2019.3 ノース・ぶらっとコンサート~ほりほりオーケストラ
さいたま市北区の複合施設プラザ・ノースで、3月の土曜・午後2時開演のほりほりオーケストラを聴いた。
この企画のポイントは、小さな子どもづれでも「ぶらっと」立ち寄れ、気軽に生の演奏を楽しめることである。
小さな子どもがいると迷惑になると思い、若いパパ・ママは生演奏を楽しめない。ほりほりオーケストラは若いパパ・ママの救世主ともいえる。
小さな子どもも生の演奏をじかに聴けば音楽の感性が豊かになろうし、さまざまな楽器の音色の違いを目と耳で確かめられ、音楽への興味が増すと思う。
加えてこの企画は無料である。「気軽に」が徹底している。
ほりほりオーケストラはそこまで深読みしていて、最初に金管楽器、次に木管楽器、続いてピアノを含めた小編成、休憩をはさんで弦楽器、最後にオーケストラ編成での演奏であった。
最初の金管楽器演奏は、トランペット2人、ホルン、トロンボーン、チューバ各一人の計5人で、まず別々に音を鳴らし、音色の違いを紹介してくれた。
いつも不思議に思うが、どうしてこんな形を考えたのだろうか。トロンボーンはとてもシンプルな形だが、ホルンは内蔵を連想させる。トランペットとチューバの形は似ているが、大きさが違う。楽器の形と音色を比べるだけでも面白い。
金管楽器では、 1 フレールジャック/ジョン・アイブソン編曲 2 4つのスイスのメロディーよりチューリッヒマーチ/エルガー・ホワース編曲 3 ふるさと/岡野貞一 4 童謡メドレー/平田瑞貴編曲 5 となりのトトロメドレー/久石譲 6 情熱大陸/葉加瀬太郎 が演奏された。
次に木管楽器演奏はフルート、オーボエ、ファゴット、クラリネット各1人にホルンを加えた5人編成で、同じく木管楽器の音色の違いが紹介された。木管楽器は縦笛、横笛の違いはあるが、形は似ている。金管楽器に比べ音色が柔らかいことが分かる。
曲目は 7 ノヴェレッテ/プーランク 8 嵐・Happiness/岡田実音 だった。
続いて、ピアノ、コントラバス、ヴィオラ、トロンボーン、ドラム各1人、チェロ2人、ヴァイオリン4人の編成で
9 トレイントレイン/真島昌利 10 いとしのエリー/桑田佳祐 11 踊るポンポコリン/織田哲郎 が演奏された。
休憩後に、ヴァイオリン11人、ヴィオラ3人、チェロ3人、コントラバス2人の弦楽器演奏である。
この4つの弦楽器は形が類似する。一番小さいヴァイオリン、次のヴィオラはあごにはさんで演奏するが、大きくて重いチェロは床に立て、さらに大きいコントラバスは高椅子に座って演奏する。持ち運びも大変そうだ。
12 弦楽セレナーデより第1楽章/ドヴォルザーク 13 セントポール組曲より第4曲フィナーレ/ホルスト 14 崖の上のポニョ/久石譲 15 ゴジラよりメインタイトル/伊福部昭 の4曲が演奏された。
最後はオーケストラ34人編成で
16 交響曲第5番運命より第1楽章/ベートーヴェン 17 ハンガリー舞曲第5番/ブラームス が演奏された。
ほりほりとは、埼玉大学管弦楽団OB・OGを中心に発足し、団長、副団長がほりうち・ほりただったことからほりほりと名付けたそうだ。
楽器や曲目についてのトークもうまいが、演奏曲目からも想像できるように馴染みのある身近な曲を選んでいて、子どもの馴染みのある曲やパパ・ママと同世代の曲お中心に、本格的なクラシックも加え、誰でも気軽に楽しめる演奏をめざしている。
演奏のあいまに赤ちゃんの声がかかることもあるが、まったく気にはならない。むしろほほえましく感じた。子育てパパ・ママのための企画を今後も期待したい。(2019.4)