合点した

2015-08-14 22:40:55 |  東北 花の山旅+α
毎年お盆の頃になると、家の近くで朝から鳴いていた蝉が静かになり、通勤時これまでに比べ涼しく感じる時が来る。
今朝がそうだった。
秋が来るんだ…、と気付く瞬間だ。
春からただただ上昇してきた大気中のエネルギーが峠を越え、これからは徐々に下降していく。
ホッとすると同時に、寂しさを覚える日々が始まる。

では、

7月9日(木) の続き



予告した田代岳の登山口までの出来事をば。
正直この日は田代岳登山そのものより、登山口までの出来事の方が記憶によく残っている。
写真は前回記事にて触れた田代岳登山道の道程表示板。
今回の記事とは関係なし。
長文になったので、終わるまでの長さの目安になるか、な。



早朝、大館の宿を出て、途中のコンビニで食糧調達し、時刻を見ると6時半。
スマホナビで調べてみると登山口まで34.7km、1時間56分かかると出た。
なんでこの距離でこんなに時間がかかるのだ?
走って行くと山に入り、まだまだ先はあるのに人家がなくなった。
少し悪い予感。
道はセンターラインはないが充分に広い。
がしかし、30分程走った頃に舗装が切れた。
またオフロードだ。
地図上細くはあったが、焼石岳の時の道ほどは細く無かったので、ここは舗装されてるだろうと思っていたが、甘かった。
なるほど時間がかかる訳だ。
オフロードではあるが道幅は広く、いたるところに新しい砂利が撒かれて、頻繁に整備されているよう。
少し安堵する。
焼石岳へのオフロードより気を使わずに走れるが、それでもスピードは出せない。
ガタゴトと進む。



すると後ろからオフローダーがすごい勢いでやってきた。
すごいと言っても自分と比べて速いだけで、普通の速度なんだろう。
道は広いので脇に避けて先に行ってもらう。
ハザードランプをもらって、砂埃を蹴立てて走り去るのを見送る。
やっぱり山遊びにはオフローダーが強いよな。
私も山で遊ぶことが多いんだから、最低地上高の高い車にした方がいいのかな。
なんて考えてガタゴトと走っているとまた後ろから、今度は2台やってきた。
ワンボックスタイプのと普通乗用車。
道を譲るとこちらもあっと言う間に見えなくなった。
見送る後ろ姿の車体が砂埃で真っ白だった。
走りっぷりといい、こんな山道を走り廻っているのだろう。
ワイルドだなー。



と走っているとまたまた後ろからやってきた。
今度は軽トラックだった。
道を譲り抜いていく運転席を見ると作業着姿のおっちゃんだった。
山を登るようには見えないので、林業関係のお仕事に向かうのだろうか。
しかし軽トラックに抜かれるとは。
一般道なら負けないぞ、と変なライバル心を燃やしながら見送る。
その後も軽トラックに普通車にと、合計7台に抜かされた。
田代岳って人気あるんだ。
途中、大広手登山口というもうひとつの登山口があり、そこには2台駐車していたが、抜いていった7台のいずれでもなかった。
もう少しで目的地の荒沢登山口という頃、行先の山の斜面に樹々に埋もれてなにやら大きな建物の屋根が見えた。
登山者も多いし、登山口は意外に整備されているようだ。



思ったより早く広い未舗装の駐車場が現れた。
でも一台も止まっていない。
登山口の駐車場ではないのかな。
トイレもあるがとても小さく、さっき見えた建物ではありえない。
小さな看板に、荒沢登山口この先100m(だったと思う)とある。
この先にも駐車場があるのだろうと進むと、あれれすぐそこに登山口があった。
駐車場はなし。
さっきの駐車場に止めてここまで歩く必要があったようだ。
バックで駐車場まで戻る。



はて??
するとあの7台の車はどこにいったのだ。
登山口の向こうにまだ道は続いているが、この向こうには他の登山口は無いはずだ。
別のなにかがあるのだろうか。
考えていたら例の建物の方からスピーカーでなにやら訴える声が大音量で空に響いた。
ななななんだ?
スピーカーの能力以上のボリュームにしているのか、声が割れて何を言っているのか分からない。
まるで◯翼の街宣車ががなり立てているようだ。
なんでこんな山の中で叫んでいるのだろう。
秘密の集会でも行なっているのだろうか、と怖くなった。
すぐ近くみたいだし、車を置いていって大丈夫だろうかと心配していたら、スピーカーから聞き覚えのある音楽が流れ出した。
んん?これは。
…ラジオ体操だ。
時計を見るとちょうど8時。
ははーん、これまで得てきた情報が頭の中で繋がっていく。



そういえば山のガイドブックで田代岳の登山口へのアクセス説明を読んだ時、ロケット燃焼試験場方面に行けと書いてあった。
宿からここまでそんな標識には気づかなかったのですっかり忘れていたが、途中に見えたあの屋根は試験場のものだったに違いない。
ガイドブックを読んだ時はもっと里に近い方にあって、横を通過するものだと思っていた。
途中抜いていったオフローダーは車体に◯菱重工のロゴと文字があった。
あの7台は試験場に通勤してたのね。
毎日あの道を走れば、そりゃ砂埃で白くなるってもんだ。
最初のスピーカー放送は始業前の連絡事項か、「今日も無事故で業務に励みましょう」的な朝の挨拶、そしてラジオ体操か。
合点。



しかしすごい砂埃というか土埃だ。
自分の車も側面、背面に細かな砂土が降り積もっている。
息を吹きかけるとブワッと舞い散るが、粒子が細か過ぎて全て吹き飛ぶ訳ではない。
ドアの隙間にも侵入してきていて、ドアを閉める度にバフッと砂埃が吹き出る。
また洗車せねば。
登山準備している内にラジオ体操も終わり、そのあとは何の音も聞こえなくなり、静寂な普通の山中に戻った。
安心して出発。



登山を終えて下山してきたら、登山口を出たところの道路にトラックが止まっており、おっちゃんが外に出てきた。
話したそうだったので挨拶すると、登山してきたのかと聞かれるのでそうだと答える。
山頂までかかる時間なんかをお話しして、ならばこちらもと施設の事を聞いてみた。
やはりロケットの燃焼試験をしているところだそう。
種子島で打ち上げるロケットのエンジンのテストをし、名古屋の工場に持って行って組み立てるのだそうだ。
なんでこんな不便な山奥で試験するのか?もう少し山の麓でもいいではないかと聞いてみると、規制があって周りに何もないところでないとテストできないらしい。
これだけ山奥でもエンジン点火すると麓までその音が届くそうな。
へえ、ロケット発射の映像はよく見るけど、どんな音がしてるかは現場にいないとわからないよな。
礼を言って駐車場に戻った。



なるほど、通勤路でもあるし物資も運ばねばならないから、オフロードながらもそれなりに整備されていたのね。
施設は見学できるような性格のものではないだろうから、覗きにいくことはせず、おとなしく引き上げた。
帰り道、オフロード区間の距離と時間を計ってみた。
約12km、私の運転で44分かかった。




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