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iPADの印象

 先日、散歩のついでにiPADを買って来た。WiFiの16GBという最もロースペックなものだが、家の中で触って遊ぶにはこれで十分だと思った。それに、使いよいとなれば、家人用にもう一枚買うつもりだったので、ともかく入手を優先した。
 入手してみた印象をいうと、「これは使える!」だ。拙宅では、もう一枚買おうということになった。
 尚、私は、パソコンで長時間仕事をしているが、平凡なソフトと、検索エンジンやRSSリーダー、ブログなど、ネット上に世間が用意してくれたものを使うだけの、リテラシーの低いユーザーである(要は、少し機械好きなだけのオヤジだ)。こんなユーザーでも、iPADは簡単に使えて、直ぐに便利だと思った。
 何よりもいいのは、ノートパソコンをスリープから復帰させるときに表示される、「ウィンドウズを再開しています」という表示に続く数十秒の待ち時間がないことだ。あの、画面との「再会」までの時間は間延びしていて耐えがたく長い。
 たとえば、メールを立ち上げる場合も、瞬きと共にパッと立ち上がって、直ぐにメールのダウンロードを始める。
 画面上のキーボードの使い勝手も悪くない。メールの返事を書くくらいなら、これで十分だ。雑誌の1ページくらいの原稿なら、仕事に使っても大丈夫だろう。何はともあれ、一本原稿を書いて、「モトを取った」気分を味わうことにしよう。
 ブラウザもさっさと立ち上がるので、何かを調べたいときに役に立つ。紙の辞書よりも、電話帳よりも速く用が足りる。一家に、二、三枚置いておくと、便利だろう。
 現在、もっぱらiPHONEのアプリを試しているだけなので、大きな感動はないが、画面サイズが大きいから使いやすい。「柿の木将棋」などは、磁石の将棋盤よりも指しやすい。見映えのするアプリとして、一つだけ「元素図鑑」を買ってみたが、画面がきれいで感心した。当然、YouTubeも見やすい。iPHONEとの比較で特に感じることだが、画面サイズの効果は大きい。
 もっとも、小さいサイズの持ち運べる機械が好きな私としては、iPADは持ち運んでもいいと思うには、大きさ・重さが共に少しずつ過大だ。現在のiPHONEの二倍サイズの画面のiPAD-mini(?)が出たら、これも買いそうだ。
 電子ブックリーダーとしても問題なく、快適だ。iPHONE用のアプリになった書籍を読むと縦横共に2倍になるので、これなら将来老眼になっても読めそうだ。
 尚、本は、横書きのもの(たとえば、小飼弾「弾言」)の方が縦書きのもの(青空文庫)よりも読みやすい。
 私は、もともとディスプレイで文章を読むことには抵抗感がない。テキスト・ファイルなら紙のプリントよりも、エディターに流し込んで読む方が速く読める。また、ある作家の長編小説(ワードの「文字カウント」で20万字くらい)をディスプレイで読んだことがあるが、問題なく読めた。iPADで本を読むのも、問題はあるまい。
 紙の書籍をPDF化することを一部では「自炊」と呼ぶらしいが、鍋(スキャナー。富士通のもの)と皿(iPAD)が手に入ったので、1,2冊試してみて、調子が良いようなら、包丁(断裁機)も買おうかと思っている。
 受け手がiPADのようなもの(iPAD以外の物でも構わない)をたくさん持つようになると、テキスト・写真と音声付き動画をまとめて配るような形式で情報を伝えると便利かも知れない。
 音声付き動画で何でも伝えようとすると、通常は全編を見なければならないから視聴する側は時間を喰う。情報を速く正確に読み取るにはテキストが便利だ。しかし、急所の部分を説明して分かったつもりにさせて欲しいと思う場合もあるだろうし(たとえばテキスト・ブック)、音や動画がある方が圧倒的に伝わりやすい種類の情報もある(「エロ」物などは強力な商品になりそうだ)。
 テキストに動画や音が埋め込まれていて、必要に応じて再生したり、飛ばしたり、できる形になっていると具合が良さそうだ。
 技術的には現在十分にできていることなのだろうが、やり取りするデータのフォーマット、再生ソフト、データの受渡と決済の仕組みなどが標準化されて、取引の習慣がこなれてくると情報発信のやり方が変わる(当面は種類が「増える」)かも知れない。
 そうなると、発信者の側では、テキスト、動画、音声をバランス良く伝える技術が必要になるのだろう。特に、ノンフィクションの分野では仕事の仕方が変わるかも知れないし、ビジネス本もそうかも知れない。もちろん、こうしたものが現れてきた場合、パソコンよりも、iPAD的な装置の方が情報に接触しやすいだろう。
 iPADは途方もない新機能や特殊な芸を持っている訳ではないが、持ち主の指示にてきぱきと答える、愛想と見映えのいい、文房具兼遊具兼情報リーダーだ。値段的にも、一家に一枚あってもいい端末ではないだろうか。
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