先頃アフガニスタンで銃撃されて亡くなられた中村哲医師の追悼記事を読んで感動したのは、
中村さんが医師の使命である「命を救うこと」を終始一貫して遂行されていたことです。
アフガニスタンでは気候変動のため砂漠化した地域で餓死する児童が急増しましたが、
子供が多数死亡した原因は栄養不足ではなく、汚染水を飲用して赤痢などにかかり下痢をしてしまい、
水分を補給できなかったからです。
どんなに薬を投与しても、体内から失われた水分を補給できなければ、患者を救うことはできません。
診療所での治療よりも大切なことは住民に十分な水を提供することだということで、
用水路の建設に着手し、8年間かけて27kmの長さの水路を完成させます。
コンクリートで護岸するのではなく、付近に大量にある岩石を金網に積める「蛇籠」を使うのは、
江戸時代の用水路技術からヒントを得たそうです。
用水路完成後の維持管理は、そこに定住する住民のみができるということで、
上流に新しく村を建設します。
噂を聞いた以前の村人たちが次々に集まってきます。
砂漠化した土地で一体どんな植物が育つのかと色々試行錯誤して、大豆、スイカ、米、綿花、菜種などが栽培できるようになります。
初めての収穫時で見せた住民の笑顔が印象的でした。
「食べるものがある安全な場所には人々がやってくる」と中村さんが話していたとおり、
難民としてその地を離れていった人々が戻ってくるようになります。
現在世界中で問題になっている「難民対策」に中村さんの取り組みは大変良い参考になると思います。
銃撃で亡くなられてしまったという悲しい出来事により、中村さんという素晴らしい方の存在を初めて知りました。
祖国にこのような方がいらしたということを誇りに思います。