のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

すくすく

2011年06月29日 07時52分35秒 | 日常生活
週末、旅に出ていたため、久々の再会となった甥っ子くん。
久々の再会と言っても、所詮、週末を利用した旅行なので、
たかだか三日ぶりぐらいの再会です。
わざわざ「再会」と銘打つほどでもない程度。

にも関わらず。
甥っ子くんは目に見えて分かるほどに成長を遂げていました。
おっきくなってるー!!

思わず感嘆し、その成長ぶりに見入っていると、義弟くんも帰宅。
まっすぐに自分の息子の元へ向かった義弟くんは、しげしげと息子を眺め、
つい先ほどの私と同じように驚きました。

「朝よりめっちゃおっきくなっとるやろ!?」


んな馬鹿な!!

と。
力いっぱい思いましたが。
昨日、定期検診に行ってきた妹と甥っ子くん。
妹に検診結果を尋ねたところ、甥っ子くんは平均の二倍のスピードでおっきくなっていたそうです。
二倍のスピード!!
と、またまた感嘆し。
同時に納得もしました。

気のせいでもなく、大袈裟でもなく、すくすくと成長してたんだね。

というわけで。
最近、我が家での甥っ子くんのあだ名は「ちっさいおっさん」です。
本家本元のちっさいおっさんより風格漂う風貌だと専らの評判です。

ありえないのかー

2011年06月24日 01時15分30秒 | 日常生活
帰宅途中、すぐ後ろを歩いていた男子高校生の会話から
聞いたことのある、というよりは非常に愛着のある
わが母校の名前が聞こえてきました。
地元の高校の噂話なんて別に珍しくもなんともないけれど
それでもなんとなく「お♪」とテンションがあがります。

そこ、私も通ってたよー♪
と心の中で会話に参加していると
どうやら彼らの話は思いがけない展開になり。
そこはかとなく時の流れとか見知っていたはずのものの変遷とか
ずっと同じものなんてないんだぜ、みたいなことを
つらつらと肌で実感してしまいました。

男子高校生A:あいつさー。あいつ、あの高校(母校名)に行ったやん?
男子高校生B:うん。うん。あそこ、いいよなー。遊べるし。
男子高校生A:したらさー。めっちゃ、まじめになっとるんよ!
男子高校生B:まぢ?!ありえんくない?
       あの高校行ったら、たいていのやつは遊び始めるのに
       まーさーかーの?まじめになっちゃったパターン?
男子高校生A:そーやろー?
       あそこ行ったら、絶対に遊び人になるやん?
       それが、まさかまさか!まじめになっちゃってんの。
男子高校生B:ありえんし!
       じゃあ、もしかして彼氏もおらんと?
男子高校生A:らしい。でも、好きな人はおるらしい。ありえん。
       あそこ行って、彼氏おらんとかまぢ、ありえん!!
男子高校生B:それ、すげーなー。




・・・あのー。
私の通っていた時代はね。
わが母校にも彼氏いない女子高生が意外とうじゃうじゃいたよ?
比較的、かわいいオンナノコが豊富だったし、
先輩方が全員男子だったので、モテる子は異様にモテてはいましたが。
でも、みんなのんびりわちゃわちゃと遊んでいたような気がするんだけど。

でも。
まあ、みんなよく遊んではいた。よね。
あの頃から周囲の学校と比べると格段にゆるーい雰囲気で
授業の組み方ものんびりしていただいていたし、下校時間も早かったし。
みんなでのびのびと過ごしていた気はする。
進学校とは思えないぐらい、いっしょーけんめーに遊んでおりました。
むしろ、授業中すら精力的に遊んでいた気も、する。
あの頃(の授業中)にやりとりした手紙は今も大切に持っていて
その量を見ると、よくこれだけのびのびと遊べたもんだなー、
とあの頃の自分たちを褒めてあげたくなるもの。

と、いうふうに。
よく遊んではいたものの。

私の思っている「遊ぶ」と
彼らの話している「遊ぶ」では意味が違う気がしないでもない。
というか、違うだろうなぁ、とほぼ確信していて。
私はあの頃のあの雰囲気のあの高校に通えて本当によかったなぁ、
と、心の底から思いました。

