評論家・山崎元の「王様の耳はロバの耳!」
山崎元が原稿やTVでは伝えきれないホンネをタイムリーに書く、「王様の耳はロバの耳!」と叫ぶ穴のようなストレス解消ブログ。
ライブドア株と外資系運用会社の力量
ライブドア・ショックで大幅に下落したライブドア株について、面白い事実が明らかになった。
フィデリティーとキャピタル・リサーチといえば、あまたある米国系の運用会社の中でもレピュテーションの高い運用会社だが、これらの日本法人がライブドアの株式をそれぞれ同社の発行株数の6%を超えて持っていたのだ。取得時期は多少異なるようだが、昨年末の時点で両社がこれだけのライブドア株を持っていたことは確実だ。
業界外の方の為に補足すると、フィデリティーは「世界最大」の運用会社だし、キャピタル・リサーチはたぶん評判を集計すれば「世界最良」(本当かどうかは知らないよ!)の運用会社と言っていいだろう(チャールズ・エリスが「キャピタル」という本を書いており、日経から翻訳が出ている。ちなみに、訳書の帯のコピーは「こんな会社にお金を預けたい!」だ)
ところが、1月末時点では、フィデリティーは保有割合0.54%までライブドア株を売却し、キャピタル・リサーチは逆に8.58%へと2%以上買い増しした。
注目点は二つある。
一つは、調査力だの運用力だのといっても、外資系の大手の運用会社でも、ライブドアの粉飾を見抜くことは出来なかったということであり、運用会社に(もちろん証券会社にもだし、プロ一般に対して、ということでもあるが)過大な期待をしない方がいい、ということだ。
年金基金などには、まだ外資(外人?)コンプレックスを持っていて、「外資系のファンドマネジャーは本当のプロだから、日系のサラリーマン・ファンドマネジャーと違う」などと半可通の運用会社グルメ的解説をしながら、外資系運用会社を偏愛する運用担当者(運用執行理事など)がいる場合があるのだが(黒船と太平洋戦争敗戦の影響は大きい!)、こういう人たちは、今回のケースをよく噛みしめて理解すべきだ。
現実を言ってしまえば、外資だろうが、国内だろうが、運用パフォーマンスにつながる「運用力」には大差がない。これは、日米の投信の運用成績で見てもそうだし、「本当に儲かられると思うなら、他人のお金なんて運用しないだろう」という身も蓋もない経済常識が正しいのだ。
詳しくは別の機会に書こうかとも思うが、外資系の運用会社で優れているのは、イメージの作り方であり、マーケティング戦略であって、且つこれと一致したマネジメントが出来ていることだ。これとて、日本の証券会社や保険会社(まして銀行)出身の素人経営者には真似が難しいことなのだが、彼我の差は「運用力」にはない、というのが運用ビジネスの現実である。
ところで、ライブドア・ショック以降のフィデリティーとキャピタル・リサーチの正反対の対応は興味深い。
結果はどっちがいいか分からないが、ライブドアをここに来て投げ売りしたフィデリティーよりも、株価よりも実態価値はあると判断して実際に行動するキャピタル・リサーチの方が、運用会社のあり方としてはサマになっている。
気楽な見物人としては(ああ、良かった!)、良し悪しではなく、好き嫌いで、キャピタル・リサーチに1票を投じたい。
フィデリティーとキャピタル・リサーチといえば、あまたある米国系の運用会社の中でもレピュテーションの高い運用会社だが、これらの日本法人がライブドアの株式をそれぞれ同社の発行株数の6%を超えて持っていたのだ。取得時期は多少異なるようだが、昨年末の時点で両社がこれだけのライブドア株を持っていたことは確実だ。
業界外の方の為に補足すると、フィデリティーは「世界最大」の運用会社だし、キャピタル・リサーチはたぶん評判を集計すれば「世界最良」(本当かどうかは知らないよ!)の運用会社と言っていいだろう(チャールズ・エリスが「キャピタル」という本を書いており、日経から翻訳が出ている。ちなみに、訳書の帯のコピーは「こんな会社にお金を預けたい!」だ)
ところが、1月末時点では、フィデリティーは保有割合0.54%までライブドア株を売却し、キャピタル・リサーチは逆に8.58%へと2%以上買い増しした。
