A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

先進的なプレー志す者は、スタジオ入りしてもその志は衰えず。

2007-08-27 | CONCORD
The Artful Dodger / Victor Feldman

50年代の後半のContemporaryやRiversideのアルバムにはよく登場したVictor Feldman。改めて経歴を見てみると、イギリス生まれの彼は最初ドラムの天才といわれて音楽活動に入ったそうだ。プロになってからは、最初はヴァイブで有名になり、そしてピアニストとして名を成した。ハーマンのバンドを経て、キャノンボールアダレイのグループにも加わり、マイルスとも共演し曲(Seven Steps To Heaven)も提供している。
そのまま、ひのき舞台を歩むかと思ったら、彼はL.A.にそのまま居座りもっぱらスタジオの仕事が中心となった。

しかしJAZZへの探究心が旺盛なのか、スタジオワーク以外にも時々ストレートなJAZZアルバムを出し続けた。それも忘れた頃に。
そのFeldmanがConcordレーベルに登場したのは1977年。それも、自らの名を冠したリーダーアルバムで。
多芸なフェルドマンではあるが、ここではピアノのプレーに専念する。ただし、新しい物を追っていたFeldmanらしく曲によってはFender Rhodesを用いてプレースタイルも新しい流れを存分に取り込んでいる。その点では、今までConcordに登場した「スタジオの雄」の面々とは一味違ったプレーを聴かせてくれる。
アルバムタイトルは、ARTFUL DODGER(巧妙なごまかし上手)とでも訳すのだろうか。
けっして誤魔化しではなくFeldmanの多彩な才能が全面的に披露されている。

一曲目のライムハウスブルースからその本領発揮だ。ディキシーの演奏にも似合う古いスタンダード曲であるが、2拍子と4拍子を交えながらも、ボサノバ風のリズムを加えたモダンな解釈で曲の古臭さを感じさせない。
21世紀のbebopとライナーノーツで書かれた2曲目のAGITATIONは、非常に攻撃的なドラミングに鼓舞されたピアノプレーで新主流派のピアノとしても一級品だ。B面のアルバムタイトル曲のARTFUL DODGERも同様に先進的な演奏だが、ドマニコのベースやベイリーのドラムのソロや絡み合いもピアノトリオの演奏として聴き応えがある。
一転スタンダードのSmoke get in your Eyesでは、Fenderの軽やかなタッチが冴える。
A面、B面最後の曲は共にHAUNTED BALLROOMと同じ曲。A面はスイングするピアノプレーだが、B面はJack Sheldonのトランペットとユーモラスなヴォーカルが楽しめる。
色々な顔を持つFeldmanであるが、このアルバムではピアニストとしての多芸ぶりを発揮している。
B面4曲目のSPONGE MONEYはFeldmanのオリジナルとライナーノーツには書いてあるが、どう聴いてもロリンズのセントトーマス。色々なものがぎっしり詰まっているアルバムだ。

1. Limehouse Blues        Braham, Furber 6:10
2. Agitation               Feldman 4:36
3. Walk on the Heath           Feldman 4:50
4. Haunted Ballroom        Feldman, Adamo 5:07
5. Isn't She Lovely            Wonder 3:29
6. Artful Dodger             Feldman 3:18
7. Smoke Gets in Your Eyes     Kern, Harbach 4:57
8. Sponge Money(St. Thomas) Feldman(Rollins)4:17
9. Haunted Ballroom, No. 2    Feldman, Adamo 3:05

Victor Feldman (p,elp)
Chuck Domanico (b)
Monty Budwig (b)
Collin Baily (ds)
Jack Sheldon (vol,tp)

Recorded 1977 , Concord CJ-38


コメント
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