A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ジャズというと何の楽器を思い浮かべるか・・・・・?

2007-08-31 | CONCORD
Drop Me Off In Harlem / RICHIE KAMUCA

ピアノ派の人がいると思うし、トランペットを挙げる人も。
自分はサックス派だが、バリトン好きなのが少し捻くれているところかもしれない。
サックスの王者はやはりテーナーサックスだろう。テナーの魅力がジャズの王道のような気がする。
ジャズを聴き始めた時、ディキシーからジャズに入門した自分にとってサックスは少し遠い存在だった。ロリンズやコルトレーンのサックスを聴き、これがモダンジャズなのかと思ったのを覚えている。そして、スタンゲッツのテナーを聴き、同じサックスでもここまで音が違うのかとJAZZの奥深さを感じ、ある意味感心もした。

このジャズのテナーの系譜を辿ると、そのひとつがレスターヤングにたどり着く。
いわゆるCOOL SOUNDの良くうたうテナーの原点だ。
50年代、レスター派ともいえるテナー奏者が数多くレスターのプレーを引き継いだが、その中の一人がRichie Kamucaだ。
西海岸でも活動が長かったので50年代はいわゆるWEST COAST派と共演、そしてケントンやハーマンに加わっての演奏が多い。60年代にNew Yorkに出たのは、メルルイスと同じような経歴の持ち主だ。
そして、70年になると他の多くのミュージシャン同様L.A.に戻り、スタジオワークと地元での活動に転じた。あまり目立つ存在ではないが好きなタイプのテナーだ。

ConcordでもBILL BERRYのオーケストラRay Brownのアルバムなどに参加していた。
そのKamucaが1977年に癌の病に倒れる。死の直前に、最後の演奏をJeffersonに託し、Concordに何枚かのアルバムを残した。その一枚がこのアルバムである。

テナーが主役のコンボ編成というと、普通はピアノトリオを加えたカルテット編成が中心。
軽快なピアノのバックで、小気味良いドラムのリズムに乗って、確実なベースラインに合わせて、よくスイングするテナーが自分は好みだが・・・。
ロリンズは良くピアノレスの編成をした。ピアノが抜けサックスの音色が浮き上がると、よりサックス自体の演奏の良し悪しがはっきり分かる。さらに、リズムの要のドラムレスになると、スイングしない表現力の無いサックスは長く聴いていられるものではない。
小さなジャズクラブのライブで時折ドラムレスのサックスの演奏があるが、サックスプレーヤーにとっては誤魔化しのきかない本当の腕試しのようなものだ。

このアルバムも実は、ドラムレス。
それも、ピアノとのDUOと、ギターとベースのトリオの2つの組み合わせで。
相手を務めるのは、ピアノがDAVE FRISHBERG。先日、ソロの演奏が入ったアルバムを紹介したばかりだが、彼のスイング感に根ざしたピアノはドラムレスにはぴったり。
ベースとギターがRay BownにHerb Ellis。ピーターソンのドラムレスのトリオを支えた2人なのでこれも適役。
そして、肝心の演奏の方は、イメージどおりの好演。
脇役やセッションプレーの多い彼の経歴だが今回は良くうたうサックスが主役だ。この時、近くに迫った死期を知っていたのかどうかは知らないが、淡々と吹き続けるテナーには哀愁をも覚える。Dear Bixでは歌も披露するが、雰囲気はテナーのチェットベイカーといったところか。Frishbergの曲とあるが、彼は参加せず。ここでのバックはBrownとEllis。
エリントンのDrop Me Off In Harlem に始まり、Harlem Butterflyに終わる編成。ハーレムの片隅のジャズクラブでの演奏が似合う今回の演奏に何か意図を持った選曲なのかとも思う。
覚えやすいメロディーの”Three Little Words”。色々なプレーヤー、それもLester Youngを筆頭にサックスの名演の多い曲だ。今まで紹介したアルバムの中ではGOLSONもやっている。このアルバムのKamucaのプレーも、バックのFrishbergの左手のリズムの効いたバックとともに印象に残る一曲だ。

Drop Me Off In Harlem
I Didn’t Know About You
All Alone
Dear Bix
Three Little Words
It Must Be True
With The Wind And The Rain
Harlem Butterfly

Richie Kamuca (ts)
Dave Frishberg (p)
Ray Brown(b)
Herb Ellis (g)

1977 , Concord CJ-39

コメント
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