先日1996年制作の映画『宮澤賢治、その愛』をYouTubeで視聴しました。




三上博史がエキセントリックな賢治を良く演じていました。
父親役に仲代達矢、母親役に八千草薫という名優も出演していました。
私は『雨ニモマケズ』の朗読が流れ、賢治が岩手山が見える林を散歩する最後の映像が特に心に沁みました。
コロナ禍で今年は故郷の風景に浸ることができないということもその理由かもしれません。

仲代達矢が奔放な息子に振り回されながらも、息子を愛してやまない父親役を見事に演じていました。
それで以前読んだ門井慶喜著『銀河鉄道の父』を再読しました。

この作品は第158回直木賞受賞作ですが、選考委員のお一人、伊集院静氏が
「父が賢治を思う気持ちと同時に、賢治が父を思う気持ちが良く出ていた」と評されていたのが良くわかります。
映画を視聴した友人から「出演者に山本圭の名前があったけれど、彼は何の役で出ていたのかしら」と問われました。
彼は盛岡農学校で土壌学を教えていた関豊太郎を演じています。
賢治は関先生を信奉していたようで、童話『グスコーブドリの伝記』に登場するクーボー大博士は関がモデルだとも言われています。
青空文庫でこの童話も再読しました。
冷害に喘ぐ故郷の農家の人々を思い胸が痛みました。


困窮する農民と常に接していたからこそあの『雨ニモマケズ』のような詩が生まれたのでしょう。