A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

他流試合が好きな飛び入り名人がジャムセッションに・・・

2007-11-18 | MY FAVORITE ALBUM
HOW HI THE FI / A BUCK CLAYTON JAM SESSION featuring Woody Herman

ステージやセッションに予定外の飛び入り参加が時々ある。
「偶然の共演」というのは、「意図した共演」とは別の緊張感と楽しみがあるものだ。
ケニーバレルのエリントンに捧げたアルバムでもサド・メルのオーケストラのメンバーが大挙駆けつけ、入れ替わり立ち代りバレルとのセッションを繰り広げていた。
そもそもジャムセッションは飛び入りそのものといってもよいが、あるジャムセッションの録音にウディーハーマンが駆けつけた演奏がある。このハーマンは自分のオーケストラ以外のセッションにもちょくちょく登場する飛び入り名人だ。
この録音の翌日には、自分のオーケストラを率いてヨーロッパに旅立ったとか。

このジャムセッションの主役はバッククレイトン。ベイシーのオーケストラでレスターヤングと一緒にプレーをした中間派の名手だ。

スイングからモダンジャズへと変遷と遂げていた50年代の初頭、モダンジャズに乗り遅れたり、戸惑っているベテランが多くいた。
一方で、レコードもSPからLPへ変りつつあり、長時間の録音が可能になった。
そこに目をつけたのは、コロンビアレコードのジョージアバキャン。長時間録音が可能になったことで、長尺のジャムセッションのレコード化が可能になった。
このアルバムの収められている、”HOW HI THE FI”という曲も、LPの代名詞“HI FI”とHOW HIGH THE MOON を引っ掛けたもの。何事につけてもLPレコードが話題の時代であったのだろう。

そこで、スイング派のメンバーを集め、日頃のストレスを解消してのびのびとした気分で、スタジオでのジャムセッションを企画することになった。
これが、このバッククレイトンのジャムセッションの企画の始まりといわれている。

演奏は、ベイシーオーケストラのメンバーが多いこともあり、ディキシーやスイングといよりはカンサスシティースタイル。10人を超える大型コンボだが、簡単なヘッドアレンジによるアンサンブルをバックにソロを次々にフィーチャーしていく。ここではハーマンもメンバーの一人。JATPスタイルの奔りともいえる。

バッククレイトンは70年代になってからも“CHIAROSCURO”レーベルでジャムセッションアルバムを作っている。ジャムセッションの仕掛け人が性分にあっているのかもしれない。

そして、そもそもこの企画を思いついたのはジョージアバキャンであったが、この企画のアシスタントを務めたジョンハモンドにこの企画はすぐにパクられて、コロンビアとしてはこの企画は長続きしなかったという後日談もある。
やり方次第では、ノーマングランツのJATPや、カールジェファーソンのConcordのように育てることができたかもしれなかった企画であったのだが。

1. How Hi The Fi (13:51)
2. Blue Moon (14:05)

Buck Clayton (tp, leader)
Joe Newman (tp)
Urbie Green, Trummy Young (tb)
Woody Herman (cl),
Lem Davis (as)
Al Cohn, Julian Dash (ts)
Jimmy Jones (p, celeste)
Steve Jordan (g)
Walter Page (b)
Jo Jones (d)

Recorded on March 31, 1954

3.Sentimental Journey (13:49)
4.Moten Swing (12:39)

Buck Clayton (tp, leader)
Joe Newman (tp)
Urbie Green, Benny Powell (tb)
Henderson Chambers (ts)
Lem Davis (as)
Charlie Fowlks (bs)
Sir Charles Thompson (p)
Freddie Green (g)
Walter Page (b)
Jo Jones (d)

 Recorded on December 14,1953

Jam Session, Vol. 1
Buck Clayton
Blue Moon

このセッションが収録されているCDは

コメント
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