風の記憶

≪記憶の葉っぱをそよがせる、風の言葉を見つけたい……小さな試みのブログです≫

耳をすませば水の物語があった

2014年12月14日 | 「詩集2014」

アドレス帳を整理する。
いくつかのアドレスをデリートする。
消しがたいものもデリートしなければならない。
疎遠になったものも消すことになる。
いくつかは新しく書き込む。
新しいものはよそよそしい。
書き加えたものよりも消したもののほうが多くなる。
いつのまにか隙間だらけのアドレス帳になった。
その後お変わりありませんか!
などと隙間に呼びかけても返事はない。
隙間のひとつひとつは、
来し方の自分自身の隙間でもあろうか。
その隙間をコピーしてみる。
そしてペーストする。
ペーストしてペーストしてペーストする。
隙間のページにペーストする。

*

ひとの
夢の中にしのびこみ
乾いたコップをうるほすとき
滴って
ひとは
真夜中の水になった

水は落ちてゆく
ひとの
肩から腕をみちびかれて
それから
温められた手になって

めくるめく
歓びも哀しみも
ひとの
耳から耳へ声をあつくする
水が語る
とおい物語があった


まばゆさの方へ
滴って
ひとは
ふたたび新しい水になる



コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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ありがとう (風のyo-yo)
2014-12-17 12:06:37
こちらこそ。
よろしくお願い致します。

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耳をすませば (きみどり)
2014-12-17 11:04:51
読者登録ありがとうございました。
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