おとらのブログ

観たもの、見たもの、読んだもの、食べたものについて、ウダウダ、ツラツラ、ヘラヘラ書き綴っています。

十二月大歌舞伎

2022-12-29 21:13:45 | 観たもの
 エビサンとカンカンの襲名披露の二か月目の公演です。玉ちゃんの揚巻が5日から15日までだったので、10日の夜の部と11日の昼の部を見てまいりました。

 まず夜の部からです。「口上」からです。先月とは打って変わって大人数の口上でした。市川團十郎家につながる役者さんが勢ぞろいされたそうです。全員が團十郎家の柿色の裃です。皆さんが何かおっしゃるのかと思っていたら一列目の役者さんだけでした。予定では白鸚さんが進行役でしたが休演のため左團次さんが進行役でした。ということで左團次さんは超大真面目な口上、“左團次十種”の口上は聞くことができませんでした。代わりに亀ちゃんがそのパートを引き受けられ、笑かし役でした。齊入さんが口上の最後で、お心のこもったジーンとくるお言葉でした。十二代目さんに長らくお仕えになってらしたんですってね。スミマセン、成田屋さんのことはあまり知らなくて。しらたまやさんで教えてもらいました。きっと思いも一入だったんでしょうね。

 続いて、お嬢ちゃんのぼたんちゃんの「團十郎娘」です。琵琶湖畔に暮らすお兼は見目麗しい外見に似合わず力自慢の娘、暴れ馬を手なずける、ってどこかで聞いたことがあると思ったら「近江のお兼」と同じ舞踊だそうです。晒を扱う振付がありましたが、しっかりときれいに振ったはりました。何度も客席から拍手が起こってました。

 そして最後は「助六」です。いきなり、茶屋廻りが豪華でした。玉太郎・歌之助・染五郎・團子の若手4人、台詞は一言もなく、ただ金棒をチャリンチャリンと鳴らして、花道から舞台奥へ、舞台奥から花道を歩くだけでした。これも襲名公演ならではなんでしょうね。この中に将来助六を演じる人が出てくるかもしれません。

 揚巻は玉ちゃん、白玉が菊ちゃんで先月と逆の配役です。玉ちゃんの打掛は超豪華でした。背中のお飾りも大きいし。そうそう、そのお飾りを外す瞬間、見ました。黒衣の人が玉ちゃんの陰に隠れながら、必死で外していました。って、見るところはそこではないのですが…。先月の白玉さん、ちゃんと菊ちゃんの妹分になっていましたが、やっぱり玉ちゃんは揚巻の人ですよね。舞台が一気に大きく華やかになります。客席の視線を全て集中させるだけのオーラがあります。揚巻さんの台詞の一言一言、所作の一挙手一投足を見ているだけで満足します。「別に、助六さんいなくてもいいよ」ぐらいの気持ちになりました。

 でも、そういう訳にもいかず、助六さん登場です。先月も思いましたが、見た目はperfectなんです。ちゃんと三階まで台詞が届いていたので、良い助六だったんじゃないですか(棒読み)。勘九郎さんの白酒売や左團次さんの門兵衛、亀ちゃんの通人、意休の彌十郎さんとの絡みで楽しみました。皆さん、達者で面白く拝見しました。私が見た日は亀ちゃんはユニクロの新之助Tシャツをお召しになってました。ユニクロと襲名披露とコラボしているそうです。

 最後は玉ちゃんの揚巻が一人で舞台に残られます。あの広い歌舞伎座の舞台の隅々まで玉ちゃんが支配していました。空いてるとか寂しいとかそういうのがないんです。本当に「これぞ歌舞伎の立女形!」でした。大向うもかかって歌舞伎見物してる感、たっぷりでした。今回で揚巻は納められると聞いていて、最後の揚巻を拝見することができてよかったです。願わくば、孝夫さんの助六が良かったかなって、最後はやっぱりここです。失礼な客で申し訳ございません。

 次の昼の部です。最初は「鞘当」です。この「鞘当」も「助六」も二代目團十郎さんがお作りになったんですよね。松井今朝子さんの「江戸の夢びらき」で読みました。それを読んでから見ると、「あ、これがあれですね」みたいな不思議な感じがしました。私が見た日は奇数日で亀ちゃんの留女でした。前の日はおちゃらけの通人で、次の日はシュッとした女形、守備範囲広いです。

 次が「京鹿子娘二人道成寺」です。菊ちゃんと勘九郎さんが火花バチバチで踊られました。実力が拮抗しているって、凄いです(語彙力不足)。どっちを見たらいいのか、目をキョロキョロさせながら拝見しました。後見の人もいっぱい出て来られて、「道成寺」って個人的に後見も見どころだと思っているので、個人的にツボでした。長唄、鳴り物も豪華で、さすが襲名披露です。エビサンは最後の5分ぐらい、押戻しで登場されました。良いお顔立ちで隈取も映え、動きも大きく、短い時間ながら存在感はありました。たぶん、押戻しが出てくるのは初めてで、ああいう素の台詞をおっしゃるんですね。「へぇ~」って感じで見ておりました。
 
 昼の部のキリは新之助さんの「毛抜」でした。台詞も動きも大人顔負け、立派にお勤めでした。先月よりは変なクセはなかったです。というか、十二代目さんのビデオをご覧になって台詞を覚えられたのか、そこかしこに十二代目さんの面影が感じられました。でもね、やっぱり声がボーイソプラノ?、子供のキンキン高い声なので、ワタシは違和感ありまくりでした。またね、周りの役者さんがとても良いんです。せっかくのベストなアンサンブルがもったいないよなぁって、よけい思いました。この配役で弾正だけどなたか他の方、っていうのを見てみたいですね。

 とにかく、二か月の襲名披露公演がコロナの休演もなく、無事に終わりよろしゅうございました。やっぱり、成田屋さんの襲名披露のspecial感は半端ないので、ワタシも特別興行、11月、12月と全部見届けることができて貴重な体験ができました。

 
 12月も満員御禮です。

 
 
 
 祝幕です。

 
 オフィシャルパートナーに成田市がありました。市の予算がついているんですかね?議会の承認が下りたのかしら?としょーもないことを思ってしまいました。

 
 歌舞伎座が柿色でライトアップされていました。
コメント (2)
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