魔法にかけられて/2007年アメリカ

2011年06月23日 20時31分53秒 | 映画鑑賞
■魔法にかけられて/2007年アメリカ
■ストーリ
アニメーションの中の美しいおとぎの世界。アンダレーシアの森の奥深く、動物たちと暮らす一人の美しい娘がいました。彼女の名はジゼル。ある日、運命の出会いを果たしたジゼルと王子は結婚することになりました。しかし、王子の継母のナリッサ女王は、自分の玉座を奪われることを恐れ、ジゼルを騙して井戸の底へと突き落としてしまいます。「『永遠の幸せ』などカケラもない所へ行くがよい!」着いた先はなんと現代のニューヨーク。そこは優雅でロマンティックな「おとぎの国」とは正反対の世界が待ち受けていました。

■感想 ☆☆☆☆☆
見終わった後、とてつもなく幸せな気持ちになった。
ミュージカル好き、ハッピーエンド好き、ディズニー映画好きにはたまらない映画だと思う。もっともディズニー好きな方の中には、この徹底的に自虐的なセルフパロディの連続に少し反感を抱いてしまう人もいるかもしれない。けれど、私は立て続けの自分突っ込みの根底に自社の作品への愛情を感じることができた。

極彩色のアニメーションの世界で何をするでもなく優雅に、自分を慕ってくれる動物たちと楽しく歌って暮らしているジゼル。やがて「おとぎ話」のセオリー通りに「王子様と出会い、一目で恋に落ち、二人は結婚して幸せに暮らしました。」という人生を送ろうとするジゼル。この辺りの展開も嫌味なく、話がバタバタしてはいるけれど、いつも通りの「ディズニー」。そんな居心地の良い世界からいきなり現代ニューヨークに飛ばされてしまったジゼルを待ち受けるひたすらにセオリーの通じない世界。これでもか、これでもか、というぐらいかつてのディズニー映画の「お約束」はくつがえされる。
周囲に関心をまるで持たない忙しいニューヨーカーの中で歩くスピードすらまったくあわせられないジゼルは、人ごみに翻弄されてどんどん町のはずれにおいやられる。どんなときも歌で感情表現をしてきたのに「困ってしまったわ~♪」と大音量で歌い始めようとすれば、周囲からは「頭がおかしい人」のように見られる。優しいはずのおじいさんにすら、話しかけた途端、頭のティアラを盗まれてしまう。
この前半のセルフパロディのたたみかけが見事。そして、そんなセオリーの通じない世界に身を投じたにも関わらず、まったく動じることなく、へこむことなく自分を変えないジゼルも清清しい。どれだけ変な目で見られようと、人に冷たい仕打ちを受けようとも、今までのお約束が通じなくても、彼女は自分を変えない。どんなときもこの世界を楽しみ、明るく笑い、素直に人を信じ続け、気持ちよさそうに歌い続ける。現代ニューヨークでいつのまにか周囲の人を巻き込み歌い踊るミュージカル場面を繰り広げる場面は、見ているだけでなんだか楽しい気持ちにさせてくれる前半のクライマックスだと思う。

そして、後半。
ディズニー映画のセオリーどおりに恋愛模様が繰り広げられ始める。どんなに時代が変わっても、環境が変わっても、誰かを好きになる気持ちは変わらない。けれど、アニメーションの中の世界と異なるのは、人を好きになるのが楽しいことばかりではないこと。誰かを好きになって、その誰かも自分のことを思ってくれて、めでたしめでたし、で終わらないこと。現実世界の恋は苦味も切なさももどかしさもある。「好きだ」と歌に乗せて伝えて終わり、ではない。でも、だからこそより一層、好きだと思う気持ちが募るってことはあるだろうな、と思った。
前半、あれだけセルフパロディで自虐ネタを繰り広げておきながら、ラストは「いかにもディズニー、これぞディズニー」とも言うべき由緒正しいハッピーエンド。セオリーどおりの「めでたしめでたし」の笑顔が並ぶエンディングに自分たちの作品への揺るぎない自信を感じた。

