FEELING FREE / BARNEY KESSEL
時代の流れと共に新しいものが流行り出すとついつい手を出したくなる。時には、年甲斐も無くと思われることもあるが、基本は本人のやる気と感性。
うまく新しい事を取り入れながら、徐々に変っていければいいが・・・・。
なかなかフィーリングがピッタリ合うことは少ないものだ。
Quincy JonesやMiles Davisは、常に感性で自己を変えることができる類まれな才能を持った人物だろう。
新しいものを取り入れるというよりは、自ら新しいものを開拓していったようにも思える。
なかなか誰もがそのようにはいくものではない。それに、何も新しいものが常によいとは限らないし。古き良き伝統をきちんと継承するほうが実は大事なこともある。
ジャズの世界でも、演奏スタイルの変化に合わせて新しい流れにチャレンジしていったベテランのジャズメンは多い。古くはバップの流れに挑戦したスイング派のコールマンホーキンズ。そしてコルトレーンが推し進めたモードジャズには、ハードバッパーの何人もが挑戦した。そして、うまく流れに乗った人もいれば、乗り損なって自分のスタイルを無くしていった人もいる。
ギターのBarney Kesselはバップの洗礼を受け、50年代の後半はWestコースト派とスインギーな演奏を繰り広げていたが・・。60年代に入るとスタジオワークが中心になり、ジャズの第一線からは次第に退いていった。60年代の前半はメインストリーマーがプレーし難い環境ではあったので、決して彼一人の話ではない。
スタジオワークでは、Jazzyな演奏だけでなくPOPSや映画音楽などクレジットの無いアルバムを入れたら、彼の参加したセッションの数は枚挙に遑がない。
あらゆるジャンルでオールラウンドなプレーをしていたので、ギタリストとしては本望であったのかもしれないが。
そんな中、一念発起して突然意欲的なJAZZアルバムを録音した。それも古巣のコンテンポラリーレーベルに。この頃、かっての名門コンテンポラリーも、新録音はほとんど休止状態だった。
これがきっかけで、再びジャズを演奏したいという想いに掻き立てられたのか、その後ヨーロッパにツアーに出向くと、そのままイギリスに留まって活動をする。ROCKやFUSIONが台頭を始め、メインストリームジャズが肩身の狭い思いをしていた時だ。ヨーロッパには、メインストリーマーを暖かく迎える素地があったのかもしれない。
このアルバムのバックを努めるメンバーを見ると時代が変わりつつあることが解る。
ドラムはElvin Jones。コルトレーンの所を辞してフリーになったがそのプレー振りは全盛期。Elvinのドラミングは、シーツオフサウンド、波打つリズムはビートというよりもパルスを感じるという表現をよくしていた。
そして、VibeにはBobby Hutcherson。ハロルドランドと組んで西海岸を中心にプレーをしていたが、彼も丁度試行錯誤の変革期だった。
全体がエルビンのドラムに引っ張られながら、KesselもHutchersonも、どこまで変身できるかチャレンジしているような感じを受けkesselのプレーは明らかに、以前のスイングするプレーとは一線を画すプレー振りだ。
曲も当時のヒット曲のバカラックやサイモンとガーファンクルを取り上げているが、アプローチは真正面からストレートジャズの素材としてだ。決して、イージーリスニング仕立てではない。全編を通じてベテランプレーヤーの新しいジャンルへのチャレンジの気概を感じる演奏だ。
しかし、イギリスから戻ったKesselのプレー振りは、Concordの数々のアルバムのとおり。以前のスインギーなプレーに戻っている。
新しい試みはタイトルどおり、一度は「自由を感じてみたかった」という、一時の迷いだったのかもしれない。
Kesselにはやはりスインギーなプレーがよく似合う。
1. Moving Up Kessel 5:14
2. Blue Grass Kessel 9:24
3. This Guy's in Love With You David, Bacharach 5:14
4. Blues up, Down and All Around Kessel 8:21
5. Sound of Silence Simon 7:39
6. Two Note Samba Kessel 4:55
Bobby Hutcherson (vib)
Barney Kessel (g)
Chuck Domanico (b)
Elvin Jones (d)
Los Angeles, CA, March 12, 1969
