のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

ご褒美三昧

2008年10月13日 23時21分08秒 | 日常生活
新人さんが久々に集まったため、飲み会が開かれた金曜日。
焼肉食べて飲んだくれて帰宅したところ
体重が2.5キロも増えていました。
久々に新人さんたちと会えて、お話が聞けて
新人さんたちから、かつての新人さんたちの活躍ぶりも伺えて
幸せだぞー!!と叫びだしたい気持ちになった夜でした。

そんな幸せ気分で突入した三連休。
父方の祖母と母方の祖父とで、久方ぶりにお茶をしたり
祖父と伯母とゆっくり過ごしたり
幼馴染や高校時代の友人と久々ランチデートをしたり
妹夫妻も交えて食事をしたり
祖母とおまんじゅうを分け合ったり
「実家に帰ってやりたかったこと」に
じっくりと取り組めた三連休でした。

普段であれば、少しブルーな三連休最終日ですが
本日は相も変わらずハッピーな三連休最終日です。
なんと明日から二日間は「新人さんを訪ねる旅」と銘打って
先月中盤から開始した新人面談を関東で実施できることになったのです。
今年度、関東地方に配属された新人さんが多いために行えた
(私にとっての)スペシャルイベント。
入社以来、毎年行っている新人面談ですが
念願かなって、初の出張面談 in 関東!
2日間で8箇所ほど回って新人さんたちに会ってくる、
という申し訳ないほど贅沢なひとときを過ごせる出張です。

唯一の不安は調べた交通機関どおり、無事に8箇所回れるか。
どきどきしながら、関東地方の電車ライフを楽しんできます。
なおかつ、連絡を取り合うことができたワタクシのシショーと
数年ぶりの再会を果たせそうで、そちらもものすごく楽しみ。
なんだか恐ろしいぐらいご褒美をいただいています。
三連休前日からの幸せ気分が継続中。

しかし、ものすごーく幸せではありますが、
さすがにどう考えても収支決算があっていないというか
何もしていないのに、幸福なことばかりありすぎだろ
どこかに落とし穴あるんじゃないの?!
こんなにイイコトばかりでいいの?!
と後ろめたい気持ちが深層意識に芽生えているらしく
この二日間は少しばかり夢見の悪い睡眠ライフです。
仕事でものすごい大失敗をしたせいであたふたしたり罵倒されたりして、
「ど、どうすれば!!!」としどろもどろであたふたしながら、
(夢の中で)胃痛に悩みました。
人生初の胃痛を夢で体験したワタクシ。

・・・後ろめたさのあまり悪夢を見ているあたり、小心者ですが
公私にわたって、あんなに失敗を繰り返しているにも関わらず
人生初の胃痛が夢の中の出来事というあたり、
ふてぶてしさが堂に入っていると言ってもいいのではないかと。

とりあえず、今日の夢見は悪くありませんように、と祈りつつ
明日からの出張ライフを楽しんできます。

ハルさん/藤野恵美

2008年10月11日 10時11分24秒 | 読書歴
84.ハルさん/藤野恵美
■ストーリ
 「瑠璃子さん・・。今日はね、ふうちゃんの結婚式なんだよ。
  まさか、この僕が「花嫁の父」になるなんて・・・・。」
 ふうちゃんの結婚式の日、お父さんのハルさんは思い出す。娘の成長を
 柔らかく彩った五つの謎を。幼稚園児のふうちゃんが遭遇した卵焼き
 消失事件、小学生のふうちゃんが起こした夏休みの大騒動。
 心底困り果てたハルさんのためにいつも謎を解き明かしてくれるのは
 天国にいる奥さんの瑠璃子さんだった。頼りない人形作家の父と
 日々成長する娘の姿を優しく綴った連作短編集。

■感想 ☆☆☆☆
 「ミステリ・フロンティア」シリーズの1冊。
 カテゴリとしては「日常の謎」系の推理小説。なのだが、推理小説として
 ではなく、父親と子供の成長小説として楽しめた。
 浮世離れした父親が手探りで子供を育てていく様子と、そんな父親を
 反面教師としてどんどんしっかり者として成長していく娘。お互いが
 お互いを思いやりあい、寄り添いあって生きるふたりの姿は微笑ましく
 暖かい。そうは言ってもオトコ親と娘の関係は危うげで、思春期を
 迎えた娘は少しずつ父親を疎ましく思い始めたり、距離を置き始めたり
 し始める。そんな娘の姿を寂しげに見守る父親の姿が切なく描かれている。