50回目のファースト・キス/2004年アメリカ

2011年06月22日 17時40分31秒 | 映画鑑賞
■50回目のファースト・キス/2004年アメリカ
■監督:ピーター・シガール
■出演
 ドリュー・バリモア、アダム・サンドラー
■ストーリ
ハワイの水族館で獣医師として働くヘンリーは後腐れのない一夜の恋を楽しむプレイボーイ。ある日カフェでルーシーという女性と出会い、意気投合するが、翌日会うと彼女はヘンリーのことをすっかり忘れていた。 実は彼女は交通事故の後遺症により、事故前日までの記憶は残っているが以後の記憶が全て一晩でリセットされてしまうという短期記憶喪失障害だった。そのことを知ったヘンリーは毎日、初対面から始め、愛を告白し続ける。二人は毎日恋に落ち、毎日ファースト・キスをする。ヘンリーにとっては23回目であろうが50回目であろうが、ルーシーにとっては常にファースト・キス。しかし、この恋にもいつか終わりがあって・・・。

■感想 ☆☆☆
開始早々、見事にどうしようもないプレイボーイぶりを見せ付けてくれるヘンリー。
だからこそ、ルーシーと出会ってからの彼の変化がいとおしい。
映画の中では、彼がなぜそこまでルーシーに惹かれたのか、
その明確な理由は特に触れられていない。
けれど、そういった理由を必要としないほど、
ルーシー演じるドリューの笑顔がチャーミング。
演じる人次第では少々、鼻につきかねないぐらい、
心が綺麗で素直で可憐なオンナノコをあの輝くようなキュートな笑顔で愛らしく
演じていて、私もヘンリーと同様彼女の笑顔に視線が釘付けになった2時間だった。

何回出会っても、何回忘れても、また恋を始められる二人の関係がとても羨ましい。
そして、何回忘れられても、何度でも始めからやり直したいと願い続ける
ヘンリーの思いの強さに胸を打たれる。
人を好きになるってこういうことじゃないかな、
こういうふうに人を好きになれたら素敵だな、と思った。

百万円と苦虫女/2008年日本

2011年06月21日 14時17分41秒 | 映画鑑賞
■百万円と苦虫女/2008年日本
■監督・脚本:タナダユキ
■出演
蒼井優、森山未來、竹財輝之助、ピエール瀧、佐々木すみ江
笹野高史、キムラ緑子、堀部圭亮、矢島健一、平岩紙

■ストーリ
就職浪人中の鈴子(蒼井優)は、アルバイトをしながら実家で暮らしていた。
彼女は仲間とルームシェアを始めるが、それが思いも寄らぬ事件に発展し、
警察の世話になる。中学受験を控えた弟(齋藤隆成)にも責められ
家に居づらくなった彼女は家を出て、1か所で100万円貯まったら
次の場所に引っ越すという根無し草のような生活を始める。

■感想 ☆☆☆*
蒼井さんのためのような映画だな、と思った。
蒼井さんだからこそ、この空気が出せたんだと思う。
他の人が主役を演じていたらまったく異なった空気感になっていたんじゃ
ないかな、とおもわせられるぐらい、この映画と蒼井さんの雰囲気が
見事に合致し、ひとつの作品を作り上げていた。

そして、見終えて、とても寂しい気持ちになった。
バイト先の男性と両思いになり、ようやく「居場所」を見つけたと
感じた鈴子。けれど、少しずつ生じるすれ違いや勘違い。
そのときどきの思いをうまく相手に伝えられない鈴子は、
「人と向き合えない自分」に気付かされ、また次の場所に旅立っていく。
けれど、本当はすれ違っていたわけではなく、相手の男性も
しっかりと鈴子のことを思っていて、ただその思いを口にできなかっただけで
それなのに、なんでこんなにも人と人は分かり合えなんだろう。
思いあっていても、ほんのちょっとのズレが
決定的な別れに至ってしまうのはなんでなんだろう。
どうでもいいことは簡単に口にできるのに、
一番伝えなければいけない想いを胸に秘めてしまうのはどうしてなんだろう。
と歯がゆい気持ちになった。

でも、だからこそ、人は誰かと心を通い合わせることができたとき、
あんなにも幸せな気持ちになるのかもしれない。

とにかく蒼井さんの表情、たたずまいが素敵。映画に溶け込んでいます。
ただ、全体的に淡々としていて、「ザ・日本映画」という感じなので
好き・嫌いは分かれると思います。

家族に歴史あり

2011年06月19日 23時26分41秒 | 日常生活
妹夫妻が帰省してきたため、期間限定の二世帯同居が始まりました。
今までいろんなところを開けっ放しにして過ごしたり
いろんなところでのびのびと人目を気にせず過ごしたりしていたため
「家族じゃない人がいる」というこの状況は
私の人間的成長に大きな影響を与えてくれている気がします。

