異邦人
西瓜のように
まるい地球をぶらさげて
その人はやってきた
裸で生きるには
夏はあまりにも暑すぎる
冬は寒くて
春と秋は寂しすぎる
丸いおなかを
ぽんぽんと叩いて
いまは食べごろではない
と言って
その人は去った
*
蒼穹
草のうえに寝ていると
ゆったりと
雲がうごいている
ゆったりと
空がうごいている
ゆったりと
私の体もうごいている
ああ背中に
地球があるみたいだ
*
雲
ながい腕を
まっすぐに伸ばして
陽ざしをさえぎり
さらにずんずん伸ばして
父は
雲のはしっこをつまんでみせた
お父さん
いちどきりでした
あなたの背中で
パンの匂いがする軟らかい雲に
その時ぼくも
たしかに触れたのです
*
あしたの時間
あさ
窓をあけると
庭が砂浜になっていた
知らない赤ん坊の
小さな手からさらさらと
砂がこぼれている
そうか
もう夏は終わったんだ
おもちゃのスコップと
ショベルをもって庭にでる
はじめての砂浜
どこから来てどこへ行くのか
赤ん坊は何もしらない
私もまた
砂の小山をつくりながら
あしたの時間を探してみる
*
恋文
あれからずっと
あたしの恋文は空をさまよう
届くのはただ
西瓜のように
まるい地球をぶらさげて
その人はやってきた
裸で生きるには
夏はあまりにも暑すぎる
冬は寒くて
春と秋は寂しすぎる
丸いおなかを
ぽんぽんと叩いて
いまは食べごろではない
と言って
その人は去った
*
蒼穹
草のうえに寝ていると
ゆったりと
雲がうごいている
ゆったりと
空がうごいている
ゆったりと
私の体もうごいている
ああ背中に
地球があるみたいだ
*
雲
ながい腕を
まっすぐに伸ばして
陽ざしをさえぎり
さらにずんずん伸ばして
父は
雲のはしっこをつまんでみせた
お父さん
いちどきりでした
あなたの背中で
パンの匂いがする軟らかい雲に
その時ぼくも
たしかに触れたのです
*
あしたの時間
あさ
窓をあけると
庭が砂浜になっていた
知らない赤ん坊の
小さな手からさらさらと
砂がこぼれている
そうか
もう夏は終わったんだ
おもちゃのスコップと
ショベルをもって庭にでる
はじめての砂浜
どこから来てどこへ行くのか
赤ん坊は何もしらない
私もまた
砂の小山をつくりながら
あしたの時間を探してみる
*
恋文
あれからずっと
あたしの恋文は空をさまよう
届くのはただ
風の便りばかりでした