しずつ増えてるし。
更に言うならば、既に母上から
「これ以上の増加禁止」条例を出されてはいるんだけど・・・。

それぐらい好きなのに、意外と浸透してなかったのねー。
とこっそり驚く私の目の前で。
義弟君が「よし!おれの勝ちー!」と喜んでいました。


・・・勝負だったんだ。

少しオトナになりました。

2011年09月26日 08時02分32秒 | 日常生活
甥っ子くんと妹さんが帰って行きました。
滞在していた一週間で甥っ子くんはめでたく首が据わり、
首が据わった瞬間、
「そんな赤ちゃんみたいなダサい格好できるかよー。
 おれ、もう赤ちゃんじゃねーし!」
と、横抱きを身体全体で嫌がるようになりました。
嫌がり方も、この一週間で力強く猛々しく成長しました。


なんか。
改めて、赤ちゃんてすごいなー、一日一日、おっきくなってるんだなー、
ということを実感した一週間になりました。
ふたりが帰ってしまって、ちと寂しい。



帰った先は我が家から徒歩10分ではあるわけですが。
それでもやっぱり淋しいなー。

欲しいもの

2011年09月25日 23時20分06秒 | 日常生活
久々に幼馴染とお買いものデート。

・・・のはずが。
大きな決断を下した彼女の話に圧倒されて
ランチタイムをまったく終われませんでした。
休日の昼下がり、ランチを食べながら
おもいがけずお泊りの際の真夜中トークなみに
ディープな恋愛トークを繰り広げてしまいました。

彼女の清々しい決断に圧倒されつつ、
この決断力が私の大好きな彼女だなー、と安心しました。
「これ!」と決めた時の行動力にはいつも驚かされるけれど
そこが彼女のすごいところで、羨ましく感じたり尊敬したりしています。

それに比べて私と来たら・・・。
教会トモダチからも指摘されたけれど。
この変化を嫌がる性格をどうにかしたいなぁ、と久々に強く思いました。
変化を嫌がって、この場所から動けないでいる自分が
なんか情けなくなっちまったい。

軽やかに動きたい気持ちはあるんだけれど。
少し動いたときに「ちょっとした変化の兆し」が現れた瞬間
もんのすごい恐怖感に襲われて、そこからダッシュで逃げてしまう。

誰か私に勇気を。

2011年8月の読書

2011年09月24日 22時54分40秒 | 読書歴
久々に本をたくさん読みました。
いろんな人から借りた本がたまりにたまっていて追いつくのに必死です。
でも、「この本、面白いよ!」と貸してくださる方々のおかげで
いろんなジャンルの本に出会え、充実した読書生活を送れた1ヶ月でした。
しかしながら、9月24日現在、未だに借りている本に
私の読書ペースが追いついていません。
現在借りている本は漫画を含めて13冊。10月末までに追いつくぞ!

77.星を帯びし者/マキリップ
■ストーリ
ヘドの若き領主モルゴンは幽霊との謎かけ試合に勝って、大国アンで王冠を手に入れた。だがアンの王女と結婚すべく偉大なる者の竪琴弾きと共に船出するや、船は難破しモルゴンは海に投げ出される。モルゴンの額にある三つの星。はるか昔、すでに彼の出現を予期していたかのように造られた、三つの星をはめ込んだ竪琴。執拗に彼の命を狙う不気味な変身術者たち。数多の謎の答えをもとめ、星を帯びし者モルゴンは偉大なる者のもとへ。「イルスの竪琴」三部作第一弾。

78.海と炎の娘 /マキリップ
■ストーリ
ヘドの領主にして星を帯びし者モルゴンが、偉大なる者に会うためにエーレンスター山に向かったまま消息を絶って一年、領国支配権が弟に移ったという知らせが入る。モルゴンを殺したのは誰か? 偉大なる者はどうして何もしてくれなかったのか?モルゴンに同道していた竪琴弾きはどこにいったのか?モルゴンの許嫁レーデルルは全ての答えを求めて偉大なる者のもとへ旅立つ。シリーズ第二弾。

