祇園小唄

2024-07-09 23:02:10 | 世界の民謡
倍賞千恵子


高田美和


ザ・ピーナッツ


月はおぼろに東山
霞む夜毎のかがり火に
夢もいざよう紅桜
しのぶ思いを振袖に
祇園恋しや だらりの帯よ

夏は河原の夕涼み
白い襟あしぼんぼりに
かくす涙の口紅も
燃えて身をやく大文字
祇園恋しや だらりの帯よ

鴨の河原の水やせて
咽(むせ)ぶ瀬音に鐘の声
枯れた柳に秋風が
泣くよ今宵も夜もすがら
祇園恋しや だらりの帯よ

雪はしとしとまる窓に
つもる逢うせの差向(さしむか)い
灯影(ほかげ)つめたく小夜(さよ)ふけて
もやい枕に川千鳥
祇園恋しや だらりの帯よ




「月はおぼろに東山」の歌い出しで知られる「祇園小唄(ぎおんこうた)」は、1930年(昭和5年)の歌謡曲です。

作詞 長田幹彦、作曲 佐々紅華。

歌詞では、「東山」、「祇園」、「大文字」、「鴨の河原」といった京都の地名や風物詩が散りばめられ、「振袖」、「だらりの帯」、「口紅」などの舞妓さんを

連想させる語句も随所に用いられています。

歌詞で締めに繰り返される「だらりの帯」とは、京都の舞妓が着る振袖のだらり結びにした帯を指します。

見習い期間に姐さん芸妓と茶屋で修業する際は、半分の長さの「半だらり」の帯だとか。

舞妓の初期における髪型は「割れしのぶ」。

店出しから間もない年少の舞妓が結う髷(まげ)で、「ありまち鹿の子」や「鹿の子留め」など特徴的な髪飾りが目を引く華やかで愛らしい髪型です。

「祇園小唄」の歌詞で「しのぶ思いを振袖に」とありますが、この舞妓の髪型の名称と無関係ではないのでしょう。

ところで、祇園ですが、京都市東山区にある、京都の代表的な繁華街及び歓楽街です。

現在の八坂神社は明治以前は祇園社(ぎおんしゃ)と称し、鴨川一帯までの広大な境内地を保有していたため、この界隈のことを祇園と称するのだそうです。

その鳥居前町は元々は四条通に面してましたが、明治以降に鴨川付近から東大路通・八坂神社までの四条通の南北に発展しました。

舞妓がいることでも有名な京都有数の花街であり、地区内には南座(歌舞伎劇場)、祇園甲部歌舞練場、祇園会館などがあります。

現在は茶屋、料亭のほかにバーも多く、昔のおもかげは薄らぎましたが、格子戸の続く家並みには往時の風雅と格調がしのばれます。

北部の新橋通から白川沿いの地区は国の重要伝統的建造物群保存地区として選定、南部の花見小路を挟む一帯は京都市の歴史的景観保全修景地区に指定され、

伝統ある町並みの保護と活用が進んでいるようです。

また、鴨川を西に挟んだ対岸には三条通から四条通にかけて花街である先斗町があり、夏期頃には先斗町のお茶屋、料亭、各レストラン、バーが鴨川納涼床を設置し

風流な光景が広がります。

なお、名の由来となった祇園社(感神院)は祭神の牛頭天王が祇園精舎の守護神とされていたのでこの名になったそうです。

7月の京都は祇園祭一色。

祇園祭は千年以上の歴史を持ち、7月1日(吉符入)から31日(疫神社夏越祭)まで、1か月にわたって多彩な祭事が行われる八坂神社の祭礼です。

なかでも17日(前祭)と24日(後祭)の山鉾巡行、そしてそれぞれの宵山には大勢の人々が訪れ、京のまちは祭りの熱気に包まれます。 












































































































































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