もっとも。
「注意していること」が
自分の部屋のドアも押入れのドアもきちんと閉める。とか
狭いところが苦手だからって、トイレのドアを空けたままにしない。とか
なんか来そうで怖いからってお風呂のドアを開けたままにしない。とか
ちゃんと部屋着を着る。とか
他の部屋に入るときに、ドアをノックする。とか
低次元過ぎることばかりで、その内容に我ながらびっくりもしていますが。

・・・なんせね。
小さい頃からずっと父上が出張ばかりだったり
帰宅時間が遅かったりで、ほぼ女性のみで過ごすことが多かったんだもんね。
と誰にともなく、ついつい心の中で言い訳を重ねることが多いのは
やはり自分でも「これはいくらなんでも、ねぇ。」と
やましいところがあるからだと思われます。

ちなみに。
我が家で父上だけがお風呂のドアを用心深く閉め
トイレのドアには鍵すらかけるようになったのは
妹が幼い頃、「男性」である父上と
「オンナノコ」である自分との違いに興味を示し、
好奇心のままにのびのびと父上を観察すべく、
ことあるごとに乱入を試みたためです。

春眠?

2011年06月16日 23時45分36秒 | 日常生活
眠くて眠くて眠くて眠くて・・・(以下略)たまらなかったここ数日。
昨日は、運よく電車でもバスでもばっちりと座ることができたため
体感速度的にはドア to ドア20分程度で会社に到着できました。
家から最寄り駅までは徒歩15分、博多駅からバスセンターまでは徒歩5分、
つまるところ、意識があったのはこの時間のみ。
残りの乗り物乗車時間はまったく記憶にございません。
席に座ると同時に、まるでブレーカーが落ちたかのように
あっという間に意識が飛びました。
むしろ、よく再起動できたよね、と自分で自分を褒めてあげたい。

もっとも。
「起きていたのか」と問われると甚だ自信がないというか
起きていなかったよね、あれは・・・と目が泳いでしまうというか。
ふと我に返ると、会社まであと3メートルの地点で
なぜか立ったままうつらうつらしている自分を発見しました。
今、寝てた!寝てましたよー!
完全に歩くのやめてた!びっくりした!!

時計を見る限り、おそらく訪れた「無の時間」は
そんなに長くはなかっただろうと推測していますが
それにしたってさー!とおのれの睡眠欲にほとほと驚き果てました。

そして。
とっさに慌てふためくこともなく、何事もなかったかのように、
ごくごく普通に歩き出せた自分に「大人になったなー」と
感慨深い思いを抱きました。

土曜日はゆっくり眠ろうっと。

光陰矢のごとし

2011年06月14日 23時54分35秒 | 日常生活
進捗確認会議に出席するため、別フロアにある会議室へ向かったところ
そのフロアの部長さんと遭遇し、
「よかった!聞きたいことがあったんよ!」と引き止められました。

「あのさ。なんで今年の新人はあんなに試験の合格率が低いん?」

・・・えっと。
こりゃまた唐突な話題ですね。
私が小耳に挟んだ話では、どうやら今年から試験の傾向ががらりと変わったために
試験対策問題がまったく試験対策になってなかったんだとか。
ホントに小耳に挟んだだけなんで、不確かな情報ですけど。

「そうやったんね。今年の新人はあの試験に何人受かったんやっけ?」

あ!これは衝撃的な数字だったので覚えてます。
1名です。30人近くいてたったの1名。

「じゃあさ。再試験はどうするんかいな?受けさせるんよね?」

・・・という話を聞きましたけど。

「みんな集めて受験させるんかいな?
 各自、好きな日程で受験していいんかいな?」

・・・さ、さあ?

