2011年は日独修好通商条約が締結されてから150周年の記念の年でした。
それを記念して日独でさまざまな催しが企画されていましたが、日本で東日本大震災が発生し、多くの催しは開かれませんでした。
限られた数ではありましたが、開かれた展示会のひとつが2011年11月6日から翌年2月5日までマンハイム市での「遠来の友」と題されたものでした。
好評を博した展示会だったので日本での巡回展示が企画され、2015年7月7日の国立歴史民俗博物館での展示を皮切りに、
長崎歴史文化博物館、鳴戸市ドイツ館、横浜開港資料館で展示会が開かれました。
これはその時のカタログです。

昨年、一時帰国した友人のお兄様が横浜での展示会をご覧になりカタログを購入されたのだそうで、彼女が譲り受けてきたのを
今、私がお借りしているのです。
200ページ以上もあり、びっしりと日独友好の歴史が綴られているので一部しかご紹介できませんが、とても良い資料なので
私もいつか入手したいと思っています。
はじめのご挨拶部分は日本語と独語で記されていますが、後は全て日英なのは翻訳者の関係なのかどうかわかりませんが、独語か英語かに統一したほうが良かったように思います。
夫も目を通しましたが、化学者の夫が一番興味を示した箇所は第一次世界大戦で敗者となったドイツが財政難に陥っていた頃、
日本人の星一(ほしはじめ→星薬科大学の創立者)がドイツ化学会に対し、200万マルクの寄付を行い、その基金からドイツは3人のノーベル化学賞の受賞者を生んでいるというところでした。
以下の写真は星薬科大学の竣工式に星氏への感謝を述べるためにドイツ特使として参列したノーベル化学賞受賞者のフリッツ・ハーバーご夫妻と星さんです(1924年)。

ベルリン工科大学の125周年記念式典でドイツ学会への貢献を讃えて星さんは名誉会員になりました。

かつて多くの日本人科学者がドイツ留学をしていました。
そんなことからこの星基金が生まれたのだと思いますが、他国の学術研究のために資金を提供するなんて、
自国の産業を優先するために他国を排斥するような現アメリカ大統領に聞かせてあげたいような美談だと思います。