■感想 ☆☆☆*
三部作のうち二作品、つまり三分の二を読み終えたというのに、謎はまったく解明しません。この壮大な話がどうまとまるのか。いたるところに置いてきている「謎」はすべて解明されるのか。何より、主人公モルゴンとレーデルルは穏やかな「ふたりの生活」を始めることができるのか。早く続きが読みたい!・・・のに、まったくこのシリーズの最終作にたどり着けません。お借りして手元にあるっていうのに!9月は少しピッチをあげて本を読みます。

79.ああ言えばこう食う/阿川佐和子・壇ふみ
■感想 ☆☆☆☆☆
食欲のダンフミと愛欲のアガワによる交友録。この作品も何度、読み返したか分からないくらい、疲れたときに必ず手にとっています。文字を見るのも億劫だな、とかなんか気分が沈んでいるな、元気になりたいな、というときにふたりの文章を読むと、身体の内側から元気になる気がします。この作品を読んでいると、華やかな世界で生きているはずの阿川さんと壇さんがまるで古くからのお友達のように身近に感じられます。彼女たちの気負わない姿、気負っては大きな失敗をしてしまい、なぜかどたばたとしてしまう毎日の話を聞いていると、「あ。私だけじゃないんだな。みんな落ち込んだり舞い上がったりしながら毎日を乗り越えてるんだな。」と思えます。

80.夜は短し歩けよ乙女/森見登美彦

■感想 ☆☆☆☆☆
この3カ月で3回読み返しました。どれだけはまってるのやら・・・。読み終えるたびに、また冒頭に戻り、再度始めから読み返す。こんな作業を三度も続けています。わー!好きだー!
よくよく考えて、私はこの作品の主人公のひとり「先輩」の「石橋をたたいて割ってもまだ渡るかどうか考える」ぐらい慎重な恋愛に対するスタンスや、「外堀を埋めて埋めて、
もはや平地になっている」のに本丸に突入できない臆病っぷりが好きなんだろうな、という結論に落ち着きました。ひとりで右往左往しているのに少しずつ距離が縮まっていく先輩と乙女の距離感は「ご都合主義」だなと思いますが、元来がご都合主義大好き派。「ファンタジー」的展開も含めて、そういった現実感の乏しいところが微笑ましくて、大好きです。

81.ストーリーガール/モンゴメリ
82.黄金の道~ストーリーガール2~/モンゴメリ

■ストーリ
父の仕事の関係で、トロントからプリンス・エドワード島にやってきたベバリーとフェリックスの兄弟。キング農場で個性豊かないとこたちと一緒に暮らすことになった彼らが出会ったすらりと背の高い大人びた少女。虹のような声音でお話を語る不思議な魅力のストーリー・ガールと過ごした多感な10代の日々を、夢のように美しい島の四季と重ね合わせて描く、もうひとつの『赤毛のアン』。

■感想 ☆☆☆
10年ぐらい前(もっと前?)にNHKで放送されていた「アボンリーへの道」という海外ドラマの原作です。ヒロインのセーラがとてもかわいらしい、という理由と「あのモンゴメリ!」というネームバリューだけで見始めましたが、子どもたちの毎日が微笑ましく、でもモンゴメリらしい毒や皮肉も盛り沢山の作品でのめりこんで楽しんでいました。・・・ということをこの作品を読んで思い出しました。「そういえば!夕方に放送されてた!!」と思い出した瞬間に興奮しました。面白かったのに、あれっきり再放送もなく・・・。やはり赤毛のアンほどには定着しなかったんだろうな。
「子ども」の時代の長い長い1日、日が落ちるまで遊んでいたあの頃の記憶をしっかりと留めているモンゴメリのストーリーテラーとしての魅力が遺憾なく発揮されている作品です。だからこそ、ラストで子どもたちが迎える「大人への入り口」の向こうに待ち受けている寂しさが迫ってきます。

83.霧笛荘夜話/浅田次郎
■ストーリ
とある港町、運河のほとりの古アパート「霧笛荘」。誰もが始めは不幸に追い立てられ、行き場を失ってこのアパートにたどり着く。しかし、霧笛荘での暮らしの中で、住人たちはそれぞれに人生の真実に気づき始める。

