評論家・山崎元の「王様の耳はロバの耳!」
山崎元が原稿やTVでは伝えきれないホンネをタイムリーに書く、「王様の耳はロバの耳!」と叫ぶ穴のようなストレス解消ブログ。
「市場と感情の経済学」復刊
ダイヤモンド社の書籍担当者から、リチャード・H・セイラーの「市場と感情の経済学」の翻訳本(篠原勝訳)が復刊されると聞いた。10月くらいには出るらしい。同書の原書は、1992年に出ており原著のタイトルは"The Winner's Curse"(勝者の呪い)、1998年に邦訳が出たが、残念ながら、あまり売れなかったようだ。
しかし、2002年にダニエル・カーネマンがノーベル経済学賞を取ったこともあり、近年、行動経済学の本がまずまず売れているようなので、ダイヤモンド社が翻訳の復刊を交渉したとのことだ。尚、翻訳は基本的に当時のままだが、邦題は変えて出すようだ。
ジャーナル・オブ・エコノミック・パースペクティブという専門誌にセイラーが行動経済学分野の第一線の研究者と一緒に年に4本、論文を連載していたものが、一冊にまとめられて出版された。連載が掲載されていた当時、投資研究部という名前の部署にいたので、会社で読んでいた。
既存の経済理論では説明できない「アノマリー」(的現象)を次々にテーマにしており、目次を見ると、序章から第14章まで何れも取り上げているテーマが幅広い。「協調行動」「究極ゲーム」「産業間賃金格差」「勝者の呪い」「金利と割引率の損得勘定」「競馬と宝クジの戦略」「株式市場のカレンダー効果」「株価は平均に回帰する」「クローズド・エンド・ファンドの謎」など、何れも興味深いし、後の行動ファイナンス、行動経済学でも重要なテーマとなったものが紹介されていて、内容的・知識的にも決して古くない。
一つだけ寄り道すると、「究極ゲーム」とは、最も簡単なバーションでは、被験者Aに一定のお金を仮に渡し、このうちいくらかを被験者Bに提供することを提案させるゲームで、Bが提案を受諾したらA、Bは当初のお金を貰ってこれを提案通りに分けることが出来るが、Bが提案を拒否したら、A、B共にお金を貰うことは出来ないというゲームだ。
単純なゲーム理論で考えると、1%でも渡すと提案すると、Bは提案を拒否した場合に何も貰えなくなるので、提案を受諾する筈であり、Aはごく少額を提案すればいい、というのが解答なのだが、現実には、もっと「気前のいい」提案が多く、平均は、Aが配分する額の37%で、最も多かった分配案は50%、つまり、折半だった、という実験が初期にある。ゲーム理論の学者が、回数を増やして繰り返しの要素を入れたり、ゲーム理論を教えたりして、やり方を変えた実験を設計しても、A側の「気前の良さ」と、B側が、少額の分配提示(たとえば10%)を断るというようなケースが相当数出ることは、基本的に変わらなかったという。人間は、自分の損得だけで価値判断を行うのではなく、「フェアであるか、否か」が相応に(人によってちがうが)重要な価値判断要素になっている、ということが分かる実験だ(詳しくは、復刊される本をご覧下さい)。
投資の世界では、「アノマリー」という用語は旬を過ぎてから、時間が経っており、かつてほどワクワクするものではない(伝統的なファイナンス理論が衰退したので、そのアノマリー=異常事象がそれほど刺激的でなくなったからだろう)が、既存の理論で上手く説明できない現象を嗅ぎつけて、これを検証し、様々な角度から説明を試みる、というアプローチは、投資で言えば、アクティブ運用のアイデアを組み立てる時と同じようなアタマの使い方になる。運用的発想法を鍛えるという意味では、具体的な投資の方法が書かれている本を何冊も読むよりも、よほど役に立つだろう(拙著など、ブック・オフに売って、購入資金の足しにして下さってもいい)。