 作者は児童小説出身だそうで、さすがふうちゃんの姿は生き生きと
 描かれている。「親」業は大変だと思うけれど、それでも楽しみ、
 喜びは計り知れないんだろうな、と素直に思える作品。
 表紙のイラストがとてもかわいらしいので、文庫化されても
 ぜひこのイラストを使ってほしいな。

眼中になし

2008年10月10日 07時59分07秒 | 日常生活
統括部長の昇進をお祝いするため、飲み会が開かれました。
久々に開催された部署全体の飲み会で
もつ鍋を囲みながら、わいわい楽しく話しました。
飲み会の最後は、恒例の博多一本締め。
一本締めなのに、全く一本で締まらない初心者に不向きの実にリズミカルな締めです。

拍手で「お疲れ様」とか「おめでとうございます」とか言い合っていると
部長がワタクシに近づいてきました。

「のりぞうくん、のりぞうくん。素朴な疑問なんですけど。
 のりぞうくんは、いつもそんな格好で会社に来ているんですか?
 あ、悪いと言ってるわけじゃなくて!
 仕事場にそんな格好でいたっけ?と不思議に思っただけで・・・。」

・・・スミマセン。
年相応とか社会人らしさとか置き忘れた服装で。
本日が飲み会だったことも忘れてたんです。

ちなみに。
いつも会社で着ているのは「制服」ですから!
部長がこの格好に見覚えがないのも当然なのです。

誤解です

2008年10月09日 07時49分17秒 | 日常生活
毎年恒例、新人さんとの面談シーズンです。
今年の新人さんは45人。
ひとり30分時間をとって、仕事内容や人間関係について伺います。
配属されて4ヶ月もたつと、状況は様々。
順調に環境に慣れていたり、
予想外に苦戦していたり
大変そうだけど、充実している感じが伝わってきたり
先輩に理不尽な対応を受けていたり。
当たり前のことながら、45パターンの「4ヶ月」があるわけで
笑ったり、楽しんだり、おもしろがったり、心配したり、憤慨して叫んだり、
感情的に忙しい30分を過ごしています。

とはいえ、周囲から見ると、
そして別に悩みなんてない新人さんから見ても
単なる雑談と錯覚してしまいがちな30分でもあります。

昨日も新人さんとの面談を実施していると、
隣の打ち合わせスペースに隣の課の先輩の姿が見えました。
見知った顔に少し緊張するワタクシ。
本日の面談は雑談と間違えられる心配なんてない少し重ための内容。
となると、今度は面談内容が聞こえてないかしらー、とそちらも心配になるわけで。

案の定、席に戻ると、先程の先輩が話しかけてきました。
「さっき、二階でさー。」
やっぱり内容、聞こえてました!?
心配になりますよね。
気にかけていただいちゃって・・・。

「のりぞうくん、新人に説教しよったやろ?
 新人、申し訳なさそうに聞きよったもんね。
 厳しく言うときは厳しく言うんやな、と驚いたよ。」


面談内容が聞こえてなかったようで何よりです。
雑談に見えてなかったことも喜ばしいことです。
でも、でも!
と釈然としない思いもちらり。
人の心は色々とフクザツです。

髑髏城の七人

2008年10月09日 00時08分59秒 | 舞台(キャラメルボックス)
■劇団新感線「髑髏城の七人」
■脚本:中島かずき
■演出:いのうえひでのり  
■キャスト
 古田新太、水野美紀、佐藤仁美、坂井真紀、橋本じゅん
 河野まさと、川原正嗣、佐藤正宏、山本亨、梶原善