■感想 ☆☆*
普段は短編より断然長編派ですが、浅田さんに限っては、長編よりも短編のほうが好きです。この作品は、連作短編集。古いアパート「霧笛荘」に住む人たちの成功とは無縁で、幸せとも縁遠い人たち、でも彼らの人生は決して「不幸せ」ばかりではない。たくさん泣いた人たちの、でも人としてのぬくもりを忘れないまっとうな生き様に胸が熱くなりました。

84.月島慕情/浅田次郎
■ストーリ
「泣かせる作家」浅田次郎の短編集。物心の付いた頃から遊郭にいるミノに身請け話が舞い込み、束の間の幸せを手に入れるが・・・「月島慕情」。20年前に別れたかつて夫の骨を拾って欲しいという連絡を受けた初江が出会ったのは・・・「供物」。自衛隊駐屯地で当直が聞いた師団長の鰻にまつわる過去を描く「雪鰻」。学生運動の影響でアルバイトに明け暮れる悟とその隣人との出会いと別れを描く「インセクト」。かつての恋人の息子と過ごす事になったお通夜での一晩を描く「冬の星座」。温泉街でマッサージ師をしている時枝と一夜の客を描く「めぐりあい」。第二の職業に就いたお抱え運転手が知った雇い人の馬主と下町の靴磨きとの戦後。(「シューシャインボーイ」)

■感想 ☆☆☆*
「泣かせる」作品はあざとさを感じさせるものが多いために、苦手ですが、浅田さんの作品はその「あざとさ」をまったく感じさせず、心地よく読めました。心地よく、というにはあまりに胸が痛い作品ばかりでした。特に心に残ったのは「月島慕情」と「シューシャインボーイ」。誰かが誰かを思いやる優しさがあるからこそ生じるすれ違いに胸がぎゅっと締め付けられました。そして「雪鰻」。私たちはあの戦争を忘れてはいけない。改めてそう思いました。

85.バイバイブラックバード/伊坂幸太郎
■ストーリ
「理不尽なお別れはやり切れません。でも、それでも無理やり笑って、バイバイと言うような、そういうお話を書いてみました」(作者談)太宰治の未完にして絶筆となった「グッド・バイ」から想像を膨らませて創ったまったく新しい物語。

■感想 ☆☆☆*
誰にでも優しくて、その優しさが男としてどうしようもない。どうしようもなく情けないけれど、なんとなく愛しい。そんな主人公が借金のかたにとんでもなくひどい罰をうけることになり、5股かけてきた女性たちひとりひとりに別れを告げに行く話。
主人公は本当にどうしようもなく情けない。「好きだな」と思った女性と付き合っていたら、いつのまにか5人と付き合っていただけ、という状況からして情けない。でも、彼女たち全員をみなそれぞれに好きだと思っていて、大切にしている。だから「突然自分がいなくなったことを悲しまないようにちゃんと別れを告げたい」と5人の女性たちひとりひとりに律儀に挨拶をしてまわる。彼女たちと誠実に向き合う。彼はとことん優しくてあったかい。愛しくて憎めない。
彼は絶望的な状況に巻き込まれる。その経緯も、これから後のことも一切、描かれていない。描かれているのは絶望のすぐ傍にある希望。どんなに絶望的な状況でも、目の前にいる人に対して誠実に生きていたら、小さな小さな希望の光は見える。その希望の光が絶望を晴らしてくれるわけではないけれど、でも、真っ暗闇だけではないはず。そう思った。

86.たまごボーロのように/華恵
■内容
大人の世界に踏み出そうとしている18歳の毎日。「小学生日記」から6年。12歳だった少女の世界は、少しずつ「学校」から離れて、自分の世界を見いだしていく。

■感想 ☆☆☆
「小学生日記」は知っていて興味をひかれていたものの、彼女の文章を読むのはこの作品が初めてでした。心のどこかで「芸能人」や「小学校6年生」という付加価値がもの珍しがられての評価だったんじゃないのかな、と失礼なことを思っていました。本当に本当にごめんなさい。静謐で落ち着きある文章はまったく年齢を感じさせず、美しさすら覚えました。18歳という思春期ならではの生真面目さ、気の強さが感じられる文章と彼女の感受性に12歳の彼女や20歳の彼女と再会したい、そう思いました。