目下、「サブプライム問題」で相場が荒れている。サブプライムローン関連の損失処理と、これに絡んだ信用不安問題は、割合短期間でクリアできるかも知れないが、おおもとの原因が米国の住宅価格下落にあることを思うと、サブプライムローン問題は大きさ的に「氷山の一角」だし(サブプライムローンの残高が1.3兆ドル、全住宅ローンが10兆ドルあり、それぞれの背後に担保となる不動産があるし、もちろん、オフィス物件もある)、相場用語で言うところの「調整」(上げるのが当たり前だという意味か、下げる場面を「調整」と呼ぶ)は、そこそこに長くかかるかも知れない。ロシア危機からLTCM破綻に至った1998年の危機よりも(数ヶ月で株価は元に戻った)、原因がアメリカ国内にあり、規模が大きい分、たちが悪いかも知れない。
何を言いたいかというと、しばらくの間、相場はツマラナイかも知れないので(普通に資産形成で投資している、買い持ち投資家にとって、という意味だ。先物で遊んでいる人には、サーファーにとっての大波のように面白いだろう)、この間に、投資の発想を豊かにしてくれるような良書を読むのがいいのではないか、ということだ。
本当は、本が出る頃にブログに書く方が、推薦として有効なのだろうし、出版社にも喜んで貰えるだろうが、忘れるといけないので、今書いておく(一株屋としては、推薦図書などよりも、この機会に推奨銘柄を挙げたり、相場の予想でも書くことが、望まれているのかも知れないが、まあ、ブログはタダなのだし、我慢して下さい!)。
しかし、2002年にダニエル・カーネマンがノーベル経済学賞を取ったこともあり、近年、行動経済学の本がまずまず売れているようなので、ダイヤモンド社が翻訳の復刊を交渉したとのことだ。尚、翻訳は基本的に当時のままだが、邦題は変えて出すようだ。
ジャーナル・オブ・エコノミック・パースペクティブという専門誌にセイラーが行動経済学分野の第一線の研究者と一緒に年に4本、論文を連載していたものが、一冊にまとめられて出版された。連載が掲載されていた当時、投資研究部という名前の部署にいたので、会社で読んでいた。
既存の経済理論では説明できない「アノマリー」(的現象)を次々にテーマにしており、目次を見ると、序章から第14章まで何れも取り上げているテーマが幅広い。「協調行動」「究極ゲーム」「産業間賃金格差」「勝者の呪い」「金利と割引率の損得勘定」「競馬と宝クジの戦略」「株式市場のカレンダー効果」「株価は平均に回帰する」「クローズド・エンド・ファンドの謎」など、何れも興味深いし、後の行動ファイナンス、行動経済学でも重要なテーマとなったものが紹介されていて、内容的・知識的にも決して古くない。
一つだけ寄り道すると、「究極ゲーム」とは、最も簡単なバーションでは、被験者Aに一定のお金を仮に渡し、このうちいくらかを被験者Bに提供することを提案させるゲームで、Bが提案を受諾したらA、Bは当初のお金を貰ってこれを提案通りに分けることが出来るが、Bが提案を拒否したら、A、B共にお金を貰うことは出来ないというゲームだ。
単純なゲーム理論で考えると、1%でも渡すと提案すると、Bは提案を拒否した場合に何も貰えなくなるので、提案を受諾する筈であり、Aはごく少額を提案すればいい、というのが解答なのだが、現実には、もっと「気前のいい」提案が多く、平均は、Aが配分する額の37%で、最も多かった分配案は50%、つまり、折半だった、という実験が初期にある。ゲーム理論の学者が、回数を増やして繰り返しの要素を入れたり、ゲーム理論を教えたりして、やり方を変えた実験を設計しても、A側の「気前の良さ」と、B側が、少額の分配提示(たとえば10%)を断るというようなケースが相当数出ることは、基本的に変わらなかったという。人間は、自分の損得だけで価値判断を行うのではなく、「フェアであるか、否か」が相応に(人によってちがうが)重要な価値判断要素になっている、ということが分かる実験だ(詳しくは、復刊される本をご覧下さい)。