■ストーリ ☆☆☆☆☆
 天正18年、本能寺の変で織田信長が明智光秀に討ち取られてから
 8年が経過した時代。
 天下統一を目前とした豊臣秀吉の支配がいまだ届いていない関東は、
 「天魔王」と呼ばれる仮面の男が率いる「関東髑髏党」に支配されていた。
 なりゆき上、関東髑髏党に追われていた少女、沙霧(さぎり)を助けた
 「玉ころがしの」捨之介(すてのすけ)は、偶然知り合った
 「牢人」狸穴二郎衛門(まみあなじろうえもん)とともに、旧知の
 無界屋蘭兵衛(むかいやらんべえ)を頼って色街「無界の里」へと向かう。
 しかし、無界の里で沙霧を匿ってもらおうと思っていた矢先、
 里は髑髏党の襲撃を受けてしまう。
 天魔王と戦うことを決意する捨之介たち。
 果たして捨之介や蘭兵衛と天魔王との因縁とは?

■感想
 前回「メタルマクベス」で新感線の舞台に感銘を受けたものの
 「でも、前回は脚本がクドカンさんだったし。キャストも豪華だったし。」
 と、まだ新感線自体の魅力については半信半疑のまま、
 新感線さんの代表作と言われている「髑髏城の七人」を鑑賞。
 幕間で我にかえり、確信した。
 私は新感線の作り出す世界がとてつもなく好きだ。

 徹頭徹尾「エンターテイメント」と「分かりやすさ」にこだわった姿勢や
 舞台への想いはキャラメルと共通するものを感じる。
 しかし、提供されるものはまったく異なる。
 スケールの大きさ、躍動感、勢いすべてが破格だ。
 キャラメルは良くも悪くも「親近感を覚える舞台」。
 ファンタジー作品が多いのに、「身近な世界」を感じさせられるものが多い。
 でも新感線は「まったく異なる世界」だ。
 現実世界をすべて忘れて、目の前に提供される世界に入り込んでしまう。

 広い広い舞台に作り込まれた世界で颯爽と走り抜く役者たち。
 彼らが本当に「全力で走っている」姿を見て、
 私が今まで見ていた舞台とはそもそもスケールが全く違うのだと思い知った。

 「髑髏城の七人」。
 織田信長亡きあとに、織田信長が目指した世界を夢見続ける影武者。
 彼の野望を打ち砕くために立ち上がる七人。しかし、誰が「七人」なのかは
 舞台の中盤過ぎまで、予測がつかない。誰が味方で誰が敵なのか。
 誰が立ち上がり、時代に刃向かうのか。
 時代に翻弄され、大切な人を失っていく登場人物たち
 それでも自分の信じる者を守り続けようとあがき続ける登場人物たちに
 胸が熱くなる。

 主役を演じる古田新さんのかっこよさに鳥肌が立った。
 古田さんは大好きな役者さんだけれど、今まで一度たりとも
 「かっこいい」なんて思ったことなかったのに。
 彼の表情や立ち居振る舞いから立ち上る色気とか、
 切れ味のよいアクションが与える美しさに目が離せなかった。
 すごい。とにかくすごい。

 そして、愛すべきキャラを楽しそうに演じていた橋本じゅんさん。
 たまにドラマで癖のある役柄を演じているところをお見かけして
 いたけれど、今回もやっぱり癖がある人物。
 でもたまらなくかわいらしい。
 きっと、こういう役柄が持ち味なんだろうな。
 田舎出身の単なる百姓。品性とは無縁だけれど、
 そこらへんの武士より数千倍も武士としての心構えや信条を
 持ち合わせている。弱きを助け、強きをくじくことができる。
 賢くはないし、かっこ悪いところもたくさんある。だけど、かっこいい。
 中盤で彼が見得を切るところがクライマックス開始の合図だった。
 「よし、行こうじゃないか。七人で。
  まさか天魔王もこの七人が何かできるとは思うまい。
  あいつが相手にもしなかった雑魚の力を思い知らせてやろうぜ。」
 そして、七人は私たちに背を向け、舞台の奥に向かうのだ。
 7人が並んで背中を向けるので、こちらに表情は見えない。
 なのに、間違いなく七人の熱い視線が見えるこの場面で鳥肌が立った。