87.つくも神さん、お茶ください/畠中恵
■内容
日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞時の挨拶や、愛する本や映画、音楽のこと。修業時代の苦労話に中国爆食ツアー、創作秘話やあっと驚く意外な趣味の話。そして、書き下ろしの随筆まで。ベストセラー作家の日常。

■感想 ☆☆*
うーん。私は畠中さんの「しゃばけ」シリーズが大好きなんだな、と思いました。「しゃばけ」シリーズのキャラクターたちに愛情を抱いているけれど、畠中さんの文章は苦手なのかもしれない、と「しゃばけ」シリーズ以外の作品や今回のエッセイを読んで思いました。何が苦手なんだろう、どこが苦手なんだろう。そこがよくつかめていません。

88.村上堂はいほー/村上春樹
■内容
せっかちで気が短い。占いには興味がない。最近の映画の邦題はよくないと思う。ときどき無性にビーフ・ステーキが食べたくなる。双子の恋人が欲しい。フィッツジェラルドとチャンドラーとカポーティが好き。この中で三つ以上思い当たる方は、誰でも村上ワールドの仲間です。はいほー!と軽やかに生きるあなたに贈る、村上春樹のエッセンス。

■感想 ☆☆☆*
村上さんがやっぱり好きです。彼の小説も好きだけれど、エッセイはより一層好き。たまに矢も盾もたまらず読み返したくなります。今回、久々に手にとってやっぱり好きだな、と思いました。

89.働かないアリに意義がある/長谷川英拓
■内容
女王バチのために黙々と働く働きバチや、列を成して大きな荷物を運ぶアリたちに共感を覚えた経験はあるだろうか。しかし、実際に観察すると、アリもハチもその7割は悠々自適で暮らしており、約1割は一生働かないことがわかってきた。また、働かないアリがいるからこそ、組織が存続していけるというのである。アリやハチなどの集団社会の研究から動物行動学と進化生物学の最新知見を紹介しながら、人間が思わず身につまされてしまうエピソードを中心に最新生物学を紹介する。

■感想 ☆☆☆
久々の新書。顧問に「読みやすいから読んでみるといいよ。面白かったよ。」とお奨めいただいて手に取りました。本当に面白く興味深い内容で、珍しくあっという間に読み終えることができました。生物学の研究結果とその結果に対する見識、および推察を分かりやすい言葉で読みやすくまとめてくれています。
学問は「役に立つこと」「利益につながること」を学んだり研究したりするものではなく、利益など関係なく、「気になること」「知的好奇心が刺激を受けること」を追求し、調べていくことなのだということを思いました。利益など考えずに物事を調べたり考えたりする人が世の中には必要だし、その結果、分かった結果も推察も決して「無駄」ではないし、やはり世の中には「必要なこと」なんだな、と思いました。

90.女のしくじり/ゴマブッ子
91.お気は確か?/ゴマブッ子
■内容
大人気の辛口ブログ「あの女」のゲイブロガー・ゴマブッ子の恋愛相談。「愛が重い女」「飽きられてる女」「漂流する女」「余命数カ月の女」「肉食的に前のめる女」「初めてフラれた女」「告白したい女」ほか「前のめり」している女たちの恋愛相談45件。

■感想 ☆☆☆
大人気のブログ「あの女」が書籍化された本なんだそうです。まったく知りませんでしたが、友人から「ぜひ読んで!絶対に役に立つから!!」とお奨めされて借りました。おもしろかったー!歯に衣着せぬ内容を言われたい放題言われているのに、不愉快な気持ちにならないどころか、読んでいて痛快な気持ちになる本でした。なんでサバサバとばっさり言い切っているのに、人を不愉快な気持ちにさせないんだろう、と不思議に思いながら読みふけり、ぜひこの話術を手に入れたい、と切望しました。・・・読んで役立たせようと思う箇所とか目標とする立ち位置が間違っている気がしないでもありませんが。

