おとらのブログ

観たもの、見たもの、読んだもの、食べたものについて、ウダウダ、ツラツラ、ヘラヘラ書き綴っています。

七月大歌舞伎 関西・歌舞伎を愛する会第三十一回

2023-07-28 23:36:50 | 観たもの
 松竹座の夏歌舞伎でございます。今年は松竹座開場100周年記念ということで、例年に比べ、気持ち?出演者も豪華だったような気がします。昼の部を1回、夜の部を2回見ました。孝夫さんお出ましなので、ここは久しぶりに一等席を奮発する気満々でしたが、発売日に出遅れてしまい、ロクな席がなくてとりあえず“安定”の三階席を押さえました。日々“戻り”をチェックしておりましたが、思うような座席が落ちて来ず、結局三階席で2回ということになりました。スミマセン、って感じでした。

 昼の部は「吉例寿曽我」からです。ワタシはてっきり「対面」だと思っていたら、幕が上がると鶴ケ岡八幡宮の石段、舞台いっぱいに石段(階段)があって、その階段上でイケメン隼人クンと虎ちゃんが立ち回りを演じます。隼人クンもすっかり貫禄?というか、立派になられました。虎ちゃんと並ぶとやっぱりお兄さん感が出ます。最後はがんどう返しで階段がほぼ垂直になるまで二人の立ち回りが見られます。なかなかの迫力でした。続いて「大磯曲輪外の場」です。彌十郎さんが工藤、マシュマロ米吉クンが大磯の虎です。五郎十郎は千ちゃんと染五郎クンの美少年コンビでした。「うん、美少年ね」というそれ以上でもそれ以下でもない感想でした。見た目は申し分ないと思うのですが、台詞を発するとちょっとね、ってなります。

 続いて菊ちゃんの「京鹿子娘道成寺」です。最近は二人とか五人とか複数で踊る「道成寺」ばかりで、一人の「道成寺」は久しぶりでした。苦手の舞踊で大丈夫かしらと心配しましたが、思ったよりはちゃんと見ていたと思います。菊ちゃんなので、見た目も踊りも後見さんもパーフェクトでした。「道成寺」は踊ってるご本人と同じくらい後見も重要なお役だと勝手に思っています。ワタシが後見が好きってこともあるのですが。以前、慣れていないお家の後見さんの動きでハラハラドキドキした記憶があるもので…。

 “ちゃんと見ていた”と書きましたが、なぜか玉ちゃんの「道成寺」をしきりに思い浮かべてしまって、ちょっと失礼な客でした。菊ちゃんも玉ちゃんに負けないくらいお綺麗なんですが、「可愛らしさ」は断然玉ちゃんのほうがあるような…。毬つきのところで、玉ちゃんのほうが童女のあどけなさ、みたいなものを感じたような、そんなことを思い出しました。

 一人の「道成寺」なので引き抜きも結構な回数があって、いつものシャッ、スパッとした引き抜きだけでなく、一カ所、スーッと歩いているうちに引き抜いている箇所があって、それは初めて見たような気がしました。「ほ~っ」と客席からも声が上がりました。蛇の脱皮?なんでしょうか。

 昼の部の最後は「沼津」です。がんじろはんの平作、扇雀さんの十兵衛、タカタロさんのお米と、見た目はお地味でしたが(スミマセン)、手堅い一幕でした。役者が揃うとこれだけ良くなるんですね。最初の茶屋の場面は成駒家さんのお弟子さん総出演って感じでした。寿治郎さんが安兵衛でご出演で、皆さんの上方言葉をチェックされていたのかしらと思って拝見しておりました。以前、南座のインスタライブに出られたのですが、本当にきれいな上方言葉でした。

 夜の部は「俊寛」と「吉原狐」の二本です。孝夫さんの「俊寛」は初めてだと思います。「俊寛」と言えば吉右衛門さんのイメージしかなくて…。と言いつつ、そんなに熱心に見ているわけでもないので、明確な違いはよくわからないのですが、それでも「あ、ちょっと違う?」って思ったところは何カ所かありました。全体的に孝夫さんのほうが舞台が明るいような気がします。俊寛も若々しく見えるし。最後の一人残された場面も、花道が海になってて、そちらへ向かって走り出します。スッポンが海の深みになっていて、半分海に浸かるように見せていました。岩の上から船を見送るところは、微笑んでいるようにも見えて、こういう「俊寛」もあるんですね。

 千鳥は千ちゃんが抜擢されていましたが、ちょっとというよりかなり残念な出来でした。見た目はお可愛らしく、そもそもの設定の年齢に近いとは思いますが、島の娘には見えません。元々が都会っ子なんでしょうね。6月の「義経千本桜」の小金吾と同じように見えてくるんですが。せっかくの孝夫さんの「俊寛」が…、でした。頑張っていただきたいと思います。

 「吉原狐」は楽しい喜劇でした。マシュマロ米吉クンが主役のおきち、そそっかしい早とちりの吉原芸者です。結構ニンに合ってる?って思いました。ライバルの芸者役でタカタロさんがご出演で、「やっぱり上手いね」って思いました。ただ、江戸っ子の芸者が似合うっていうのはどうなんでしょう?ってちょっと思ってしまったのですが。全体にテンポがよくて、いろいろな見せ場があって面白いお芝居でした。これはまた歌舞伎座でかかりそうな気がします。南座や松竹座でやってみて、評判が良ければ歌舞伎座にかけるっていうお芝居、結構あるので。

 今年の夏歌舞伎はとても充実してよろしゅうございました。松竹座もやれば出来る子なんですが、なかなかその実力を発揮していただけなくて…。歌舞伎、ヨロシクって感じでした。

 
 役者さんの幟です。

 《かべす》
 
 大丸で買ったおこわ米八のお弁当。家でいただきました。

 
 ダイヤパンのサンドイッチ。昼の部のランチです。食べ過ぎると意識を失うのでこれくらいがちょうどいいんです。

 
 大丸の地下がフードコートになっていて、今井のおうどんがいただけます。道頓堀の今井のほうがもちろん風情があっていいのですが、ミナミはすごい人でできるだけ人ごみを避けようと思いまして。

 
 仙太郎のあんころ餅
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2 コメント

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Unknown (ヨセフ)
2023-07-30 21:22:12
おとら様
興味深い記事を書いてくださり、いつも有り難うございます。
「吉例寿曽我」若いお二人の舞台が目に浮かぶようです。今後に強く期待したいと思っております。

「沼津」おとら様の記事を読んでいるだけで、すっかり羨ましくなりました。私も観てみたいです。

ところで、10月6日の浅草公会堂の席がとれました。昨日、メールにて前売り予約のお知らせがあり、ポチポチしてたら3階の後ろから2列目という席が残ってました😢。舞台が観えることを願っています。

暑いなかの通勤は大変でしょうがお身体ご自愛下さいませ。
充実の7月 (おとら)
2023-07-30 23:58:00
ヨセフ様
コメント有難うございます。

松竹座の夏歌舞伎は近年稀に見る?充実ぶりでした。「沼津」は結構好きな演目です。何かいつも「良いなぁ」と思いながら拝見しております。

鷹之資さんの会のチケットが取れてよかったですね。きっと見応えがあると思います。

関東もずいぶん暑いとお聞きします。お気をつけてお過ごしくださいませ。

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