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【現代ビジネス】「朝型勤務」の功罪

 現代ビジネス「ニュースの深層」(隔週連載)に「「ゆう活」の奨励に思う。夜型人間のためにも「労働時間制限付きのフレックス・タイム制」を検討してはどうか。」というタイトルで記事を書きました。

 仕事を早朝に始めて早めに終わらせ、夕方を楽しく活かそうという運動を「ゆう活」と名付け、中央省庁では朝型勤務を実践し、民間や自治体にも奨励するといいます。ポイントは朝にあるのに、「ゆう」と付けた運動名が普及するとも思えませんが、政府は今回、それなりに本気のようです。

 夕方早くに帰宅出来るなら、その後の時間を有意義に過ごせるでしょうし、働く側では労働時間の短縮に、給料を払う側からは残業代の圧縮に繋がる可能性があります。社会全体としては、朝夕のラッシュ・アワーの緩和といったメリットが考えられます。
 もっとも、早朝からの勤務に保育園などが対応していない可能性や、学童の子供がいる場合は朝食の用意をどうするかなど、働く母親にとって、朝型へのシフトは不便や負担を増やすことになるかも知れません。

 平均的且つ公平に見るなら、ビジネス・パーソンとしては、やはり朝型の方が有利でしょう(強度の夜型である私には残念なことですが)。
 組織で出世している人の大半は朝型であるように思います。夜型の肩身が狭い世の中はまだまだ続きそうであり、今回の政府による朝型勤務の奨励方針は、その傾向を益々強めそうです。

 自分の経験だけで決めつける訳にはいきませんが、夜型を朝型に矯正することは極めて困難です。そもそも人によって朝型・夜型という固定的なタイプがあるものなのか、あるとして、修正が可能で修正する事が医学的に適切なのでしょうか。

 朝型・夜型が固定的で動かしにくい場合がある事を前提に、政府の目的に叶う制度を考えるなら、「労働時間制限付きのフレックス・タイム制」はどうでしょうか。「時刻」を自由にして「時間」を縛る、制限時間は最低と最長の両方を設定する、といった仕組みです。
 例えば、出社は本人の自由な時間でよく、オフィスに着いたら各自にタイマーを渡し、出社時刻から6時間以上9時間以内にオフィスを離れるよう勤務時間に制限を設けます(必要があれば別途「残業許可申請」の手続きを取ります)。
 人間にとって「締め切り」の効果は絶大です。毎日の勤務時間に締め切りがあることによって、個人単位の能率は改善するでしょう。

 コア・タイムの設定などは必要でしょうが、最も重要なのは顧客の都合です。今回の「ゆう活」にあっても、公務員側の勤務時間の都合で役所を利用する民間人が不便を感じるような勝手な業務時間帯変更を行うとすれば、サービス業として言語道断の愚挙と言う他ありません。
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