山形弦楽四重奏団 ブログ

演奏会のお知らせ・日々の活動など

山形Q 練習日誌64–vol.6(中島記)

2017-05-30 21:07:58 | 練習日誌
 練習の合間に、すかさずイヤフォンを装着し、難しい顔で聞き入る今井嬢。お気楽なおぢさん達が話しかけても、眉根を深く寄せたまま。

 彼女が真剣に聞いているのは…競馬中継。

…山形Qの活動がちっともお金にならないので、開催日は真剣そのものです。しかし表情から察するに、今日はツキがないらしく、朝のレースから全敗のようです。がんばれっ!

…ということは、もちろんありません。練習の録音です。休憩に入ると、すぐに聞いて修正する。彼女は努力家なのです。


 さて、今日の練習はハイドン中心。今回の「作品77」は、「皇帝」「日の出」などが含まれる、ハイドンの頂点とも言える「作品76」よりもさらに後。…ハイドン究極の技巧が凝らされた曲なのです。

 しかし、頂点よりも先だけあって、やや「行き過ぎた感」は否めない。すごいのですが、凝り過ぎている。ハイドンにしては複雑。

 つまり難しいので、今まで手をつけて来なかったということなのです。山形Qハイドンシリーズも、そろそろ大詰めですから、こういう難敵が出て来る。


 それでも、やはりここまで積み重ねて来たものは大きい。少しずつ整って来ました。あとは生命感を損なわないようにしながら、各自がもう少し詰めていくこと。

 ようやく、面白くなってきました。

チラシを貼らせていただいたり、置かせてもらう活動をしています。
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山形Q 練習日誌64–vol.5(中島記)

2017-05-28 23:59:57 | 練習日誌
 本日のリハーサルもメンデルスゾーン中心。


 ところで、メンデルスゾーンが生まれたのは1809年です。ちなみにハイドンが亡くなったのも同じ年。

…生まれ変わりか?

と思うのは気が早い。ハイドンが没したのはメンデルスゾーン誕生の4ヶ月ほど後。

 「古典派時代」「ロマン派時代」などと分類してますが、考えてみればクラシックの大家達が生きた時代は、みんな大して変わらない。今回のシューベルトは1797年生まれ。メンデルスゾーンと「ひとまわり」しか違わない。

 さらに言えば、シューマンとショパンは同い年でメンデルスゾーンのわずか1歳下。その1歳下がリストで、その2歳下がワーグナーとヴェルディ。芸風はそれぞれですが、みんな同世代なのです。音大だったら重なってる感じですね。同じサークルにいてもおかしくはない。…濃すぎるか。

 
 ということで、音を並べるだけでなく、少しずつ流れを共有してゆきます。端正ながら、ついはみ出てしまったようなロマンティシズムがメンデルスゾーンの良さなので、その振れ幅が難しいところ。要精進。

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山形Q 練習日誌64–vol.4(中島記)

2017-05-23 23:59:59 | 練習日誌
 今回の練習は、メンデルスゾーン中心。


 この「弦楽四重奏曲第5番」は、メンデルスゾーンが29歳の時の作品です。29歳といえば普通の感覚では、まだまだ若者です。しかし、彼の38年の短かすぎる生涯ではもはや「中期」。…残念な事です。

 ところで、メンデルスゾーンには番号が付いている弦楽四重奏曲が6曲あります。「第1番」と「第2番」が20歳前後の作品ですから「初期」。「第3番」からこの「第5番」が「作品44」というセットになっていて、29歳で完成しています。そして「第6番」は、死の3ヶ月前ですから「後期」というより「遺作」に近い。

 つまり「第5番」は彼の弦楽四重奏作品で、最も円熟した時期の曲です。実際に、「第5番」が完成した時にメンデルスゾーン自身が「それまでの弦楽四重奏曲より数百倍良い出来だ」と言ったと伝えられています。まさに「会心作」。

 …道理で難しいわけです。音が多いのはいつものことですが、それが凝った和音の中でめまぐるしく動く。作曲の、意欲とテクニックとが、ばっちり決まってしまった作品なのです。


 ということで、千里の道も一歩から。

 ゆっくりと聴き合いながら、音を並べてゆきます。この曲が持つ、弾けるような生命感に近づけるよう、まだまだ各自、精進が必要なのでした。

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山形Q 練習日誌64–vol.3(中島記)

2017-05-21 22:47:05 | 練習日誌
 1824年、ドイツの作曲家ツェルターは、パーティーの席において参加者みんなの前で、15歳の少年にこう言いました。