「まだ決めてないとね?!」

とここまで話が進んだところでようやく「もしかして」という可能性に気付き
恐る恐る、部長から乱発される質問に割り込んでみました。

あのー。
私、もう異動したんで「新人担当」でもなんでもないんですけど。
「総務部」所属でもないんです。
と訴える私に、部長さんからは
「そうやったんね!?」とたいそう驚かれました。

あれ?
私が総務部から異動したのって、もう3年程前の出来事なんだけどなー。
「新人担当ののりぞうさん」というキャラってば
意外にも結構、浸透していたのね。となんだか嬉しくなりました。

犬を飼うということ

2011年06月13日 23時28分33秒 | テレビ鑑賞
■犬を飼うということ-スカイと我が家の180日間-
■のりぞう的2011年度春クール3位
■金曜深夜(23時15分) テレビ朝日放送
■出演
 錦戸亮、水川あさみ、久家心、山崎竜太郎、田口淳之介
 武田航平、風見しんご、杉本哲太、泉谷しげる
■脚本 寺田敏雄
■ストーリ
21歳でできちゃった結婚した本郷勇次(錦戸)と幸子(水川あさみ)は8歳の大(山崎竜太郎)と6歳の眞子(久家心)の二児の親。完成間近のスカイツリー近くの団地に暮らしている。サラリーマンである勇次の収入だけでは生活は苦しく、幸子がパートに出てやり繰りしている。家計は苦しくても家族でハワイ旅行をするためにお菓子の缶に貯金する微笑ましい一家である。しかし、それぞれが少しずつ言い出せずにいる小さな不満も抱えていた。そんなある日、眞子が犬を拾い、なりゆきで飼うことになり、そこから家族が再生し始める。

■感想 ☆☆☆☆
錦戸さんの演技が大好きです。
決して分かりやすいイケメンさんではないけれど
(というか、単に私の好みではないというだけ、ですが。)
彼が演じると、どんな役柄もとても魅力的になる気がします。
アイドルがこんな役を演じちゃってもいいの?!大丈夫?!
と衝撃的だった「ラストフレンズ」のDV彼氏さんも、序盤こそ、
「ありえん・・・怖すぎる!!」とドキドキしましたが
中盤以降はその演技力(というか、その恐ろしさ)に圧倒されて
むしろ「すごい!この人!!」と目が釘付けになりました。
どうしようもないDV彼氏なのに、その暴力の影に見え隠れする
「好きなのに自分でもどうしたらいいのかわからない」みたいな葛藤が
終盤に向かえば向かうほど、不憫になり、決定的には嫌いになれませんでした。
暗示にかかりやすい私は、彼の演技を見続けると、
なんやかんや言いつつも、最終的に彼の(役の)ことが好きになっているような。

というわけで、「犬を飼うということ」も期待大!で視聴しました。
そもそもこの枠のドラマは深夜枠だけに視聴率が取れないけれど
好みの番組に出会える確率が高いのです。
でもって、予想を裏切られることなく大好きなドラマでした。
主要登場人物みんなが困ったところもあるけれど、
その困ったところを愛しいと思える人たちばかりで
彼らが迷ったり傷ついたり、ぶつかりあったりしているところを
嫌な気持ちになることなく、全員に共感しながら見ることができました。

まじめで他人を陥れたり蹴落としたりできない主人公、
勇次が会社のリストラ政策に疑問を抱いてしまったがために、
会社をクビになってしまうところから物語が始まります。
どこか大人になりきれない、長いものに巻かれてしまえない不器用な主人公。
学歴はないし、新しい仕事も見つからない。
心のどこかにかつての夢だった「音楽」への未練もある。
けれど、家族を愛していて、音楽という夢よりも家族を、
父親としての責任を躊躇なく選べるへたれなのに
強くてあったかいお父さんが錦戸さんにぴったりでした。
特に素敵だな、と思ったのは最終回で飼い犬スカイが危篤状態になり、
担当獣医さんから
「人によって考え方は色々あると思う。たかがペットと言う人もいるかもしれない。
 けれど、僕はそれでも言いたい。家族に連絡をとりなさい。」
と言われた水川さん演じるお母さんが家族全員に緊急連絡を取る場面。
大急ぎで学校から帰ってくる子どもたち。
けれど、その連絡を確認しても、周囲の仕事仲間に動揺を見せることなく
黙々と仕事に取り組む勇次は、仕事が終わった後もいつものように
「お疲れ様でした。」と笑顔で挨拶をし、角を曲がったところから
ダッシュで病院に向かいます。携帯で奥さんに連絡を取り、そこで
自分が間に合わなかったことを知り涙する勇次の背中がとても印象的でした。
安易に「仕事よりも何よりも飼い犬の命が大事」
「ペットも人間も命の重さは同じ」というような一辺倒の結論に
落ち着かせないこのドラマの姿勢を素敵だな、と思いました。
命は勿論、とても大事だし、ペットも家族の一員だという考え方に共感もします。
けれど、父親として仕事を放り出さない勇次を
社会人として、人手が足りなくて困っている仕事仲間のことを思いやり、
お父さんとして、自分の仕事を全うした勇次をとてもかっこいいと思いました。