 「いのうえ歌舞伎」と言われているこの舞台では
 役者たちが歌舞伎を思わせる見得の切り方や立ち居振る舞いを披露し
 それら様式美の美しさ、力強さが舞台に与える迫力を見せ付けてくれる。
 もう一度見たい、そう思った作品だった。

スロウハイツの神様(上)(下)/辻村深月

2008年10月08日 23時54分19秒 | 読書歴
82.スロウハイツの神様(上)(下)/辻村深月
■ストーリ
 人気作家チヨダ・コーキが、猟奇的なファンによる殺人ゲームにより
 筆を折ってから十年。「コーキの天使ちゃん」によって復活を遂げた
 チヨダ・コーキは、新人売れっ子脚本家・赤羽環に誘われ、彼女が
 オーナーを務める「スロウ・ハイツ」に入居し、漫画家や画家、映画監督
 を志す彼女の友人たちと暮らし始める。幸せに過ごしていたスロウハイツ
 での日々。しかしその生活は、加々美莉々亜の入居によって変調をきたし
 始める。ある日、一通の郵便が環の手に渡り・・・。

■感想 ☆☆☆☆☆
 図書館で見かけることのなかった辻村さんの作品が2作品、同時に
 手に入った。そのうち1作品が図書館ではなかなか同時に手に入らない
 上下巻もので、喜びいさんで借りてきた。なかなか読みたいと思った本を
 思い通りに読み進められない図書館ライフだけれど、たまに大好きな
 作家さんの本が集中的に手に入る日もあって、その「運」みたいなものも
 図書館ライフの醍醐味のひとつだったりする。
 というわけで、あっという間に読み終えた辻村作品。

 最初に読み終えた「ぼくのメジャースプーン」で、改めてこの人の
 作品世界が大好きだという思いを強くした。そして、この作品。
 通勤時間にのみ本を読み、帰宅後は、ほとんど本を手に取らなかった
 最近の生活の中で、この「スロウハイツ」は帰宅後も手放せず
 結局、睡眠時間を削って読み終えた。思えば、今までに読んだ辻村作品
 「冷たい校舎の時は止まる」「子供たちは夜と遊ぶ」も同じように
 睡眠時間を削って、結末を見届けた。
 辻村作品は登場人物たちに愛着を持たせてくれる。私に、彼女たちと
 できるだけ長く一緒に過ごしたい、彼女たちの幸せを見届けたい、
 そんなふうに思わせてくれる。

 読み終えた後、あまりの幸福感に泣けてしょうがなかった。
 徹底的なハッピーエンド。できすぎの感じがしないでもない結末。
 でも、そこから伝わってくる「幸せ」があまりにも温かくて、短い間に
 大好きな存在になった彼女たちの幸せが嬉しくて、本当に泣けた。
 空想上の産物にすぎない彼らにそこまで肩入れするのもどうなんだ、と
 冷静に自分を眺めつつ、でもそこまでいとしく思わせてくれる作品と
 出会えたことが嬉しくなる、そんな話だった。

 上巻では1章ずつ「スロウハイツ」の住民の日常を追いかける。
 彼らが何を望んでいるのか、何を目指しているのか、何が手に入らずに
 もがいているのか、青春小説のような群像劇だ。
 しかし、下巻に入り、上巻で散りばめられていた何気ない思い出話や
 日常がすべて伏線だったことを思い知らされる。
 それらが伏線だったことにすら気付かなかった数々の思い出話が
 一気に回収され、あるべきところにあてはめられていく様子は実に爽快で
 読み終えた後に、また最初から読み始めたくなる。

 物語のテーマ、そして作者の想いは登場人物によるラスト近くの
 言葉に集約されているのだと思う。
 「まあ、なんていうか。あらゆる物語のテーマは結局愛だよね。」

ぼくのメジャースプーン/辻村深月

2008年10月08日 23時43分34秒 | 読書歴
81.ぼくのメジャースプーン/辻村深月
■ストーリ
 「ぼく」は小学四年生。不思議な力を持っている。
 今から三か月前に忌まわしい事件が学校で起きた。「ぼく」の小学校で
 飼っていたうさぎが、何者かによって殺されたんだ。大好きだったうさぎ
 たちの無残な死体を目撃してしまった「ぼく」の幼なじみ・ふみちゃんは、
 ショックのあまり、全ての感情を封じ込めたまま、今もなお登校拒否を
 続けている。笑わないあの子を助け出したい「ぼく」は、自分と同じ力を
 持つ「先生」のもとへと通い、うさぎ殺しの犯人に与える罰の重さを
 計り始める。「ぼく」が最後に選んだ答え、そして正義の行方とは・・・。