ヨインの練習

2011年09月23日 23時00分47秒 | 教会生活
待望の三連休一日目は教会友達と焼肉大会でした。
11時に集まって16時半に解散するまで
お肉と野菜と果物とお菓子を休むことなく山盛り食べておなかが満タンクに。
今現在も私のおなかは大変なことになっています。
ひっさびさにずーーーーーーーーーーっとずーーーーーーーーーーーーっと
ずーーーーーーーーーーーーーっとひたすらに食べて過ごしたなー。
そういえば、高校時代の友人たちとは旅に出ては
「もう一歩も動けませんっ!!」とギブアップするぐらい食べてたなー。
と、ふと懐かしい気持ちになりました。
最近はめっきりオトナになって、
きちんと腹八分を見極められるようになってたはずなんだけど。
本日は久々に目盛りを振り切って、体重計の存在もかなたに追いやって
欲望のままに、勢いのままに食べつくしました。
「食べ盛り」の食欲で焼肉に挑みました。んまかった!
・・・で。このおなかはデフォルトに戻せるのかな。

勿論、食べるために口をひたすら動かしつつも
語り合いにも口を酷使して、なかなかに忙しい一日でした。(主に口あたりが)
普段は礼拝後も色々とばたばたしているため、毎週会っている割には、
ゆっくりのんびりおしゃべり、という時間が意外とないのです。
本日は時間を忘れてのんびりと気の向くままに
色々色々とお話できて大満足。面白かった!

色々色々とお話している最中、
このブログの存在を知っている教会友達から、「そういえば!」と
私のヨイン味わい下手な点について話題を振られました。
「あれ、すっごい分かる。本当にそゆとこあるよねー。
 教会でも、ふと気が付くとおらんってこと結構、あるよね?」
「分かる!分かる!!
 俺も『あれ?のりちゃん、おらん?』と思ってメールすることあるもん。」

・・・あー。確かにですね。
ワタクシ、礼拝後は誰にも挨拶することなく
こっそりと帰ることが多いです。
というか、いつも誰にも気付かれないように帰っている気が。
で、大体、玄関のところで誰かに見つかって
「帰る?また来週ね。」と見送られることが多いような。
なんか苦手なんです。改まって挨拶して帰るのが。

と返事をしたところ。
その場にいた全員から、大ブーイングを浴びました。・・・そらそーだ。

「信じられんっ。そーゆーふうに帰ってたの?!」
「いつの間にかおらんって寂しいんやけんねー!」
「あれ?話したいことあったんだけど・・・と思うんやけんねー。」

・・・返す言葉もございません。
も、これからは真摯に受け止めて前向きに考えて
できうる限り善処していきたいなー、とごにょごにょ。

解散時、お帰りの皆様をお見送り。
「今日はありがとねー。楽しかったー!」
「本当に!めっちゃ楽しかったねー。またしようねー。」
「また日曜日にね。教会でねー。」
と、挨拶を交わし。
「これがヨインだよね。今、この会話。これがヨイン」
と大切なんだよ?と教えていただいたばかりのヨインについて
ヘレン・ケラーなみに身体で(実践で)覚えこみました。

そして、「そーいえば!!」と
水曜日に会ったばかりの高校時代の友人を思い出しました。
そーいえば彼と食事をした際の別れ際も。
ふと振り返った先に見つけたバスが博多駅行きだったために
「あれに乗らなければ!」という気持ちになって
「じゃ!私、あのバスに乗りたいから!」
とヨインも何もなく、その場に彼を置いてバス停に走ったっけ。
ヨインどころか「さよなら」とか「ありがとう」のような
当たり前の別れの言葉もなかった気がする。


・・・返す返すもひどすぎるな、私。
えー。というわけで。
とにもかくにも。
先日はアリガトウゴザイマシタ。
また今度、会う日までー!(←これがヨイン。・・・おそらく。)

私がヨインを身につけられる日まで道のりは非常に長そうです。

結論:似ていない

2011年09月19日 12時06分45秒 | 教会生活
教会一泊研修。
礼拝後、震災からこれまでの想いや行動をみんなで振り返り
夕方からは海を渡って下関に向かいました。
宿泊先にて普段あまりゆっくり話す機会のない中学生ふたりに
突然、話しかけられました。

「のりちゃん、SKEって知ってる?」
知ってるよー。名古屋拠点のアイドルでしょ?

「じゃあ、松井玲奈って分かる?
 のりちゃん、松井玲奈に似てる。」
松井さんに?まぢで??本当に??
なんかとーーーーーーーーーーっても嬉しいんだけど。

「うんうん。角度によってだけどね。この角度!」
と、中学生が真後ろに回ります。

・・・え?真後ろ?顔見えてないよね?
それ、「似てない」よね?