脇役陣もみんなキャラクターぴったりで素敵な方ばかり。
獣医さんを演じられた杉本哲太さんはいかにも杉本さん!という感じの
生真面目であったかく、そしてユーモアあふれるお医者さんで、
重い雰囲気になりがちなこのドラマを明るく引き立ててくれていた気がします。
このドラマが重くなりすぎなかったのは、
杉本さんの暖かい雰囲気があればこそ、じゃないかな。

そして、そしての泉谷さん!
最愛の奥さんが末期癌になり、なおかつ会社からリストラされるという
役柄を朴訥に、ぶっきらぼうに、でも丁寧に演じられていて、
彼の姿を見るたびに「年輪」という言葉をかみ締めました。
言動は荒々しいし、分かりやすい優しさはちっとも見せないけれど
勇次たち家族を見守るその視線の根底にある優しさ、あったかさが
しっかりこちら側に伝わってくる演技でした。
「家族」じゃなくても、人と人とがお互いに思いやりあえれば
あったかい関係が築けるんだな、としみじみ納得できる素敵な役でした。

それにしても子役さんたち。なんで?
なんで最近の子役さんたちはこんなに演技がうまいの?
とひたすら感嘆しながら、そしてそんな彼らの演技に
涙を誘われながらドラマを見続けました。本当にすごい。

最終回。
大切な家族の一員を失った彼らは、悲しみながらもお互いを支えあい
「スカイを忘れたいわけじゃない。」から「これから先も
気を紛らわせようとか考えないようにしようとか」そういう無理はせず、
スカイの想い出を抱きしめて生きていこう、と決意します。
その場面で、またも震災のことを、多くの失われた命のことを思いました。

2011年5月の読書

2011年06月11日 17時18分12秒 | 読書歴
中盤、赤川さんと辻村さんで一息つきましたが、
それ以外は、普段あまり手に取らない外国作品や
新しい作家さんの作品に積極的に手を伸ばせた一ヶ月でした。
ところで来月、部会の中で「お奨めの本」を紹介するコーナーを
受け持つことになりました。
・・・老若男女問わず、一般的にみんあが楽しめる本というものを
紹介できる自信がまったくありません。
うーん。何を紹介すればいいのか、まったくわからん!

49.夏至の森/パトリシア・A・マキリップ
■ストーリ
七年ぶりに故郷に帰ったシルヴィアを待っていたのは、鬱蒼とした森に抱かれた
リン屋敷と、曾曾曾祖母の手記。森には美しくも怖ろしい女王とその眷属が棲み、
祖母が主宰する村の女たちのギルドが、屋敷を彼らから護っているのだという。
シルヴィアがあわてて都会に戻ろうとしたとき、従弟が消えて取り替えっ子が現れた。

■感想 ☆☆☆☆
おそらく翻訳の影響だと思うが、前半の日本語はかなり読みにくい。
そのため、作品世界に入っていくのに時間を要したが、中盤以降は
現代社会と重なるようにして存在している「異世界」をすぐ傍に感じながら
読み終えることができた。
現代を舞台にしているものの、前社会的な閉じた「村」の中で生きる
狭い世界で生きる女たちは、自分たちの世界を守るために、異世界を
排除し続ける。その手法が女ならではのお裁縫で、ファンタジーとか
冒険譚とは程遠い非常に地味なもの。けれど、お裁縫で異世界の出入り口を
封じ込めるという考え方になんとなく「ありえそう」だと納得できた。
異世界がごくごく身近にあることをこういった細かな設定で見せていたように思う。
中盤まではどこまでも閉塞的で窮屈な話の流れ。それがクライマックスを迎え、
どんどん壮大な話の展開になっていく。その世界の広がりに、
この世界の大きさ、深さ、多様性を改めて実感した。
社会は、地球は、多種多様の民族、生物が共存して生きていくべきところ
なのだということを改めて考えさせられたし、
そこに大きな希望を見出せる作品だった。