■感想 ☆☆☆☆
 読みながら、最近読んだ東野さんの作品「さまよえる刃」を思い出した。
 自分の子供が惨殺された父親が犯人に復讐する話だ。あの話を読んでいる
 最中も読み終わった後も、私は彼の復讐に対しての自分の感情を掴めないで
 いた。感情として理解できる。でも、それが正しいとは思えない。
 だからといって、どう行動することが正しいのか、それさえも分からない。
 そんなもやもやとしたやりきれない思いを抱えて読み進めた作品、
 その作品を思い出しながら読み進めた。

 あの作品と違って、殺されたのは「人」ではない。殺されたのは、
 学校で飼っていたうさぎ。しかし、奪われたのはうさぎの命だけではない。
 うさぎをかわいがっていた小学生、ふみちゃんの心も奪われる。
 ふみちゃんは表情をなくし、言葉をなくし、感情をなくし、ふみちゃんを
 大好きだった「ぼく」は、犯人に対してやりきれない思いを抱え続ける。

 物語の大半は、ひたすら「ぼく」と秋先生の対話で話が進められる。
 物語に展開は見られず、静かに深く起こった出来事の本質と
 傷つけられた「ぼく」たちの闇の出口を模索し続けるふたり。

 犯人が問われたのは「殺人罪」ではなく「器物破損罪」。
 奪われたのは「命」ではなく「モノ」だという倫理観。
 反省の様子が見えない犯人に対する「ぼく」の憤り。
 犯人の「反省」が見たいと思う「ぼく」の願い。
 犯人が反省したからといって、
 ふみちゃんの心が戻ってくるわけではない、ということまで理解して
 なおかつ、犯人の「反省」を望む「ぼく」の絶望。

 やや哲学的、倫理的な話が続き、物語に動きがないまま迎える終盤で
 突如、ストーリが動き始める。主人公「ぼく」の選択に驚き、
 息を詰めて最後まで読み進めた。
 ラストの怒涛の展開に涙がこらえられなかった。
 辻村さんらしく、ラストは「甘い」と捉えかねられない優しさに
 満ちたものだった。けれど、どうしても物語に、こういった希望を
 求めてしまう私には嬉しい結末だった。

少女には向かない職業/桜庭一樹

2008年10月05日 22時52分24秒 | 読書歴
80.少女には向かない職業/桜庭一樹
■ストーリ
 あたし、大西葵13歳は、中学一年の夏に人をふたり殺した。
 あたしはもうだめ。ぜんぜんだめ。少女の魂は殺人に向かない。
 誰か最初にそう教えてくれたらよかったのに。だけどあの夏は
 たまたま、あたしの近くにいたのは、あいつだけだったから。
 これは、ふたりの少女の凄絶な《闘い》の記録。

■感想 ☆☆☆☆*
 わずか270Pの薄い文庫本だ。読みやすい文章というのもあって
 あっという間に読み終えることができる。しかし、薄い小説なのに
 大きな大きな奥行きがある。夢中になって読み進め、読み終わった後
 自分の身の回りに広がった小説世界の大きさに圧倒された。
 物語の世界からまったく抜け出せなかった。
 小説を読むとき、たいてい主人公に感情移入して読んでしまう。
 しかし、今回はいつも以上に物語にどっぷりと浸りきってしまった。
 それぐらい迫力のある世界だった。

