おとらのブログ

観たもの、見たもの、読んだもの、食べたものについて、ウダウダ、ツラツラ、ヘラヘラ書き綴っています。

秀山祭九月大歌舞伎 昼の部(幕見)

2015-09-23 23:53:37 | 観たもの
 昼の部の「競伊勢物語」を幕見してきました。当初は昼の部はパスしようと思っていたのですが、歌舞伎座での上演が50年ぶりで吉右衛門さんが並々ならぬ意欲で臨まれたと聞き、やはりここは見ておかなければならないのかしらと思いなおし、幕見です。12時半から発売開始で、その15分くらい前に着いたら53番でした。幕見券を買って、次の集合時間は1時20分、時間が小刻みに寸断されるので、やっぱりちょっと面倒かなって思いました。

 
 上手側の最前列に何とか着席しました。

 
 ちなみにこれは夜の部の2階最前列からの景色です。まあ、幕見の観劇料金の10倍払ってますから…。

 「競伊勢物語」の配役です。
  紀有常        吉右衛門
  絹売豆四郎/在原業平 染五郎
  娘信夫/井筒姫    菊之助
  絹売お崎       米 吉
  同 お谷       児太郎
  旅人倅春太郎     井上公春(桂三長男)
  およね        歌女之丞
  川島典膳       橘三郎
  茶亭五作       桂 三
  銅羅の鐃八      又五郎
  母小由        東 蔵

 19日の時点では筋書にまだ写真が入っておらず、筋書は送ってもらうことにして、チラシの裏を頼りに観劇です。登場人物がそんなにいなかったし、ストーリーもそんなに複雑ではなかったので、何とかOKでした。

 タイトルが「伊勢物語」となっていたので、漠然と在原業平のLove affairを描いているのかと想像していましたが、全然違っていました。紀有常が忠義のために我が娘を手にかけるという、歌舞伎によくあるお話、って書くと身も蓋もありませんが、そこはほれ、歌舞伎界演技上手いツートップのお一人、吉右衛門さんがずっと上演したいと願われ、満を持して上演されたものですから、奥行きの深いとても上質なお芝居になっておりました。筋書を読むと(本日届きました)、原作は全7幕、今回は5幕目と6幕目にあたる部分の上演だそうですが、これだけで十分完結していました。

 吉右衛門さん、圧倒的な存在感です。紀有常は高貴な身分なんですが、17年前に兄から勘当され陸奥へ下り、太郎助と名乗って百姓暮らしをしたことがあるという人物です。織物の長裃姿で登場、立派な人物であることはわかるんですが、昔なじみの小由に会うと途端に打ち解けて手ぬぐいを頭にのせておどけたりします。十分威厳はあるけれど、威張ってるわけでもなく、小由に頼みごとがあるからと言って媚びるわけでもなく、これはなかなか演技上手いツートップでないと演じられないお役ですね。

 後半、実の娘である信夫(菊ちゃん)の髪を梳く場面から、井筒姫の身替りになるよう言う場面、さらに小由と信夫が衝立を隔てて琴と砧を演奏する場面、と涙無しでは見ていられません。最後、吉右衛門さんが紅白の布にくるんだ信夫と豆四郎の首を持って登場すると、涙腺は完全に決壊してしまいます。両手に首を持った姿を見ただけであんなに泣けるとは、我ながら不思議な感じでした。4階から見てそうなったので、1階の間近でご覧になる方はもっと大変なことになっているでしょうね。

 菊ちゃんの女形は久しぶりに拝見したような気がします。やっぱり女形のほうがいいような気がするんですが。染五郎さんと並ぶと本当に美男美女、お似合いでした。小由の東蔵さんの存在も大きいと思います。こういう「母」のお役、適任ですよね。

 本当に幕見した甲斐がありました。あと3日ですが、お時間のある方、です。

 
 おやつ(幕見でも食べてるワタクシ)は銀座甘楽の豆大福です。(苺大福は夜の部のおやつでした)
コメント (2)
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