投資の世界では、「アノマリー」という用語は旬を過ぎてから、時間が経っており、かつてほどワクワクするものではない(伝統的なファイナンス理論が衰退したので、そのアノマリー=異常事象がそれほど刺激的でなくなったからだろう)が、既存の理論で上手く説明できない現象を嗅ぎつけて、これを検証し、様々な角度から説明を試みる、というアプローチは、投資で言えば、アクティブ運用のアイデアを組み立てる時と同じようなアタマの使い方になる。運用的発想法を鍛えるという意味では、具体的な投資の方法が書かれている本を何冊も読むよりも、よほど役に立つだろう(拙著など、ブック・オフに売って、購入資金の足しにして下さってもいい)。
目下、「サブプライム問題」で相場が荒れている。サブプライムローン関連の損失処理と、これに絡んだ信用不安問題は、割合短期間でクリアできるかも知れないが、おおもとの原因が米国の住宅価格下落にあることを思うと、サブプライムローン問題は大きさ的に「氷山の一角」だし(サブプライムローンの残高が1.3兆ドル、全住宅ローンが10兆ドルあり、それぞれの背後に担保となる不動産があるし、もちろん、オフィス物件もある)、相場用語で言うところの「調整」(上げるのが当たり前だという意味か、下げる場面を「調整」と呼ぶ)は、そこそこに長くかかるかも知れない。ロシア危機からLTCM破綻に至った1998年の危機よりも(数ヶ月で株価は元に戻った)、原因がアメリカ国内にあり、規模が大きい分、たちが悪いかも知れない。
何を言いたいかというと、しばらくの間、相場はツマラナイかも知れないので(普通に資産形成で投資している、買い持ち投資家にとって、という意味だ。先物で遊んでいる人には、サーファーにとっての大波のように面白いだろう)、この間に、投資の発想を豊かにしてくれるような良書を読むのがいいのではないか、ということだ。
本当は、本が出る頃にブログに書く方が、推薦として有効なのだろうし、出版社にも喜んで貰えるだろうが、忘れるといけないので、今書いておく(一株屋としては、推薦図書などよりも、この機会に推奨銘柄を挙げたり、相場の予想でも書くことが、望まれているのかも知れないが、まあ、ブログはタダなのだし、我慢して下さい!)。
コメント ( 28 ) | Trackback ( 0 )
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株式市場が荒れると言われる5月、6月は今年は平穏だったのですが、今回の8月の大幅な下げに息を失ったとレーダーは、プロ、アマを問わず、多数居たようですね!
僕自身のスタンスは、「待ってました! 大暴落!」と言いたいところですが、実際、自分が本当に買いたい銘柄(薬品のセクターです。尊い人命を救う薬剤を開発する製薬会社に投資することは、社会貢献度が高いかな?と思っています。)が大幅な下落をしているかというと、そうでもありません。
余剰資金は有るので、理論株価を大幅に下回って、底値にコツンと当ったら、買いたいと思うのですが。
株の売買のタイミングを正確に察するのは、本当に至難のワザだな!と思いました。
やっぱり、山崎さんの場合は、推奨銘柄を挙げてもらうより、
推薦図書を挙げてもらう方がうれしいです。
(他の方も多分そうでは。)
自分の経験上、他人の推奨銘柄はパフォーマンスが良くない。
(想定外の値動き、サプライズが起こったときに、自分で冷静に判断できないですし。)
それに、巷のマネー雑誌では今回のような本について書いてある例は少ないですから。参考になります。
ところで、最近、銀行や郵便局で薦められて投資信託や外貨預金を購入した投資家が、今回の株価の値下がり、円高によって損失を被って金融機関に苦情を申し立てる例はどのぐらいあるのでしょう?窓口での商品説明がどのぐらい適切だったか気になります。
関係ありませんが、私は
投資信託を薦められて購入したことはありませんが、銀行の窓口でクレジットカード入会キャンペーンをしていたときに、こちらの質問に予想以上に詳しくサービス内容を説明してもらったときには、感心して入会してしまいました。
それにしても、山崎さんがマスターをするバーで、ウィスキー、投資、カメラ(写真)の話題ができる大人の遊びが本当にあったらいいですね。
「今日のおすすめは、こちらのウィスキーと、こちらの92年ものの一冊です。」とかなんとか。。(笑)