50.スロウハイツの神様(下)/辻村深月
■ストーリ
ある快晴の日、人気作家チヨダ・コーキの小説のせいで、人が死んだ。
猟奇的なファンによる小説を模倣した大量殺人。この事件を境に筆を折った
チヨダ・コーキだったが、ある新聞記事をきっかけに見事復活を遂げる。
闇の底にいた彼を救ったもの、それは『コーキの天使』と名付けられた
少女からの128通にも及ぶ手紙だった。事件から十年。売れっ子脚本家
赤羽環とその友人たちとの幸せな共同生活をスタートさせたコーキ。
しかしその共同生活は、思わぬ方向へゆっくりと変化し始める。

■感想 ☆☆☆☆☆
またもや辻村さんのこの作品を手に取りました。落ち込んでいるとき
元気がないときに必ず手に取りたくなる作品。人と人との関係に大きな
希望を見出せます。そして、どんなに人との関係に疲れたとしても
やっぱり私たちは人と関わって生きていかなきゃいけないし、私には
誰かの支えが必要なんだというそんな当たり前のことを素直に
思うことができるようになります。
「まあ、なんていうか。あらゆる物語のテーマは結局愛だよね。」

51.恋占い/赤川次郎
52.森がわたしを呼んでいる/赤川次郎
53.死と乙女/赤川次郎

■感想 ☆☆☆
どれも赤川さんらしい軽妙な文体で青春真っ盛りの女子高生たちが
明るくまっすぐに前を向いている作品だった。とても読みやすい。
そして、とても軽やか。
折に触れ、私が赤川作品に会いたくなるのは、このどこまでも
まっすぐな作品世界故、だろう。ひねりがない、深みがない、と
揶揄されることの多い赤川作品だけれど、悲しみや悩みを
軽い文体にあえて閉じ込めて、軽く見せているのだと思う。
いつだってスタンダードに大切なこと、当たり前のような、
けれど普段は実感したり行動し続けたりすることが難しいことを
赤川さんは気張らずに穏やかな声で「大事なんだよ。」と
言い続けてくれているのだと思う。
たとえば、今を大切に気を抜かずに生きる、とか
自分の大切な人のために行動する、とか
どんなときもルールを守って生きる、とか
悩んでいても人前では笑ってみせる、とか。
そういったことをきちんとできる素直なヒロインたちに元気をもらいました。

54.魍魎の匣/京極夏彦
■ストーリ
匣の中には綺麗な娘がぴったりと入ってゐた。箱を祀る奇妙な霊能者。
箱詰めにされた少女達の四肢。そして巨大な箱型の建物―箱を巡る虚妄が
美少女転落事件とバラバラ殺人を結ぶ。探偵の榎木津、文士の関口、
刑事の木場らいつもの面々がみな事件に関わり、京極堂の元へ集う。
果たして憑物は落とせるのか。

■感想 ☆☆☆*
ようやくようやくようやく再読し終えました。この作品をトイレで
手に取ったのが運のつきというか。トイレ時間で読み返す作品じゃ
なかったかもねー、と途中でしみじみと思いました。
けれど、何度読み消してもこの幻想的な世界観は見事。描写も詳細で
彼らの姿が、そして彼らの活躍が鮮やかに脳内で蘇りました。

55.青い城/モンゴメリ
■ストーリ
貧しい家庭でさびしい日々を送る内気な独身女、ヴァランシーに、
以前受診していた医者から手紙が届く。そこには彼女の心臓が危機的状況で
余命は1年だと書かれていた。悔いのない人生を送ろうと決意した彼女が
とったとんでもない行動とは?

■感想 ☆☆☆☆☆
もう!もう!もうもう!!
すべての夢見る乙女たちにぜひ見ていただきたい作品でした!
中盤から結末までの話の展開は容易に予測できてしまうし、
その予測どおりに話は進み、なんらどんでん返しなどない状態ですが、
それがまったく不満ではありません。むしろ嬉しくてたまらない。
かつて乙女だった人のほうが読み終えて幸せな結末に浸れるのでは
ないかと思います。

56.冷たい校舎の時は止まる/辻村深月
■ストーリ
ある雪の日、学校に閉じ込められた男女8人の高校生。どうしても開かない
玄関の扉、そして他には誰も登校してこない時が止まった校舎。
不可解な現象の謎を追ううちに彼らは2ヵ月前に起きた学園祭での自殺事件を
思い出す。しかし8人は死んだ級友の名前と顔をどうしても思い出せない。
死んだのは誰なのか。