注目点は二つある。
一つは、調査力だの運用力だのといっても、外資系の大手の運用会社でも、ライブドアの粉飾を見抜くことは出来なかったということであり、運用会社に(もちろん証券会社にもだし、プロ一般に対して、ということでもあるが)過大な期待をしない方がいい、ということだ。
年金基金などには、まだ外資(外人?)コンプレックスを持っていて、「外資系のファンドマネジャーは本当のプロだから、日系のサラリーマン・ファンドマネジャーと違う」などと半可通の運用会社グルメ的解説をしながら、外資系運用会社を偏愛する運用担当者(運用執行理事など)がいる場合があるのだが(黒船と太平洋戦争敗戦の影響は大きい!)、こういう人たちは、今回のケースをよく噛みしめて理解すべきだ。
現実を言ってしまえば、外資だろうが、国内だろうが、運用パフォーマンスにつながる「運用力」には大差がない。これは、日米の投信の運用成績で見てもそうだし、「本当に儲かられると思うなら、他人のお金なんて運用しないだろう」という身も蓋もない経済常識が正しいのだ。
詳しくは別の機会に書こうかとも思うが、外資系の運用会社で優れているのは、イメージの作り方であり、マーケティング戦略であって、且つこれと一致したマネジメントが出来ていることだ。これとて、日本の証券会社や保険会社(まして銀行)出身の素人経営者には真似が難しいことなのだが、彼我の差は「運用力」にはない、というのが運用ビジネスの現実である。
ところで、ライブドア・ショック以降のフィデリティーとキャピタル・リサーチの正反対の対応は興味深い。
結果はどっちがいいか分からないが、ライブドアをここに来て投げ売りしたフィデリティーよりも、株価よりも実態価値はあると判断して実際に行動するキャピタル・リサーチの方が、運用会社のあり方としてはサマになっている。
気楽な見物人としては(ああ、良かった!)、良し悪しではなく、好き嫌いで、キャピタル・リサーチに1票を投じたい。
コメント ( 6 ) | Trackback ( 0 )
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もちろん、結果が良ければ、威張るのでしょうし、そうでなければ、「8割以上下がった後だから大した影響はない」とでも言うのでしょう。
「考える」のは、本来、お金を任せる方の人の問題なのですが、彼らがあまり考えている気配はありません。もっとも、彼らがじっくり考えてしまうと、運用会社が儲からなくなってしまいますね。
私は今まで外資系の運用機関は日系の運用機関よりも運用力では数段格上と思っていたのですが(日系の優秀な人は外資系に転職することが多いと聞いたので...。)、そうでもないのでしょうか!?
今回の件でどの投資信託を選べばいいのかますわからなくて迷ってしまいますので、ファンドオブファンズを購入しようと思っています。
ファンドオブファンズは運用商品としてはどうなのでしょうか?私みたいな初心者には良い様な気がしているのですが。
率直に言うと、投資信託は買わない方がいいと思います。理由は手数料が高すぎて勿体ないからです。手数料に見合うだけの期待リターンを生む運用スキルは、国内系、外資系を問わず持っていませんし、第一、それを誰が持っているのか、投資家であるあなたは見抜くことが出来ないはずです。
中身の分からないものに、「プロだからやってくれるだろう」という根拠のない期待感だけで、お金を払うのは、愚かだと思います。
ファンド・オブ・ファンズも下手な運用が直接見えないだけのことで、それだけに投資家は中身を把握できないし、しかも、実質的な手数料が高い。
投資の初心者であっても、お金が貴重であることは同じでしょう。初心者向けのファンドなんて無いので、「分かるまで買わない」という態度がいいと思います。おそらくは、次には、「中身が分かったので、買いたくない」という状態になると思いますが・・。
些か厳しすぎるアドバイスかも知れませんが、内容は正しいと思います。