ちなみに、その章立ての中で私が好んで引用するのは、第一に「競馬と宝くじの戦略」、第二に「勝者の呪い」です。
特に「競馬と宝くじ」の章における、競馬場における参加者の賭け方への洞察は、時を経ても錆びないなあと思っています。
すなわち、競馬の「回収率を見ると本命(ベストオッズ)こそ実は“大穴”的であり(リターンが高い)」、しかも、その傾向は「最終レースが近づくに連れて高まる(最終レース付近では、参加者の多くで負けが込んでおり、一発逆転を目指して大穴に張るヒトが増える。その分、本命のオッズがより普段より高くなる)」
少々古いテレビ番組を引き合いに出して恐縮ですが、かつてのクイズダービーを視聴していても、最終問題になると「篠沢教授(=高オッズの“大穴”)に全部!」という声が大方でしたから、その時分には「はらたいら」(=本命)にかけるべき、ということは「なるほど!」と実感を伴って納得したものでした。
一つ、転売目的のチケット購入
一つ、「公衆の場」での転売
のどちらかで、アウト!らしい。ネット空間は想定外なわけだから、ケースバイな問題みたいね。基本的には、アウト、の覚悟がいるようだ。
山さんのような経済脳的には、ダフ屋にも市場価値を決める一定の役割があるんでね、ちゅうことか。キモは、「買占め」と「公衆」の問題がヤクザにすぎる、ちゅうことなんであろうか。古物免許持った「コイン屋」ならええわけだからして。
誰とは言わないが、同様の経済脳を持っているのかどうかビミョーだが、評論家を名乗る男が、「マルチにも早めに参加して果敢に利益を得よ」、と書いていた。こちらは、アホまるだし、だな。
評論家として生き残るには、同じことを言い続ける、ことが大事と聞く。長谷川慶太郎のように能天気なことだけ言い続けるか、佐高師匠や金子勝どんのように悲観を不細工な顔で言い募るか。いつも同じことを言っていれば、だいたい世の中良くなったり悪くなったりだから、半分は「業績」になる。チャレンジングな予想は、恥をかくばかり、かもしれんが、山さんにはどうかがんばってほしい。山さんもいつのまにか常連のダカーポとか読むと、某藤巻氏はいかなことにも円安資産高?一点張りで、後の検証に耐えうるか、といらん心配をしてみたりした。
「究極ゲーム」を本で読んだとき、御○所フジオの○座顔がまっさきに浮かんだ。相手の一パーの利益も惜しい、オプションに塗炭の苦しみをつけてやりたい、変態の行動である。大野君たちは、一パーでいいです、と経済脳で言っているのに。
「コツン」を捉えるのは難しいと思いますが、楽しそうですね。
>Unknownさま
一口に「経済学」といってもいろいろですから、一概には、YesともNoともいえませんね。(以後、カキコミにはハンドルネームをお願いします)
>toyshopさま
バーは、客としていく分には楽しそうですが、行きつけの神保町のシングル・モルト・バーのマスターを見ていると、あの種の客商売は、体力的にも、精神的にも、経済的にも、大変そうです。
>ちゅう様
人間には、利他心やフェアを求める心の他に、他人の不幸や失敗を「快!」とする心も、間違いなくありますね。この不純なところが、面白いところです。
>栗田さま
確かに、連載で読んだときにも、「最終レースで負けを取り返すために大きく賭ける傾向」を研究対象にしている点は(もともとはW.ジエンバの研究だったと思いますが)、よく競馬ファンのことを知って居るなあ、と感心した覚えがあります。
>作業員さま
藤巻(兄)さんには、一つだけ(?)もの凄くいいところがあります。彼は、ほぼ絶対と言っていいくらい、他人の悪口や批判を述べません。ご本人が書いたものによると、お父様の教えを守っておられるようなのですが、これは、私のような凡人には真似できません。
それにしても、今日のテレビ番組の控え室で思いましたが、皆さん、朝青龍に冷たいのですね。「もうこの問題は飽きた。彼は、さっさと引退すればいいのに」というようなムードの「風」を感じました。