 どうしようもない展開で道を一歩踏み外してしまう主人公の
 恐れ、おののき。自分にはどうしようもできない「負」の境遇で
 辛い気持ちを一生懸命、抱えている主人公。しかし、誰にもSOSを
 発信できない主人公。彼女は自分の辛さを誰にも打ち明けない。押し隠す。
 しかし、取り繕っていた「日常」はあっけなく破綻する。
 破綻した後でさえ、誰にも気付かれないように、必死に
 「普通の世界」に戻ってこようとする主人公のあがき。そういった
 ヒリヒリした感情を、まるで自分が体験しているかのように、
 身近に感じることができた。迫ってくるような感覚だった。

 そして、主人公に対して、必死に「普通ではないオンナノコ」を
 演じてみせるもうひとりのヒロイン。「普通ではない」ところを
 見せて主人公の気を惹き、自分の状況に気付いてもらおうとする。
 そんなまどろっこしい方法でしかSOSを発信できない
 もうひとりのヒロイン。
 この小説はまさに彼女たちふたりの「壮絶」な闘いの記録。

 小説の奥行きと迫力にページ数は関係ない、と思い知った。

孫のおねだり

2008年10月05日 22時20分42秒 | 日常生活
久しぶりに祖父宅へ向かい、団欒のひとときを持ちました。
無口な祖父なので、
一緒におやつを食べたりドリフを見たり
ただ一緒にいるだけのひとときでしたが
心ほっこり楽しい日曜日でした。

あまりにワタクシと祖父が「一緒にいるだけ」だったので
「おじいちゃんの耳かきでもしてあげたら?」
と提案する母上。

そうなのです。
ワタクシ、他人様の耳かきをするのが大好きなのです。
ひとりぐらしをしていた頃から
帰省するたびに父上、母上、妹の耳かきをして喜んでいました。
今も妹がひとりでゆっくり帰省しているときには、大喜びで
「耳かきさせて!!」
とおねだりします。

というわけで、祖父に「耳かきさせて!」
とおねだりする孫。(ワタクシ)
「物好きやねぇ。」と呆れる伯母。
「でも、おもしろいもんね。」と理解を示す母上。
この親にしてこの子あり、です。
なにせ、耳かきの面白さをワタクシに植えつけたのは母上ですから。

膝枕をして祖父の耳を覗き込むワタクシ。
ここ1ヶ月で一番の喜びの瞬間を味わいました。

「すんごい!!すんごいよ!!母上!!!
 もんのすごいたまってる!!たくさんある!!
 うっわー。すんごいわ。
 宝探し気分、味わえるよー。UFOキャッチャー気分?
 きゃー!!楽しいっ!!」

あまりのはしゃぎっぷりに母上も大急ぎで寄ってきて
ワタクシを押しのけます。
「見せて、見せて!うわー!!すごいっ!!
 これはすごいわっ。楽しそうーーーーーーー!!」
親子二人で大騒ぎです。

取れた獲物のあまりの大量ぶりと
一粒一粒のあまりの大物ぶりにほくそえみながら
「かおちゃん(妹)にも見せてあげたかったねー。
 写真、とっとく?メールで送る?」
と相談しあう親子ふたり。
伯母上があきれながら、きっぱりと言いました。

「あんたたち、変。」

・・・今、思い返すと
やはりあのときのワタクシのテンションは変でした。
ちょっぴり酔っ払いモードでした。熱中しすぎてました。

でもね。
基本構造はゲーム攻略に熱中する人たちと同じだと思うのよね。

母上のおねだり

2008年10月05日 22時03分10秒 | 日常生活
今朝、母上が父上におねだりをしていました。
「ねえねえ、お父さん。お願いがあるんやけど。」

新聞を持ち出す母上。

「このクロスワードパズル解いて!
 もう答えがわからんで、くやしいんよ。お願い!」

・・・安上がりな、というより
ほのぼのとしたおねだりぶりに思わず吹き出すと

「だって、気になるやん!答えが載ってないんよ。
 来週には載るみたいなんやけど
 今、知りたいやん。気になるやん!」

と口を尖らせる母上。
なにせ、我が家の女性陣で一番のオトメですから。

いつもどおり、特に何の反応も返さない父上。
しかし、10分後に新聞を広げると
クロスワードパズルはすべて埋まっていました。
大喜びの母上。

日曜日、朝一番の夫婦の対話です。
交わす言葉は少ないものの、夫婦仲良しみたいで何よりです。