旅の記憶と共に

2016-10-19 23:55:38 | お酒
近江って酒どころだあね。
マキノのあるコンビニのお酒コーナーにいったら、近江の地酒が多数陳列されていてびっくり。
持って帰るのが重いから、そこで買うのはグッと我慢した。
けど、高島のびれっじで食事をした時、同じ通りに造り酒屋を見つけ、連れにそそのかされて買ってしまった。
がんばって持って帰ってきたのはこれである。



萩乃露を作ってる酒屋さんだった。
聞いたことあるぞ。
立派な構えのお店だった。
こういった造り酒屋のお店って、店内が独特で面白い。
昔の日本家屋の作りそのままで、杉玉を見て暖簾をくぐると土間が迎えてくれるのだ。
湿気た感じが酒を保存するのに良さげである。
大抵ガランとしていて、隅にある陳列棚に部屋の広さに比して少なすぎる商品が置いてある。
小売するための店舗じゃないから当然なんだけど、醸造元で買ってるんだなあと思え、お酒を買うという行為も普通と違う気がする。
本業は卸業務って感じの方が出て来て対応してくれた。
どんな商品があるのかと聞いてみると、丁寧に教えてくれた。
せっかくなのでひやおろしとか、今しか飲めないものを所望して候補に挙げてもらい選んだのが先のお酒だ。
なんでも十水仕込という製法で作ったものらしい。
普通、日本酒を作る時、米と水の比率は米10に対して水12らしい。
これを米10に対して水10で醸したのを十水仕込と言うらしい。
製法としては難しいらしく、珍しいもののようなのでこれにした。



さてまずは冷やして飲んでみた。
口に含むととろりとした舌触り。
滑らかに口腔に滑り込んでくる。
濃厚…、だよな…。
あれれ?、そんな舌触りにもかかわらず甘さがさわやか。
果物の甘さより上品である。
後口は軽やか。
そして淡い甘みが舌の上にいつまでも乗っていてくれる。
口当たりから想像する味と相反する味で、これは面白い。

翌晩、燗してみた。
人肌くらい。
すると酸味が現れ、甘味は隠れてしまった。
後口も弱い。
うーん、これはこれでありだが、冷やして飲んだ時の特徴がなくなってしまったな。

ではもっと温度を上げてみよう。
上燗くらいにしてみた。
するとキレが出てきて、甘みと酸味が融合し旨味へと昇華した感じ。
後口も戻ってきて旨味がするりと溶けると、淡い甘みがふわり漂う。
おお、これもいいな。



冷→温→熱と同じ方向に表情が変わるのかと思いきや、シーソーのように濃→淡→濃と振れた。
もっと楽しみたいところだけど、はや残り少なし。
日本酒ってウイスキーほどチビチビ飲めるものでないから、あっという間になくなってしまう。
旅の記憶と共にこんな酒を飲んだってことだけでも記録しておこう。