私は、この問題が不必要に大きくなった責任が協会にも相当程度あると思っています。北の湖理事長は、朝青龍が早く相撲を取れる状況を作ることに目的を持たなければならないのだと思いますが、これが出来ていません。横綱とはいえ、彼はスポーツばかりやってきた26歳の青年に過ぎません(某サッカー選手のような、世慣れた人でも、いい年して「自分探し」するくらい未熟な面があるのだし・・)。大人が寄ってたかって、引退に追い込むがごとき、相撲協会の多くの親方とマスコミの動きには、大いに疑問を覚えます。格付けや金銭でキツイ処分をすべきで、相撲は早く取らせるべきでしょうし、何よりも、チャンスを与えるべきだと思います。それに、一番強い者を排除して戦うようなスポーツに、魅力はありません。
書籍ご推薦、大変助かります、有難う御座います。
涼しい秋の(たまさかの)勉強タイムを楽しみに発売を待ちます。
題名が良いですね。
経済学の本のタイトルが昔からこんなに楽しそうなものでしたでしょうか?(きっと翻訳の一工夫も大きいのでしょうか)。
学生時代のものに斯様な人を惹きつける工夫があったらもっと情熱を掛けた筈、っと思ったりしています。
「やばい経済学」も1頁たりとも飽きずに没入しましたし、これからもドンドンご推奨をお願いします。
「本気の経済学」と自分では結構楽しみながら学び続けられそうです。
かつて住専問題が発生した時、公的資金を入れるかで大問題になりました。当時、私はサラリーマンをしており、職場に公的資金投入反対の署名が回ってきました。皆、公的資金投入には義憤を感じ争って署名しました。結局、私だけ署名拒否して上司にいやみたらたら言われた事を覚えております。
当時、マスコミは反対大キャンペーンを行っており
旗頭は、ニュースステーションの久米宏でした。
素人の久米宏の声は絶大で、世論は公的資金投入反対となりました。政府は、窮地に陥りましたがどうにか入れましたが、後々大問題になりました。
その後発生した不良債権問題で、政府は公的資金投入を迅速に出来ず、金融システム不安になり、北海道拓殖銀行,山一証券の破綻で、国民も不安になり、ようやく公的資金投入できました。
この公的資金投入の遅れは国民に多大な経済的損失や、地域社会の崩壊・格差問題・学力の低下など、現在の諸問題の発生原と思います。この時期、私の知人も破産したり、夜逃げしました。多くの人々は無言のまま塗炭の苦しみを味わったのです。それにひきかえ、世論をミスリードした、年収何億も稼いで知らん顔の旗頭は、何の責任も感じないのでしょうか。
現在のニュース”もどき”などは、素人旗頭よりもっとひどいど素人が出演しており、日本国の将来を憂います。
サブプライムローンの結末は、どうなるかわかりませんが、日本より迅速に公的資金投入すると思います。
株価の底は8/17?そんなのわかる人はおりません、わかる人はインチキか詐欺師です、1-2ヵ月後じゃないとわかりません。
私は絶版後プレミアムの乗った古書を購入したので複雑な心境です。
初めて読んだ時は まだウブな学生で、賃金問題や宝くじが行動経済学の枠組みで語られていたことに軽い違和感を覚えたのを記憶しております。
ただの復刊だけでなく もう少し小慣れた日本語訳にしていただけると理想的なのですけど。
セイラーの市場と感情の経済学、良著だと思ってましたが、絶版だったのですか。それは意外。
さて、ゲーム理論では説明しにくい、効用を絶対値でなく相対的に捉える問題、山崎さんは「フェアであるか、否か」と記されてますが、「フェア」というような高尚な概念ではなくて、「あいつがいい目を見やがって、不愉快だ」という嫉み根性という方が適切な気がしてます。
これって、子供のオヤツ分けに始まって、かなり普遍的に人間の感情を激しく左右するファクターなのでは。職業柄、遺産相続をしばしば見ますが、相続人たちの予めの期待値に、追加の財産があった場合、絶対値が増えてるので全員の効用は失われないはずが、逆に間違いなく大揉めになります。「もっと隠れ財産があったのではないか」と言う情報の不対称性に関する疑心暗鬼を、私のような第三者が取り除くことで、一部は軽減されますが、それでも収まるものではないようです。