時代の流れと共に新しいものが流行り出すとついつい手を出したくなる。時には、年甲斐も無くと思われることもあるが、基本は本人のやる気と感性。
うまく新しい事を取り入れながら、徐々に変っていければいいが・・・・。
なかなかフィーリングがピッタリ合うことは少ないものだ。
Quincy JonesやMiles Davisは、常に感性で自己を変えることができる類まれな才能を持った人物だろう。
新しいものを取り入れるというよりは、自ら新しいものを開拓していったようにも思える。
なかなか誰もがそのようにはいくものではない。それに、何も新しいものが常によいとは限らないし。古き良き伝統をきちんと継承するほうが実は大事なこともある。
ジャズの世界でも、演奏スタイルの変化に合わせて新しい流れにチャレンジしていったベテランのジャズメンは多い。古くはバップの流れに挑戦したスイング派のコールマンホーキンズ。そしてコルトレーンが推し進めたモードジャズには、ハードバッパーの何人もが挑戦した。そして、うまく流れに乗った人もいれば、乗り損なって自分のスタイルを無くしていった人もいる。
ギターのBarney Kesselはバップの洗礼を受け、50年代の後半はWestコースト派とスインギーな演奏を繰り広げていたが・・。60年代に入るとスタジオワークが中心になり、ジャズの第一線からは次第に退いていった。60年代の前半はメインストリーマーがプレーし難い環境ではあったので、決して彼一人の話ではない。
スタジオワークでは、Jazzyな演奏だけでなくPOPSや映画音楽などクレジットの無いアルバムを入れたら、彼の参加したセッションの数は枚挙に遑がない。
あらゆるジャンルでオールラウンドなプレーをしていたので、ギタリストとしては本望であったのかもしれないが。
そんな中、一念発起して突然意欲的なJAZZアルバムを録音した。それも古巣のコンテンポラリーレーベルに。この頃、かっての名門コンテンポラリーも、新録音はほとんど休止状態だった。
これがきっかけで、再びジャズを演奏したいという想いに掻き立てられたのか、その後ヨーロッパにツアーに出向くと、そのままイギリスに留まって活動をする。ROCKやFUSIONが台頭を始め、メインストリームジャズが肩身の狭い思いをしていた時だ。ヨーロッパには、メインストリーマーを暖かく迎える素地があったのかもしれない。
このアルバムのバックを努めるメンバーを見ると時代が変わりつつあることが解る。
ドラムはElvin Jones。コルトレーンの所を辞してフリーになったがそのプレー振りは全盛期。Elvinのドラミングは、シーツオフサウンド、波打つリズムはビートというよりもパルスを感じるという表現をよくしていた。
そして、VibeにはBobby Hutcherson。ハロルドランドと組んで西海岸を中心にプレーをしていたが、彼も丁度試行錯誤の変革期だった。
全体がエルビンのドラムに引っ張られながら、KesselもHutchersonも、どこまで変身できるかチャレンジしているような感じを受けkesselのプレーは明らかに、以前のスイングするプレーとは一線を画すプレー振りだ。
曲も当時のヒット曲のバカラックやサイモンとガーファンクルを取り上げているが、アプローチは真正面からストレートジャズの素材としてだ。決して、イージーリスニング仕立てではない。全編を通じてベテランプレーヤーの新しいジャンルへのチャレンジの気概を感じる演奏だ。
しかし、イギリスから戻ったKesselのプレー振りは、Concordの数々のアルバムのとおり。以前のスインギーなプレーに戻っている。
新しい試みはタイトルどおり、一度は「自由を感じてみたかった」という、一時の迷いだったのかもしれない。
Kesselにはやはりスインギーなプレーがよく似合う。
1. Moving Up Kessel 5:14
2. Blue Grass Kessel 9:24
3. This Guy's in Love With You David, Bacharach 5:14
4. Blues up, Down and All Around Kessel 8:21
5. Sound of Silence Simon 7:39
6. Two Note Samba Kessel 4:55
Bobby Hutcherson (vib)
Barney Kessel (g)
Chuck Domanico (b)
Elvin Jones (d)
Los Angeles, CA, March 12, 1969