流れに棹ささず

「これ食べてごらん美味しいわよ」オバサン何やら小鉢を持ってきた。なんだこれは・・・

真っ黒だな・・・「ヒジキよ　ゴマが入ってて美味しいのよ」一口食べてみる。

うんなるほど甘辛くてゴマの風味が利いている？佃煮か？

だけど佃煮ってのがどうもいただけない。やはりヒジキは煮物でしょオバサン得意だろうにさ。　

シラス、納豆、具沢山の味噌汁、漬物（今日は胡瓜）いつもの定番に昆布とヒジキの佃煮。

佃煮類は毎日とっかえひっかえ出てくる。オバサンどっから見つけてくるんだろ。

味噌汁から立ち昇る茗荷の香り。ポリッポリッ冷たい胡瓜の浅漬けが歯に心地良い。　　

また一日の始まりだな。それにしてもだすっかり飼い馴らされちゃったね夢さん。

夏雲に胸躍る

「日が射してきたわね　良かったわ」天気を気にしながら梅干を干しているオバサン。

ここのところ、雨だったり風が強かったりと天候不順で、梅干を干せないでいたらしい。

「今年の出来は良くないかもよ」「ふーんそうなんだ」夢さん梅干にはあまり関心がない。

それでも一応は立ち上がって見てみる。「どれどれ、うわぁー酸っぱそうだな」

「〇ちゃんも〇〇も大好きなのよ」孫たちは梅干が大好きなんだそうだ。　

それでオバサン張り切っちゃうわけか。だけど古いのも随分残ってるようだね。

夢さんはデッキでパソコン。せっせと梅干を裏返しながらオバサン。ふふ犬に話しかけてるぞ。

風にのって蝉の声がかしましい。ふと見上げる空に真っ白な入道雲。

こわいばあちゃん

「はいは～い、いらっしゃ～い」玄関からオバサンの声。２孫たちがやってきた。

機嫌よく迎えたオバサンの声が一転。おやおや叱る声に変わったぞ。

「ダメよそんなサンダルなんか履いて」「自転車なのにサンダルなんて危ないでしょ」

「ヘルメット被ってるのはえらいけどね、ちゃんと靴を履かなきゃダメよ」

そりゃそうだ二人が履いているサンダルは、キャピキャピのギャルが履く様なあれだ。

歩くとカツカツ音がする。「こんなの履いてきて～ママに叱られなかったの？」

「だってママお昼寝してたもん」そうか・・・きっと６孫を寝かしつけているんだろう。

ふふヘルメットも派手だな。正しい被り方を指導する夢さん。あご紐はしっかり締めないとね。

「注意する時はハッキリ言わないとダメなのよ」はいはいご尤も、オバサンが正しいです。