風の記憶

≪記憶の葉っぱをそよがせる、風の言葉を見つけたい……小さな試みのブログです≫

ときには空を飛んでみたい

2014年11月27日 | 「詩集2014」



ふたりっきりになったからって
告白なんかしないでね

おじさんの足
もう2センチほど浮きあがってるよ
ゆらゆら ゆらゆら
空の扉って知ってるみたいね
やっぱり本当なのかしら
ぐるぐる回ってるだけで宇宙まで行ってしまえるなんて
さよなら地球
のような軽い衝撃

ビルも道路も車も電車も
ごちそうみたいな地上絵だから
トレーごとひっくり返してやりましょか
きっとゴビ砂漠の端っこで
ざざざってアスファルトの雨みたいな音がするよ

おじさんは知ってるかな
ざざざってそんなやさしい音じゃないよね
津波とか鉄砲水とか水漏れとか
海と空がひとつになるって

ほらあそこ
水びたしの空へ投げ出されている
あの鳥はわたし
もっともっと
空気の層が薄くなるあたり
わたしたちの祈りが集まってるところまで

風よりも軽くなりたいから
わたし
地球とさよならする
みんなとさよならする
パパもママも
わたし もう帰らないから
わたし もう帰れないから

だから
おじさんのだいじなことは
告白しないでね
ただ祈っていてね



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