■感想 ☆☆☆☆
古本屋で再会を果たせたため、めでたく購入。
大好きな辻村さんのデビュー作品です。
年を重ね、どんどん視線がひねたものになっている私は、
久々にこの作品を読んで、登場人物への視点が甘いな、という感想を
抱きました。甘い。けれど、その甘さが不愉快なものではなく、
できればこうありたい、と私が願ってやまない甘さで
その生真面目さと人への向き合い方に改めて心を打たれました。

57.もつれた蜘蛛の巣/モンゴメリ
■ストーリ
ダーク家とペンハロウ家に伝わる由緒ある水差し。
みんな喉から手が出るほど欲しがるこの家宝を相続するのは一体誰なのか。
老ベッキーおばがいまわの際に遺した突拍子もない遺言のせいで
一族の面々は、かつてない大騒動を繰り広げることに。一族きっての美女
ゲイの愛の行方は?長年秘密にされていたジョスリンの別居の真相は?
やがて水差しの魔力が一同をとんでもない事件へと導く。

■感想 ☆☆☆
登場人物がこれでもか、これでもか、と出てくる作品。
おそらく主要登場人物が総勢18名ほど。到底、覚えられないし、
扱いが雑な人もたくさんいる。海外モノが苦手な私には、
登場人物の名前と特徴を覚えるのが難しい手ごわい作品だった。
途中、何度か挫折しそうにもなった。けれど、それでも読み続けると
ストーリーテラーとしてのモンゴメリの底力を感じさせてくれる。
登場人物みんながそれぞれの居心地の良い結末を自力で手に入れていく
なんとも素敵な作品だった。
この作品、おそらくドラマで見たほうが分かりやすいんじゃないかな。
「大草原の小さな家」みたいな海外ドラマにしてもらえたらいいのにな。

58.骨音-池袋ウェストゲートパーク3-/石田衣良
■ストーリ
世界で一番速い音と続発するホームレス襲撃事件の関係は?
また、池袋ゲリラレイヴで大放出された最凶ドラッグ「スネークバイト」の
謎を追うマコトに新たな恋が現れて・・・。連作短編集。

■感想 ☆☆☆
表題作「骨音」は「池袋ウエストゲートパークSP」としてスペシャル
ドラマ化されていたのを今も鮮明に覚えています。面白かったな。
そして、とてもえぐかったな。原作はドラマほどのコメディテイストは
なく、より一層、えぐみを増した作品。
そのほかに地域通貨と暴力団の癒着を描いた作品やドラッグとパーティに
ついて論じている作品など。どれも私には縁遠いまるで他の国の出来事の
ような事件ばかり。けれど、どれもが紛れもなく「今の日本」の出来事で
新聞の社会面を彩る事件の数々で、日本の広さ、多様さを感じた。

59.汝の名/明野照葉
■ストーリ
若き会社社長の麻生陶子は美人でスタイルが良く、仕事もできる誰もが
憧れる存在。しかし、その美貌とは裏腹に「完璧な人生」を手に入れるためには、
恋も仕事も計算し尽くす女だ。そんな陶子には、彼女を崇拝し奴隷の如く仕える
妹の久恵がいた。しかし、ある日から、二人の関係が狂い始め、驚愕の真実が
明らかになっていく。

■感想 ☆☆
気の強い打算だらけの女性がとても好きです。確信犯的に計算できる
強い女性、けれどその強さは自分のコンプレックスから生まれたもので
本来はとても弱い女性を見かけると、どこまでも応援したくなります。
ヒロインはそんな女性。徹底的に嫌な奴なんだけど、だからこそ、
どこかで肩の力を抜いて楽になって欲しい、幸せになって欲しい、と
祈るような気持ちで読み進めました。が、最後の最後まで女同士の
嫌な確執が続く作品でした。中盤からは若干、気持ちが悪くなりました。
女性同士の確執は確かにあると思う。けれど、こういった感じの確執は
実は少ないんじゃないかな、最近の女性はむしろ堂々とさばさばと
生きていると思うんだけどな、とヒロイン2名の前近代的な確執に
違和感を抱きました。