他の人がどれだけ取ってったかについて考えないで済ませた方が、他人の取り分を根掘り葉掘り調査した場合に比べて、交渉によって得られる絶対的な効用の追加(の可能性)が無いにもかかわらず、幸せが大きい、ってのは、深く哲学的なようでいて、単純な理屈なのかも。
たぶん復刊書の題名には「行動経済学」という言葉が入ると思いますが、内容的には大いに期待できるはずです。
>matuさま
アメリカが不動産の下落をどう処理するかは、大いに見物ですね。「金持ち父さん」的な人が、また家を失ってライトバンの中で暮らすような時代が来るのかもしれませんし、「リバブル」に成功するのかもしれないし、事態はたぶん、両極端の中間でしょう。
>ミラさま
いつもコメントありがとうございます。
ロッテの「リラックス」ですか。良さそうですね。探してみます。
>まっこう様
新しく出る翻訳本は、基本的に訳文はあまり変わっていないはずだと思います。もともとの訳者の篠原勝氏が既にご他界されているらしく、もともとの訳文で出るようです(はっきり確認したわけではありませんが、過日の編集者のお話では)。
ただ、私は、公平に見て(同類の他書と較べて)、そう読みにくくない訳文だと思います。
>ろっしぃ=将棋相撲好きさま
こんにちは。「フェア」というのは、もちろん「市場と感情の経済学」に出てくる表現です。
「嫉妬」には、ここのところ私も大いに注目しており、嫉妬関連の本を少し読み始めています。大きな感情的要因として「嫉妬」があり、「フェア」はそれを構成する認識上の要素の一つだ、といった枠組みが良さそうに思えます。
「嫉妬」には、現実の説明原理としてなかなか強力なのではないか(特に、日本では)と期待しています。
山崎先生、こんばんわ!
通勤電車の週刊文春の吊広告「世界同時株安-日本経済最悪のシナリオ」が気になり、今日、購入しました。
すると… 山崎先生のコメントが掲載されていますね!
僕はサブプライムローンの問題については、数ヶ月程度でカタがつくと思っていましたが、これから先、かなり長期間での正念場となりそうですね。
日本での国際優良銘柄の代表格は、トヨタ、キヤノンですが、これらの銘柄の株価は、今後、さらなる底値にコツンと当たる可能性が有りそうなので、注視し続ける必要があるみたいです。
このような環境の中、やはり、安心して買うことの出来る銘柄は、人間が購入を欠いたら生存できないもの(食品、医薬品、電気、ガス等)だと思いました。
現段階では、田中 宇氏の解説記事が判り易い:
http://tanakanews.com/070821credit.htm
snowbees様、こんばんわ。
興味深い記事を。ご紹介下さり、有難うございました。
サブプライムローンは、お金に不自由な方を対象にしたものなのに、これを基にして金融商品が作成された事実に、唖然とするばかりです。
かつて、我国の高度経済成長に尽力された下村治さんは、生前、アメリカの経済学者は頭脳は優秀かもしれないが、マネー・ゲームに狂っていると警告していました。
そして、今、改めて、下村さんの警告がアタマをよぎります。
世相の迎合に無頓着な、気骨の有るエコノミストが、今ほど、必要とされている時は無いと思います。
ご意見ごもっともですが。「気骨のあるエコノミスト」は、なかなか見当たりませんね。
経済学的には、「気骨を持つインセンティブは何ぞや?」という話になるのでしょうが、「それが、愉快だから」でいいと思うのですが、どうも、精神的にそういった余裕が生まれにくいようです。
ご回答、有難うございました!
>精神的にそういった余裕が生まれにくい
言いたいことを、何でも言うことの出来る人は、経済的なバックボーンが大きい人だと思います。
ところで、今日も日中は非常に暑かったですね!
僕の場合、外出するときには、熱中症にならないよう、帽子と保冷用の水筒を手放せない日々が続いています。
熱中症って、本当にコワイですよね!
