山形弦楽四重奏団 ブログ

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山形Q 練習日誌65-vol.4(茂木記)

2017-08-29 23:33:23 | 練習日誌
 今回の定期で演奏するベートーヴェンは、前期に書かれたOp.18-4を久しぶりに演奏します。

 やはりベートーヴェンの音楽は何度演奏しても素晴らしい。中・後期の作品が至高の頂に辿り着いているのはもちろんの事、起点となったOp.18から既に熟度の高い音楽に仕上がっています。Op.18に収められた6つの弦楽四重奏曲は、30歳にならんとする若きベートーヴェンが最初に書き上げた意欲的作品で、ハイドンが用いた弦楽四重奏のスタイルを意識しつつも表現は枠組みに捕らわれず、ロマンティックな音楽へ発展しようとする意欲を感じさせます。

 さて、「若きベートーヴェン」今までにもどこかで使った覚えのある言い回しです。

 考えてみれば、戦後間も無い頃の日本人の平均寿命が50歳ちょっと。今回演奏するOp.18が書かれた1800年頃については、ヨーロッパでの平均寿命は40歳ほどとの研究結果もある様子。という事は、平均寿命40歳時代の30歳は平均寿命80歳時代でいう還暦みたいな事でしょうか?「Op.18に収められた6つの弦楽四重奏曲は、30歳にならんとする初老のベートーヴェンが最初に書き上げた意欲的作品で、」と書くべきでしょうか?

 それは間違いです。

 当時の人間が早く老人になって、現代の人間の成長が遅くなったのではないのですから。やはり20代後半や30歳であったら若者で、若者の時期が過ぎてからの時間が短かったという事です。

 ベートーヴェンの時代でもその時々の平均寿命は判ったでしょうから、自身の余命を想像すれば、精神面では現代の同世代とは全く違うステータスだった事でしょう。

 その様な事を考えながら、先々の人生と演奏を無駄にしないためにしっかり覚悟を決めて全ての物事に向き合う事が大切だと、改めて感じた秋の日。

 コミセンの一室にベートーヴェンの時代だったら人生末期の人たちが集い、あーでも無いこーでも無いと試行錯誤。ベートーヴェンに見られたら「何をのんきに〜〜」と呆れられそうですが、まぁ、今は人生80歳時代ですから。

チラシを貼らせていただいたり、置かせてもらう活動をしています。
 ただいま23箇所
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