「間違えた!違う違う!!本当に似てるんだってば。
 この角度!・・・あれ、この角度?違うなぁ。
 ・・・ここ?・・・うーん。」
と、私の横に立って、
「似ているふうに見える」ポイントを探してくれる中学生2名。

・・・それ、ピンポイント過ぎない?
むしろ「奇跡のワンポイント」と言うほうがふさわしくない?

「そんなことないよ!似てるんだってば。」
と無理矢理、押し切られました。
うーん。中学生に言いくるめられた気がしないでもないけど。
でも、嬉しいな。ありがと。
と、素直に受け止めました。

帰宅すると、妹さんがちょうどネットの海を楽しんでいたため
「そういえばね!
 教会のちびっこちゃんたちに松井玲奈さんに似てるって言われたの!
 検索してみて!」
とお願いをしました。
なんとなく「あの人でしょ?」って分かるんだけど、
今ひとつ顔と名前がきちんと一致していない気がするのよね。

「はいはーい。あ、見つかったよー。」
と軽やかに検索をしてくれた妹さん。
「・・・かわいいんだけど!!」と驚き、
しばし松井玲奈さんを眺めた後に
「髪の長さと色だけだよね、似てるのは。
 ・・・ていうか、似てないよね。」
とあっさり切り捨てられました。


うーん。清清しい。
清清しい。けど!
「似ている」と言われた松井玲奈さんがかわいいことに驚いたあたりからも
そして、その「かわいい」松井玲奈さんと似ているのは
髪の長さと色のみだときっぱり言い放たれた辺りからも、
「松井玲奈さんと私は似ていない」という結論以外のことを
指し示している気がしてなりません。

10×2でもまだ足りない。

2011年09月17日 23時37分43秒 | 教会生活
三連休一日目。
教会イベント第一弾の青年会が無事に終わりました。
ここ数回の出席人数は平均して10~13名だったにも関わらず
本日の青年会は、なんと出席者22名の大盛況ぶり。

すごい!
こんな人数初めて!
部屋いっぱいにずらりと青年が並んでいる!!
この部屋がこんなに狭く感じるなんて!!
と部屋いっぱいにみっしりと青年、という初めて見る景色に興奮し
同時に、準備していた夕食の足りなさ具合に想いを馳せました。

・・・もーね。
清清しいくらいに足りない。
確実に足りない。
何をどうやっても足りない。

そーいえば。
会長さんはちらりと心の準備を促してくれてたっけ。
今回の参加人数、多そうだよって。
直前にもう一回、ダメ押しで連絡をくれてたっけ。
「まだ増えそうです。
 さっき、もう2名参加したいって言って来たんで。」って。

それをまったくもって信じていませんでした。
微塵たりとも。
作って持っていった煮卵の数を見て、青年会仲間が感嘆して言いました。
「のりさんさ。
 気持ちがいいぐらい、会長の話を信じてなかったんだね。
 のりさんの信仰では、今回の参加人数は10人だったわけだ。」



まさかね。
煮卵の数で、人への信頼感がばれるとは
思いもしませんでした。
でもってね。
まさか煮卵を半分に割って2倍にしても
まだ足りないぐらいの人数が青年会に集まるなんて
もっともっと思いもしませんでした。

人の話にはちゃんと耳を傾けようっと。

大きく大きくなりました。

2011年09月17日 23時26分51秒 | 日常生活
甥っ子君と妹さんが我が家にやって来ました。
義弟君が家を空けるため、本日から1週間、少し長めの宿泊です。

久しぶりに甥っ子君とゆっくり過ごした午前中。
赤ちゃん特有のあったかめの体温の温もりとか
規則正しい息遣いとか
「あう、あう」と何かを訴えている口調とか
ずっしりとした3か月分の命の重みとか
そういったものすべてに触れて。

いのちだな、生きてるんだな、と思いました。
今、このタイミングで
甥っ子君とゆっくり過ごせることがとてもとても嬉しい。
心から感謝します。

甥っ子君の精一杯の泣き声とか
足をバタバタして駄々をこねる様子とか
何も考えずに「やりたいこと」を求める
その一挙手一投足が今の私には救いです。