山崎先生も、熱中症には、くれぐれも、ご用心ください。
こんばんは。確かに、今日は暑かったですねぇ。子供を二人ベビーカーに乗せて近所の公園に行きましたが、ポカリスエットの1リットル瓶を持って、3人でちびちび飲みながら、遊んできました。
私は経済的なバックボーンが小さいので、ご期待に応えられないかも知れませんが、「経済的バックボーン」が小さいと、失うものの少ない気楽さというものがあります。「気骨」というレベルはとても無理ですが、なるべく、自由にハッキリと物を言おうと思っています。
その内幕と黒幕について先日、QUICK経由で配信したものをご紹介します。
(以下、QUICKにコメントした内容を引用)
1.トピックス:「"福袋"、開けたらスカ」
在庫をバルクで一掃できる効果的な販売手法として「福袋」は毎年年始にお目にかかるが、各種ローンを"袋詰め"にして転売する、いわば金融版"福袋"というべきABSや"福袋の福袋"というべきCDO(CDO of ABS)では、その「中身」が疑問視されている。
ABSやCDOではデフォルトに対する"耐性(=返済の優先順位)"の高い順に、シニア、メザニン、エクイティ(又はジュニア)とレーベルが銘打ってある。ちょうど福袋に「金、銀、銅」といったレーベルが貼ってあるようなものだ。ちなみにその"レーベル"は民間格付け企業が決定する。
そして、今度は証券化によって発行された「銀(メザニン)レーベル」の"福袋"を再度よせ集めて、集まった「銀レーベル・ポートフォリオ」を原証券にした、新たなCDOを発行する。証券化したものを更に証券化する、言わば "福袋・オブ・福袋"である。これを仮に「屋上屋CDO」と呼ぼう。するとここで、奇妙な現象が発生する。この「屋上屋CDO」においても、デフォルト・リスクの低い順に「金(シニア)、銀(メザニン)、銅(エクイティ)」という3種のレーベルが新たに登場するからだ。
すると、トリプルBを多数集めてくれば、証券化のスキームによって、低デフォルト部分だけ抜き取り、民間格付け会社に「トリプルA(に相当する)と銘打って」もらって、「国債+アルファ」狙いの最終投資家に販売することができる、ということだ。そして、そうした証券化スキームを駆使すると同時に格付け会社の協力があれば、低デフォルトで好利回りのシニア債はいくらでも塑造できてしまう。
これは、まるで「一定の原油からガソリンが永遠に精製できる」と言わんばかりの、極めて危ない錬金術だ。そもそも「銀の斧を集めると金の斧と交換できる」などという話はおとぎ話でしかない。
さて、エンロン事件のときは証券会社の「投資推奨」と監査法人が疑われたが、今回は「民間格付け企業」のモラルハザードが問われそうな勢いだ。格付け会社と発行体との距離は適切であったのか?ややもすれば、「業者と顧客の関係」に見えなくもない。
(以上、引用終わり)
ちょうど正義と嫉妬の経済学(竹内靖雄)を読んでいたのですが・・。
「嫉妬」には、その前提として「独占」がありますね。
だれかが独り占めしなければ、排除された他の人達が不足に悩んで嫉妬することはできないわけですから・・。
尚、訳者の篠原勝さんは残念ながらお亡くなりになっていますが、ご遺族の許可により、ダイヤモンド社側で、訳文を修正して出版するそうです。「究極ゲーム」→「最終提案ゲーム」など、訳語が変わっているものもあるので、訳文の修正で読みやすくなるはずです。
こちらも楽しみに、書店に予約して来ます。
以前から待ち遠しくうずうずしていますが、山崎さんの寄稿文も楽しみ増幅です。追加情報に御礼申し上げます。
自宅最寄り駅の書店(Book Mates 、「へそ曲がり」も此処で入手)から携帯電話に連絡が入り復刻版の発売が遅れたとのことです。理由は書店では判らないようですが、26日or今日に入手出来ると期待していただけに残念無念(今日は関東は雨だし一層)。
この書店だけが入荷出来ないと言うこと、は無いと思います、&ご参考まで。
また遊びに来ますね。
頑張ってください!bgsdfrg
西澤選手とご家族の大切な課題に触れることですし、人間の生きること・命を掛ける闘いに就いて考えることの多さ・深さ・大きさと重さに、コメントを出来ない状態です。
豪州・フィージーでのボクシング現役選手としての生活と活動続行を決断され、ご家族に伝えられた様子が頭から離れません。