本来は高尚な意味がある「ソウル・フード」である。
ある黒人が、「ソウル&ブルースを理解できる人間は、奴隷の食べ物を食べて育った者だけだ。」なんて、あるドキュメントか、映画か、それとも漫画雑誌か忘れたが、自分にとっては強烈なメッセージとして残っている。
異国の地で生活していても、ソウルフードを口にすることによって活力を得て、再び頑張ろうというシチュエーションで遣う言葉だろう。
まあ、今日のプログはそんな高級なものではなく、ゆきたんくのホームシックくらいに思っていただきたい。
昨年から今年にかけて訪れたインドネシア。現地に住んでいる義理の兄らおかげで快適な旅であったことは、何度かここでも書いたと思う。その兄が勤めている会社の近くにある常連の日本食レストランに連れて行ってくれた。毎日がインドネシアの郷土料理である言っても過言ではない状態だった。幸い、ゆきたんくにとってインドネシア料理は口にあったので楽しむことができた。
さて、長男のおーちゃんは日本食に飢えていたようである。そこで頼んだものが、カツカレーライスだ。カレーとカトレットを合体させた日本料理でもある。
カツカレーである。
そして、ゆきたんくの食べたのが、なんと初体験の
ひつまぶしのオムライス
であった。メニューを見て、面白いと思って頼んだのだ。べつにソウルフードでもなんでもない。味噌汁を飲みたい訳でもない。インドネシア料理を気に入っていたからだ。
ジョグジャの郷土料理グドゥッの店
インドネシア人の義理の姉は、ジャワ島中部のジョグジャカルタの出身である。普段はジャカルタに住んでいる。そこから飛行機で1時間のジョグジャカルタには、いつでもいける訳ではない。そのジョグジャの郷土料理が、鳥肉と卵、ジャックフルーツを甘く煮たグドゥッである。だいたい、イブ・イブ(おばちゃんたち)が店を経営している。久しぶりにジョグジャに来たので、夕食はグドゥッに決まっていたようだ。それも屋台のやつだ。ゆきたんくはすべての具材が揃っているナシ・コンプリートを頼んだ。ナシというのは白いご飯のことである。おーちゃんはナシを大盛りでおかわりしていた。
姉はナイフもフォークもつかわず、手先を器用に使って食べていた。ゆきたんくはこの時はナイフ・フォークを遣ったが、数日後、パダン料理を手で食べた時の官能的な味わいを知ることになる。現地の食べ方の方がソウル・フードには近くなるのだろうと思った。
さて、イギリスの時は、日本食が欲しくて欲しくてたまらなくなった。毎日ソーセージだの、フィッシュ&チップスや、ジャガイモ料理、オープンサンドじゃあね。好きなものばかりだけれど、毎日だとたまらない。永〇園のお茶漬けを食べたくなるんだ。
しかし、そんなものはないから、ロンドンでの宿泊先のヴィクトリアでは駅ビル内のジャパニーズレスランで酢豚にライスを頼んだ(中華料理やないかい)。ご飯におかずが欲しかったんだ。味付けはケチャップの効いた洋風であった。
リージェント・ストリート近くのすし屋
ビッグバス(オープンデッキのバス)をリージェントストリートで降車して寄った寿司屋の寿司も脂がのっていてくどかった。そんなこんなでソウルフードをあきらめていたのだが、サウス・ケンジントン駅近くのリトルジャパンで、ヤキメシとヤハソバを食べた時、日本を感じることができた。飯や麺の固さ、味付けが和風なのである。お店には日本人の顔をした英語しかしゃべれないおねえちゃんがぎごちなく立っているがそんなことは関係ない。
ケンジントンのリトルジャパン
自分が育った国の食べ物ってのは、活力を与えてくれる。それだけは言えそうだ。