「愛する息子よ、今からお前は私の弟子ではなくなり、私の同業者となるのだ。モーツァルト、ハイドンおよび老バッハの名において、私はお前を同業者であると宣言する!」

 まさに「免許皆伝」の瞬間ですね。15歳の少年は…メンデルスゾーンです。

 ということで、今日の山形Qリハーサルは、前回やり残したメンデルスゾーン中心。

 素晴らしい曲です。しかし、若き天才の円熟期の作品だけに、べらぼうに難しい。

 その難しさは、とにかく正統的。無理を要求されてないのに、高度なのです。まさにツェルターが言うように、バッハ、ハイドン、モーツァルトをきちんと受け継いでその上を行く作曲家です。若いのに大したものだとしか言いようがない。


 メンデルスゾーンはユダヤ人だったために、不当に低く評価されたことがあったのは有名な話です。ワーグナーあたりが悪口を書いたのが始まりです。

 しかしそれは、完全な「ひがみ」でしょう。メンデルスゾーンはたしかに、作曲家としては考えられないほど恵まれた環境に育ちました。父親が銀行の頭取では無理もない。「メンデルスゾーン銀行」。悪口を言いたくなるワーグナーの気持ちもわかりますが、逆に、その環境に育ちながら道楽息子にならなかったメンデルスゾーンを賞賛すべきでしょう。


 さて、今日の練習は、ゆっくりゆっくり。丁寧に音を並べて、仕組みを理解しつつ方向性を合わせて行くのです。正統的な音楽には、地道に正攻法でいくしかない。

 各自、もう一段、個人練習が必要だという認識にたったところで、本日は終了。また次回までに各自、精進しませう。

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山形Q 練習日誌64−vol.2(中島記)

2017-05-18 21:03:25 | 練習日誌
 晩年のベートーヴェンはこう言いました。

「これから有名になる人だ。もっと早くに知り合いになれなくて残念だ…」

 ベートーヴェンにしては素直ですね。それほどの逸材だったということです。

…さて、誰に対しての言葉でしょう?

 正解は、シューベルトです。


 ということで、昨日、ベートーヴェンの後期大作の深淵に触れた我が山形Qの、今日のリハーサルはシューベルトから。

 今回の定期の一曲目、「第5番」(D.68)です。シューベルト16歳の時の作品。若者のフレッシュな感性で作曲された曲なので、どこまでピュアに、瑞々しく演奏できるかが問われます。


 それにしても、16歳。もはやウチの息子よりも年下です。素のままの中年では近づくことができない領域。せめて、ピュアなイメージを豊かにして向き合うしかないでしょう。

 とにかく汚れがない曲です。


 あとはハイドンとメンデルスゾーンの途中で終了。今回はとにかくハードなプログラムのようです。音を並べるだけでも大した苦労ですが、そこにとらわれては何もできない。「早くに知り合いに」なるべく頑張ります。

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山形Q 練習日誌64−vol.1(中島記)

2017-05-17 21:18:02 | 練習日誌
 お久しぶりです!前回の定期演奏会のあと、半月以上お休みしていました。

 各自しっかりと充電するため…でもありますが、メンバーそれぞれ、いろいろな私用があったためです。Vc茂木のリサイタルや、2nd今井のイメチェンなど。特筆すべきはもちろん後者で、髪をバッサリ切って別人かと見まごうほどのリニューアル。男性ファン必見!ぜひ、演奏会に足をお運び下さい。


 ということで、定期演奏会後の練習1回目ですが、我が山形Qではベートーヴェンと決まっています。ベートーヴェンは、四重奏曲の最高峰。新しいプログラムに入る前に、霊峰を参拝するような気持ちで弾くのです。

 今回は「第13番」と「第15番」。霊峰の中でも一段と奥まった高い所にある神殿のような二曲。生半可な気持ちではたどり着けす、遭難してしまいます。…今日も遭難しました。

 しかし、演奏会の予定のない曲をじっくり合わせるというのは、この上ない贅沢な時間です。ましてベートーヴェンの後期。

 あらためて、弦楽四重奏へのモチベーションを高めたひとときでした。


 明日から、「64回定期」の練習に入ります。

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ありがとうございました(茂木)

2017-05-03 14:35:49 | 演奏活動
 ご報告がおそくなりました。

 4月30日の「茂木の音楽小路」を無事に終えることができました。

 皆様からたくさんの励ましを頂戴し、支えていただきました。

 深く感謝申し上げます。

 今後、回数を重ねて行ける様、さらに精進してまいります。

 ありがとうございました!!

 茂木明人

  
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